高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

 

45.亡き母に会えなかった後悔──事前にできたことは?

 

はじめに

 

「もう一度会いたい」と願っても、二度とかなわない。
 

最期の時、母に会えなかったことを悔やみ続けている方は少なくありません。特に、高齢の親がきょうだいの一人によって囲い込まれ、他の家族が会えなくなってしまったケースでは、その悔いは深く、長く心に残ります。

 

今回は、あるご相談者の体験をもとに、「亡き母に会えなかった後悔」と、もし事前にできたとすればどのような行動だったのかを考えてみたいと思います。

 

 

 

 

1. 亡き母に会えなかった私の体験

 

ご相談者は50代の女性でした。
 

母親が認知症を発症したのは10年ほど前。その頃から、同居していた兄が「母を守る」という名目で、他のきょうだいを母に近づけなくなっていきました。

 

電話をしても取り次いでもらえず、施設に会いに行こうとしても「面会制限中」と言われ、兄に連絡しても「母は会いたがっていない」と突き返されるばかり。

 

それでも「そのうち機会があるだろう」と思い、強く出られないまま数年が過ぎてしまいました。
 

そしてある日、突然「母が亡くなった」と知らされたのです。

最期の顔を見ることも、声をかけることもできなかった。
棺の前で「どうしてもっと早く動かなかったのだろう」と、後悔の涙を止められなかったそうです。

 

 

2. 後悔の正体──「もっとできたのでは?」という思い

 

こうしたケースで多くの方が口にするのが「もっと早く動けばよかった」という後悔です。

 

・もっと早く弁護士に相談していれば…
・家庭裁判所に調停を申し立てていれば…
・施設に直接出向き「母の意向を確認したい」と訴えれば…
・母に手紙を書き続けていれば…

 

後になって思い返すと、できたかもしれない選択肢はいくつも浮かんできます。
 

しかしその時は「迷惑をかけたくない」「波風を立てたくない」という気持ちや、「本当に母が会いたがっていないのかも」という不安が、行動を止めてしまうのです。

 

つまり、後悔の正体は「本当はできたかもしれない行動をしなかった」という自己責めに近い感情なのです。

 

 

 

3. 事前にできたこと──具体的な備えと行動

 

では、同じ後悔を繰り返さないために、事前にどんなことができるのでしょうか。

 

(1) 親の意思を直接確認する努力

 

囲い込みが起きたとき、まず必要なのは「親自身の意思」を確認することです。
 

・電話や手紙で直接やりとりを試みる
・施設に出向いて「面会希望」の意思を伝える
・第三者(ケアマネージャーや地域包括支援センター)に相談する

 

たとえ会えなくても「会いたい」という意思表示を続けることが大切です。

 

(2) 記録を残す

 

後で「本当に親が会いたくなかったのか」が争点になることがあります。
そのため、
 

・送った手紙のコピー
・面会を拒否された記録(日付・状況)
・やり取りしたメールやLINE
 

を残しておくことは重要です。

 

(3) 法的手段を検討する

 

・家庭裁判所に「面会交流」の調停を申し立てる
・弁護士を通じて正式に連絡を試みる

 

これらは「敷居が高い」と思われがちですが、最期に会えずに後悔するよりも、ずっと意味のある行動です。

 

(4) きょうだい間での対話の試み

 

囲い込みをしているきょうだいとの関係は感情的にこじれやすいものです。
しかし「母のために」という視点で、冷静に話し合う努力を早い段階でしておくことが望ましいでしょう。

 
 

 

4. 心のケア──後悔とどう向き合うか

 

最期に会えなかった悔いは、一生消えないかもしれません。
 

しかし、「あの時、自分は精一杯動いた」という実感があれば、その後の悲しみの受け止め方は大きく変わります。

 

心理学的には「行動したけれど叶わなかった後悔」と「何もせずに叶わなかった後悔」とでは、前者のほうが心の回復が早いとされています。

 

つまり、後悔の深さは「行動したかどうか」に大きく左右されるのです。

 

 

5. まとめ──同じ後悔を繰り返さないために

 

亡き母に会えなかったご相談者は、今も心の痛みを抱えています。
 

けれども同時に、「もしこれを多くの人に伝えられるなら、母の死は無駄ではなかった」と語ってくれました。

だからこそ私は、これを読んでいるあなたにお伝えしたいのです。

 

「親に会いたい」と思ったら、迷わず行動してください。
小さな一歩でもいいのです。手紙一本でも、記録を残すことでも構いません。
その積み重ねが、未来の自分を後悔から救ってくれるのです。

 

 

 

おわりに

 

親は家族みんなのものです。

一人のきょうだいによって会えなくなるのは、不自然で、不幸なことです。
だからこそ、早い段階で「会いたい」という意思を形にし、行動に移していただきたいと思います。

 

後悔は、未来を変えるヒントになります。
あなたの一歩が、大切な親との時間を守る力になるのです。

 

 

 

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