「風、薫る」第37回
第8週「夕映え」
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千佳子) 気持ちが分かるなんて
たやすく言わないでちょうだい。
私は病人で、あなたは、私を看
護する看護婦とやらなんでしょ
う。思い上がらないで。
(背を向ける)
(投げられた枕を拾うりん)
りん) 失礼いたしました。
(窓の外を見ている千佳子)
**********
(病室を出るりん)
(ドアの前から動けない)
**********
丸山) あっ、かゆい!
直美) え、え…ど…どの辺?
丸山) 右の肩の下。
直美) ここ?
丸山) 違う、もっと下、下。
直美) 下? ここ…?
丸山) 違う、もっと右。
直美) 右。
丸山) あ~行き過ぎ。う~!
直美) だってかくわけには…。
じゃ、たたく?
丸山) あ、もういいや。
直美) え?
丸山) 収まった、
すごくかゆいのは。
直美) は?
丸山) ほら~分かんなでしょ?
俺のどこがどれぐらいかゆいか
なんて。
直美) 今のうそ?
丸山) うそじゃないよ。だって
今もかゆいことはかゆいもん。
我慢してる。いつもず~っと。
患者の気持ちなんて分かんなく
て当たり前なんだから、大家さ
んは、俺が早く治るよう薬塗っ
たりさ、働いてよ。
直美) そっか…。そうですよね。
私に丸山さんの気持ちが分かる
わけないし、丸山さんに私の気
持ちだって分かるわけないです
よね。
丸山) まあ…うん。
直美) 私が「治すために、かか
ないでほしい」ってどんなに思
ったってかくし、私が薬の回数
増やすために、先生にあれこれ
考えて、手を尽くしても…「一
ノ瀬の時は、極楽だった」って
言われた私の気持ちなんて、何
も…だ~れにも…。
丸山) あ、いや、あの…。ホン
トにありがたいと思ってます。
直美) はあ~…。
丸山) 思ってますよ! はい。
あの~…え~と…俺はどうし
たらいいですか?
直美) はい。
(丸山を見る)
直美) あの…。
**********
(医師の回診の時間)
藤田) うん、いいだろう。はい。
丸山) 藤田先生。先生のおかげ
で良くなってきました。
ありがとうございます!
藤田) いやいや、私は何も…。
丸山) 大家さんが、先生はよく
患者を診ている優しい名医だ
と。なあ!?
患者たち) うん、うん!
藤田) 大家さんが?
丸山) そうそう。
先生の腕は一流だって。
患者たち) う~ん!
藤田) やはり看護婦は違うなぁ。
ほら君! 患者には大家さんの
ようにもっと優しく!
(ムッとするフユ)
藤田) あっ、換気…
換気は大事だ。
患者) おお~!
丸山) よっ、名医!
藤田) フフッ、ハッハッハ!
丸山) ありがとうございました!
(ご機嫌に去っていく藤田)
丸山) あんな感じでよかった?
直美) はい、
ありがとうございます。
フユ) あんた…ほかの見習いたち
と違って、随分ずるい女ね。
直美) ずる賢い女って
言ってくれます?
**********
(椅子に座り、源氏物語を
読んでいる個室の千佳子)
(ノック)
千佳子) 武野? お昼ご飯は
結構と言ったのに。
行彦) 入るよ。
千佳子) 行彦さん。
お勤めは、どうしたの?
行彦) どうしたのじゃありませ
んよ。お母様が先日、退院する
と言い出したとお父様に聞いて。
千佳子) 手術をしたところで、
治る見込みは半分もないのです。
行彦) それでも手術をしなけれ
ば、その半分の見込みすらなく
なるんです。
和泉) 行彦。
行彦) 手術を受けるしか道は
ありません。それくらい分か
るでしょう。
千佳子) 理屈は私だって分かっ
ています。ただ…。
行彦) ただ何ですか。わがままを
言ってる場合じゃありませんよ。
千佳子) わがまま…。
行彦) そうですよ。病室からの
眺めが悪いから退院したいと
だだをこねたとか。
千佳子) それは…。
和泉) いいじゃないか。
ほら、千佳子の好きな、カステ
ラを買ってきた。少しは機嫌を
直しなさい。
千佳子) 私、
機嫌が悪いわけでは…。
**********
<詰め所>
しのぶ) ああ…。
多江) はあ~。
しのぶ) はあ~おなかすいた。
あっ、これから寮に戻って
料理か…。
多江) 私もペコペコ。2人とも
お当番よろしくお願いしま~す。
喜代) 多江さんも手伝って
くださいませ~。
しのぶ) そうですわ。
(ノック)
しのぶ) どうぞ。
(直美が来る)
直美) りん見なかった?
多江) ううん、例の患者さんに
付きっきりなんじゃない?
