病院では時間外診察ということもあって

待ち時間がとても長かった。


その間

息子の様子に大きな変化はなかったが


私はしつこいくらいに、



「大丈夫?痛みに変化ない?」



と何度も訊いた。


反抗期真っ盛りの息子も

この時ばかりは

毎回素直に答えてくれた。



「足は座っていれば痛くないけど

歩いたり動くと少し痛い。

お腹も変わらず少し痛い…っていうか

気持ち悪い…」



「足はともかく…

お腹が痛いのが気になるな…。

お腹は車とぶつかってないんだよね?

倒れた時にぶつけた?」



「いや、どこにもぶつけてない」



「なら、精神的なショックとかかな…」



「もしかしたら…

お腹が空きすぎて気持ち悪いのかも…

俺学校から帰ってから

なんも食べてないから…」



そう言われて咄嗟に時間を確認すると

20時半を回っていることに気がついた。



「ええ!?もうこんな時間!?

そりゃお腹も空くよね…。

ん?お腹空いてる?なんか食べられそう?」



「お腹はめっちゃ空いてる…」



「食欲あるなら大丈夫だな。

よかった!」



診察では念の為にということで

両足のレントゲンを

撮ってもらうことになった。


診断結果は

骨に異常はなく軽い打撲。


お腹も触診していただき

恐らく精神的なショックだろうとのこと。


今後お腹の痛みが強くなったり

吐いたりするようなことがあったら

明日にでも小児科に行くようにと言われた。



ひとまずここにきてやっと

私も旦那も一安心することができたと思う。



驚いたのは初診料の支払い時だ。


問い合わせの電話で

既に看護師さんから聞いてはいたが

やはり事故の場合は

加害者が加入している自賠責保険で

支払うことになるとのこと。


一旦立て替えて支払いたいと申し出たが

今の段階ではそれもできないと言われた。


数日経っても相手が見つからなかった場合は

現在加入している保険会社に連絡をして

事情説明をした上で

保険を使わせて欲しいと

お願いをしないといけないらしい。


という訳で支払いは一旦保留に…。



とりあえず

ホッとしたら私も途端にお腹が空いてきた。



私たち家族は

近くの飲食店でサッと食事を済ませ

その足で警察署へと向かった。

息子は人生初の警察署に

瞳をキラキラとさせていた…真顔いや、まあわかるけども



警察署に着くと

二人の警察官から事情聴取が行われ

息子は写真を何枚か撮られた。

↑事故時の服装で来るようにと言われていた


警察官から

事故の相手に対する思いを訊かれたので


接触直後に車から降りて

息子に声をかけてくれた様だし

息子が何度も謝りながら

大丈夫だと答えたことで

安心してそのまま立ち去ったのだと思うこと。


息子が痛がっていたり倒れたままでいたら

さすがに状況は違っていたと思うこと。


実際大した怪我もしていないので

それに関しては良かったが

やはり一言連絡は欲しかった。

あるいは、

連絡先を息子に伝えて欲しかったこと。


ひき逃げとは思っていないので

大事にしたくはないということ。


その辺の思いを伝えた。


すると



「今回はたまたま軽傷だったから

そう思えているのかもしれませんが、

これが骨折をしていたり

大怪我に繋がっていたら

場合によっては逮捕するような案件です。

ましてや、横断歩道上での接触事故は

結構重いんですよ。

それから子どもやお年寄りはとくに

接触事故などがあったときには焦って

「大丈夫です!」と答えます。

これは大抵みんなそう答えるんです。

例え小さな接触事故だったとしても

こういうことが起きたら

警察に届け出るのは

運転手の義務なんですよ。

今回、それを怠った相手の運転手には

警察からも注意をしなければなりません」



「………はい」



そういえば若かりし頃。←余談


私は原付バイクに乗って

バイト先に向かう途中、

交差点を直進しようとした際に

左折してきた車の

巻き込み事故に遭ったことがある。


膝を強打したものの

私がいけなかったのだと焦り

車から降りてきた相手に


「すみません!

車を傷つけてしまいすみません不安


と、ひたすら謝った。


相手は


「車の傷なんてどうでもいいんですよ。

それよりも大丈夫ですか?」


何度もそう訊いてくれたが


「私は大丈夫です!本当に大丈夫です!」


そう言って

急いでその場を後にしたことを思い出した。



バイト先の上司や仲間からは


「おまえは悪くないのに

なんで謝ったんだ!

連絡先も交換しなかったなんて…

アホだ!アホすぎる!」


と散々な言われようだった。


ちなみにぶつけた両膝は

見事な青アザになっていて

数日間は足を引きずるほど痛かった。




自分自身もそうだった様に

相手にひたすら謝ったり

大丈夫です!!と何度も言った息子の気持ちは

痛いほど理解できるし


子どもやお年寄りはとくに

そういうときには

“大丈夫です”って答えます。

そう話した警察官の言葉に私は深く納得した。




「それでですね

今後の流れなんですが…

事故現場に看板を設置する予定でいます」



「看板!!…見たことあります滝汗

えと…あの、できましたら

“ひき逃げ”みたいな言葉は

使わないでもらえますか?」



「そうですね〜。

それは状況に応じて…なので

上とも相談してみます。

細かいことはまた明日連絡しますね。

今日はもう遅いのでお帰りください。

遅くなってしまいすみません」



そう言われて時計を見たら

針は22時45分を指していた。



すんごい時間になってるじゃないの!!ポーン



長いようであっという間の

なんとも密度の濃い一日だった。


とにかく息子が無事で良かったと安堵して

帰宅の途についた。





つづき↓↓↓









クローバー私の乳がん記録クローバー 

ステージⅢC
ルミナールB
HER2…陰性
ki67…28.8%
リンパ節転移数…16/27

2021年
11.5 
乳がんの告知
12.7 左乳房全摘手術+リンパ節郭靖+同時再建(エキスパンダー挿入)

2022年
1.18CVポート造設手術

1.26抗がん剤治療開始(FEC・6クール)

6.1抗がん剤治療開始(ドセタキセル・4クール)

8.20 ホルモン療法開始(タモキシフェン)
9.8
左乳房再建手術(インプラント)

11.2放射線治療開始(全25回・50グレイ)

※2回やったところでコロナに罹患し中断

11.17 放射線治療1回目から再開(全25回)
12.23 リュープリン注射(24週間製剤)

2023年
1.20ベージニオ服用開始左差しイマココ