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自宅は築50年越えの空き家をフルリノベーション

インテリアと家づくりが学べる、一級建築士のブログ

 

 


昨今、空き家問題は年々深刻さを増していますが、それと同時に空き家リノベーションの需要が増えていることも確かです。

 


今回は築49年の2階建て木造住宅を平屋にするという、超大がかりなリノベーションを紹介していきます。

 

 

 

 二階建てから平屋への減築

 

減築、その名の通り増築の反対で建物の床面積を削る工事です。

 

今、地方には古くて大きな空き家がたくさんあります。

核家族化が進んだ現代では部屋を持て余すほどの広さで、リノベーションを検討している方にも敬遠されがちです。

 

家が大きければその分リノベーション工事費用もかさみますし、住んでからも日々の掃除や維持管理にコストがかかってしまいます。

 

 

今回の空き家も二階建て床面積48坪とそこそこの大きさでした。

それを延床面積31坪の平屋に減築リノベしたのです。

 

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元々店舗兼住宅だったこともあり、少々変わった建物形状でした。

奥に見える二階部分を撤去し、屋根は瓦からガルバリウム鋼板に、外壁は杉板と塗り壁に替えました。

 

これにより建物自重はだいぶ軽くなり、耐震面でも有利に働きます。

 

減築にはこのようなメリットもあるのです。

 

しかし2024年4月の建築基準法改正によって、このような大規模なリノベーションは建築確認申請が必要になりました。


一定の耐震改修を行って建物をより頑丈にすると審査が必要になり、耐震改修をせずそのまま販売するのは審査不要です。


おかしな話ではないですか?


それとも旧耐震住宅(1981年以前)はもう扱うな、という国のメッセージでしょうか。


 

 

 耐震・断熱改修は必須

 

築49年、いわゆる旧耐震住宅です。

震度6弱程度でも倒壊の危険性がありましたが、今回のリノベでは建物外周部に面材、内部には筋交を追加し現行基準以上の耐力になりました。

 

外周部の面材だけでも耐震性は格段にアップ

 

耐震改修を行うことで旧耐震住宅であっても住宅ローン減税の対象になります。

その他にも所得税控除も受けられます。

 

同時に行った断熱改修工事では断熱材と窓(先進的窓リノベ)で計100万円以上の補助金です。

 


 

アンダーセン木製サッシ

 

海外製の木製サッシや木製玄関ドアも補助対象。

このブログでも何度も紹介してきたオススメのリフォーム補助金です。

 

木製玄関ドアとガラスブロック

 

しかひ残念ながら先進的窓リノベ補助金は2025年を最後に終了とのことです。

内窓設置などを検討している方はお早めに。

 

そし、来年以降は新たな省エネ補助金が始まるとの噂も…

 

国も省エネ系事業には本腰を入れてきてますね。

 

 

 

 

 

 

 50年代アメリカンミッドセンチュリー

 

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建物内部は以前の面影もないほどにガラッと変わりました。

 

例えば思い出の詰まった実家をリノベーションする場合などには、既存仕上げの一部を取り入れたりと以前の面影をあえて残すリノベも行ったりします。

 

 

 

しかし縁もゆかりもない空き家ならそのような面影は不要ですね。

よほど良い仕上げだったりしない限りはガラッと作り変えるのが基本です。

 

そんなことで今回のコンセプトは50年代アメリカンヴィンテージ。

 

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IKEAキッチンにミーレの食洗機を組み込みました。

カスタマイズ性が高いのがIKEAキッチンの長所でもあります。

 

奥のアーチ壁の中はパントリーで、デッドストックの輸入壁紙がいい味を出しています。

 

 

 

after

 

洗面台はヴィンテージ家具をリメイクしています。

ダークブラウン系の内装にすると、鮮やかなグリーンやブルーは使いにくいと思われがちですが実は相性が良いんですよね。

 

逆にあまりにも色の統一感に縛られてしまうと、単調でつまらない空間になってしまうので要注意。

 

 

 

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after

 

昔は玄関がその家の格式を示す場所で、広く豪華に作られたものです。

しかし時代は変わり今はどれだけコンパクトで機能的であるかが重要視されるようになってきました。

 

 

after

 

広かった玄関の一部にシューズクロークを設けました。

靴はもちろんコート類やアウトドア道具もしまえます。

 

 

 

 

after

 

リビングにはローソファとIKEAのデイベッド。

木製サッシの先にはウッドデッキと芝生の庭、更には遠方の山々を望めます。

 

床はオーク材のヘリンボーン、壁は漆喰や板張り仕上げ。

素材も本物を使うことで空間の完成度はより一層高まります。

 

 

 

 

 

 自然と繋がる暮らし

 

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after

 

元々建物の裏側は窓すらなかったのですが、実際は眺望が抜群でウッドデッキを計画するにはもってこいでした。

そしてこれが地方暮らしの醍醐味のひとつでもあります。

 

都会や住宅地でも外との繋がりを持たせた家の設計は可能ですが、切り取れるのはせいぜい「空」くらいです。

 

それだけでも気持ちはいいのですが、景色を切り取れたらそれはもう格別です。

 

 

after


「庭にプールを出して遊んでたら苦情を言われた」

「隣家のBBQの煙が臭い」

「朝から子供の遊ぶ声がうるさい」

 

SNSではよく目にする投稿ですが、ここではそのような問題は皆無です。


もちろん限度というものはありますけどね。




 ここまでやるなら新築でいいじゃん


必ずこのような意見を頂きますが、気持ちはとてもよく分かります。

特に今回のような超大掛かりなリノベはどうしても新築並みの費用がかかってしまいます。


それでもリノベを選択するには理由があり、そのひとつが補助金です。


今回は国や自治体などから計400万円近い補助金が出ています。


もちろん補助金だけが理由ではなく、建物の状態や立地など、住まいとしての基本的な部分も考慮して総合的に判断する必要があります。


私自身も築52年の空き家をリノベして暮らし始めて5年が経過しましたが、このまま問題なく築60年を迎えられそうです。


ここ最近の金利上昇で月の返済額も増えてますが、そもそもリノベで借入額が少ないので影響はほとんどありません。


ただ築古住宅は保険料も大きく上がっており、そもそも築古は受け付けない保険会社も多いです。


そこに関しては少々注意が必要ですね。





 結局リノベはお得なのか?


もちろんお得だと思っているから勧めているわけですが、新築よりも大変であることは間違いないです。


お施主さんも工事する側も大変です。

良質な物件を探すのに何年もかかっている人も珍しくありません。


そして知識や経験の乏しい業者に捕まって、残念なリノベに後悔している人がいるのもまた事実。


まずは空き家リノベのメリット・デメリットをちゃんと理解するところから始める必要があります。


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