直美) ああ…そっか。
ありがとう。
喜代) 今「りん」って。
しのぶ) うん。えっ、同じ科で
実習すると仲よくなるのかなぁ。
え~いいな~。私だけ眼科で
一人…。
喜代) 私たちも婦人科で
一緒ですけどね。
多江) あ…あの2人、言い合い
もするけど、お互いのことよく
分かって…。ううん…分かろう
としてる、気がする。
喜代) 私だっておんなじですよ。
多江。
多江) ちょっと、喜代さん…。
しのぶ) ハハハッ、
多江、照れてる~。
多江) しのぶ。
しのぶ) えっ、なん…何で私は
呼び捨てなんですの~?
(笑い声)
トメ) トメです。開げて!
喜代) はい。えっ…。
ゆきさんどうしたの?
トメ) 患者さんが鼻血出すとこ
ば見て、倒れてまって…。
多江) ゆきさん?
ゆき) ありがとう、トメ…。
あ…ごめんなさい。私ったら
思わず…。
トメ) 気にしねくていい、ゆき。
(笑い声)
**********
(裏庭の切り株に坐り、ナイチ
ンゲールの本を見ているりん)
直美) へえ~こんなとこ
あったんだ。
りん) ナイチンゲール女史は、
観察して、患者の気持ちを
分かれっていうけど…。
直美) 「思い上がらないで」、
か…。
りん) うん。
私、少しでも奥様の気持ちを
分かろうと思ったの。けど、
かえって怒らせてしまって。
直美) 私も丸山さんに言われちゃ
った。「俺の背中どれだけかゆい
かなんて分からない」って。「分
からなくて当然だ」って。私肌
強いから。ほら、ピッカピカ。
りん) あ…私も肌は綺麗な方で。
直美) あ、これシミじゃない?
りん) え?
直美) フフッ…。
りん) え…?
直美) はあ~…。
背中がかゆくて、眠れなく
なったことはないしね。
りん) ましてや、乳がんの患者
さんの本当の気持ちなんて…。
間違えた。私思い上がってた。
直美) 患者さんのこと分かれっ
ていうけど、ナイチンゲール
先生、方法は書いてない。
りん) 前に、私が落ち込んでる
時に、おんなじように落ち込ん
でた人がいて、励まされたから、
私も同じようにって思ったんだ
けど…。
直美) へえ~。どんな人?
りん) う~ん…。
言葉に詳しくて、文学を…。
直美) あっ、そうじゃなくて。
りん) あっ、う~ん…友人?
直美) 友人? 友人。
あっ…そっか、そこか。
りん) ん?
直美) 友人でも、家族でもない。
仕事だったら、おんなじ気持ち
じゃ駄目なんじゃない?
りん) 看護婦として、患者の
気持ちを分かる?
直美) 分かるように、努める。
どうやったって、患者と同じ
気持ちにはなれないもの。
りん) うん…。
う~ん、いやでも…。
**********
(窓辺に立ち、西日の庭
を見ている千佳子)
**********
(陽の暮れた裏庭)
直美) もう遅いし、
そろそろ帰ろう。
しのぶ) あ~ウフフフッ。
やっぱりここにいましたわ。
りん) 皆さんどうして?
多江) 2人ともなかなか
帰ってこないから。
喜代) お夕飯はみんなで
ここで頂きましょうって。
ゆき) だって、お2人が
いないとさみしいもの。
りん) ありがとうございます。
**********
(一人、のびのび食事をする松井)
バーンズ) 松井先生。
松井) んっ、バーンズ先生!
どうなさいましたか?
バーンズ) 生徒たちは?
松井) あっ…いや…えっと…。
**********
しのぶ) いきますわよ。はい!
りん) う~!
直美) おいしそう。
ああおなかすいた…。
もうりんったらちっとも
帰りたがらないんだから。
りん) いや直美さんが
勝手に来たんでしょ。
直美) 勝手にって…。
(笑い声)
りん) 皆さん、どうしてここが?
しのぶ) 皆さん、落ち込んで、
ここに来たくなることが…。
(ゴザの上に坐った7人)
りん) フフッ、直美さん以外。
トメ) 直美さんずりぃわぁ。医者
も患者も味方につけで。 おら、
明日から化粧してみるが?
多江) 更に敵が増えたりして。
トメ) 多江さん、笑えねぇ。
(笑い声)
しのぶ) じゃ、頂きます。
一同) 頂きます。
(おにぎりを頬張る)
りん) 何か、いつもより
おいしく感じる。
しのぶ) 何だか悪いことしてる
みたいで、ドキドキしますわね。
りん) 勝手に押しかけてきて…
フフフッ、勝手に、一緒にいて
くれて、心強い。
(笑い声)フフフッ。
りん) 奥様は、今、一人よね…。
しのぶ) そりゃこの病院で
一番の個室ですもの。
りん) う~ん、だけど、
寂しくないのかしら?
**********
(月明かりのベッドに
腰掛けた千佳子)
**********
何気にみんな名前呼びするぐらい
には仲良くなってきた7人が良き。
同じ困難に立ち向かうと、結束も
強くなるものよね。病院に庭でピ
クニック…じゃなくて、晩ごはん
も、いつかいい思い出になるよね。
一人のびのび食事をする松井先生
を見て、彼女もまた大変だよね~
と思ったり。先生だって、たまに
は息抜きしないと疲れるものねw
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