【タイトル】
X-MEN:アポカリプス(原題:X-Men: Apocalypse)
【Podcast】
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【概要】
2016年のアメリカ映画
上映時間は144分
【あらすじ】
紀元前3600年に世界最初のミュータントであったアポカリプスは古代エジプトを支配していた。アポカリプスは魂を他のミュータントに移すことで生き続けていたが、ある日兵士たちの反乱でその魂を移す儀式は妨害される。
【スタッフ】
監督はブライアン・シンガー
音楽はジョン・オットマン
撮影はニュートン・トーマス・サイジェル
【キャスト】
ジェームズ・マカヴォイ(チャールズ・エグゼビア/プロフェッサーX)
マイケル・ファスベンダー(エリック・レーンシャー/マグニートー)
ジェニファー・ローレンス(レイヴン/ミスティーク)
ニコラス・ホルト(ハンク・マッコイ/ビースト)
ローズ・バーン(モイラ・マクタガート)
エヴァン・ピーターズ(ピーター/クイックシルバー)
ソフィー・ターナー(ジーン・グレイ)
タイ・シェリダン(スコット・サマーズ/サイクロップス)
コディ・スミット=マクフィー(カート・ワグナー/ナイトクローラー)
オスカー・アイザック(エン・サバ・ヌール/アポカリプス)
ジョシュ・ヘルマン(ウィリアム・ストライカー)
ヒュー・ジャックマン(ローガン)※ノンクレジット
【感想】
「X-MEN」シリーズ通算9作目で、「X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」の続編。全世界での売り上げは前作よりも2億ドル程度下がった5億4千万ドルのヒットとなり、同シリーズでは同年の「デッドプール(2016)」が売り上げも話題も注目を集めることとなった。
まず、映画を観て思うのは「詰め込み過ぎ」である。アポカリプスの話、プロフェッサーXの話、マグニートーの話、ミスティークの話、スコットの話、ストライカーの話…と、特に序盤から中盤は各自別行動をとっているため、「あっちを描いたら今度はこっち」というように話があちこち飛んでいく。これだけの登場人物の物語をよく編集でまとめているとは言えるが、観ていてしんどいな。こういった大所帯の映画は「アベンジャーズ」シリーズの成功の影響もあるだろうが、キャラクターを増やせば良いってもんでもないと思う。
それから、このシリーズ特有の「何でもあり」である。特に気になるのはカメオ出演程度の出番しかないウルヴァリンである。前作「X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」で1973年にタイムスリップしたウルヴァリンらの活躍で、未来に起こる戦争は阻止され、新たな未来が作られることになった。ただ、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009)」で描かれた、書き換えられる前の1979年にウルヴァリンは体内にアダマンチウムを流し込まれ、あの体を手に入れたはずである。さらに、前作「X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」のラストでは、川底に沈んだウルヴァリンが救出され、ストライカーが引き取ると言っているが、彼の眼は黄色になり、ミスティークが化けてウルヴァリンを助けたということが分かるようになっている。もしミスティークがウルヴァリンを助けたのなら、なぜウルヴァリンはストライカーに捕まって、アダマンチウムを体内に流し込まれるという元通りの歴史を辿っているのか。この辺りはさっぱり説明がないので不明である。
また、この新「X-MEN」シリーズでは、「ファースト・ジェネレーション」で1960年代、「フューチャー&パスト」で1970年代を舞台にしてきて、それぞれに意義を感じる描写もあった。そして、本作が1980年代を舞台にしているのだが、どうもその時代背景にした理由があまり感じられず、旧シリーズでX-MENとして活躍する面々が若い頃の姿で登場することにしただけではないかとも感じる。
そして、本作の大ボスはアポカリプスというミュータントである。わざわざ現代に蘇る設定もよく分からんし、千体以上の体を乗り移って多くの能力を手に入れて来た割には何がどう優れたミュータントなのかよく分からん。地球を破壊させるだけの能力は十分に持っているようにも見えるが、プロフェッサーXの能力だけが足らないという風には見えない。冒頭から説明しているようで、ボヤっとしたキャラクター設定であることもこのキャラクターの存在感の薄さに繋がっている。またそのアポカリプスに付いて来る4人のミュータントも、わざわざ4人の騎士という絵まで登場させている割にはただの取り巻き程度の描写に終始したところも印象が薄くなってしまった要因だろう。
それから、マグニートーはミュータントであることを隠して暮らしていたが工場での事故を能力で助けてしまったことからミュータントであることがバレてしまい、最終的に妻と娘を殺されてしまう。それが原因でダークサイドに堕ちて、アポカリプスについていくことを決心するという設定になっている。仮に上記のことが原因だとして、アポカリプスについていく理由はさっぱりわからない。それに、そもそもマグニートーは妻と息子(クイックシルバー)という家族を捨てたという設定でもある。そんな彼がいくら別に作った家族を殺されたとしても同情しづらい部分はある。
