俺町物語 -4ページ目

打倒、通り魔/ヒカル

隣人

隣の部屋にはなにか得体の知れない人間が住んでいる。


いや、人間と呼ぶのも憚られる。


もはや、獣である。




見てしまったのだ。




そいつが夜、猫を捕まえ、殺しているところを。





そして不幸にも、目があってしまった。




やつは猫を持ったまま帰ってくる。




足音が俺の部屋の前まで来てピタリと止まる。





男が俺の部屋の前にいるのはほんの三秒ほどだったに違いないが、俺には無限の時間に感じられた。




そして男は動き出す。



何事もなかったかのように自分の部屋に戻る。




ふぅ、と息をつき、俺は眠りにつく。




趣味が悪いやつだが、俺に害は与えないようだ、とそのときは思った。


しかし、問題は起きた。




次の日、会社から帰って部屋を開けると、信じられない光景が俺を待ち受けていた。




昨日見た猫の死骸がベッドの上にある。




それどころかその猫には包丁が刺さっており、その齒は布団にまで貫通し、垂直に立っている。




布団は猫の血で紅に染まっている。






その一瞬、頭がおかしくなりそうなほど寒気がした。




冬なのに汗が止まらない。



汗が吹き出すのに震えが止まらない。




「どう・・・して―――?」




戸締まりはしたはずである。



猫云々より怖いのはむしろ隣に住む男の方である。




これは男からの警告ともとれた。




『部屋に侵入することなど、屁でもない』とも



『猫のようにおまえも殺してやろう』とも


とれる。





ゾクッと背筋に悪寒が走る。



そうだ、警察だ。



と思い出したかのように携帯を取り出す。





が、電話している場合ではないかもしれない。





相手はこの部屋に侵入できるのである。




もはやこの部屋は安全ではあるまい。




交番に行き、かくまってもらうことが先決だ。




そう考え勢いよく部屋から出ると、そこには隣の男が立っていた。




両手にはスーパーの袋。





その中には大量の猫の死骸が入っている。




男は唇の端をこれでもかというぐらいに上げて、ニヤリと笑う。




「作りすぎたので、おすそ分けします」





男はそう言って、袋を差し出すのであった。

見えない男

俺は普通の人間だった。



昨日までは・・・。





朝、起きていつも通り朝食を食い、大学へ向かう。



途中で車にはねられそうになる。



なんて荒い運転だ。



大学について、席を確保する。



友人の相田はまだ来ていない。



あいつの席もとっといてやるか。



数分後、寝癖をたっぷり生やした相田が登場。




「よぉ、今日も寝坊か!?」




という俺のセリフを無視して、ちょっと離れた席に座る。




・・・どうやら今日は機嫌が悪いようだ。




教授が来て、レジュメを配る。



そのレジュメが前から後ろへ手渡されていく。




もちろん、俺の元へも・・・来ない?



俺を飛ばして後ろの席の人物にレジュメが手渡された。




気付かれなかったのかな。




いつからこんなに存在感の薄い男になってしまったのか・・・。




仕方ないので最後尾まで行ってレジュメを取ってきた。




その後は順調に授業も終わり、昼食の時間となった。




機嫌が悪かったけど、一応相田も誘ってやるかと声をかけるがまた無視される。




俺、なんかしたっけ?



ほとぼりが冷めたときに何事か知らんが謝っておこう。



相田の機嫌も良くならないので、一人で学食に行くハメになった。





「おばちゃん、カツカレー一つ。」




おばちゃんはこちらの要望に耳をかたむけない。




おばちゃんと呼ばれたのが気に食わないのか?




ならばとばかりに俺はお姉さんと呼んでみたが、やはり無視。




それどころか、俺の後に来たやつが注文し、それを受け入れるおばちゃん。




なんだってんだ。




「見えないのさ」




耳元でそんなことをつぶやかれる。



誰だと思って振り返ると、フードを深くかぶった男が立っていた。




俺があんぐりとしていると、男は言葉を続けた。




「君の姿は今、君と僕以外の人間には見えない。」




「何を言って―――――」




「僕の言葉が信じられないかい?今日、おかしいことは起こらなかった?」



「別に、なんとも・・・・」



いや、待てよ。



相田が機嫌悪そうに俺の言葉を無視していたのって、こいつの言うように俺が見えていなかったからか?




