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一級建築士である私自ら設計&デザインした物件について書いてます。
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たくさん本がある家の子どもは、家に本が全然ない子どもに比べて、試験の成績が良い。
これは統計的には事実です
これを聞いて今、家づくり進行中のあなたは
「うちにも書棚スペースをたくさん設けよう!」と、思ったかもしれませんが
それはほとんど意味がない行為かもしれません。
たしかに本がたくさんある家の子どもは、本がない家の子どもより試験の点数が高いですが、
子どもの成績はそれ以外にもたくさんの要因が関係しています。
親の収入や学歴も関係している可能性が高いと言われています。
たしかに家にある本の数は、子どもの成績と相関関係にあります。
しかしそれが直接子どもの成績に影響しているとは言い切れないのです。
相関関係はあるけど因果関係は疑わしい、というわけですね。
またこれも良く聞く「リビング学習で成績アップ」という話。
実は東大生はリビングで勉強していた!
このような話、よく聞きますよね。
リビングで勉強するという行為が成績向上につながるのか、現時点では科学的な根拠はありません。
しかし近年、親子のコミュニケーションが子どもの学力に影響するという研究結果があります。
子どもの成績を気にするなら、家に書棚スペースをたくさん設けたり、リビングにスタディスペースを設ける前に、
親子でゆっくり話し合える夕食の時間を確保することのほうが、大切なのではないでしょうか。
そして最後、リビング階段について。
階段が廊下にあろうがリビングにあろうが、親子関係にはほとんど影響しません。
平成以降リビング階段の採用率は年々増えてきたにも関わらず、親子間の会話時間や接触時間に改善は見られませんでした。
子どもの不登校や引きこもりも年々増えています。
子どもの成績、親子関係
これらの問題を間取りや建築だけで解決することは不可能なのです。
しかし建築士やインテリアコーディネーターにもできることはあります。
例えばリビングを、ただテレビとソファが置いてある広い部屋として作るのではなく、居心地が良く、ついつい家族が長居してしまう快適な空間に仕上げてあげるなど。
なにも家族全員でこたつに入って、みかんを食べながらトランプする必要はありません。
同じ空間にいる、ということだけでも自然とコミュニケーションは生まれてくるものです。
我が家でもリビングの一角が、私のワークスペースになってます。
個室も作ったのですが、結局この空間で過ごすことのほうが多くなり、自然と家族とのコミュニケーションを増えてきました。
「快適」な空間とは暖かい、涼しいなどの温熱環境に限ったことではありません。
本当の意味での「快適」な空間には自然と家族が集まってきて、そこから自ずとコミュニケーションが生まれていきます。
家族と適度な距離感を保てる間取りを検討してみてはいかがでしょうか。
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