旅館・リゾートホテル応援団 伊豆・箱根・熱海 他全国の温泉地、里山活性化を考えます -4ページ目

御礼申し上げます。 平成22年最終日にて

年末、大みそかを迎え、久しぶりのリアルアップです。

今年4月に起業し、昨日まで精一杯生きてまいりました。

「志事」という点では、現場時代以上に心深く感じることができ

後悔はありません。

 今このとき、もう少し落ち着いて文章を書きたかったのですが、

言葉がまとまりません。

ブログを通じ知り合った方々をはじめ、応援・励ましていたみなさまへ

感謝の気持ちをお伝えしたかったのですが、

年明けまで持ち越します。

 本日は、私の勝手な区切りではございますが、

この至らない私に、ご支援ご指導いただきましたことに

御礼をさせていただきます。

皆様、よいお年をお迎えくださいませ。

地域再発見 

石田 学

“厳冬”に向けてのお宿のコスト管理PART1


ここ数年宿泊マーケットは変化しています。それは予約経路、ゲストニーズ、他業態からの新規出店、勝ち組負け組等のキーワードに隠されています。

 今までの成功経験、成功神話では通用しないほど、あきらかにマーケットが変化しているのです。


では予想される“厳冬”に対しどう対処すれば生き残って行けるのでしょうか?

ヒントは「雪国」にあると考えます。

私も北海道出身ですが、雪国では来たるべき冬に備え、秋から様々な“越冬”準備をします。

今からでも遅くありません。

お宿の越冬準備をしましょう!


・設備面

【隙間の目張り】

ちりも積もれば山となります。室温が1℃上昇するだけで暖房費の節約効果は大きく変わります。客室、パブリックなどチェックしましょう。特に業務用エアコンを使用する事が多いパブリックスペースは要チェックです。

【ガラス面への保温シート貼り】

最近では遮光性の低い高性能の保温シートが出回ってきました。外観、景観に大きな不具合がでる場所以外は貼りつけるだけで保温効果が上昇します。

【大浴場の夜間保温シートの導入】

ご存知のように、重油代は10月から上昇し、12・1月においては8月の4倍~6倍に跳ね上がります。詳細は先日アップした「お宿の簡単コストダウン術PART1 露天にシートを」
に記述してありますので参考にしてください。

未使用時と35%位違ってくるのは実証済みです。

【プラスワン毛布の準備】

寝るときに「少し寒いな」と思っても、以外に貸出してくれる毛布を用意されてないお宿さんは多いですね。「毛布」を買う経費か・・と悩む前に是非購入をお薦めします。寒ければ、殆どの方が「暖房」を使ってしまいます。加湿器も普及していますが、お客様は基本的に睡眠時暖房は使いたくないもの。暖房費節約+顧客満足度向上で好いことづくめです。(もし余裕もあるようならレストランなどでのご婦人用膝かけのご用意も)

【空調排出ダクトのチェック】

大浴場脱衣所やパブリックなど業務用の大型空調機を使用している場合、暖房の排出口の近くに意外に外部へのダクト口があり、そこから冷たい外気が流れ込んでいます。設備上必要ですので撤去はできませんが、この排出口の羽を本当に微量に調節しておきましょう。下手をすると「温めている傍から冷やす」というアホな結果に繋がります。

【給湯ボイラーのマメな切り替え】

館内で使用する給湯(一般のお湯)ボイラーを、施設さんによっては2つ使用する事も多くあります。その場合、給湯使用料が落ちる夜間23:00位~早朝6:00位まではボイラー1つで稼働し、未使用ボイラーのスイッチはマメに切りましょう。


・営業面

【DM準備】

普段DM(ダイレクトメール)を集客に活用していないお宿さんなら、是非活用しましょう。立地により閑散期は違いますので、例年集客に苦労する時期があればその1カ月前くらいにお手元に届くように作成し、発送してみてください。小さいお宿さんはコストを考え手書きで。その為に、早めからの準備をするのです。

【新聞折り込み連合広告の活用】

周辺顧客を費用対効果良く集客するには意外に効果が見込めます。例年、首都圏・大都市を除いて全集客の20%~30%位集めている地域の「新聞折り込み連合広告」を調べておきましょう。計画的に利用すれば効果大です。“厳冬”は宿泊業ばかりではありません。広告業界も稼ぎ頭の「求人」クライアントが不調で大変な事になっています今年はお得に出稿できるチャンスです!(但し、プラン作成には、周辺の競合店の価格やプランなど傾向と対策をよく考えて慎重に。このくらいで売りたいからは、もう通用する時代ではありません。)

【新規ネットAG契約】

現在「じゃらん・楽天」以外に幾つネットプランを掲載していますか?

勿論ターゲティング上重なり合うとか処理の煩雑化など、やらない言い訳はあるでしょうが、繰り返しますが“厳冬”です。少しでも幅広く告知する事は必要です。その場合、じゃあ明日から掲載、という訳にはまいりませんので、無料掲載(宿泊料発生手配)できる旅行予約サイトがあれば早めの準備を。

又賛否のある「ゆこゆこ」ですが、ノッポは個人的に今年度はすべきと考えています。お宿のマーケティングの基本は売上構築です。手数料率の高さは変動費です売り上げがなければ変動費は発生しないのです」

この理屈お判り頂けますでしょうか?