それにレジュメも飛ばされるし、カツカレーも食えない・・・・。




これって、まさか。



「どうやら心当たりがあるようだね。」



その男はフードを深くかぶっていてよく見えないが、口元だけ微かに笑っていた。




ここは昼時の学食で、周りの人間はとても騒がしく行き来している中で、俺とこの男だけ異次元にいるような気がした。




「でも、どうして・・・!?」




もし、もし仮に俺が周りの人間から見えていない、存在感ゼロ人間になってとして、そんな不条理なことがなんの理由もなく起こるのであれば、俺は神様を恨みかねない。



「それは・・・僕にもわからない。」




「なんでだよ!お前は・・・お前は俺を助けに現れたんじゃないのか!?・・・手を差し伸べてくれるんじゃないのか!!」




「残念だけど、助けられない。僕も・・・・・」




次の言葉を聞いた途端、不安と絶望が入り混じる感情が俺の顔からにじみ出るのだった。





「僕も君と同じ境遇だから・・・。それに、もう三年もこの状態だ。」




そう言うと男は苦笑した。

先輩と後輩

先輩「なあ、後輩」


後輩「なんですか?」


先輩「俺は学年が上だからこそ先輩なんだよな」


後輩「はい」


先輩「ならば・・・!」


後輩「ならば・・・?」


先輩「留年してしまいお前の同じ学年となってしまった以上、先輩ではないのではないか・・・!?」


後輩「・・・・・・・・。」




ある日、先輩は留年してしまった。




先輩「なあ、後輩」


後輩「なんですか?」


先輩「いいことを思いついた。」


後輩「?」


先輩「俺は留年になり続ければ、大学生のままだよな?」


後輩「そうですが・・・・?」


先輩「そしたら、働かなくてもいいんじゃないか?」


後輩「・・・・・・・・・・。」




先輩はダメ人間である。




先輩「なあ、後輩」


後輩「なんですか?」


先輩「俺、お前の学年のやつと全然面識がないんだが・・・。」


後輩「じゃあ、誰か紹介しましょうか?」


先輩「いや、お前それ、どう紹介するんだよ?」


後輩「?」


先輩「『この見るからにダメ人間が留年した先輩です』と、紹介するのか?」


後輩「・・・・・・・・・。」




先輩はあくまで、僕に依存するつもりである。

犬猫

犬「わん」

猫「おい」

犬「!?」

猫「いや、そーいうのいいから」

犬「(おい、ご主人様に聞かれるだろ)」

猫「もうさ、最近鳴きまねするの面倒になってきたんだよ」

犬「面倒って・・・」

猫「飯が食いたいのに遊んで欲しいと勘違いされるし・・・」

犬「それでもおまえ楽しそうに遊んでたじゃないか」

猫「・・・・・そりゃおまえ・・・本能だもん」

犬「飼い主は俺らがしゃべることなんて望んでないんだよ。犬ならワン、猫ならニャンってな具合で鳴いてないとダメなんだよ。」

猫「それが意味わからん。犬のワンならまだ許す。だが、猫のニャンはなんだよ。」

犬「なにが不満なんだよ」

猫「なんで小さい『ゃ』が入るんだよ。なに?ニャンって・・」

犬「仕方ないだろう。この地域の人間はみな、猫はニャンと鳴くと思ってるんだから」

猫「だとしてもニャンはないわ・・・猫に対してかわいらしい妄想を抱きすぎだろう。現実はもっとえげつないのによ。」

犬「じゃあどんな鳴き声が適切だと思うんだ?」

猫「そうだな・・・じゃあ飯が食いたいときは『メシ』遊びたいときは『オンナ』犬に死んで欲しいときは『イヌジニ』といったようにある程度鳴き声が変化するのがいいと思うんだが」

