問題がないところに煙を立たせようとする報道の例
4月21日の毎日新聞東京朝刊に「日本政策投資銀:都心国有地860平方メートル、駆け込み?購入」〔須佐美玲子〕の記事。
記事は、政府系金融機関の日本政策投資銀行が、東京・大手町の本店に隣接する国有地約860平方メートルを購入すると報じる。国有地は一般競争入札での売却が原則だが、政府系機関は随意契約での払い下げが認められているため、20年10月の同行民営化を前にした「駆け込み購入では」との声も出ていると記事は伝える。政策投資銀は元年から毎年、国と賃借契約を結んでこの土地を借り受け、来客用駐車場として利用してきたが、「政府が国有地売却を進めている中、いつまで賃借できるか不透明になっているため、安定的に利用できるよう」(同行総務部)購入を決定し、すでに同行の19年度予算に取得関連費約100億円を計上しているとのこと。同行の本店周辺は現在、大規模な都市再開発が実施されており、第1次事業で日本経団連や日本経済新聞社のビルが移転し、第2次事業で同行は、その跡地に移る可能性が高く、「再開発時の移転先を決める交渉の際、保有地が大きいほど有利になるから買うのでは」(不動産業界関係者)との指摘もあるとか。財務省は「適切な価格での売却予定なので問題はない」としているとの由。
問題なさそうな話。むしろ、この程度の取材深度で活字にするのは、もったいない。再開発全体をめぐる動きを取材すれば、もっと面白い記事になりそうなんだが。
訪問介護大手3社が介護報酬を不正請求
日経ネットは4月11日に「コムスンなど報酬過大請求、訪問介護を全国監査へ・厚労省」を掲出。
記事は、東京都が介護報酬を不正に請求していた訪問介護大手3社に業務改善を勧告したことを受け、厚生労働省が10日、広域で事業を展開している指定訪問介護事業所が虚偽の指定申請をしていないか監査するよう都道府県に通知したと報じる。虚偽申請が発覚すれば指定取り消しの対象になるとのこと。厚労省が介護保険法に基づく監査の実施をすべての都道府県に求めるのは初めてとか。東京都は10日、グッドウィル・グループ子会社「コムスン」(東京・港)と「ニチイ学館」(東京・千代田)、「ジャパンケアサービス」(東京・豊島)の訪問介護3社の事業所に業務改善を勧告したと発表しており、これによると、コムスンは都内3事業所が常勤の管理者がいるよう虚偽の指定申請をして介護報酬を過大請求しており、ニチイとジャパンケアサービスは人員基準を満たしていない事業所があったとのこと。都はコムスンに約4300万円の返還を請求しており、ニチイ学館はすでに介護報酬4100万円を返還したとの由。
都市機構の八王子マンション欠陥問題は未解決
読売は4月7日に「八王子の都市機構マンション、欠陥10棟改修手付かず」〔地方部 畑武尊〕を掲出。
記事は、都市再生機構(旧・都市基盤整備公団)が東京都八王子市で分譲したマンション群で、大規模な手抜き工事が最初に見つかってから今年で10年になるが、全46棟のうち、20棟は全面的な建て替えとなり、16棟は補修工事が終わっているものの、残る10棟248戸は機構側と住民側との交渉が平行線をたどり、改修方法も決まっておらず、機構は既に300億円以上を補償につぎ込んでいるが、全面解決への道筋は見えないと報じる。5棟では約10年前から雨漏りやひび割れが発生しており、機構は16年、「セメントの接合などに不具合があった」との調査結果を示した上で、補修を行うことで住民側と協定書を交わしたが、その後、建て替えが決まったマンションで鉄筋不足などの深刻な欠陥が判明し、住民は態度を硬化させて、協定の白紙撤回や壁を壊して鉄筋数などを確認する抜本調査を求めたとのこと。7回目の会合で、機構は「協定書で合意した以上の調査はできない」と従来の主張を展開し、3時間半の押し問答の末、物別れに終わったとか。住民の一人は「調査に応じないのは、新たな欠陥が明るみに出て、建て直しを余儀なくされるのを恐れているためではないか」と不信感を募らせていると記事は伝える。一方、残りの5棟でも、住民側の反発は強く、このうち2棟は機構が構造計算書を紛失した上、作り直した計算書にも誤りがあることが判明し、機構は昨年、ようやく当初設計に問題があることを認めたが、住民側は協議の場につくことを拒んだままとか。