令和3年度建築設備士試験の結果発表があり、合格された方、不合格の方と別れたかと思います。

 

個人的には、令和2年度1次試験にトータルでは合格ラインを超えていたにもかかわらず足切り一発不合格となってしまうという苦い経験を経て、どうにか令和3年度で2次製図試験合格までもっていくことができました。受験対策や自分の所感を、今後受験する方に役に立つように述べたいと思います。

 

実際に、自分は日本設備設計事務所協会連合会の行う「建築設備士」第二次試験受験準備講習会を令和2年と令和3年の2回受講した以外は完全に独学です。予備校にお金を払ってお世話になったのは日建学院さんの模試程度となります。総合資格さんの無料サービスは自分の受験番号を売り飛ばして最大限利用させていただきました。なので、予備校さんの合格者には自分はカウントされていると思います。笑

 

建築設備士試験受験をした方のブログと1級建築士受験対策を参考にしながらしましたが、がっつりとどう勉強方針を立て独学でやっていったか情報が少ないなと思いました。特に1級建築士持ちの方の建築設備士試験ブログはそんなに頑張らなくてもいけるというような感じの書き方でなので、製図ど素人が信じると痛い目にあいます。また、令和2年度より試験形式が変更となっており、それ以前の記事で新傾向に対応していないブログも多々ありました。

 

このため、令和2年以降の試験変更に対応したうえで、製図未経験にもかかわらず建築設備士試験を考えている独学の方に役に立てればと思い書いています。

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以下のテーマに分けて述べていきたいと思います。

0 建築設備士試験の概要6020-0

1 勉強期間・スケジュール6020-1

2 総勉強時間6020-2

3 一次対策(独学勉強方法と過去問演習)6020-3 (ameblo.jp)

4 一次対策(テキスト・参考書)6020-4

5 一次対策(法令集アンダーラインと付箋)6020-5

6 製図対策(講習会)6020-6

7 製図対策(独学勉強方法と過去問演習)6020-7 

8 製図対策(テキスト・参考書)6020-8

9 製図対策(各論:基本計画)6020-9

10製図対策(各論:衛生計算問題)6020-10

11製図対策(各論:衛生選択)6020-11

13製図対策(試験における時間配分)6020-13

14製図対策(おすすめ建築設備士製図道具)6020-14

15製図対策(フリーハンド製図)6020-15

16その他1(保有していると建築設備士試験に役に立つ資格)6020-16 

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9 製図対策(各論:基本計画)

 

配点が公表されていないため、予想でしかありません。しかし、過去の経験則から基本計画のウェイトは高いのは明らかです。正直なところ、二次製図試験で時間内に完成していない、そもそも製図を準備不足で致命的なミスをしているという受験生を除けば、選択製図、共通製図の採点で大きな差はつきにくいと考えます。

 

前提としてですが、共通製図の空調衛生電気の出題範囲はきちんと法根拠やその他指針等を押さえて、プランニングしながらやれるというレベルにしている独学者を想定しています。電気なんで、共通衛生やっていませんとかはなしで!出題範囲の製図は確実にプランニングやれるようにしてください。

 

そのうえで、基本計画が合否に関わるという意味です。

 

配点の考察はここ

6020 建築設備士2次製図試験配点および採点基準考察(令和2年度試験変更対応) | 私立文系で設備・建築系資格を目指す!!(建築設備士、一級建築士、技術士【衛生工学等】、電験三種受験への途) (ameblo.jp)

 

製図を受験レベルに準備するのは当然で、さらに基本計画をきちんと準備できた、保有する知識でどうにか細かく問われた問題に答えることができたものが合格を勝ち取っていったのだと思います。

 

大手予備校さんの総評などはここ

6020令和3年度建築設備士2次製図試験大手予備校総評&個人総評その1基本計画編 | 私立文系で設備・建築系資格を目指す!!(建築設備士、一級建築士、技術士【衛生工学等】、電験三種受験への途) (ameblo.jp)

 

6020令和3年建築設備士最終合格発表における大手予備校総評 | 私立文系で設備・建築系資格を目指す!!(建築設備士、一級建築士、技術士【衛生工学等】、電験三種受験への途) (ameblo.jp)

 

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総合資格学院さんの総評

 

令和3年度は、令和2年に比べて合格率(評価A)が10.9%増加し、52.3%となりました。一方、評価Bは13.6%低下し、31.4%となりました。評価Aと評価Bの割合は、受験生全体の8割以上を占める中で、合否のボーダーライン周辺に多くの受験生が集中し、わずかな得点差が合否を分ける試験だったと考えられます。

