【作品#0539】デッドプール2(2018) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

デッドプール2(原題:Deadpool 2)


【Podcast】


Apple Podcastsはこちら
Google Podcastsはこちら
Spotifyはこちら
Anchorはこちら
Stand FMはこちら

【概要】

2018年のアメリカ映画
上映時間は120分
※スーパードゥーパー$@%!#&カットは135分

【あらすじ】

ウェイドはヴァネッサと同棲していたが、麻薬カルテルの襲撃でヴァネッサは死んでしまう。落ち込むウェイドは自殺しようとするが失敗し、X-MENのメンバーコロッサスに保護され、見習いとしてX-MENのメンバー入りを果たすが…。

【スタッフ】

監督はデヴィッド・リーチ
音楽はタイラー・ベイツ
撮影はジョナサン・セラ

【キャスト】

ライアン・レイノルズ(ウェイド・ウィルソン/デッドプール/本人/ジャガーノートの声)
ジョシュ・ブローリン(ケーブル)
モリーナ・バッカリン(ヴァネッサ)
ジュリアン・デニソン(ラッセル・コリンズ/ファイヤーフィスト)
ザジー・ビーツ(ドミノ)
ブラッド・ピット(ヴァニッシュ)
マット・デイモン(ケーブルに車を奪われる男)

【感想】

予想外の大ヒットを記録した「デッドプール(2016)」を受け、前作の約2倍の予算をつぎ込まれた本作は前作を若干上回る7.8億ドルの大ヒットを記録した。当初は前作のティム・ミラーが監督を務める予定だったが、ビッグバジェットの映画としては作りたくないと考えて降板し、デヴィッド・リーチが監督を務めることになった。

予算が前作の倍近くになり、また近年のアクション映画では最先端を走るデヴィッド・リーチが監督したこともあり、アクションシーンの迫力は間違いなく前作を大幅に上回るものに仕上がっている。また、ギャグも前作を凌ぐ量になっており、とにかくアクションとギャグを詰め込んだ本作こそ「デッドプール」らしさであり、非常にバランスの取れた前作に比べ、進化した続編と言える。

本作はデッドプールがタバコを吸う場面から始まる。アメリカではR15指定映画として公開されながら大ヒットを記録した前作「デッドプール(2016)」。タバコを吸うシーンはあらゆる映画から排除されてきたが、それで始めるというところがデッドプールらしい。また、「X-MEN」シリーズとしては前作に当たる「LOGAN ローガン(2017)」ネタで本作は始まり、そのローガン(ウルヴァリン)がタバコを吸っていたと言うところともかけているのだろう。

前作では幸せを掴んだ瞬間に末期がんを宣告されるという悲劇に見舞われたが、本作では愛するヴァネッサの死という悲劇にウェイドは見舞われる。ついには死んでヴァネッサと同じ場所へ行こうとするが、デッドプールである彼は死ぬことができない体であるために、たとえどれだけの爆発に巻き込まれても死ぬことはできない。

だからこそ、性的虐待を受けた少年が復讐に走る前に文字通り体を張って阻止したからこそ、少年をダークサイドに落とさずに済み、またケーブルの家族も助かり、ケーブルを少年への復讐者に仕立て上げることさえも救って見せるところが際立って来る。ヒーローものとしての重要な要素である自己犠牲。死ぬことができないキャラクター故に、苦悩するところはウルヴァリン(ローガン)とも重なる。死んでしまってあの世でヴァネッサに会いたいし、アンチヒーローでもあるデッドプールがミュータントの能力を封じる首輪をして犠牲になろうとするところも良い。刑務所内ではミュータントの能力を封じる首輪をしていたせいで、ウェイドは末期がんの状態となり、少年ラッセルを救えるほどの能力も気持ちも持ち合わせていなかった。そのせいでラッセルを救えなかったウェイドがまた首輪をして、あの時素の状態だった自分には助けられなかったが、今こそ素の自分で戦おうとするところが感動的である。

死にかけたウェイドは、自分の部屋で死んでしまったヴァネッサと再会を果たす。そこで流れるのはa-haの「Take On Me」のバラードバージョンが流れる。1984年に発売された楽曲の別バージョンである。また、この「Take On Me」はミュージックビデオが非常に有名で、実写とスケッチによる合成である。このミュージックビデオは漫画の世界の男が実世界の女性に恋をして、漫画の世界に引き込もうとするが、恋が実らずに終わるというもので、この物語の続きは「The Sun Always Shines On TV」という楽曲のミュージックビデオの冒頭で完結する。このウェイドとヴァネッサがもう会えない関係であることも意味しているし、またこの「Take On Me」という言葉こそ「受け入れる」という意味であり、娼婦であるヴァネッサと実験によって容姿を変えられたウェイドが互いを何の偏見も差別もなく受け入れているところとも重なる。

結局、このR指定の映画がなぜここまで受けたのか。年々、映画における表現については制限されたり、R指定(17歳未満は保護者の同伴が必要)を受けたりすることがある。アメリカでのレイティングはアメリカ・モーション・ピクチャー・アソシエーション(略称はMPAA)が行っている。例えば、「F*CK」という言葉は2回以上使用したらR指定になるし、暴力やヌード、ドラッグの使用などをすればR指定になる可能性もある。R指定になれば中高生は保護者の同伴が必要になり、友達同士だけで鑑賞することができなくなるわけで、そういった層を映画館から遠ざけてしまうかもしれない。それでも世界中で大ヒットを記録した。おそらく、そういった規制に窮屈さを感じていた人がその表現の広がりに共感できたのではないか。