最終的にプロフェッサーXとアポカリプスの対決になるのだが、動けないプロフェッサーXとアポカリプスの戦いはどうも地味で、理屈で勝利した印象もない。というか、戦いの過程で髪がなくなっていくのは意図していないだろうが笑ってしまうよ。
それから、本作で一番気がかりなのは、モールに映画「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐(1983)」を見に行った場面での会話シーンである。シリーズの3作目はダメだという趣旨の会話になっている。そもそも「スター・ウォーズ/ジェダイの復讐(1983)」は駄作という評価の作品ではない。ではなぜこんな会話シーンを入れているのかというと、旧「X-MEN」3部作の3作目「X-MEN ファイナル ディシジョン(2006)」の話をしたいからなのだろう。「X-メン(2000)」と「X-MEN2(2003)」は本作と同じブライアン・シンガーが監督を務め、「X-MEN ファイナル ディシジョン(2006)」も当初監督予定だったが、「スーパーマン リターンズ(2006)」の監督をするために降板して、ブレット・ラトナーが引き継いだという経緯がある。さらに、その「X-MEN ファイナル ディシジョン(2006)」は決して良い評判ではなかったため、後のシリーズで監督したブライアン・シンガーも思うところがあったのだろう。ただ、だからと言ってこんな婉曲的に自身が降板して他人が引き継いだ続編を貶すようなセリフをわざわざ本作の中にねじ込む必要があるのか。「X-MEN ファイナル ディシジョン(2006)」が失敗作に終わったのはブレット・ラトナー監督のせいでもなく、ブライアン・シンガー監督降板によるところやそもそもの脚本によるところも大きいだろう。自身の監督作を皮肉るならまだわかるが、他人が監督した作品でこんなことを言うなんて人としてどうかと思うわ。このちょっとした場面だけで本作が嫌いになっても仕方がない。
前作でタイムトラベルものにして、旧シリーズをなかったことにするような滅茶苦茶なことまでやっているシリーズだから本作で何が行われようと驚きなんてないのだが、これ以上世界を広げるのもキャラクターを増やすのも無理があるのではないだろうか。どう考えても収拾がついていないし、そもそも収拾のつく話にする気すらないように感じる。案の定、本作がブライアン・シンガーにとってシリーズ最後の作品となった。
【関連作品】
「X-メン(2000)」…シリーズ1作目
「X-MEN2(2003)」…シリーズ2作目
「X-MEN:ファイナル ディシジョン(2006)」…シリーズ3作目
「ウルヴァリン:X-MEN ZERO(2009)」…「ウルヴァリン」3部作の1作目
「X-MEN:ファースト・ジェレネーション(2011)」…シリーズ4作目
「ウルヴァリン:SAMURAI(2013)」…「ウルヴァリン」3部作の2作目
「X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」…シリーズ5作目
「デッドプール(2016)」…「デッドプール」シリーズ1作目
「X-MEN:アポカリプス(2016)」…シリーズ6作目
「LOGAN ローガン(2017)」…「ウルヴァリン」3部作の3作目
「デッドプール2(2018)」…「デッドプール」シリーズ2作目
「X-MEN:ダーク・フェニックス(2019)」…シリーズ7作目
「ニュー・ミュータント(2020)」…スピンオフ
取り上げた作品の一覧はこちら
【予告編】
【ソフト関連】
<DVD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声特典
├ブライアン・シンガー(監督)とサイモン・キンバーグ(製作/脚本)による音声解説
映像特典
├未公開シーン集(ブライアン・シンガー監督による音声解説付き)
├サマーズ兄弟
├スコット、学園へ&ジーンの力
├マグニートーの再生&アポカリプスの復活
├いい子にしろ
├自己紹介(スコットとジーン)
├レイブン・ツアー&ジュビリー・ツアー(ロングバージョン)
├モール・モンタージュ(“セイフティ・ダンス"にのせて)
├古い屋敷&違うエリア
├ジェット機の記憶
├私を知らない
├戦いの終わり
├サイクロップス誕生&プロフェッサーの決意&ストライカー逮捕
├NGシーン集
├撮影風景集
├メイキング
├エン・サバ・ヌール:アポカリプスの準備
├クラン・アッカバ:アポカリプスと四騎士
├キャスト招集:新たなX-MENチームの編成
├時代の幕切れ:アポカリプスの新時代の創造
├無限の力:視覚効果&スタント&アクション
├今後の展開
├スティル・ギャラリー
├キャラクター
├ロケーション
├撮影の様子
├オリジナル劇場予告編集(3種)
├隠しコマンド(NGシーン集)
<BD2枚組(3D/2D)>
本編
├3D(Disc1)
├劇場公開版(2D)(Disc2)
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声/映像特典
├上記BDと同様
<4K ULTRA HD+BD2枚(3D/2D)>
本編
├劇場公開版(4K ULTRA HD+BD2枚目)
├3D(BD1枚目)
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
音声/映像特典
├上記BDと同様