【作品#0835】アイアンマン3(2013) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

アイアンマン3(原題:Iron Man3)

【概要】

2013年のアメリカ映画
上映時間は130分

【あらすじ】

前作「アベンジャーズ(2012)」から7か月後。トニー・スタークはかつてスイスのパーティで会ったことのあるキリアンから攻撃を受けてしまう。

【スタッフ】

監督はシェーン・ブラック
音楽はブライアン・タイラー
撮影はジョン・トール

【キャスト】

ロバート・ダウニー・Jr(トニー・スターク/アイアンマン)
グウィネス・パルトロウ(ペッパー)
ガイ・ピアース(アルドリッチ・キリアン)
ドン・チードル(ローディ/アイアン・パトリオット)
レベッカ・ホール(マヤ)
ベン・キングズレー(マンダリン)
タイ・シンプキンス(ハーレー)
ウィリアム・サドラー(マシュー・エリス)
マーク・ラファロ(ブルース・バナー)※ノンクレジット

【感想】

2億ドルの製作費が投じられ、全世界で12億ドル、日本でもシリーズ最大の25億円のヒットを記録した。

ヒーローものの続編となれば、前作よりも強い敵が出てきたり、ヒーローが調子に乗って失墜したりして最初の戦いに敗れてしまい、その後立ち上がって勝利するというのが定石だろう。その点では前作「アイアンマン2(2010)」も続編らしい物語ではあったし、本作も同様のことが言えるのだが、本作は前作よりも遥かに良い。

シリーズ開始前の話を創作して、「実はこんな奴がいました」みたいなのは正直言ってあまり好きではないが、シリーズを続けていくうえで仕方のない事なのだろう。そんな男を見くびったことでトニー・スタークの自宅は木っ端微塵に破壊されてしまう。

自宅から逃げて遥か遠い場所で墜落したトニー・スタークは、人形に被せてあったポンチョを着てアイアンマンのスーツを引きずりその街を彷徨うことになる。ポンチョと言えば、マカロニウエスタンでクリント・イーストウッドがしていた格好だし、アイアンマンのスーツを引きずる姿は同じくマカロニウエスタンの傑作「続・荒野の用心棒(1966)」でフランコ・ネロが棺を引きずる姿と重なる。そして後に出会う少年が流れ者の主人公に憧れる様子は「シェーン(1953)」辺りが思い出される。

敵には死んだと思われていたが何とか脱出したトニー・スタークはある少年に助けてもらうことになる。プレイボーイだった主人公がシリーズで初めて相手にすることになる少年という存在。ヒーローものなのに、トニー・スタークが成金の主人公だと少年との噛み合わせもあまりよくないと思われていたのか前2作品では彼に憧れる少年は登場してこなかった。そして本作でようやくトニー・スターク(アイアンマン)というヒーローと少年が力を合わせる物語になっている。ただ、ここでトニー・スタークは子供と出会ったことで良い人になってしまうというような安直な展開にしていないのが良い。あくまで相手が子供だろうが大人だろうが今まで通り接しているし、子供にとってはキツイ一言だって平気で言っている。

また、ヒーローものでありながら人を助けるという描写に乏しかったこのマーベル・シネマティック・ユニバースの作品群だが、中盤にアイアンマンは飛行機から投げ出された人たちを何とか助けるシーンがある。これは同じヒーローものという括りで言うなら「スーパーマン リターンズ(2006)」の中盤で墜落する旅客機をスーパーマンが助けるところを思い出す。やはりヒーローは人命救助をしなければならない。これができるなら、前作「アベンジャーズ(2012)」で大暴れして破壊した街で被災した人を助ける描写は入れるべきだったと思うわ。

終盤の展開はまさに「ターミネーター(1984)」を思わせる。一度は火の海に飲まれて死んだと思った敵が蘇ってくる様子や、か弱いヒロインが戦う展開がまさにそうである(といってもアイアンマンのスーツを着た超人だが)。ただ、こういう過去の映画へのオマージュっぽい要素はどれもが映画の展開とそこまでリンクしている訳でもない。

約束をすっぽかしたことでキリアンに恨まれてとんでもないダメージを受けたわけだが、出会った少年との約束を忘れなかったのはトニー・スタークにとって僅かな成長というところだろう(これも忘れてしまったらこの少年から恨まれることになる)。

ただ、本作に弱点がないわけでもない。前作「アベンジャーズ(2012)」の戦い以降、トニー・スタークはパニック障害を起こしているが、どこかこのキャラクターらしくない。それに至る経緯はもう少し納得感のあるものがほしい。あと、パニック障害を克服する流れも映画としてはやや弱い。

また、単体作品としてはなかなか良いと思ったが、「アベンジャーズ(2012)」を作った後に単体作品に戻ると、なぜアベンジャーズの仲間たちは助けに来てくれないのかという話になる。本作も案の定そうなっている。こうなった以上しょうがないのだろうが、本シリーズが抱える最大の弱点とも言える。

とはいえ、ヒーローものとしても続編としても良い線まで行ったとは思う。このクオリティが出せるなら単体作品でもう1作品くらいいけた気もする。

【関連作品】


アイアンマン(2008)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 1作目(通算1作目)
インクレディブル・ハルク(2008)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 2作目(通算2作目)
アイアンマン2(2010)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 3作目(通算3作目)
マイティ・ソー(2011)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 4作目(通算4作目)
キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(2011)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 5作目(通算5作目)
アベンジャーズ(2012)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ1 6作目(通算6作目)
「アイアンマン3(2013)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 1作目(通算7作目)
マイティ・ソー/ダーク・ワールド(2013)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 2作目(通算8作目)
キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー(2014)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 3作目(通算9作目)
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 4作目(通算10作目)
アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェース2 5作目(通算11作目)
アントマン(2015)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ2 6作目(通算12作目)
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 1作目(通算13作目)
ドクター・ストレンジ(2016)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 2作目(通算14作目)
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス(2017)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 3作目(通算15作目)
「スパイダーマン:ホームカミング(2017)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 4作目(通算16作目)
「マイティ・ソー バトルロイヤル(2017)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 5作目(通算17作目)
「ブラックパンサー(2018)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 6作目(通算18作目)
「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 7作目(通算19作目)
「アントマン&ワスプ(2018)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 8作目(通算20作目)
「キャプテン・マーベル(2019)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 9作目(通算21作目)
「アベンジャーズ/エンドゲーム(2019)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 10作目(通算22作目)
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ3 11作目(通算23作目)
「ブラック・ウィドウ(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 1作目(通算24作目)
「シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 2作目(通算25作目)
「エターナルズ(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 3作目(通算26作目)
「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 4作目(通算27作目)
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 5作目(通算28作目)
「ソー:ラブ&サンダー(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 6作目(通算29作目)
「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ4 7作目(通算30作目)
「アントマン&ワスプ:クアントマニア(2022)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ5 1作目(通算31作目)
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ5 2作目(通算32作目)
「マーベルズ(2023)」…マーベル・シネマティック・ユニバース フェーズ5 3作目(通算33作目)」



取り上げた作品の一覧はこちら



【予告編】

 


【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語)


<Amazon Prime Video>

言語
├日本語吹き替え

 

【ソフト関連】

<BD+DVD>

言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├-シェーン・ブラック(監督/脚本)、ドリュー・ピアース(脚本)による音声解説
映像特典
├マーベル・ワンショット:エージェント・カーター
├製作の舞台裏

├NGシーン集


<4K Ultra HD+BD>

収録内容
├上記BD+DVDと同様