【作品#0814】インクレディブル・ハルク(2008) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

インクレディブル・ハルク(原題:The Incredible Hulk)

【概要】

2008年のアメリカ/カナダ合作映画
上映時間は112分

【あらすじ】

兵士強化のために自らの肉体を実験台にして失敗したブルース・バナーは研究所を追われブラジルに潜伏していた。ある日、ブルースが働く工場で彼の血液が混入したジュースがアメリカに出荷され、それを飲んだ人物がブルースの失敗した実験の影響を受けたことでロス将軍はがブラジルに特殊部隊を送り込む。

【スタッフ】

監督はルイ・レテリエ
音楽はクレイグ・アームストロング
撮影はピーター・メンジース・ジュニア

【キャスト】

エドワード・ノートン(ブルース・バナー/ハルク)
リヴ・タイラー(ベティ)
ティム・ロス(エミール・ブロンスキー)
ウィリアム・ハート(ロス)
ティム・ブレイク・ネルソン(サミュエル・スターンズ)
ロバート・ダウニー・Jr(トニー・スターク/アイアンマン)※ノンクレジット

【感想】

事故を起こして恋人のベティをケガさせたブルース・バナーが追放されるまでの断片的な映像を冒頭のクレジットの合間に見せてしまうという荒業。本来ならこのシークエンスはそれなりの尺を取って描かれるべきだが本作ではがっつり割愛しているのだ。これはアン・リー版の「ハルク(2003)」を鑑賞した後だとかなり驚かされる部分である。割愛して後から想像させるのもなしではないが、非常に重要なシークエンスなのでそれなりに描くべきだったんじゃないだろうか。

ブルースはブラジルで静かに暮らしていたはずなのに、ミスから追われる身となってしまう。というか、ことの発端はブルースが勤務する工場で手を切ってしまった際の血液がその下を流れるベルトコンベアーの瓶の中に入ってしまったことであるが、まだ蓋のされていない瓶が回るベルトコンベアーの上に人が立つことがあって良いのだろうか。決して衛生状態の良さそうには見えない工場なのでそれまでかもしれないが、もう少し違和感のない設定が考えられなかったものか。

エミールは「あいつみたいに強くなりたい」と願って自らマウスになることを名乗り出るのだが、そもそもの戦闘能力が高すぎないか。ハルク相手にやられてしまうが、それまでの立ち振舞は超人的である。そんなエミールも「ハルクみたいに強くなりたい」とまるで子供のような純粋な心で自らの体を実験台にしてしまう。エミールという人間のパーソナルな部分まで描いていないからこそできる荒業だと思うが、彼の心情を表す何かが足りないように思う。ただ、ハルクのキャスティング同様に意外性のあるティム・ロスという役者のお陰でなんとか受け入れられるようにはなっている。

ただ、ハルク対超人エミールというクライマックスになるとCG技術発展の品評会のごとく何でもありになってしまうのは残念だしはっきり言って退屈である。この戦いにあまり理屈はなく、まだ前作「アイアンマン(2008)」の方がよっぽどマシだったと重るほどである。

そして、芸達者なエドワード・ノートンの相手役としてリヴ・タイラーが相応しかったとは思えない。表情に乏しいリヴ・タイラーに主人公や物事に対して理解の良すぎるこの役は難しかったんじゃないだろうか。エドワード・ノートンやティム・ロスらに挟まれて明らかに浮いていた。

結局、エドワード・ノートンは本作限りでブルース・バナー役はマーク・ラファロが引き継いでいる。ただ、マーク・ラファロ演じるハルクの単体作品は作られていない。そもそも単体作品として作るのが難しい題材だったのかもしれない。

【関連作品】


ハルク(2003)
「インクレディブル・ハルク(2008)」

 

アイアンマン(2008)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 1作目(通算1作目)
「インクレディブル・ハルク(2008)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 2作目(通算2作目)
アイアンマン2(2010)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 3作目(通算3作目)
マイティ・ソー(2011)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 4作目(通算4作目)
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 5作目(通算5作目)
アベンジャーズ(2012)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 6作目(通算6作目)
アイアンマン3(2013)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 1作目(通算7作目)
マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2013)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 2作目(通算8作目)
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 3作目(通算9作目)
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 4作目(通算10作目)
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェース2 5作目(通算11作目)
アントマン(2015)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 6作目(通算12作目)
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 1作目(通算13作目)
ドクター・ストレンジ(2016)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 2作目(通算14作目)
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 3作目(通算15作目)
「スパイダーマン:ホームカミング(2017)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 4作目(通算16作目)
「マイティ・ソー バトルロイヤル(2017)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 5作目(通算17作目)
「ブラックパンサー(2018)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 6作目(通算18作目)
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 7作目(通算19作目)
「アントマン&ワスプ(2018)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 8作目(通算20作目)
「キャプテン・マーベル(2019)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 9作目(通算21作目)
「アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 10作目(通算22作目)
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 11作目(通算23作目)
「ブラック・ウィドウ(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 1作目(通算24作目)
「シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 2作目(通算25作目)
「エターナルズ(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 3作目(通算26作目)
「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 4作目(通算27作目)
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 5作目(通算28作目)
「ソー:ラブ&サンダー(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 6作目(通算29作目)
「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 7作目(通算30作目)
「アントマン&ワスプ:クアントマニア(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ5 1作目(通算31作目)
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ5 2作目(通算32作目)
「マーベルズ(2023)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ5 3作目(通算33作目)」



取り上げた作品の一覧はこちら



【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語/ポルトガル語/スペイン語)


<Amazon Prime Video>

言語
├日本語吹き替え


【ソフト関連】

<BD>

言語
├オリジナル(英語/ポルトガル語/スペイン語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ルイ・レテリエ(監督)、ティム・ロス(出演)による音声解説
映像特典
├もうひとつのオープニング
├未公開シーン集
├メイキング・オブ・ハルク
├ハルク誕生まで
├アボミネーション誕生まで
├視覚効果の分析:ハルク現る
├コミックからスクリーンへ
├予告編集


<4K Ultra HD+BD>

収録内容
├上記BDと同様