中国の気鋭アニメーター・劉健の初長編監督作。

舞台は2008年の中国、誰も彼も人より一円でも多く金を得ることだけを考えているような社会。折しもアメリカの金融危機のあおりを受けて、失業率は跳ね上がっていた。

そんななか、最後の良心を体現したような主人公の青年シャオジュン。自らも職を失いながらも、ひき逃げされた老婆を親切心で助けたら、その家族にひき逃げ犯と疑われ逮捕。警察は腐敗して機能しておらず、誰もたすけてくれない。何この、夢も希望もない展開は、、、

欲望と暴力と腐敗でぶよぶよに肥りきったような社会で、正しく生きようとすることは何の役にも立たない。こんな社会で若者に希望を持てというほうが無理!

とにかく暗い、閉塞感満載。共産党時代のヤン・シュヴァンクマイエルに雰囲気が似てると思った。

最後はちょっと、劉健監督が一ミリだけ希望のようなものを残した、と言っていいんでしょうか。でもあの良心だけが生き延びたのは、ただの偶然なんだよな。何とも、無力感に打ちひしがれる映画でした。。。