2016年のドキュメンタリー映画。アメリカにおける人種差別の歴史と、原作者であるボールドウィンの回想と考察。最近よんだ、榎本空さんの『それで、君の声はどこにあるんだ?』という本が素晴らしくて、それ以来、アメリカの人種差別問題に興味があって観たやつ。

「パリではアメリカをちっとも恋しく思わなかった」というボールドウィン。アメリカ嫌いのアメリカ人、たまにいますよね。私にも、これとまったく同じことを言うアメリカ人の知人(黒人)がいる。しかし、これを白人が言うのと黒人が言うのとでは、その背景がだいぶ違うように思う。

キング、マルコム、メドガー・エヴァースといった黒人活動家に触発されて、公民権運動に参加するために帰国したボールドウィン。アメリカの人種差別の何が恐ろしいって、個人が差別するってだけの話じゃなくて、差別を国が、州が、公に認めてたってことですね。つまり国が、誰の命が優で劣なのかを、勝手に決めていたという。怖!!

ボールドウィンは映画の最後にこんなことを言うのです。「私はニガーではない。ニガーとは、白人が生み出した言葉だ。それについて白人が向き合うのなら、現状を変えていくことができるかもしれない」

加害と被害に分けられる物事って、被害側の声が圧倒的に多く聞かれる。そりゃそうだろうと思う。加害を語るときって、まず自分がそれを認めるのが難しい。そして加害を語られた被害者がどう思うのか、に対する正解がないのが難しい。だけど、私は加害側の声も聞きたい。なぜならこの世界で、自分がいつ、知らないうちに加害側に立っているかもわからないんだから。

これからを生きるすべての人びとのために、この前人未踏の大事業に先鞭をつけるのが、アメリカの白人の社会的責任という気がする。

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