『徳川家康』の読書メモです。
またつけるのを忘れていました。このメモをつけるにあたっては、軽く読み直すに近いことを毎度やっているので、えらく時間がかかるです。
「都鳥」
松平忠輝、福島も領地に併合して六十万石の大大名に。嫁の五郎八姫、父・伊達政宗が忠輝を天馬、長安をそれに乗った狐と評していたと話す。なるほど。確かに「当たっているような当たっていないような」。
そこへ長安が卒中で倒れたとの知らせ。連判状に名前を書いちゃってる忠輝、家老の花井に状況の拙さを説かれて心配になり、五郎八姫を伴って長安の見舞いに行くことに。
「狂気の正気」
於こう、出来上がった緑の小箱に隠す手紙をしたためる。初恋の人、光悦に宛てた遺書。秘密を知っている者を長安が生かしておくはずがなく自分も近々、殺されると思っている。
長安、卒中というのはウソだった。更に、奇妙な生活が詳しく書かれ、びっくりすること多数。すごい気持ち悪いヤツだな、これ。黒川谷に黄金を運んでは隠しているらしい。
忠輝が見舞いにやってきて、どうなることかと思ったが、長安は仮病であることすら隠さず、泣いたり怒ってみせたりふざけたりごまかしたりして丸め込んでしまった。忠輝さあ、これはちゃんとしとかないと後々、マズイんじゃないの? いや、まあ、確かに長安みたいな海千山千の山師が相手じゃ若い忠輝にはどうにもできないかもしれないけど。こんな男を家臣に付けられるとは運が悪かったね。
「地鳴り」
加賀にいた光悦、京に戻る。
於こうに託された緑の小箱の隠し引き出しにあった手紙を読む。
長安の計画は……忠輝を奉行職に頂き、政宗と組んで世界中の貿易を一手に収めたい。キリシタン大名を糾合し外国への伝手をつくり、隠し持っている莫大な黄金があればそれも夢ではない……みたいな。これは謀反ととらえられても仕方のない話で、政宗が家康を怖れて長安に背を向けたと手紙には書いてあった。もっと事実を知りたい光悦、大坂城から戻った於みつから話を聞き、調査と手伝いをさせることに。
「先進国日本」
慶長十五年春先の家康の様子。
尋ねてきた加藤清正と話し合い。名古屋城の金の鯱のこととか。大坂とも平和なムード。ただ、家康は、いつか秀頼には(あくまで平和的にではあるが)大坂城から出てもらわねばならない、とは考えているらしい。
「火星木星」
海外に伸び行く日本の交易。「信長や秀吉の頃を思うと隔世の感」と文中にあるが、まったくそう思う。
三月末、二条城にて家康、秀頼と対面。清正、高台院も同席、和気藹々、たいへん楽し気な様子。秀頼は六尺一寸、とある。当時で180越えとは凄い。家康、秀頼が気に入ったらしく、説教癖丸出しにして秀頼に様々な忠告。
……清正は、その都度涙が出そうになった。
(若君が、これほどくどく、男の愛情を押しつけられたことがあったであろうか……)
と書いてあり、これわかる。じいちゃんがそうだった。会社の年取った人とかね、そんなこと言われんでもわかっとるわ、みたいなこと言うのも後から考えるととても思ってくれてるんだよね。
会見は大成功だったが、別の間の本多正純と大野治長は険悪ムードだった。正純と修理とか、いかにも合わなさそうな組み合わせ。
「啓蟄」
淀の方、京での会見の様子を大野治長に聞かされる。治長は本多正純に散々いやな思いをさせられて面白くないので、あることないこと、良くない噂話をメインに仕立てて報告した。淀君、虫の居所が悪いところにそんな話で、またヒステリーを起こす。家康と秀頼の微笑ましい睦まじさに感銘、幸せ気分が抜けきれないまま報告に来た清正、淀の方に手ひどく当たられてうちひしがれ退席、かわいそう。織田有楽や片桐且元も手に負えない我儘ぷり。淀の方、これをなんとか早いうちに遠ざけていれば大坂は助かったかもしれない。城内にはもう手向かえる者がいない感じ。こりゃー悪い方に決まった。
「流れ聖者」
本多佐渡と大久保忠隣の対立が如実に。長安のとこにソテロが来て脅迫、次に松尾松十郎という正純の手代の同心が来て、また脅迫。ここで、驚愕の事実。於こう、長安に殺されていた。こういう形で登場人物の死が知らされるのは新鮮。長い読書歴ながら、ここまで衝撃的だったのはこれまで無かったかも。
「山祭りのおりに、着飾った女子衆やら、身内以外の抗夫やら百七八十人ほど、一度に淵に落されたようで……」
「ハハ……何をいうのじゃ。おぬしも、あのおりの出来事を、わしの仕組んだ悪事と思うて居るのか。あれには証人は幾らも居る。あれはのう肝心の藤づるが虫に食われて朽ちていた……そのための奇禍であったのだ……」
「といういいわけの通るはご家中だけのこと。あのおり淵に落ちこんだ於こう様という女性の幽霊が、夜な夜な出ると聞きましたが……」
ショック。
悪いやつだな、この長安というのは。どこまでひどいんだ。
「悪の良心」
脅迫された長安、本多親子に弱みを握られる前に、有利にことを進めようと、計算。
