『帶我去遠方』=私を遠くへ連れて行って、が直訳ですが、邦題なら「ここではないどこか」くらいがちょうどいいかも。
台湾青春映画です。
台湾南部の田舎町に暮らす、主人公の女の子・阿佳とその兄・阿賢。二人はとても仲良しですが、両親が離婚したため、別々に住んでいます。
阿佳は、しょっちゅう兄の阿賢を訪ねては、本好きな彼に世界中のいろんな話を聞かせてもらいます。
前半は、小学生の阿佳の空想が、ところどころCGやアニメーションになって差し込まれて、見ていて楽しい。
あるとき、兄の阿賢が、観光で町を訪れた日本人バックパッカーのイケメンに一目惚れし、バージンを奪われます(´д`)ハァハァハァハァ
翌日イケメンはさっさとフェリーに乗って出発。それでも阿賢は、埠頭を走り、「再見!」と叫び続けます。(←イケメンの別れ際の態度が冷たくてフビン。ヤリ捨てやめれ(*`Д´*))
ずっとそばで兄の失恋を見ていた阿佳。きっとあんなに近くにいた兄が、ずっと遠くの知らない人のように感じたことでしょう。それを静かに受け入れる阿佳がまた素敵なんだけど。
そんなある日、阿佳は学校で色盲と診断されます。美術の時間にも、ひとりだけおかしな色の絵を描いてしまい、クラスでも浮いた存在に。
両親の離婚、ゲイの兄、そして色盲。
無邪気だった阿佳は、だんだん感情を表に出さず、笑わない子になっていき、楽しかったCGやアニメーションもなくなります。
このへんの、子どもがこころを閉ざしていく繊細な感じは、胸が締め付けられるところ。
そんな折り、阿佳は兄から、太平洋のどこかに、突然変異で色盲の人しか生まれない島があることを聞かされ、衝撃を受けます。
ここではないどこかに、私がフツーになれる場所がある。人と違うからこそつのる、焼け付くようなフツーへのあこがれ。うーん、身につまされます。
そして兄の阿賢と、いつか一緒に行こうと約束するのですが、、、
後半は、阿佳は専門学校生に、阿賢は大学生になり、物語は続きます。
最後、あることが起こって、阿佳の顔に笑顔が戻ります。厳しい現実は何も変わらないんだけれど、ささやかでも前向きに生きようとする阿佳の姿に、隠居キュン死に。
台湾映画のいいところは、ゲイの描き方がすご~く自然で、至極フツーなところです。特別扱いを一切しないところに好感!