【作品#0521】デッドプール(2016) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

デッドプール(原題:Deadpool)

【Podcast】

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【概要】

2016年のアメリカ映画
上映時間は108分

【あらすじ】

かつては特殊部隊で活躍したウェイド・ウィルソンは、ヴァネッサと結婚を決意した矢先に末期がんを宣告される。ある男に紹介された治療に望みを託すと、無敵の戦闘マシンに改造される実験であった。

【スタッフ】

監督はティム・ミラー
音楽はトム・ホルケンボルフ
撮影はケン・セング

【キャスト】

ライアン・レイノルズ(デッドプール)
モリーナ・バッカリン(ヴァネッサ)
エド・スクライン(エイジャックス/フランシス)
T・J・ミラー(ヴィーゼル)
ジーナ・カラーノ(エンジェル・ダスト)

【感想】

このデッドプールというキャラクターを主人公にした映画は2000年頃から製作が検討され、2004年にはデヴィッド・S・ゴイヤー監督、ライアン・レイノルズ主演で映画化も検討された。ところが、監督が別のプロジェクトの参加を決めたことで本作の映画化は保留状態が続いた。そして、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009)」の中にデッドプールが登場し、ライアン・レイノルズが演じ、初週末の売り上げが好調だったことでデッドプールを主演にしたスピンオフの製作が決定した。ロバート・ロドリゲス監督などが検討されたが、視覚効果を中心に手掛けてきたT・J・ミラーが長編映画としては初の監督を務めることになった。また、当初は期待されていなかったからか、同年公開のシリーズ「X-MEN:アポカリプス(2016)」が約1.8億ドルの予算だったのに対し、本作はその約1/3程度の5,800万ドルの予算で製作された。ただ、売り上げはその「X-MEN:アポカリプス(2016)」を2億ドル以上も上回る7億8千万ドルを記録した。また、ゴールデン・グローブのコメディ/ミュージカル部門で作品賞と主演男優賞にもノミネートされた。

上述のようにライアン・レイノルズが若手の頃から本作の主演作品は検討されていた。また、若手俳優の中でも有望株であったライアン・レイノルズだが、決してヒット作に恵まれた若手時代ではなかった。同じマーベルコミック原作の「ブレイド」シリーズ3作目「ブレイド3(2004)」にも出演したが、作品自体も酷評されており、彼の出演作品で酷評されたり、興行的に失敗したりした作品はたくさんある。そんな彼の映画人生をなぞるように、主人公のウェイド・ウィルソンは悲惨な目に遭う。愛する人との結婚が決まった矢先に末期がんを宣告されるという設定は、最初に本作の主演が決まりながら映画化が実現しなかったライアン・レイノルズの映画人生とも重なるところがある。

ところが、ウェイド・ウィルソンはそんな悲惨な出来事があったとしても、持ち前のユーモアで前向きに進んでいく。本作でコメディとなっている箇所は流石にすべて拾いきれるほど理解していないが、文字通り愛すべきキャラクターとなっている。また、実験により酷い見た目になってしまうという設定は、「オペラ座の怪人」ネタであり、さらにそれをなぞったリーアム・ニーソン主演の「ダークマン(1990)」からのインスピレーションであろう。だからこそ、リーアム・ニーソン主演の「96時間(2008)」シリーズへの言及があるのだろう。そこで3作品作られたシリーズで3回も娘が誘拐されるのはアホだと言うところはこのキャラクターならではの面白さがある。

さらには「第4の壁」を超えて映画内のウェイド・ウィルソンが観客に話しかけてくるような構造にもなっている。観客の期待や想像を良い意味でぶち壊す設定で、一応は「X-MEN」シリーズの派生作品だが、本作ならではの魅力が詰め込まれている。

ただ、アクションシーンはそこまで印象に残るものはなく、何なら冒頭のスローモーションで描かれる場面で引いていくと全貌が明らかになるところが一番印象的であった。この手の映画にしては低予算というところも影響したかもしれないが、クライマックスにはもう一工夫ほしかったのが正直なところ。

とはいえ、ライアン・レイノルズが見事なはまり役で、彼の映画人生をなぞりながら自虐的に時に前向きに語る本作は魅力的である。ぜひ続編が見てみたいと思う快作。

【関連作品】


X-メン(2000)」…シリーズ1作目
X-MEN2(2003)」…シリーズ2作目
X-MEN:ファイナル ディシジョン(2006)」…シリーズ3作目
ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009)」…「ウルヴァリン」3部作の1作目
X-MEN:ファースト・ジェレネーション(2011)」…シリーズ4作目
ウルヴァリン:SAMURAI(2013)」…「ウルヴァリン」3部作の2作目
X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」…シリーズ5作目
「デッドプール(2016)」…「デッドプール」シリーズ1作目
X-MEN:アポカリプス(2016)」…シリーズ6作目
LOGAN ローガン(2017)」…「ウルヴァリン」3部作の3作目
デッドプール2(2018)」…「デッドプール」シリーズ2作目
X-MEN:ダーク・フェニックス(2019)」…シリーズ7作目
ニュー・ミュータント(2020)」…スピンオフ



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【予告編】

 

 

【ソフト関連】

 

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典(2種)

├ライアン・レイノルズ(ウェイド/デッドプール役)、レット・リース(共同脚本)、ポール・ワーニック(共同脚本)による音声解説
├ティム・ミラー(監督)とロブ・ライフェルド(共同クリエイター/アーティスト)による音声解説

映像特典

├未公開シーン集(ティム・ミラー監督による音声解説付き)

├NGシーン集

├コミックが実写化されるまで

├デッドプール 参上!

├登場人物について

├デッドプールの世界

├ハイウェイシーンについて

├CGと音楽について

├ギャラリー集

 

<4K ULTRA HD+BD>

 

収録内容

├上記BDと同様