第二楽章 第6回 「岐路~フェローチェ(荒々しく)」 | 日々のダダ漏れ

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ドラマ10 第二楽章

第二楽章

第6回
岐路~フェローチェ(荒々しく)

茉莉は妊娠していた。シカゴで別れた恋人には
その事を告げるつもりはないと言う。そして産ま
ないと奈津美
に宣言する。最後のチャンスかも
しれないもうひとつの
人生の選択肢を捨てようと
する茉莉の漏らした心の内に、
奈津美はかける
言葉を飲み込む。しかし母になる事を
勧める久
代(白川由美)に、鈴奈(門脇麦)を産んでよ

っただろうと言われた奈津美は、思わずその素
晴らし
さを茉莉に告げる。そして、もしお腹の子
の顔や声を想
像したなら、もう一度考えてほし
いと優しく伝える。迷
いながらも事情を話しに行
った、楽団長の桜井(串田和
美)から自分の母
の思い出を聞いた時、その息子に戻っ
たような
顔を見て、母という存在を意識する。そして、

分の中に宿る命に会いたくなってしまう。茉莉は
奈津
美にその決心を伝えに行く。

**********

久代) はあ・・・大変だ。今の人達は。何でも自
    由に選べる代わりに、全部自分で
責任し
    ょってかなきゃなんないんですもんね。

    っそ、誰かのせいにできればいいのにね。

**********

桜井) この曲は交響曲第3番。またの名を、英
    雄といいます。ベートーヴェンがナポレオ
    ンに捧げようとしたことで
有名です。
茉莉) あの・・・知ってます。
桜井) こうやってね、よく聞いたんですよ。
    母の解説付きで。
茉莉) 解説? お母様の?
桜井) 静岡のアルミ工場、母はお嬢さん育ちで
    ね、父が大きくした工場に嫁いで、うーん、
    そこには中卒の工員が
大勢いて、夕飯時、
    食堂でね、彼らが、夜間の高校に
出かけ
    る前に、何の使命感に駆られたのか、いっ
    つも
流したんです。ベートーベン、モーツァ
    ルト、
ドゥビッシー、そして、大きなメシ釜の
    横に立って、
その曲について説明するんで
    すよ。「
この曲は、交響曲第3番、またの名
    を英雄といいます」
当然誰も聞いちゃいない。
    もう見てて、可哀想になる
ぐらい無視されて
    ねえ。それでも一生懸命教えるんです。
茉莉) 素敵なお母様ですね。
桜井) うん。だから僕も一生懸命流さなきゃ。
    世の中に音楽を。
いやこれがね、母さんに
    対するまあ、恩返しですね。
そうじゃなきゃ、
    あの時の可哀想な姿が浮かばれ
ませんか
    ら。ハハハハ。
茉莉) 
何か楽団長、息子の顔になってますよ?
桜井) え? そりゃ、そういう時もありますよ。
    僕だって人の子ですから。
    歳とるとねえ、だんだん、親のことなんか
    忘れていくのかなあと思ってたけど。
    うーん、どんどん身近に
感じるようになっ
    て。
なんですかねえ、もういないのに。
    いや、いないからかなあ。そりゃ忘れませ
    んよ、
ねえ、この僕を作ってくれた全てな
    んですから。
    どうしたの? 具合でも悪いの?
茉莉) もう・・・そんな話するから。
    会いたくなっちゃうじゃないですか。
    どんな顔? 声は?って。
    もし、この先会えて、いつか、そんな風に
    思ってもらえたら。幸せですね。お母さん、
    幸せですね。

**********

茉莉) あたし、産もうかな。
    奈津美のせいよ、あんなこと言うから。
    どんどん浮かんでくるの。姿。声。
    こうなったら、もうダメね。
    いいのかな、全然足りないけど。パパはい
    ない。時間も余裕もないし、
若くもない。こ
    んな母親で、いいのかな? なれるかな? 
    あたし、母親に。ちょっと・・・奈津美?
    やーだ、泣かないでよ。
奈津美) だって、茉莉、心配させるから。
茉莉) ゴメンってば。
奈津美) 茉莉、ありがとう、茉莉。
茉莉) なーんで奈津美がお礼を言うの?
奈津美) だって・・・


**********

久代さんが言った通り、自由には責任が伴うもの。
自分で選んで決断できる代わりに、どんな結果で
も受け止める覚悟がいるし、責任も持たなければ
いけない。時代のせいに、社会のせいに、誰かの
せいに出来たら、ある意味楽になれるかもしれな
いというのも、ちょっとわかる。自分で自分の未来
の責任を全部取らなきゃいけないと思うのは、そ
れが当たり前なことだとしても、怖くなる気持ちも
正直な気持ちだと思うから。誰かのせいにすると
いうより、決断するきっかけが欲しいのかも。自分
だけの考えでは、何か大事なことを見落としてし
まってはいないかと、不安になったりもするから。

茉莉に訪れたきっかけは、楽団長の母親のお話。
歳をとるにつれて、自分が、昔見ていた親の年齢
に近づくことで、親に似ているところ、共通点が見
えてくるような気がして。子供の頃の目線だけで
は気づけなかったことも、見えてくるというか・・・。

せっかく自分の子供に会いたいと思うようになっ
た茉莉に、不穏な運命の予感が。う~ん・・・



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