秘密~メゾフォルテ(やや強く)
茉莉はかつて奈津美と共に在籍していた東京ナショ
ナル交響楽団に帰ってきた。茉莉と一登の姿を見て、
鈴奈は一登が茉莉に惹かれていると気づく。心配な
鈴奈はどうしても奈津美と茉莉を比べる。鈴奈にとっ
て茉莉は憧れの人物なのだ。違う日々を送るかつて
の親友二人。妻として母として、当たり前の生活の
中にいる奈津美。一方の茉莉は、母の歌子が倒れ
運ばれた病院で、駆けつけた一登の胸に飛び込む。
一登の帰りを待つ奈津美と鈴奈。父の心の秘密を
打ち明けようとする鈴奈に向って、奈津美は一登を
好きになった時の思い出を語り、今どこに心が向っ
ているのか知っているのだと静かに話す。一登に送
られた茉莉は、その腕をつかんで。
ナル交響楽団に帰ってきた。茉莉と一登の姿を見て、
鈴奈は一登が茉莉に惹かれていると気づく。心配な
鈴奈はどうしても奈津美と茉莉を比べる。鈴奈にとっ
て茉莉は憧れの人物なのだ。違う日々を送るかつて
の親友二人。妻として母として、当たり前の生活の
中にいる奈津美。一方の茉莉は、母の歌子が倒れ
運ばれた病院で、駆けつけた一登の胸に飛び込む。
一登の帰りを待つ奈津美と鈴奈。父の心の秘密を
打ち明けようとする鈴奈に向って、奈津美は一登を
好きになった時の思い出を語り、今どこに心が向っ
ているのか知っているのだと静かに話す。一登に送
られた茉莉は、その腕をつかんで。
**********
奈津美) 最後に、
「よくできました」って、言えればいいの。
茉莉) え? よくできました?
奈津美) そう。正直ね、私なんか、もう今はすっかり
主婦だけど、でも思うときある。もし、あのとき、
バイオリンをやめてなかったらって。
でも思い直すの。いつか歳をとって、いよいよ
最後っていうとき、よくできましたって、言えれ
ばいいって。
茉莉) 自分自身に?
奈津美) うん、そうよ。自分自身に。
だから茉莉、堂々帰ってきて。
私たち、みーんな待ってるから。
茉莉) ありがとう。
**********
富永) でも、嫉妬なら、可愛いもんじゃないですか。
茉莉) 可愛い? どこが?
茉莉) 可愛い? どこが?
富永) 誰かを好きな人は、みんな可愛いですよ。
茉莉) 知ってると思ってた。話したことがあるの、
奈津美にだけは。実は今、気になってる人が
いるって。誰かは言わなかった。奈津美のこ
とだから、わかってるって思ってた。
奈津美にだけは。実は今、気になってる人が
いるって。誰かは言わなかった。奈津美のこ
とだから、わかってるって思ってた。
富永) ショックでした? 親友が自分の好きな人と
付き合ってるって知って。
付き合ってるって知って。
茉莉) 胸に、ヒビが入った感じ。
完全にはくっつかないの、今も。
完全にはくっつかないの、今も。
**********
パート・同僚) だめよ、楽しいフリしなきゃ。
奈津美) 楽しいフリ?
パート・同僚) そうよ。いいのよ、フリで。
夫婦なんてね、楽しいフリ、仲いいフリ、
見て見ぬフリ。これ、円満の秘訣。
夫婦なんてね、楽しいフリ、仲いいフリ、
見て見ぬフリ。これ、円満の秘訣。
奈津美) なんか寂しくないですか?
無理してるみたいで。
パート・同僚) だからよけい感謝すんじゃないよ。
誰かがね、自分のために、無理してく
れるってうれしいもんよ。
れるってうれしいもんよ。
**********
鈴奈) 負けちゃヤダから。
私は娘だからさ、ママ最高、って思うけどさ。
でもちょっと、パパの気持ちわかるんだよね。
相手が相手だし。あのね、ママ。ホントは黙
っておこうと思ってたんだけど・・・
奈津美) ラーメン屋。
鈴奈) え?
奈津美) パパとママね、初めて、一緒に食べたの。
鈴奈) ラーメン?
奈津美) たまたまお昼休みにね、急に食べたくな
って、近くのお店に行ったの。
**********
奈津美) そのときね、わかったの。たった一緒にい
たの、何分かだったけど、ああ、もしかした
らこの人だって。この人となら、変なごまか
しも、気遣いも何にもいらない、ただそのま
んまいればいいんだあって。だから、結婚
して、夫婦になって、家族になって、毎日一
緒。だからね、わかるの。何を考えていて、
どこに気持ちが向かってるか。
って、近くのお店に行ったの。
**********
奈津美) そのときね、わかったの。たった一緒にい
たの、何分かだったけど、ああ、もしかした
らこの人だって。この人となら、変なごまか
しも、気遣いも何にもいらない、ただそのま
んまいればいいんだあって。だから、結婚
して、夫婦になって、家族になって、毎日一
緒。だからね、わかるの。何を考えていて、
どこに気持ちが向かってるか。
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茉莉とは対照的な、ロマンチックとはほど遠い馴れ
初めだったけれど、そういうのが、案外と結婚には
近いというか、合うのかも。そのままの、自然体の
自分でいられる人が、結婚に向いていると思うから。
初めだったけれど、そういうのが、案外と結婚には
近いというか、合うのかも。そのままの、自然体の
自分でいられる人が、結婚に向いていると思うから。
でも、その分、憧れの人というのも厄介で。自分に
合う合わないとは別の次元で心が惹かれてしまう
存在というものは、心の中で神格化してしまうから。
合う合わないとは別の次元で心が惹かれてしまう
存在というものは、心の中で神格化してしまうから。
ないくせに、相手に察してもらえると思ってるとこ
ろとか。まあ、そういう気持ちも、そういう人もわか
るんだけど・・・、私は嫌いなタイプ、ということで!
付き合ってた男を盗られたわけでもないし、音楽
の道も、自分が相手を蹴落として手に入れてるし。
同じことをしても、それほど嫌に思えない場合も
あるんだけど、なぜか茉莉の場合は共感できず。
もっと先を見ていけば、その共感できない理由が
見えてくるのかなあと思いつつ・・・。
「第二楽章」関連ブログ↓
第1回 「予感~フォルテ(強く)」
第2回 「後悔~メゾピアノ(やや弱く)」
第3回 「秘密~メゾフォルテ(やや強く)」
第4回 「約束~ピアニッシモ(さらに弱く)」
第5回 「記憶~クレッシェンド(だんだん強く)」
第6回 「岐路~フェローチェ(荒々しく)」
第7回 「告白~アダージョ(ゆるやかに)」
第8回 「決心~フォルテピアノ(強くすぐに弱く)」
第9回 「誕生~カンタービレ(歌うように)」
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第二楽章 (リンダブックス)/泰文堂