有馬晴信の件で銀を受け取っている「事実」のある、岡本大八を始末することに。
ああ、長安悪いヤツだ! こういう問題のある人間をなぜ重用してしまうのか。少々なら仕方のない……とも思えるが、ここまでひどいのは……ちょっと許せないな。現実にも歴代総理まわりにいるけどこういう感じなんだろうな。
「羊と狼」
松尾松十郎、於みつに接触、於こうが殺されたことを知らせる。綱を切って桟敷ごと、谷の深い淵に落して一度に大量殺戮、『零』とかに出てきそうで怖い。
大坂城から戻った角倉与一の話を聞く光悦。大坂はすっかり旧教側(イスパニヤ・ポルトガル側)に取り込まれているのではないか、との報告。本当ならいよいよ良くない状況。
「一期一会」
於みつ、光悦に会い、於こうが殺されたことを報告。
悪を憎む生き方はどうだとか、鬼がこうだとか神仏論を語り合う。
所司代の板倉勝重を訪ねた光悦、長安に関する疑問をぶつける。岡本大八は安倍川原で火刑に処され、本多正純は争いを避けるため、有馬晴信を長安に預けたと知る。それから二人、「一期一会」という言葉について考える。それでもやはり勝重、「ご忠告の石見守がこと、忘れはおきませぬ」とポツリ。うーむ、こうして悪は少しずつ少しずつ裁かれていくのか。でもそんな悠長なことではいかんと思う。殺された人の身になって考えてないな。
「霜の叛骨」
伊達政宗、ソテロの腹の底を知る。その後、秀忠に会ってソテロの助命をさせられる。うーん、これは……たまたま、そうなったのか。それとも、秀忠が政宗を利用したのか。或いは政宗が秀忠をうまく使ったのか。政宗がうまいことやったのかな?
「毛虫の生命」
慶長十八年、大久保長安、庭の毛虫を焼いている際中、今度は本当の卒中で死ぬ。金に関する要職に就きながら遺言もなく家族ですら本当の年齢を知らないようなありさまで、てんやわんや。
「火山活く」
長安の長女は伊賀者の頭領服部半蔵正成の次男・服部正重に嫁いでいて、正重が本多正純の屋敷へ死亡報告。正純、「大掃除をする」とか言ってる。服部正重、舅の不正を調べ上げるハメに。
本多正純、登城して家康に、連判状を皮切りに、松平上総介の名も出して長安謀反の報告。家康はキレて怒鳴ったり震えたり泣き出しそうになったりかわいそう。
家康、柳生又右衛門宗矩を呼び出すと極秘で内偵を頼んだ。
「五柳の根」
柳生又右衛門が八王子に着くと服部正重が連判状の写しを出してきた。本物は駿府の本多正純に、さらにもう一通、写しを秀忠に送ったと聞いて「遅かった!」と歯噛み。他にも出てきた手紙まで一緒に送っていたり、服部のやることなす事、下手ばかりでアタマは良くないらしかった。
又右衛門、江戸に着くと、城内は「大久保石見守に叛心あり」の噂で大騒ぎ、秀忠が面会。又右衛門は連判状については長安の悪ふざけだったのではないかと正直に思う所を述べる。秀忠は金銀の不正についてのみ取り調べると言明。連判状には弟の忠輝の署名もあるので触れない模様。
「万雷落つ」
駿府の正純、連判状を持って家康に伺候。家康は、悪意のない連判状ではないかと言い、平静に見えたが正純からすると、打撃を受けているのがわかるらしかった。
翌日、又右衛門が家康に会ってみると、眠れなかった様子。秀忠が連判状の写しを見ていることを知ると、顔色が一変、夜叉のような顔になったとある。秀忠が家康に対して抱く絶対の信頼と愛情に隙を生じさせるものと考えたらしい。自分が若かったら大久保と本多の派閥争いなど起きる筈もなかったと、もうかなり弱々しくなった家康。
長安の隠匿していた金は幕府に収めていたものより多かったらしい。
大坂城に切支丹が集まって謀反の計画を立てているとか、加賀の高山右近、九度山の真田幸村に密使が送られた、とか。
伊達政宗のアタマのキレの良さが終盤、書かれている。
「陰謀以上」
政宗、家康の死後を見据えて凄まじい作戦。どちらに転んでもうまくいく手。
家康も手をうっておかないと秀忠以降の代が危ないことに。まず、江戸へ行き忠輝に会い、処断するかどうするか。又右衛門に意見を尋ねつつ、江戸へ着くまでに肚を決めるらしい。
忠輝はそんなに悪いやつではないと思うんだけど、多少アタマがよくないかも。どうなるんでしょうね。
以上でした。
長かった『徳川家康』も、残すところあと、23・24・25・26巻の4冊となりました。大坂の陣2回で1巻ずつとして、ちょうどいいくらいの配分です。
最後はどんな風に書かれるのか楽しみです。
今日は連休最終日で、ガッカリです。
朝からいい天気で、洗濯して外に干しました。
昼に駅前の古い店でエスカロップを食べました。
夕食まで寝てしまって、食後もまた寝てしまい、眠くないです。困った。
3連休は土日月のパターンがいいです。金土日だと、金曜日の夜を過ぎたらもう、普通の土日と同じになりますから、特別感が薄れます。その点、土日月のパターンですと、月曜も休めて次の週は火水木金の4日でまた土日になるので気楽です。
ああ、月曜日は嫌です。いつまでたっても。