マンション群の当初の建設費は約200億円だが、機構は17年度末までに、建て直しや補修費などに265億円、住民の仮移転など引っ越し費用約40億円、現地事務所の維持費31億円と、計335億円を投じているとのこと。このほか、住民との交渉や建て替え工事の監督のため職員約50人を常駐させており、人件費もかさみ、また、機構管理の賃貸住宅などに仮移転中の住民は約330世帯に上り、機構はその分の家賃収入も失っているとか。交渉が長引くほど財務負担は膨らむばかりとのこと。国土交通省住宅局の幹部は「解決が長引き、協議のテーブルにもついていない住民がいるのは機構側の責任だ。住民に改めて謝罪して協議の土壌をつくるべきだ」と話しているとか。同機構は「解決に向けて努力しているが、交渉の内容については言えない」としているとのこと。
NHKバッシングが一段落
毎日は4月5日に「NHK:受信料3年ぶり増収 支払い拒否・保留の減少で」を掲出。
記事は、NHKの橋本元一会長が5日の定例記者会見で、18年度決算について「受信料収入は予算(5940億円)より120億円程度上方修正できる」との見通しを示したと報じる。これにより17年度決算の受信料収入6024億円を上回り、決算ベースで3年ぶりの増収が見込めるとか。受信料支払い拒否・保留件数が一昨年11月末の128万件をピークに減少し続け、3月末現在で86万7000件となったためとのこと。
「国民食料会議(仮称)」の設置
記事は、政府の「食料・農業・農村政策推進本部」(本部長・安倍首相)が4日、地球温暖化など世界の食料情勢の変化を踏まえた長期的な農業政策を検討する「国民食料会議(仮称)」の設置などを柱とする「21世紀新農政2007」を決定したと報じる。同会議は、有識者などで構成するもので、政府は27年度までに食料自給率を45%に引き上げる目標を定めているが、これとは別にさらに長期的な自給率目標の設定などを検討し、紛争による輸送途絶に備えた食料備蓄体制の整備なども検討課題とか。また、農業の貿易自由化の進展に備え、27年に一定規模の農家が経営する農地面積(315~360万ヘクタール)の7割程度を面的に集約する方針も盛り込んでおり、農産物の安全管理体制を強化するため、11年までに全国2000か所の主要産地で、肥料や農薬を基準通りに使う農業生産工程管理手法(GAP)を導入する方針なども打ち出したとのこと。
郵政公社の監査人は引き続きあずさ
読売が4月2日に掲出した「日本郵政公社の会計監査、2年連続で「あずさ」に」は、総務省が2日、日本郵政公社の19年度の財務諸表と事業報告書を監査する会計監査人に、あずさ監査法人を選任したと報じる。郵政公社の会計監査人は、総務相が毎年、選任しており、あずさ監査法人は18年度に続いて2年連続とか。10月1日に民営化されるため、今回は9月末までの半期決算だけを監査するとのこと。
公的資金に含み益
読売は3月30日に「公的資金の国保有株、一部売却を要請…りそなHD」を掲出し、りそなホールディングスが30日、国から注入されている公的資金2兆3725億円(簿価ベース)のうち、普通株式2937億円分の一部を市場で売却するよう、国に要請したと発表したと伝える。15年にりそなが実質国有化された際、国が取得した普通株式で、りそなの発行済み株式の約49・5%にあたるとか。国が普通株の形で金融機関に注入した公的資金を市場で売却するのは初めてと記事は伝える。普通株の形で注入されている公的資金の時価総額は約1兆7904億円で、簿価の約6倍になっており、現在の株価水準で全株売却できたと仮定すると、国は1兆4967億円の含み益を得ることになるとか。大量の株式を短期間で市場に放出すれば、株価への悪影響が予想されることから、国は、売却する規模や時期な どを今後調整するとのこと。一方、三井トラスト・ホールディングスは30日、国から優先株の形で注入を受けている公的資金4003億円分のうち、370億円分を返済すると発表したとか。国が優先株を普通株に転換したうえで市場売却するとのこと。
政管健保19年度から赤字に
朝日は3月31日に「政管健保07年度から赤字に 保険料率引き上げの可能性」を掲出。