続編としてはアクションもギャグも満載となり、文字通りパワーアップした。さらに、ヒーローものとして大事な自己犠牲によって多くの人を受け入れて救うことになる結末には感動できる。良い意味でバランスの取れた前作に比べ、このめちゃくちゃ加減こそデッドプールらしく、続編の方向性としても正しかったことを証明した。

【スーパードゥーパー$@%!#&カット】

劇場公開版より約15分長いエクステンデッド版。単に15分追加したのではなく、一部シーンでは会話シーンのターンが減らされたり、楽曲が変更されたりしている。特に前半から中盤にかけて追加された場面が多く、ラッセルが施設に入ってから虐待を受けるまでも描かれている。また、劇場公開版のラストでウェイドがヴァネッサに会う場面で流れる楽曲はa-haの「Take On Me(MTV Unplugged)」だが、エクステンデッド版では変更されている(楽曲名は調べきれず)。

【音声解説】

参加者

├デヴィッド・リーチ(監督)

├ライアン・レイノルズ(デッドプール役)

├レット・リース(製作)

├ポール・ワーニック(製作)


上記4名による対話形式の音声解説。当日が「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)」の公開日と言っているので、2018年4月25日に収録されたものと思われる。前作よりも予算アップしたが、それでも予算が限られる中で、デッドプールとケーブルのアクションシーンはスタジオに内緒で撮ったらしい。ちなみに、「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018)」に比べれば本作の製作費は1/3程度である。

また、本作のギャグがどのような経緯で思いついたのか、マスクを被っている状態のデッドプールのセリフは後から変更可能なので完成間近まで脚本を練っているという話、キャスティングや使用した楽曲、撮影時の裏話、どのように撮影したのかなど楽しそうに語ってくれる。

 

【関連作品】

X-メン(2000)」…シリーズ1作目
X-MEN2(2003)」…シリーズ2作目
X-MEN:ファイナル ディシジョン(2006)」…シリーズ3作目
ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009)」…「ウルヴァリン」3部作の1作目
X-MEN:ファースト・ジェレネーション(2011)」…シリーズ4作目
ウルヴァリン:SAMURAI(2013)」…「ウルヴァリン」3部作の2作目
X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」…シリーズ5作目
デッドプール(2016)」…「デッドプール」シリーズ1作目
X-MEN:アポカリプス(2016)」…シリーズ6作目
LOGAN/ローガン(2017)」…「ウルヴァリン」3部作の3作目
「デッドプール2(2018)」…「デッドプール」シリーズ2作目
X-MEN:ダーク・フェニックス(2019)」…シリーズ7作目
ニュー・ミュータント(2020)」…スピンオフ



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【予告編】

 

 

【ソフト関連】

 

本作には劇場公開版とスーパードゥーパー$@%!#&カットというエクステンデッド版の2種類があり、両方のバージョンを見たい場合は3枚組(BD2枚+1枚)は4枚組(4K ULTRA HD2枚+BD2枚)のどちらかを購入しなければならない。

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語/広東語/スペイン語/ロシア語)

├日本語吹き替え

音声特典

├デヴィッド・リーチ(監督)、ライアン・レイノルズ(デッドプール役)、レット・リース(製作)。ポール・ワーニック(製作)による音声解説

映像特典

├未公開シーン集

├NGシーン集

├家族の大切さ:登場人物たち

├デヴィッド・リーチ(リンチではない):『デッドプール2』の監督

├デッドプールの極秘情報:秘密と隠しネタ

├抱腹絶倒:アドリブ炸裂の撮影現場

├パンチでブチかませ

├アイスボックスのすべて

├Xフォース 最重要人物

├チェスするオメガレッド

├ムキムキセクシーなヒーローたち

├ケーブルの3分トーク

├『デッドプール2』のお楽しみ映像集

├予告編

├ミュージック・ビデオ ♪“ASHES" by セリーヌ・ディオン

├セリーヌ・ディオンと俺ちゃんコラボMVメイキング映像

├EUに参加していない国

├マンUジャック映像

├俺ちゃん苦節10年を振り返る特別動画

├ミュージック・ビデオ ♪“WELCOME TO THE PARTY" by DIPLO FRENCH MONTANA & LIL PUMP FT. ZHAVIA

├『デッドプール2』サンクス・トゥ・ユー

 

<BD2枚+DVD(計3枚組))>

 

本編

├劇場公開版(BD1枚目/DVD)

├スーパードゥーパー$@%!#&カット(BD2枚目)

言語

├オリジナル(英語/広東語/スペイン語/ロシア語)

├日本語吹き替え

音声/映像特典

├上記BDと同様(BD1枚目にのみ収録)

 

<4K ULTRA HD2枚+BD2枚(4枚組)>

 

本編

├劇場公開版(BD1枚目/DVD)

├スーパードゥーパー$@%!#&カット(BD2枚目)

言語

├オリジナル(英語/広東語/スペイン語/ロシア語)

├日本語吹き替え

音声/映像特典

├収録内容は上記BDと同様