愛、というタイトルの映画です。
家族が病に倒れてもう回復の見込みがないとき、それぞれの立場から、愛するってどういうことなのだろう、と考えてしまいました。
娘としては、母親のアンナをホスピスに入れて最新の治療を受けてもらいたい。夫のジョルジュは妻を最後まで家で介護したい。でも当のアンナは自分自身を何より愛しているから、もうこれで終わりにしてあげたい。
理由がぜんぶ、「愛してるから」っていう悩ましさ…。

夫のジョルジュが外出先から帰ってきたとき、開いた窓の下で、車椅子から落ちて床に座っているアンナを発見するシーンがあります。口には出さないけど、たぶん、あのとき自殺しようとしていたんでしょう。半身不随になっても、アンナの大切にしている自尊心のようなものが垣間見えたとき、正直、グッときた。カッコイイ、と思ってしまった。
そういうわけで、私が一番応援したかったのは、アンナの自分自身への愛でした。