犬「犬に死んでほしいときってなんだよ」

猫「まあ気にするな」

犬「・・・・・・。」

ヒカル-2

学校行事のなかで最も面倒なものはなにか



という設問があったら誰でも即答することだろう。




そう、テストだ。





例外なく男的少女、ヒカルも面倒だと思っていた。




「ちくしょーわかんねー。おい、ショウ教えろバカヤロー」


とヒカルがきつく歎くとショウも不機嫌な様子で

「馬鹿はおまえだ。俺はおまえと同レベルだから俺が教えられることなんてねーんだよ」


と荒々しく答えるのみだ。



その返答に対してヒカルはつまらなそうに舌打ちをした。




その二人に一人の男が近づく。




「君達なーにを悩んでるのだね。どーせテスト勉強についてだろう。それならこの学年一の成績を誇る湯浅秀平にお任せあれ。」



両手を広げ、政治家のように演説をした湯浅にヒカルもショウもこの男とは関わらない方がいいと本能で察知した。




「ヒカル、ジュース買いに行こうぜ」


「おう」



二人はすべてをなかったことにした。


そう、なにも見てないし聞いてない。




「無視ぃ!?!?いや、ごめん、ちょっと調子に乗り過ぎたわ。変なテンションで絡んで悪かったって」



さっきと一変して低姿勢になった湯浅に二人は敵対心を込めた目を向ける。




「ふしゅぅぅぅぅ」



「怖っ・・・なんだよ・・」

ヒカルは湯浅を睨みつけ、息を吐き出している。



「自分が余裕だからって調子に乗るなよ、タコスケ」


ショウも加勢する。

ヒカル

「授業だりー」


どこの高校でも同じようなことが言われているだろう。



しかし、この発言者は少女である。



ショートヘアだが、スカートをはいているから、少女に違いない。



しかし、この少女、態度は全く持って男のそれ同然。




「おーい、ショウ!なに見てんだ!」



この少女にショウと呼ばれた少年は、窓越しに外を眺めている。



「なんだ、ヒカルか。今日風強いだろ?パンチラが拝めるかなーって思ってな」



どうやらこの男まさりの少女はヒカルというらしい。




ヒカルは、その言葉に飛び上がって言った。




「マジかよー!!おい、俺にも見させろ!」




ヒカルはショウのパンチラという発言に対して怒るでも呆れるでもなく、

自分も見たいという気持ちをあらわにするのだった。




「お前、ほんとに女か?」



ショウは呆れて言う。




「あーら、女の子に見えない~?」



ヒカルはわざと女の子っぽいそぶりを見せる。




「・・・・・・・。」



ショウはそれを見て、顔を赤らめる。



ヒカルは普通に女の子っぽくしていたらそこそこかわいいのだ。




「おいおい、どーした?まんざらでもないカンジぃ?」



ヒカルはショウのリアクションに対して、煽りを入れる。



「そんなわけねーだろ!バーカ!」



男子高校生はいつだって素直ではないのである。



さて、このヒカルという少女。



男勝り過ぎて学校から特別な扱いを受けている。




それは、体育の時間。




「おーい、ヒカル着替えに行こうぜ!」



「おう、今行く。」




といった具合にヒカルは男子と共に更衣を行うのだ。



これはヒカルの意思ではなく、他の女子達の意見だ。




ヒカルと着替えるのが嫌だという意見を当初、いじめではないかと担任教師も思ったが、

ヒカルの行動の男っぽさからその意見に賛同したのだ。




これには男子達は最初は歓喜の声を上げていた。



しかし、ヒカルのことが好きなショウの存在によって男子たちのヒカルへの視線は妨害される。



男子全員を一分以内に着替えさせ、誰もいなくなった更衣室でヒカルを着替えさせる。



このときショウはドア付近で誰も更衣室に入らないか見張るのである。




「いつもすまないな」



ヒカルは本当に申し訳なさそうに言う。



態度こそ男の子っぽいが、本当は素直で良い子なのだ。




「アホ達にお前の着替えを見させたくないからな」



「なあショウ。」




「ん?」




「俺の裸ってさ・・・需要あんの?」




ヒカルのこの言葉にショウは噴出し、顔を赤らめる。




「・・・ま、まあ一応身体は女の子だし・・・見たいやつもいるんじゃない・・・か?」



「ふーん・・・。ショウはどうなんだ?」




「え!?俺・・?なんで俺になんだよ!!」



「別に深い意味はないさ。」




埋まる人間

朝、いつものように会社に向かおうとすると、うちの庭におっさんが生えていた。




一心にこちらを見つめるおっさん。




下半身が埋まっていて上半身だけが飛び出している。




悲しげな顔をしているもんで、ついつい声をかける。




「なんでこんなところに生えてるんですか?」




するとおっさんはこちらを一瞥し、ため息をついて答える。




「あんたもいずれわかるさ・・・」




絶対にわかることはないだろう。



と、思っていたんだが、今の俺は現にこのおっさんの隣で埋まっている。





世の中には二通りの人間がいる。





埋まっている人間と、そうじゃない人間だ。





埋まっている間俺は、人間としての尊厳を失う。




と同時に、埋まっていない人間に俺の存在は認識できない。





俺のことが見える連中はもうそろそろこちら側の人間になる、ということだ。

小さいおじさん

さっき、amebaニュースで『小さいおじさん』の記事が載ってました。



僕は見たことないんですが、なんでも見た人を幸せにするんだとか・・・。




現代版座敷わらしといったところでしょうか。




僕のイメージでは、明星チャルメラのあのおじさんなんですがw






↑彼です。




でも、目撃例はバラバラだそうです。



ジャージ姿、サラリーマン風、侍風などなど・・・




もしかしたら、アリエッティみたいな感じだったりとか・・・w

コタツ

すっかり寒くなりました。




朝、起きれません。





そんな僕の頼れる味方――――コタツ





ちょっと早いかも ですが、もう出しちゃいました