小説『ナオミ』第5章
今回は、精神的に不安定な少女ナオミが主人公の日記体小説『ナオミ』の第5章です。 第1章と、前回の第4章はコチラ↓『小説『ナオミ』第1章』 去年書いた小説で投稿していないものがあったので、投稿します。 『アーネスト・ダム』の題名でコンクールに応募予定の、『ナオミ』です(『ナオミ』を加筆・修正し…ameblo.jp『小説『ナオミ』第4章』 今回は、精神的に不安定な少女ナオミが主人公の日記体小説『ナオミ』の第4章です。 第1章と、前回の第3章はコチラ↓『小説『ナオミ』第1章』 去年書いた小説で投…ameblo.jp二千二十三年八月二十四日 今日(というか昨日)、トムが夢に出てきた。水色のワイシャツを着てたわ。夢の内容はね、「私がトムをストーキングする」。 夢の中で、私はなぜかどこかの駅…日本か外国かも分からない駅…の隅に、一人で突っ立ってた。駅はすごく混雑してたわ。 そしたら、なんとその混雑の中に、リアムと一緒に歩いてるノエルを見つけたの。で、「あっ、ギャラガー兄弟だ!」ってなってたら、そのあとから今度は、あのトムが一人で歩いてきたのよ。私はびっくりして、あわててトムの後ろを追って歩き始めたわ。 駅を出ると、急に人が少なくなった。トムが近くのホテルに入ったから私もついていくと、その人がホテルのロビーにある地球儀の前でたたずんでた…ってとこで目が覚めた。 意味が分かんないわよね。意味は分かんないけど、ギャラガー兄弟も、トムも大好き。 あと、何か書くことあったかな。ああ、そうだ。今日は詩を四本も書いたんだった。せっかくだから、この日記帳にも記しておく。詩『ロック・スターは愛を知る』「誰のためでもなく ロックに生きると決めたのさ」 孤独を胸に抱えた男は ただメロディを書きつける 他のことには目もくれないで ただただギターをかき鳴らす 誰かのための優しい歌もいいけれど 自分のための激しいロックが いつか誰かを救うはず そのとき初めて愛されて ロック・スターは愛を知る「生きるためでもなく ただ夢を追うと決めたのさ」 希望を胸に抱えた男は 仲間を見つけて走り出す 狭いスタジオでカッコつけ 殴り合いながらロックする 生きるための明るい歌もいいけれど 理想のためのイカレたロックが いつか誰かを生かすはず そのとき初めて歌われて ロック・スターは勃起する 優しい歌もいいけれど 明るい歌もいいけれど 自分のための激しいロックが 理想のためのイカレたロックが いつか誰かを救うはず そのとき初めて愛されて ロック・スターは愛を知る詩『やってられない』生まれる前から知ってる場所へ帰りたいなんて思わないかいそれとも苦しい思いをしながらやっぱり未来へ歩くのかいそうだな 君は知っている振り返ったら未来はないこと君の肩幅は狭すぎて誰もエゴを乗せられない泉のほとりに濁りはあるがそれを掬って呑むのには君はあまりに若すぎた狂ったようにおどけて遊べ小さな手なんて誰も盗らないそんなに潰れた胸を押しながらやっぱり君は未来へ歩くそうだな 僕は知っている空気が枯れて水もないとこ十六の喉は狭すぎて酒もビールも流れない泉のほとりに濁りはあるがそれを掬って浴びるには僕はあまりに生きすぎた詩『踊れ! アーネスト』初めて会ったが言わせてもらうお前はまともな男じゃねえなだからオシャレな帽子は捨ててハダカで街を歩きなよまだ焦点が合ってないザンネン お前が見てきたものは全部ニセモノ、イカサマさルーシーは空を飛ばねえしサリーは待ってくれねえぞ可哀想に 可哀想にそれでもお前はまだ眠るのか?腹痛だったらしょうがねぇかなちゃんと生きたら褒美があるぜお前はいつから分かってる?二度目に会ったがDon't say tomorrowやっぱりまともな男じゃねえなだから過去に想いを馳せて一か八かはもうやめろよまだ焦点が合ってないザンネン お前が見てきたものは全部ニセモノ、イカサマさルーシーは空を飛ばねえしサリーは待ってくれねえぞ可哀想に 可哀想にそれでもお前はまだシコるのか?普通だったら殺すとこだが特別サービスしてやるぜお前はいつから起きている?詩『Hey, Hey, Idiot』起き上がり方が分からないずっとベッドで眠ってたから自分の顔が見つからないずっと鍵を探してたから毎日シーツで泣いてたのそこだけ明るく陽がさしていたそこらじゅうがかび臭いけれども僕はこれでいい目の前にはホワイトボード奥の部屋には本棚があるでも絵は描かない 本も読まないただ生まれたときからそこにある馬鹿だったんだろう? 僕は目の前の君と同じように声の出し方が分からないずっとむっつり黙ってたから自分の涙が見つからないずっと雫に埋もれてたから毎日 枕で泣いてたのそこだけ明るく陽がさしていたどこに行っても独りぼっちで家族さえもここにはいない血が繋がってるはずなのにここにはみんなの心はいないでも詩は書かない 会いにも行かないただ死ぬそのときまでここにいる馬鹿だったんだろう? 僕は目の前の君と同じように馬鹿だったんだろう? 君も目の前の僕と同じようにだから結局馬鹿なんだろう? 僕ら目の前の奴も見えやしない