第二楽章 第8回 「決心~フォルテピアノ(強くすぐに弱く)」 | 日々のダダ漏れ

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ドラマ10 第二楽章

第二楽章

第8回 

決心~フォルテピアノ(強くすぐに弱く)

胃がんの手術も無事終わり、茉莉は出産準備に入っ
た。奈津美をはじめ周囲の人々は茉莉の体をいたわ
り気遣
う。奈津美は、自分がバイオリンをあきらめて
鈴奈を
産んだときの気持ちを思い出し、茉莉がこちら
側の人生
も悪くないと思うことを願う。しかし茉莉は感
謝しな
がらもいら立ちを隠すのに必死だった。バイオ
リンと
共に生きていくと決めた人生の変更に戸惑い、
焦り、
「その気持ちよくわかる」という奈津美の言葉に
思わ
ず声を荒げてしまう。それでも奈津美は、そんな
茉莉が
心配で寄り添いつづける。雅也が茉莉の部屋
を訪ねると、
荷物は整理され、シカゴへ旅立つと告げ
られる。黙っ
て一人で行こうとする茉莉に、雅也は思
わず、「自分が
こんな風に世話を焼くのは、バイオリ
ニストだからで
はなくて、茉莉さんだから」と投げかけ
る。茉莉は
「そんな風に思ってもらえる自分に戻るた
めに行く」
と言う。そして、奈津美のことが大好きだか
ら、ひね
くれて優しさを素直に受け取れない今の自分
を許せな
いから、離れるのだと苦しげに言い残す。出
発の日、
雅也から茉莉の気持ちを聞かされた奈津美
は成田空港
に駆けつける。

**********

奈津美) 本当は?
富永) 辛いんですよきっと。
    奈津美さんに、面と向かってお別れ言うのが。
奈津美) ホントは?
富永) 嫌いになりたくないって言ってました。
    奈津美さんのことを嫌いになりたくないって。
    今のままそばにいたら、きっと自分も甘えて、
    奈津美に、そのうちもっと当たるようになる。

(回想)
茉莉) この前ね、
    黙って奈津美、一緒に歩いてくれた。
    ひどい態度取った、私を心配して。一歩一歩、
    なんにも言わないで、責めないで。
    参っちゃった。やさしくて。その時、思ったの。
    もう、限界だって。
富永) 限界?
茉莉) どうしたの? 私。最低ねって。
    やさしくされればされるほど、奈津美を責める
    しかなくなる。どんどんひねくれていく自分が、
    情けなくて、苦しいの。私が今、ダメだから、
    やさしくしてくれるんだとか。
    奈津美が、大好き。
そんな、大事な人を・・・。
    離れるしかないの、今は。
こうするしか。

奈津美) 別に、平気なのに。どんな顔したって。い
     いのよ、ダメならダメで。全部さらけ出せば。
     だって、ホントの茉莉、知ってるんだもの。
     でも、茉莉が今どうしても・・・
     離れたいって言うなら・・・。
一登) 道はそれぞれ違うんだよ。ある時は近づいて、
    繋がって、また離れて。いつもいつも一緒って
    わけにはいかない。きっとまた会える。
    そう信じてれば、必ず。
富永) もうぶつかるの嫌ですか?
奈津美) んん?
富永) 前に楽団長言ってました。
    人として正しいかどうかなんか関係ない。音楽
    家は、すべての感情、醜い部分も全部音楽に
    ぶつけりゃいい。さらけ出してぶつからないと、
    誰の感情も揺さぶれない。もしそうなら、いつ
    かそうしようって。もしも大切な人ができて、繋
    がってたいなら、俺は絶対・・・。
鈴奈) だったら富永さん、白瀬さん追っかけていけ
    ばいいじゃないですか?
    今そういう風に思ってるなら。
富永) あのねえ・・・俺にそんな力あると思う? あの
    頑固な人引き留めて、一人でカッコつけんなっ
    て罵る力が、俺に・・・。

**********

奈津美の気持ちも、茉莉の気持ちもわかる。奈津美
だったら、そばにいてあげたいと思うし、どんなに悪
態をつかれても、寄り添っていてあげたいと思う。で
も、茉莉だったら、そんな気持ちが鬱陶しく思えるの
もわかる。ずっと一人で頑張ってきたからこそ、人に
甘えることが急にはできないし、自己嫌悪にも陥るし、
人の好意を素直に受け取れない自分が情けなく、嫌
になるだろうし。ほどよくできればいいけれど、それを
わざわざ言うのも、傲慢な気がするし、我儘にも思え
るしで、黙って離れたほうがいいと思ってしまうのも。

好きだからこそ、大好きで大切な人だからこそ、一瞬
でも、嫌いになりたくない。そう思う自分が許せなくな
る。好きな気持ちは、時おり、メンドクサイものになる。
それでも、やっぱり、本当に好きなものは、ずーっと、
好きなんだと思う。どんなに離れても、ずーっと。


第8回 「決心~フォルテピアノ(強くすぐに弱く)」
第9回 「誕生~カンタービレ(歌うように)」


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