「風、薫る」第120回
第24週「環」
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(りんに雑記帳を差し出す環)
(明るい縁側に向き直り、
環の描いた絵を見るりん)
(蒸し麵包を食べる人々の、
豊かな表情やしぐさ)
環) お母さん。
私…絵を描きたい。
絵を描いて、生きていきたい。
ずっと、なかったの。
自分がどうなりたいとか、
よく分からなくて…。
りん) 看護婦は、違った?
環) 興味を持ったのは、うそじゃ
ない。でもね…。お母さんが働い
てるの見て…。今の私の、中途半
端な気持ちじゃできないって分か
った。私は、お母さんみたいには
なれない。せっかく女学校に入れ
てくれたのに、ごめんなさい。
りん) え…環。それは違うよ。
環を、看護婦にしたくて女学校に
入れたわけじゃない。環に、自分
の力で自分の夢を…。
環) それも分かってる。分かって
た。でもお母さんが立派すぎて、
どうしたらお母さんに喜んでもら
えるんだろうって考えちゃって…
苦しかった。がっかりさせたくな
いから…。お母さん私…絵を仕事
にしたいの。やらせてください。
りん) 絵を描いて、どうやって
生きていくの? 稼ぐ手だては
あるの?
環) それはこれから…。
りん) 絵を描きたいなら、結婚
して家のことやりながらでもで
きるじゃない。結婚は? しない
つもり?
環) 女が自分の力だけでで生き
ていく厳しさは分かってるつも
りです。私は…お母さんを見て
きたから。もう決めたから。私
に夢を持てるようにって言って
くれたのは、お母さんだよ。
(風の音)
(環を見ているりん)
りん) 環の、絵に対する思いは
伝わりました。だけどだったら、
どうやって仕事にするのか、
しっかり考えなさい。
環) 分かりました。
りん) それなら、
力の限り、応援します。
(泣きべその環)
(笑みを浮かべ、見つめるりん)
**********
環) おばあ様。
(仏壇に向かい、
手を合わせる環)
**********
(夕陽の縁側)
直美) そっか…りんの夢かなっ
たわけだ。よかった。
りん) うん…。
直美) あんまりうれしそう
じゃありませんね
りん) え…そんなこと…。
フフッ…いや、ただ、お母様も、
こんな気持ちだったのかなあと。
ねえ、もし明が同じようなこと
言ってきたらどうする?
直美) そりゃあ、反…。
(笑い声)
直美) なるほどね…。
りん) 心配よね。
(笑い声)
**********
(島田の家を訪れる環)
(手に数冊の雑記帳)
りん) 失礼します。
**********
(環の絵を見る綿貫)
(お茶を出す島田)
島田) 今日は、わざわざ…。
綿貫) あれだけ熱弁を振るわれ
たら…。まあ、記者のさがだ。
しかし君が、作家を推薦する
なんてな。
島田) いや、紹介してほしいと
せがんだのは、彼女自身です。
僕はただ、つないだだけで…。
環) 挿絵でも広告でも、何でも
描きます。仕事にしたいんです。
(蒸し麵包にかぶりつく、
ひょうきんな描写)
(ほほ笑む綿貫)
綿貫) 女流画家は珍しい。
この男に、感化されたのか?
環) 少しだけ…。けど、何より、
絵が好きなんです。
綿貫) 過酷な道のりだ。素質は
あっても、そんなやつはごまん
といる。分かってる?
環) はい! あ…。いいえ。
分かってないのかもしれません。
けど、やってみないと分からな
いので。
綿貫) ハッ…。
休みの日にでも、
また見せに来るといい。
(名刺を出す綿貫)
環) ありがとうございます!
(両手で受け取った
名刺を見つめる環)
(ほほ笑む島田)
**********
それから環は、描いて、
描いて、また、描いて…。
(描き続ける日々)
夏が過ぎ、秋が来て…。
明) お姉ちゃん、疲れた。
環) 明。それいい。
ちょっとそのまま
じっとしてて。
(石を突き出した明)
環) もう少し腕上げれる?
うん、いいね。
ごめん、もう少し。
**********
そして…。
(田之上屋に環が描いた絵)
丸山) はい。
これはビーフシチューといって、
牛肉を煮込んだものです。
環ちゃん、卒業おめでとう!
環) ありがとうございます。
客) ごちそうさん。
丸山) あっ。
直美) 熱いから駄目。
丸山) どうぞ。
今後ともごひいきに。
客) ああ、うん。
丸山) いや~
待った甲斐があった~。
麵包を分け合う、いい絵だ。
(半分に割った蒸し麵包を
差し出す、笑顔の男の子)
環) ひとまず、新聞社で、働かせ
てもらえることになりました。
丸山) おお~。
直美) おめでとう。
丸山) おめでとう。
りん) 本当によかった。
だけど、これからよ。
環) うん。周りに女の人って
ほとんどいないけど、お母さ
んたちのこと考えたら…うん、
頑張れる。
直美) 熱いよ。
丸山) おいしいか?
明) うん!
丸山) 次明ちゃんかな~。
何になるのか楽しみだ。
明) 僕、茂と一緒に
呉服屋になる!
直美) よろしい。
(笑い声)
**********
丸山) ありがとうございました。
一同) ごちそうさまでした。
丸山) またね。
りん) あ、ちょっと先帰ってて。
直美) うん。
環) うん。
りん) 蒸し麵1つ。
丸山) ん?
りん) あ…父上と、お母様にも
就職の報告を。
丸山) そっか。
(店先に貼った絵が風に飛ばされる)
(風の音)
(追いかけるりん)
(桜色の爪をした真風が、絵を拾う)
りん) あ…ありがとうござい…。
真風) 本当に、いい絵だね。
絵は人となりを映す。
強い子に、育ったね。
りん) あの…あなたは一体…。
真風) また、新しい風が、
吹く頃かな…。
(強い風の音)
りん) え…?
(消えた)
丸山) りんさ~ん、
麺包出来ましたよ~。
りん) あ、は~い。
**********
超簡単感想で♪
親が立派というか、頑張りすぎてい
ると、子供は勝手にプレッシャーを
感じてしまいがち。シマケンのつて
で仕事をゲットする環。さすがりん
の娘。ちゃっかり運の良さは抜群w
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