記事は、社会保険庁が、中小企業の従業員らが加入する政府管掌健康保険(政管健保、約1916万人)の今後5年間の収支見通しを発表し、これによると、高齢化にともない給付費が増えるのに対し、保険料収入は伸び悩み、19年度は5年ぶりに赤字へ転落し、赤字を補填する積立金も早ければ21年度に底を突くとしているとのこと。15年度から8.2%(労使折半)に据え置いている保険料率を20年度にも引き上げる可能性があると記事は伝える。見通しでは、給付費などの支出は19年度の7兆2600億円から、11年度は7兆8600億円に増加し、一方、収入については、政府の経済見通しに基づき、成長シナリオと成長制約シナリオなどのケースを試算していて、成長シナリオでも、19年度の収入が7兆800億円にとどまる結果、1800億円の赤字となり、23年度には赤字は2300億円に拡大するとか。制約シナリオでは23年度の赤字は4400億円になる見通しで、基金は21年度に枯渇するとのこと。社保庁廃止・解体に伴い、政管健保の運営は08年10月に公法人の「全国健康保険協会」に移行するが、厚労省は公法人の準備金の確保も必要だとして、保険料率の引き上げを検討する方針とか。
17年度の省庁別財務書類が発表になった
日経は3月30日に「7府省で財務内容悪化・05年度の省庁別財務諸表」を掲出し、財務省が30日、17年度の省庁別財務諸表を公表したと報じる。農林水産省を除く全省庁で、負債の合計が資産を上回る「債務超過」となっていて、経済産業省と国土交通省を除く7府省は、前の年度に比べて財務内容が悪化しており、国債発行に依然頼っている厳しい財政運営の実態が改めて鮮明になったと記事は評する。省庁別財務諸表は、国債残高を各省庁の一般会計の資産と歳出額の規模に応じて割り振り、資産と負債のバランスを点検できるようにしたのが特徴で、農水省は国有林野を特別会計で保有して いるため国債の配分が少なく、結果的に「資産超過」となったとか。債務超過額が最も大きかったのは、約140兆円の総務省で、国債残高の割り振りが多いことに加え、地方の財源不足を補うための借入金の影響が大きかったとか。公的年金の預かり金という負債を抱える厚生労働省が約85兆円で続いているとのこと。
厚労省の科研費補助金詐欺の背景
産経は3月30日に「厚労省の科研費補助金詐欺 背景に「裏金体質」」を掲出。
記事は、厚生労働省の科学研究費補助金(科研費)をだまし取ったとして、前埼玉県保健医療部長に出向していた同省医系技官(49)らが逮捕された詐欺事件について、不正受給する研究者が相次ぐなか、本来、適正使用を指導する立場にもかかわらず、その金を自らの懐に入れていたが、事件の背景として、国の補助金をめぐる制度上の問題点や、補助金の裏金化が横行してきた厚労省の体質を指摘する声もあると伝える。科学研究費補助金は研究テーマを公募し、申請のあった研究者の中から専門家が支出先を選ぶ仕組みで、国の「競争的研究資金」と呼ばれるものの一つだが、厚労省の科研費はここ数年、総額420億~430億円で推移し、研究テーマ数は年1400件前後に上っているとか。優秀でやる気のある研究者に多くの補助金を交付できるメリットがあり、総額は年々増加傾向にあるが、使途については領収書の提出が義務づけられていないなど、不正受給が起きやすい状況にもあったとか。平成15年度以降、同省分の不正受給は8件、総額4000万円分に上るが、いずれも内部告発や会計検査院の調査で発覚したもので、「氷山の一角」とみられているとのこと。研究者からは「補助金が次年度に繰り越せない」「用途が限定されていて使いにくい」などの不満もあり、他省庁の補助金を含めて内閣府が見直しを進めているが、今月19日には中大教授による文科省の科研費約424万円の不正受給が発覚するなど、不正は後を絶たないと記事は伝える。事件の背景に「裏金づくり」が横行してきた厚労省内の体質が背景にあった、と見る関係者もおり、同省では16年にも、多数の職員が補助金でつくられた出版物などの監修名目で多額の謝礼を受け取っていたことが明るみに出ていて、同省関係者によると、外部への補助金が回りまわって職員の懐に戻る“環流システム”は、カラ出張と並ぶ裏金づくりの代表的手法とか。環流システムに必要となるのが、役人の意のままになる業者の存在で、今回の事件では、北朝鮮支援のNGO「レインボーブリッヂ」代表代行(54)が経営する出版・医薬品販売会社「マルクインターナショナル」が、架空伝票などの作成に協力していたとのこと。逮捕された容疑者を知る同省OBは「省内で裏金づくりが横行する中、罪悪感は薄かったと思う。部下や同僚との飲み会に使った分も多かったのではないか」と話しているとか。