 

必須問題と共通問題の出来が合否に大きく影響


今年の設計課題は、『市街地に建つホテル』でしたが、過去のホテルの課題の解答例の丸暗記をするような学習では 対応できない問題が多く出題されました。現在の社会が求めている建築設備士としての知識・技能が、より鮮明に問われた試験となりました。 

 

設備計画の要点を記述する必須問題においては、昨年同様に新傾向の出題が多く出題されたため、条件(出題者の意図)を無視した解答では大きな減点となったものと考えられます。

 

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実際問題として、講習会テキストや大手予備校さんのテキスト(一級建築士は見たことあるが建築設備士は見たことないので、想像で語っています。)が令和2年以降の回答範囲を狭めた新試験形式に完全に対応することは困難だと思います。

 

対応させるとすれば、受験生が覚えるしかないといいたくないのですが、覚える箇所が無限に増えていくという結果です。正直、単なる暗記をすることができない自分は無理。理解して腹落ちしないと頭に残らないので。

 

となると、独学者側で工夫するしかないと思います。

 

ということで、自分は独学者の基本計画の対策として以下の方法を推奨します。

 

1 当該年度の講習会テキストの基本計画予想問題はすべて準備を行い、即座に書けるレベルまでする。暗記で押し切るのではなく、根拠まで含め理解し、自己の常識とするレベル(忘れない)までもっていくことが望ましい。

 

2 試験時に与えられた課題より、保有する知識、問題図面等より解答を導き出す。

→旧試験様式で見られたような、答えを用意してそれをひたすら試験時に吐き出すのではなく、保有する知識等を最大限活用して求められる解答をその場で作るということです。

 

大学・大学院の定期試験でよく問われる論文形式問題そのままです。学部生の場合は、勉強できる奴から怪しげなノートが回ってきて、試験までに覚えておけばよいということでしている方がほとんどでしょうが。笑

 

それはさておき、じゃあどうやってするのかというと、いくつかの論文テクニックがあるのでそれを使いこなしながらやっていくしかありません。

 

2-1他の関連するものから転用する

2-2与えられた問題から転用する

2-3他の資格で勉強したものから転用する

 

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2-1他の関連するものから転用する

 

他の関連するものから転用するに関してはここを

6020 建築設備士2次製図試験で自分の出題直前予想が2問ほどあたりました(過去問演習の勧め) | 私立文系で設備・建築系資格を目指す!!(建築設備士、一級建築士、技術士【衛生工学等】、電験三種受験への途) (ameblo.jp)

 

6020令和3年度建築設備士2次製図試験大手予備校総評&個人総評その1基本計画編 | 私立文系で設備・建築系資格を目指す!!(建築設備士、一級建築士、技術士【衛生工学等】、電験三種受験への途) (ameblo.jp)

 

問題文より、自分の保有する知識を活用してどうにか答えを導き出すしかありません。とにかく、何か使える知識はないかと自分の引き出しから探し出すしかありません。

 

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2-2与えられた問題から転用する

 

これは問題文から、出題者の意図を読み取り、きちんと問題を読み取っていますよと示す手法となります。

 

普及センターの問題用紙には、「[記入上の注意]「Ⅱ.計画条件( 1 頁)」に記載している事項については、解答として答案用紙に記入しても、評価の対象外となります。」と書いてあり、いわゆる「オウム返し手法」がダメとなっています。オウム返し手法とは、問題文や定義に示しているものをそのまま回答しているかのように答える方法です。

 

なかなか、オウム返しなのかきちんと問題文読み取りなのか、受験生からは確信を持ちにくいですし、高度な手法です。ところが、きちんとやれると、逆に出題側からするとわかっているこいつはとなる。

 

オウム返しの例としては、

令和3年度建築設備士試験製図

Ⅱ.計画条件

2 .建築設備

 

で、仮に「給水計画について述べよ」となっていた場合に、

 

→給水方式はポンプ直送方式とし、給水系統は飲料水系統と雨水利用による雑用水系統の 2 系統とする。 

 

→飲料水受水槽、飲料水給水ポンプユニット、雑用水給水ポンプユニット及び雨水処理装置は、地階の給水設備室に設ける。なお、 給水ポンプユニットは、飲料水用・雑用水用ともに、 3 台ローテーション・ 2 台並列運転方式とする

 

とか、問題文の条件をまんま書くとかです。

 

これで昔は点数もらえたのでしょうが、いまこれしたら絶対点数つきませんよ。小学2年生の国語レベルの解答ですよ。問題文から問われた箇所見つけるみたいな。

 

