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一級建築士である私自ら設計&デザインした物件について書いてます。
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3回建てなきゃ、理想の家は出来ない。
誰が言ったか知りませんが、昔からよく聞く言葉です。
それだけ家づくりって難しいものなんですよね。
でもこれって、「1回目や2回目の家づくりは失敗するよ!」ってことでもないと思うのです。
個人的にはこう解釈しています。
年月を重ねるごとに変わっていく「暮らし方」「ライフスタイル」「趣味嗜好」「家族構成」
例えば20代後半で家を建てるとなれば、子育てを優先した間取りを考えたり、現在の暮らしにおいて最善な家づくりをするはずです。
しかし、50代になって子供も独立し家族構成が変わり生活スタイルも変わると、20代で建てた理想の家はもう「今現在の理想」とは大きくかけ離れているかもしれません。
かと言って、20代のうちから老後の暮らしを考えた家づくりもどうかと思います。
そもそも数十年後に自分や家族がどのような状況になっているのか、不確定要素が多くて予測するのが困難です。
そういった意味で「理想の家」というのは、その時の状況によって大きく変わってくると思うのです。
私の築十数年の実家では、広い家に子供部屋が2つも余っていて物置にすらなっていません。笑
子供部屋がフル稼働していたのはわずか数年でした。
親二人暮らしには大きすぎる家と、あと少しのローンだけが残っています。
私が評価額0円の中古住宅を買ってリノベした理由も、それが大きく影響しています。
出来るだけ早くローンを完済して(予定は50代…)、その後の選択肢の幅を増やすためです。
もちろん将来も今の家に住み続けるかもしれませんし、他の地に移り住むか、はたまたマンション暮らしを始めるかもしれません。
そればかりは分かりません。
ただ、選択肢が多いということは必ずプラスに作用します。
ちょっと話は変わりますが、
アメリカ人は一生のうち平均11回引っ越しするそうです。
日本の「家は3回建てなきゃ…」どころの話ではありませんね。笑
その時のライフスタイルに合わせて住宅を買い替えていくのだそうで、日本とは真逆の考えかたです。
アメリカでは住宅流通の約80%が中古住宅(日本は十数%)だったり、家の寿命や法規制、不動産投資的な観点など様々な要因がありますが、若いうちに一生住み続けるつもりで家を新築することは、ほぼ0に等しいということです。
そして老後はゆったり暮らせる小さな家へ移り住む。
日本では難しいかもしれませんがある意味、理想だなとも思います。
私の友人で、20代前半で「超ローコスト建売住宅」を購入して、すでに大半のローンを支払っている人がいます。
良くいえばシンプルな家、悪くいえば量産型の普通な家。
「ローンを完済した頃には、そんなローコスト住宅に価値なんて無いでしょ?」
と思われるかもしれませんが、ところがどっこい。
こんな「普通の家」こそ中古住宅市場では価値があるんです。
逆に「こだわりのオンリーワンハウス」や「建築家設計のデザイン住宅」は売れにくいんです。
そりゃそうですよね、中古車買うときだって改造やカスタマイズされてるのって買いたくないですよ。笑
しかも建築コストがかかっているから、販売価格も高い。
リノベするにもコストがかさむ。
そりゃ売れません。
なのでアメリカの一般住宅は間取りはどれも普通で、外観だってスタンダードなのばかり。
それが一番資産価値が高いと知っているからです。
私も中古住宅を探しているときは、できるだけ「普通の家」に絞っていました。
しかし、普通の家ってなかなか見つからないんですよ。
変なこだわりや、「なにこの間取り…」ってのばかりで。
超ローコスト建売住宅を買った友人の選択は、ある意味正解なのかもしれません。
家は一生モノじゃない。
そのように考え始めると、家づくりに様々な選択肢が増えてくると思います。
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