【作品#0460】ロッキー4/炎の友情(1985) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ロッキー4/炎の友情(原題:Rocky IV)

 

【概要】

 

1985年のアメリカ映画

上映時間は91分

 

【あらすじ】

 

エキシビジョンで現役復帰を果たしたアポロはソ連のドラゴにリング上で殺されてしまう。親友の死をリングサイドで見守ることしかできなかったロッキーはソ連でのドラゴとの戦いに挑む。

 

【スタッフ】

 

監督/脚本はシルヴェスター・スタローン

製作はアーウィン・ウィンクラー/ロバート・チャートフ

音楽はヴィンス・ディコーラ

撮影はビル・バトラー

 

【キャスト】

 

シルヴェスター・スタローン(ロッキー)

タリア・シャイア(エイドリアン)

バート・ヤング(ポーリー)

カール・ウェザーズ(アポロ)

ドルフ・ラングレン(イワン・ドラゴ)

ブリジット・ニールセン(ルドミラ・ドラゴ)

 

【感想】

シリーズ4作目となる本作は、同年公開の「ランボー/怒りの脱出(1985)」とほぼ同じ全世界で3億ドルを超える大ヒットを記録したが、ラジー賞ではスタローンが最低監督賞を受賞するなど酷評された。イワン・ドラゴ役には8,000人以上がオーディションを受け、ドルフ・ラングレンが数ヶ月かけて役を手にした。また、スタローンは同年最初の妻と離婚し、本作で共演したブリジット・ニールセンと本年再婚を果たしている(1987年にはブリジット・ニールセンが「ビバリーヒルズ・コップ2(1987)」のトニー・スコット監督と不倫して2人は離婚)。

「ロッキー2(1979)」「ロッキー3(1982)」のオープニングと同様に、本作も前作のラストをほぼそのまま流すという演出を継続している。やっぱり「前作は前作、本作は本作」というスタンスで始めてほしいものだ。

本作の音楽はいつものビル・コンティを起用せず、ヴィンス・ディコーラを起用し、当時流行していたミュージックビデオ風の映画に仕上げている。前作の主題歌を担当したサバイバーは「Burning Heart」を提供し、ソウルの神様ジェームズ・ブラウンは冒頭の試合前に本人役で出演して「Living in America」をほぼ1曲披露してくれる。ただ、この演出はくどいし、そもそも長い。曲の1番だけ流すだけならまだ理解できるが、フルコーラス流すものばかりであることも91分という短い上映時間ながら集中力が途切れてしまう所以だろう。さらには、ロバート・テッパーの「No Easy Way Out」をバックに、過去3作品と本作の映像がただただ流れる場面は「これは何の時間だ」と問いたくなるくらいに長い。

ソ連がボクシング界にも進出する一環で、ドラゴというボクサーがアメリカでロッキー指名で試合をしたいと言ってやってくる。ところが、そのニュースを聞いたアポロはロッキーが試合をする前のエキシビジョンで現役復帰をしてドラゴと戦いたいとロッキーに言ってくる。アポロがそこまで言ってくる心情は理解し難いものがある。エイドリアンがアポロの現役復帰に反対する場面はあるのに、アポロの妻が意見する場面がないのも気にかかる(アポロの妻が試合を見に来ている場面まであるから尚更だ)。

ジェームズ・ブラウンの「Living in America」に合わせてアポロが登場するシーンはエキシビションらしいお祭りムードでもあるし、後の展開を考えると良いフリにはなっている。ただ、上述の通りちょっと長いな。その後、舐めてかかったアポロはドラゴにボコボコにされた上、リング上で死んでしまう(舐めてかかって酷い目に遭うのは1作目で経験済みのはずなんだが…)。それによって、ロッキーはソ連でのドラゴ戦に向けてソ連でのトレーニングを開始する。前作ではミッキーを死なせ、本作ではアポロも死なせるという、シリーズを追う毎に人が死んでいく展開はかなり安っぽい。「ロッキー」の生みの親といえるスタローンが脚本を書き続けるシリーズにおいて、自身が生み出したキャラクターを毎作品のように殺していくのはさすがにどうかと思うわ。

前作はロッキーだけでなくエイドリアンもが、息子を放ったらかしにしてトレーニングに励んでいたが、本作ではロッキーが単身ソ連に向かう(ポーリーは付いて来るが)。しばらくすると、エイドリアンが「会いたい」と言ってロッキーのいるソ連に1人でやって来る。またもや息子を放ったらかしである。子供はロッキーを父親として慕っており、完全な理解者である設定も大人側の都合のように映る。だからこそ、次回作「ロッキー5/最後のドラマ(1990)」でようやく子供に焦点が当てられているのだと思うが。

ラストの試合では、ロッキーとドラゴの体格差は歴然であり、タイトルマッチであれば何階級も異なるレベルの対格差である。ロッキーにとってとても勝ち目のない試合だが、何度殴られても立ち上がり、最終的にはドラゴを打ち負かすことに成功する。この勝利に理屈なんてない。当時冷戦状態でアメリカと対立していたソ連の観客たちも、何度殴られても立ち上がるロッキーの姿を見てロッキーコールを始め、試合後にはソ連の高官までもが拍手を送る。試合後にマイクを向けられたロッキーは説教じみたスピーチをして映画は終わる。冷戦下におけるアメリカとソ連の対立を映画内に持ち込むは良いが、こんな安易な展開で良いのかね。

本作の上映時間ははシリーズでも最短の91分である。ただ、そのうちの4分の1くらいは様々な楽曲をバックに練習したり、悩んでいる様子を描いたりしているだけである。ストーリーも単純だし、インパクトある曲と曲で繋ぐ演出などヒットする要素も多分にあっただろうが、ドラマもボクシングもほとんど描けていない。

【関連作品】


ロッキー(1976)」…シリーズ1作目
ロッキー2(1979)」…シリーズ2作目
ロッキー3(1982)」…シリーズ3作目
「ロッキー4/炎の友情(1985)」…シリーズ4作目
ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ(2021)」…シリーズ4作目のディレクターズ・カット版
ロッキー5/最後のドラマ(1990)」…シリーズ5作目
ロッキー・ザ・ファイナル(2006)」…シリーズ6作目

クリード チャンプを継ぐ男(2015)」…スピンオフ「クリード」シリーズ1作目
クリード 炎の宿敵(2018)」…スピンオフ「クリード」シリーズ2作目

クリード 過去の逆襲(2023)」…スピンオフ「クリード」シリーズ3作目




取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

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言語

├オリジナル(英語)

 

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├日本語吹き替え

 

 

【ソフト関連】

 

<DVD>

 

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<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

 

【音楽関連】

 

<James Brown「Living in America」>

 

 

<Survivor「Burning Heart」>

 

 

<Robert Tepper「No Easy Way out>

 

 

<CD(サウンドトラック)>

 

収録内容

├11曲/47分