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正しい「与えられた問題から転用する」手法の参考としては、

 

令和3年度建築設備士試験 必須問題 建築設備基本計画

「第 8 問 10階に設ける非常用の照明装置における照明器具の計画の要点について、具体的に三つ記述せよ。」

 

問題を読んだとき、即座に10階と指定しているので、何か聞きたいものがあると自分は感じました。図面を見ると10階は浴室がありました。

 

 

なので、浴室をふまえて非常照明を答えよと出題者は考えていると思いました。

 

よって、

 

自分は、「10階は浴室、更衣室があることから非常照明は、場所に応じて防水、防湿に対応した非常照明を計画する。」

 

と答えました。

 

総合資格さんの無料採点サービスでも〇△×の3評価で〇となっていましたので、大丈夫だと思います。

 

問題を見たときに、なにか指定をしてるのであれば、出題者のその意図を読み取る努力を必ずしてください。それは逆にヒントとなるのです。これを書けば点数をあげるよと、言ってくれているのです。

 

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2-3他の資格で勉強したものから転用する

 

建築設備士試験の出題分野に関係する資格を保有していると非常に有利であるということです。

 

自分は、施設管理のキャリアのため消防設備士はマストです。このため、このブログを書いているR3年11月時点で、消防設備士甲1,4,5類と乙6,7類保有しています。1類の分野が消火栓およびスプリンクラー設備になるで、資格保有者ということになります。

 

令和3年度建築設備士試験 必須問題 建築設備基本計画

「第 6 問 スプリンクラー設備におけるスプリンクラーヘッドの計画の要点について、具体的に三つ記述せよ」

 

スプリンクラーヘッドという、これまたピンポイントの質問で正直なところ「マジか」と思いました。

 

消防設備士持って、施設管理メインの自分がキツいなーこれと思ったので、電気屋さんや空調屋さんは、はー?だとおもいます。消防設備は別で衛生屋もキツかったとおもいます。

 

講習会テキストでは、スプリンクラーの予想問題でどうにこヘッドに関しての解答例は二個示していました。

 

1湿式

2標準型で半径2.3mの円で警戒

 

でも、この二個しかありません。ヘッドの同時開放個数も講習会テキストありましたが、ヘッドの計画としているので、同時開放個数はヘッドの計画というよりは、スプリンクラー設備のシステム構成と考えられるので評価されない可能性がある、もしくは減点になる可能性があると自分は判断しました。

 

ここで、消防設備士甲1の知識を転用しました。

 

甲1では、はり、たれ壁等がある場合はスプリンクラーヘッドの設置位置の規制があります。これはよく消防設備士試験で出題される個所になり、普通に資格保有していると当然のこととして知っているはずです。

 

なので、自分は「はり、防煙たれ壁などの突起がある場合は消防法による規定を確認し、設置距離に留意する。」と書きました。

 

総合資格さんからは、散水障害を書き加えていないということで減点評価でした。たしかに、当たり前だろうという感じで散水障害前提で書いたので、指摘を受けてきちんと書くべきだとは思いました。

 

他の資格ではマスト知識が転用できた例となります。

 

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これらの論文テクニックというか、答えを導き出す手法を活用して、試験会場で答えを導き出してください。新試験形式で暗記するには不可能な範囲となりました。

 

大手予備校さんに行かれる方は、過去問分析や出題予想はしてもらえるのでそこまでやる必要はないかと思います。しかし、独学者の場合はある程度の出題予想を自ら行う必要があります。これは、各独学者がやるしかないんですよね。

 

令和3年度の建築設備士試験の自分の予想はここ

2各論(基本計画)
6020令和3年建築設備士試験独学製図対策その2-1ホテル過去問分析と予想(基本計画編1)
6020令和3年建築設備士試験独学製図対策その2-2ホテル過去問分析と予想(基本計画編2)

 

これを参考にしながら、やるよりほかないです。

 

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まとめ

 

〇基本計画の配点は高い。準備を怠るものは、製図がどんなにできても不合格となる。

 

〇令和2年度以降の新試験形式により、過去問や予想問題を単に暗記すれば合格する時代は終わった。コアとなる知識をきちんと準備し、試験の場で問われたことに適切な解答を考え出す能力が求められるようになった。

 

〇講習会テキストの予想問題は常識となるレベルまでにして、間髪入れずにすぐ出てくるレベルまでする。

 

〇そのうえで、基本計画における論文テクニックを駆使して解答を導き出す。

2-1他の関連するものから転用する

2-2与えられた問題から転用する

2-3他の資格で勉強したものから転用する