【作品#0459】ロッキー3(1982) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ロッキー3(原題:Rocky III)

 

【概要】

 

1982年のアメリカ映画

上映時間は99分

 

【あらすじ】

 

アポロを倒してチャンピオンになったロッキーは挑戦者を次々に倒して10度の防衛に成功する。そこへ勝利に飢える男クラバーがロッキーにタイトルマッチを挑んでくる。

 

【スタッフ】

 

監督/脚本はシルヴェスター・スタローン

製作はアーウィン・ウィンクラー/ロバート・チャートフ

音楽はビル・コンティ

撮影はビル・バトラー

 

【キャスト】

 

シルヴェスター・スタローン(ロッキー)

タリア・シャイア(エイドリアン)

バート・ヤング(ポーリー)

カール・ウェザーズ(アポロ)

バージェス・メレディス(ミッキー)

ミスター・T(クラバー)

 

【感想】

 

前作から倍以上の予算をかけて製作されたシリーズ3作目は、全世界で1作目を上回る2億7千万ドルの売上を記録し、本作のために書き下ろされたサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」も大ヒットを記録した。なお、当初は本作でシリーズ完結を想定していたが、大ヒットを記録したことでシリーズ継続をすることになったようだ。また、「ランボー(1982)」に向けた体作りをしたスタローンの肉体は、前作までとは別人のようなマッチョボディに仕上がっている。

前作「ロッキー2(1979)」と同様に、本作でも前作のラストの戦いを冒頭に持ってきている。「ロッキー2(1979)」のラストの戦いを冒頭の3分ほど使って描いているのだが、やはりやるべきではないと思う。前作の項と同じことを記すことになるが、何と言ってもビル・コンティの「Go The Distance」は冒頭に流すべきではない。さらに本作はドラマも薄い分、たとえラストで「Go The Distance」が流れてももはや感動はない。

ハングリーさを失ったロッキーがそれを取り戻すという意味では、基本的に前作「ロッキー2(1979)」の焼き直しと言える。ミッキーが死んだからこそ立ち上がってほしいものなのに、またアポロがコーチになると申し出てきてそれを受け入れたのに、しばらくウダウダ言っているロッキーの姿は見ていられない。また、ミッキーからタイトル防衛のために挑戦者を選んでいた話を聞いて落ち込むロッキーがクラバーの挑戦を受けることを決意した後に、ふざけた公開練習をする流れも理解し難い。調子に乗って浮かれる描写があるのは良いが、その描写がどうもちぐはぐである。

ミッキーの死後、アポロがロッキーのコーチを申し出たことで2人で協力して練習に励むことになる。特に彼らが海岸沿いを走る場面では、意味深な下半身のアップや彼らが抱き合うショットがあることで、彼らの関係を勘繰りたくなるようにもなっている。そういった印象深い描写に重点が置かれているものだから、妻のエイドリアンにはロッキーを鼓舞するという非常に重要な場面もあまり印象に残らないし、そもそもそれ以外に見せ場らしい見せ場もない。また、ロッキーとエイドリアンの間に生まれた子供もそれなりに成長しており、この手の映画なら子供を使わない手もないと思うが、「両親揃って家に子供を置いてくる」という展開になっている。この展開は、まるで「自分たちさえ良ければそれで良い」と言わんばかりだと感じるし、エイドリアンあってのロッキーという1作目から2作目までの流れを考えると、子供を放ったらかしとはさすがに理解しがたい展開ではある。まだ学校に通うほどの年齢でもないのだから子供も連れてくるのが自然だろう。

ラストの戦いでは、アポロの指導通りのやり方で、ロッキーはアポロを思わせるフットワークと右のジャブを繰り出していく。それは良いのだが、途中からロッキーはクラバーのパンチを無防備に受けまくる。ロッキーは「これは作戦だ」と言うのだが、何のためにアポロとともに準備をしてきたのか。試合になれば臨機応変に対応するものだとは思うが、これだったらアポロがコーチとなって共に練習してきた意義が感じられなくなっている。また、前作ではアポロとの死闘で右目が使い物にならないという話だったが、その話は本作ではまるでなかったことになっているのも気にかかる。

シリーズ通して試合終了後の静止画で映画は終わっていたが、本作にはロッキーとアポロによるスパーリングの場面で終わることになる。彼らが互いにパンチを繰り出したところで静止画になり、サバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」が流れるのはやはりカッコいい。ただ、静止画のままではなく、その静止画をイラストにしたものに徐々に切り替わっていくのはちょっと疑問である。

ミッキーの死の場面など、見どころはあるにはあるが、やはり2作目の焼き直し感は強い。後のシリーズやスピンオフを見た上で振り返っても失敗作と言わざるを得ない。

【関連作品】


ロッキー(1976)」…シリーズ1作目
ロッキー2(1979)」…シリーズ2作目
「ロッキー3(1982)」…シリーズ3作目
ロッキー4/炎の友情(1985)」…シリーズ4作目
ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ(2021)」…シリーズ4作目のディレクターズ・カット版
ロッキー5/最後のドラマ(1990)」…シリーズ5作目
ロッキー・ザ・ファイナル(2006)」…シリーズ6作目

クリード チャンプを継ぐ男(2015)」…スピンオフ「クリード」シリーズ1作目
クリード 炎の宿敵(2018)」…スピンオフ「クリード」シリーズ2作目

クリード 過去の逆襲(2023)」…スピンオフ「クリード」シリーズ3作目




取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

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収録内容

├10曲/32分