日台ハーフの一青妙さんのエッセイ。

かつて家族で暮らした家を取り壊すときに出てきた箱。その中には、早くに亡くした両親の手紙が入っていた。それをもとに記憶をたどっていく一青さんの話。

子どもの頃には理解できなくて、そのままにしていた自分の「台湾人」としてのアイデンティティを生き直すように、台湾・日本・アメリカの、両親を知る人を訪ねていきます。

すると当然、台湾が日本だった時代のことに話が及び、両国の浅からぬ歴史を、内側からのぞくように追体験できて、興味深かった。

一青さんは最後に、父の好きだった思い出の場所・日光白根山に登ります。そして、「ただそこに居るだけの存在意義」に戻っていく。ここが私が一番好きなシーンでした。

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●台湾の本(隠居の本棚より)
 
『満里奈の旅ぶくれ』(渡辺満里奈さんの台湾食い倒れ・飲み倒れ本)
 
『渡辺直美のたら福まん腹台湾』(日台ハーフの渡辺直美さんが食べまくる本)
 
『台湾で日本を見っけ旅』(おがたちえさんの、台湾に残る日本を探す漫画)
 
『台湾人には、ご用心!』(台湾研究者の酒井亨が台湾と台湾人を徹底解剖!)
 
『台湾論』(小林よしのりさんの台湾マンガ。台湾と日本の深い縁がよくわかる)
 
『李登輝学校の教え』(台湾の元総統・李登輝さんと小林よしのりさんの対談)
 
『わたしの台南』(日台ハーフの一青妙さんの、台南ガイド本)
 
『私の箱子』(一青妙さんの自伝的エッセイ)
 
『台湾人と日本精神』(日台の歴史を体現したような焜燦さんの本
 
『海角七号 君想う、国境の南』(大ヒットした台湾映画のノベライズ)
 
『恋する台湾移住』(旅作家の歩りえこさんの台湾移住エッセイ)