【タイトル】
ロッキー2(原題:Rocky II)
【概要】
1979年のアメリカ映画
上映時間は119分
【あらすじ】
タイトルマッチで何とか判定勝ちをしたアポロのもとに、彼を非難する手紙が殺到し、アポロはロッキーとの再戦を望むが…。
【スタッフ】
監督/脚本はシルヴェスター・スタローン
製作はアーウィン・ウィンクラー/ロバート・チャートフ
音楽はビル・コンティ
撮影はビル・バトラー
【キャスト】
シルヴェスター・スタローン(ロッキー)
タリア・シャイア(エイドリアン)
バート・ヤング(ポーリー)
カール・ウェザーズ(アポロ)
バージェス・メレディス(ミッキー)
【感想】
アカデミー賞を受賞した前作「ロッキー(1976)」のヒットを受けて製作されたシリーズ2作目は、前作の約7倍の予算で製作されたが、興行成績は前作には及ばなかった。ちなみにスタローンは本作の前年「パラダイス・アレイ(1978)」で監督デビューを果たしており、本作が監督2作目になる。
本作の冒頭5〜6分ほどは、前作のラストをほぼそのまま流用した映像になっている。人生で最も輝いたロッキーを改めて映すことでその後の転落を際立たせる意図があったのだろうと察するが、この一連のシーンは完全に不要だった。前作のラストにおけるロッキーの戦いと最後の静止画は多くの人の胸に刻まれているはずだ。いくら前作のラストそのまんまとは言え、ビル・コンティの「Go The Distance」が冒頭に流れるのもなんか違う。ロッキーが救急車で病院に搬送されるところから始めても何の問題もない。
その後、退院したロッキーは雪の降る誰もいない動物園でエイドリアンにプロポーズする。前作でも感じたが、こういう静かな場面におけるしっとりとした演出は激しいボクシングシーンと良い対比になっており、音楽や演出が凝っていないところも非常に好印象である。
それからは、浮かれたロッキーがエイドリアンを喜ばせようと調子に乗ってはうまくいかない様子を描いていく。アポロとの死闘で右目を負傷したロッキーは、エイドリアンと「もうボクシングをしない」と約束したために、様々な仕事を探すがなかなか見つからない。ポーリーの紹介で得た精肉工場の仕事も人員整理を理由に早々と解雇されてしまう。不器用で学のないロッキーには肉体労働しか残されていなかったが、それすらできない状況となり、ついにアポロとの再戦のためにボクシング界に復帰しようとする。ここで妊娠したエイドリアンと溝が深まり、練習に身が入らなくなっていく。子供は無事に生まれたものの、出産時の出血が原因でエイドリアンは昏睡状態になる。病院の教会で祈り続けるロッキー。ついにエイドリアンが昏睡から目が覚めると、ロッキーに「勝って」と言い、ミッキーが「何をモタモタしている」と言って病室を出るところはテンションが上がる。ただ、エイドリアンの心変わりはもう少し丁寧に描いても良かったと思う。
そして、ロッキーが練習している様子を映しながら、ビル・コンティの音楽がその様子を盛り上げていく。ただ、前作では「Gonnna Fly Now」をバックに練習シーンを映していたのに、本作では「Go The Distance」をバックに練習している様子を見せた後に、「Gonna Fly Now」をバックに練習している様子を見せることになっている。おそらく前作で使った「Gonna Fly Now」の尺だけではロッキーが本気で練習に取り組んでいる様子を描ききれないと判断したのだと思うが、「Go The Distance」はやはりラストまで取っておいてほしかった。ちなみに「ロッキー」でよく思い出される、鶏を捕まえるのとロッキーが走っていると子供たちも追いかけてくるというのはこのシリーズ2作目である。
ラストのファイトシーンは前作以上のものは感じられなかった。ボクシングにそれほど詳しくないが、ロッキーのストレートでアポロがダウンして、ロッキーは勢い余って倒れただけなので、「アポロが立ち上がれば勝利」という実況は理解できなかった。前作と違って、ロッキーが勝利することはもはや織り込み済みなので、たとえロッキーが勝利したとしてもその感動は前作とは比べるまでもないところである。
前作から7倍以上の予算が取られているので、冒頭の救急車でロッキーが搬送されるところや、病院のロビーでのエキストラの数々だけで前作との違いを大きく感じることができる。その中でも一番恩恵を受けているのは、ロッキーが走っていると子供たちが追いかけてくるところだろう。
長い時を経ても、2作目以降を評価しない声は多い。確かに、多くの奇跡も重なった1作目だと思うが、どれだけ工夫してシリーズを重ねても1作目を超えることは至難の業だろう。2作目に関しても、1作目でロッキーを舐めたアポロが苦戦し、事実上の敗戦と言っても過言ではなかったことからロッキーに再戦を挑む流れは自然である。また、多くのファンからも続編の製作は望まれたことだろう。「前作で終わっていたら…」と思わなくもないが、ロッキーが、それからスタローンが再戦、続編を望まれるのもごく自然なことだろう。また、スタローンは前作以降、「パラダイス・アレイ(1978)」で監督デビューしながら高評価を得られたわけではない。「ロッキー(1976)」における、ロッキーがすぐに忘れ去られてしまう存在ではないかという思いを続編でそのまま実現したとスタローンが語っているように、続編制作の意図は分からなくもない。良い場面もあるにはあるし、あの「ロッキー(1976)」の続編にしてはよくできていると思うが、「ロッキー(1976)」には遥か遠く及ばないのが正直なところである。
【関連作品】
「ロッキー(1976)」…シリーズ1作目
「ロッキー2(1979)」…シリーズ2作目
「ロッキー3(1982)」…シリーズ3作目
「ロッキー4/炎の友情(1985)」…シリーズ4作目
「ロッキーVSドラゴ:ROCKY Ⅳ(2021)」…シリーズ4作目のディレクターズ・カット版
「ロッキー5/最後のドラマ(1990)」…シリーズ5作目
「ロッキー・ザ・ファイナル(2006)」…シリーズ6作目
「クリード チャンプを継ぐ男(2015)」…スピンオフ「クリード」シリーズ1作目
「クリード 炎の宿敵(2018)」…スピンオフ「クリード」シリーズ2作目
「クリード 過去の逆襲(2023)」…スピンオフ「クリード」シリーズ3作目
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