レイモンド・カーヴァーの、没後に刊行された未発表短編集の表題作。

離婚寸前の夫婦が、もう一度やりなおせるかどうか、子供を祖母にあずけ、別荘を借り、ひと夏をふたりきりで過ごしに行く話。

馬がでてくるシーンなんか、すごくよかった。霧につつまれたあの夜だけ、何かをとりもどせたみたいで。

地味だけど丁寧に織りこまれたタペストリーみたいに、男女の心のうごきを書かずに見せる。読んだあと、登場人物全員が親しい友達のように感じて、しあわせを祈らずにいられなくなるのがたまりません。

前回読んだ『愛について語るときに我々の語ること』があんまりよかったので期待したが、今回はちょっと荒削りな感じがした。『必要になったら電話をかけて』って誰のことかと思ったらお前かよ!

でもやっぱり好きだなー、カーヴァー。