こちらもいわずもがなの超有名作品、是枝裕和監督の『誰も知らない』。2004年製作。

私は貧困をテーマにした是枝作品が好き。貧困のなかでも失われることのない人間らしさを描くのがほんとにうまいと思う。

今でこそ「万引き家族」なんかは、超有名バケモン俳優陣の共演みたいになってて安心してフィクションと思えるけど、「誰も知らない」は、私は当時YOUさん以外はまったく知らなかったし、これは演技なの…?っていうくらい超自然で、ふと今もどこかにあの子達が生きてるような気がしてくる。

健常でいる間は豊かな社会、でもひとたび問題が発生すると誰も助けてくれない社会。金のないあの子達のほんのすぐ近くに金持ちの大人が住んでいて、どこにもいけないあの子達のすぐ頭上をモノレールが走り、飛行機が飛んでゆく。目が潰れそうなコントラスト。

観終わったあと、近所のコンビニにコーラを買いに行って、たぶん20人くらいとすれ違ったけど誰とも話さずに帰ってきた。今夜、外国人の私がひとりアパートでひっそり死んでも、それこそ誰も知らない状態…。

誰でも、いつでも、「あの子たち側」にもなるし、「助けない側」にもなるのですよね。
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●文庫でました