今回は、精神的に不安定な少女ナオミが主人公の日記体小説『ナオミ』の第8章です。
第1章と、前回の第7章はコチラ↓
二千二十三年十二月二十四日
今日、頭の中で悪いことばかりぐるぐる考えてたら、いつの間にか不機嫌になってしまってたみたい。今日は楽しいはずのクリスマス・イヴで、私はお母さんとメグと買い物に来てたけど、不安な想像ばっかりしてた私に、お母さんが「せっかく来たのにぼうっとしてていいの? 買いたいもの買いなよ」って言った。私はせっかくの楽しい日に不安なことばっかり考えてた自分が嫌になって、思わずお母さんに「見てるよ!」って怒鳴った。思ったより声がでかかったみたいで、お母さんもメグも「なんでそれだけで怒るの」って言った。私は「怒ってないよ」って言ったけど、もう遅いって分かってた。私は怒ってしまった。でも後悔してもしょうがない。
だけどお母さんとメグは優しいから許してくれて、買い物から帰ったあと、三人で一緒にクリスマス・ケーキを作った。一生懸命、悪いことを考えないようにした。もう絶対に何も台無しにするわけにはいかなかったから。
二千二十三年十二月二十五日
昨日のクリスマス・イヴに不機嫌になって、空気を台無しにしたことをすごく反省してるし、後悔してる。だから今日は最高のクリスマスにした。
それに昨日の夜、私が話しかけてもメグは無視したの。私が気分悪くなって、なんで無視するのかメグに聞いたら、メグは私の顔を見もせずに、「ナオミ姉ちゃんは嫌なことばっかりしてくるんだもん」って答えた。ひやっとした。もう、クリスマスが台無しになるだけじゃ済まないと思った。姉妹の絆が壊れる、私のせいでぜんぶ壊れる、って。嫌だ…それは絶対に嫌だ…もうこの性格、絶対治さなきゃ…だから私は変えようとして、私がちょっと気をつけただけで優しいメグは機嫌を治して無視するのをやめてくれたけど、変わるのは今日だけじゃダメだ。もう、本当に本当の意味で変わらなければいけない。だけど、それがすごく難しい。
【追記 さっき、ストレスのせいか、また吐いてしまった。】