猫のミーニンが死んでからというもの、仕事中はともかく、家に帰ってからは何かしていないと気が狂いそうで、意味もなく部屋の片づけをしていた。
おかげで見違えるような部屋になり、別のお宅みたいになってしまった。
もともと、部屋の模様替えとかしたかったんだけど、ミーニンがビックリしたら可哀そうだからと、2002年からずっと同じ部屋だったのだ。
この機会になんかいろいろ吹っ切れたら、とベッドを買ったりタイル式のカーペットを市松模様に敷いてみたり、ずいぶんオシャレな部屋になった。
片づけている間、いろんなゴミが出るわ出るわ。特に「開かずの押し入れ」、この奥は魔境だったね。
押し入れは左側の戸しか開かなくなっていた。右側は本棚でふさいでいたのだが、本棚をどかして右側の戸を開けると、下の段にギッシリとエロ本が積まれていて気が遠くなった。左側からみると、布団でうまくカモフラージュされていて、そんなものがあろうとは思いもよらない。私自身、すっかり忘れていてわからなかった。布団があるものとばかり思っていた。1m×1m×1.5mくらいのスペースにビッシリ、ロリから熟女まで漫画やら写真集やら雑誌やら、アマガミの橘さんもかくや、といわんばかりのとにかく幅広いラインナップ。昔は元気だった。今回、腹をくくって全部紐で縛って古雑誌回収の日にすべて出した。恥とか気にするような年齢ではなくなっていたから、平気で出した。資源ゴミ回収の人は喜んだだろう。
右側の上の段には玩具がグダグダ詰め込んであって、ガラクタの山であった。ゴミ袋に詰めても詰めても際限なく奥からでてくる。ガチャガチャのミニフィギュアやらゲーセンで取ったプライズフィギュア、UFOキャッチャーのぬいぐるみやら。よくここまで買ったなと、無駄遣いしすぎな自分に腹が立ってくるレベル。
いらないものを片っ端から処分したら部屋がスッキリして素晴らしい気分に。
ミーニンが生きていたら、部屋が綺麗で喜んだに違いないとまた涙の日々。
が、仕上げに、子供の頃あこがれていて忘れていた「鳩時計」の存在を思い出した。そこで早速注文したのがこないだ届き、さっそく壁にかけた。
「ハッホー、ハッホー」
と鳩の人形が穴から出てきて鳴く。これはすごい。鳩が引っ込むときのシュパッ! とした切れのある動作がこたえられない。
ただ、これもミーニンが生きていたら大騒ぎしただろうなと想像してしまって笑えるやら悲しいやら。若い頃のミーニンだったら、どうにかして鳩時計の中を見ようと夢中になったに違いない。最近のミーニンだったら初見はビックリしても、(またくだらないものを……)とひとりごちておしまいな気もする。
いつかミーニンの苦しむ姿や死の間際の辛い感情は忘れ去って、楽しい記憶ばかりが残るようになるのだろうか。
猫を飼う、ということでは(これでいいのだろうか)と思う点も多々あった。避妊手術とか室内飼いとかヒトという他の種族の中で愛玩動物として終えるミーニンの一生とか。愛していればこそ、真剣に悩まざるを得ない矛盾、みたいな? これでいいんだ、と納得するしかないながらも、やっぱそれはどうだろうと思い直す堂々巡りでアタマがパーン! てなるから考えるのを止めていたけど。今でもそれは変わらないかも。ただ、今はそういうのから離れて、休みたい。最近、やっと疲れが出てきてあちこちガタガタ。
2015年2月のミーニン。13歳。実にミーニンらしい優しい表情。ただただ懐かしい。