【料理の見直し】

 これは、「お客様を呼べる商品開発を!」と唱えているのではありません。先程プラン作成時のご注意で申し上げましたが、「“厳冬”用プラン」は宿泊単価が低価格路線に向かわざるを得ないお宿さんが多くなると思います。

 その時に、従来までと同じ考え方で「料理原価=宿泊代金×0.○○」的な発想で組み立てせず、料理原価も「変動費」と認識し宿泊代金以上の満足を提供できるものに見直そうという事です。料理も従来と同じ発想で提供すれば、ほぼ間違いなく“厳冬”どころか将来にわたって“氷河期”です

 ※この考え方は、月間の損益分岐点に到達しなければ、皆様の懸念通り食材費の圧迫になります。ですので、必ず、自館の損益分岐点売上高と、それを基に必要集客数を算出し、戦略を練ってください。お聞きになりたい事があれば、無料でお伝えさせていただきます。

【販促ヒント】

まだ他にも“厳冬”対策はあるのですが、あまり皆さんが同じことを実施しても逆に意味がなくなりますので・・・

先も書きましたが、ご質問があればお尋ねくださいませ。

ヒントの一つとしては、11-3月の比較的集客が容易な時期に、お泊まりいただいたお客様に「魔法の仕掛け」を施します。もう一つは、従来のネットAG予約サイト以外のインターネット集客法を活用します。勿論「変動費」で。

あっ、最後にもう一つ。クローズマーケットを使って思い切った戦略をとりましょう。


 お宿の越冬仕度、如何でしたでしょうか?

最後になりますが、この越冬仕度。早く考え、計画的に仕掛ければ、経費も効率的になりロスが減ります。また支払いベースも分散され「いい事づくめ」なのです。


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今日のテーマは実践で結構役に立つと思います。参考になった方は遠慮せずクリックしてください(笑

お宿の七不思議「サービス現場における交通整理能力とは?」

 すっかり恒例になってしまいましたが、ロッキーさんからまたもお題を頂戴いたしました。今回は略奪の感がありますが・・・・(笑

まずは、テキストコメントをどうぞ。


>~中略~
>一方、系列の偽装でとばっちりを受けているホテル内に入っている吉○でのこと。入るなり騒ぐ子供の声。まい

 ったなぁ・・・・ いろいろあったにせよ、まがりなりにも吉○なのに・・・ と思っているところに、運悪くその向かいの

 テーブルに案内されてしまいました。他にも席がありそうだったのですが・・・・ 親は騒ぐ子供に一向に注意する

 様子もありません。そこに、お店の方が「お席が開きましたので、あちらに移られますか?」と言われて移動しま

 した。なぜ最初にそちらの席にしていただけなかったのかしら?と思ったのですが、もしかしたら、近くの人が場

 所を移動することで、その家族に、メッセージを送ろうとしたとか?と好意的に考えてみました。しかしそのような

 サインを受け止められる家族には思えませんでした。サービスマンの交通整理の範囲を超えてしまっているファ

 ミリーも存在すると思います。その場合は分離していただきたいというのが本音です(笑)

>スパのレストランで、今度は大人の宴会の団体と一緒になり騒がしい思いをしました。その時は、お店の方の

 「さわがしくて申し訳ありません」の一言。何度か気遣っていただき、宴会プランを入れているお店としても、注意

 はできませんし、それはそれで、しょうがないか・・と思わされます。いずれにしても、「騒がしい状況を、気にして

 ますよ」という気遣いが、お店側からでも、騒いでいる側からでも感じられると、まあ、しょうがないか・・・と思えま

 す。サービスマンの交通整理に期待します。


 皆さんも宿泊旅館やホテル又は飲食店で同様のご経験をされた方は多いのではないでしょうか?

売上至上主義の宿泊施設や飲食店においt、サービスマンが最も困り、且つ能力を試される場面です。


 そういえば、私は勝手に「交通整理能力」と言葉に置き換えてしまっていますが、皆様には「交通整理=様々な利用目的を持つゲストのすべての目的を、限られた条件の中で、できうる限り最適な満足度を提供する現場対処法」と、ご理解いただければ近い意味かもしれません。


 では、交通整理についてお話をさせていただきますが・・・

その前に、今日はぶっちゃけてお話しさせて頂くことを、事前に宣言します!

そうでなければ、語れません。お察しいただければ幸いです(笑


 まず責任者として交通整理をする場合、交通整理が必要となる代表的なシュチェーションを

【部屋割】

【お食事時】

【チェックアウト時】

【団体宴会がある時】などが挙げられます。


 では、どのような思考回路で対応するのか順番にご説明します。

1.通常、前日に翌日のお部屋割を確認します。

その時点で、最初の注意ポイントがインプットされます。

例えば

・お部屋タイプの関係で上階に子供連れが入っている場合、お子さんの年齢等うるさくなさそうかチェック

・団体やグループの場合、団体名や男女種別、または営業・予約担当から情報を収集しチェック

・うるさそうな場合は、比較的耐性のありそうなお客さまを抽出し、部屋割をチェンジします。又はチェックイン時に判断し、お客様を見てからチェンジする事もあります

・記念日情報がある場合、カップル・ご両親へのプレゼント等属性によりケアポイントが変わりますのでチェック

このように、前日判る範囲内でチェック、対処をまずは行います。


2.当日のC/I時は前日の下チェック内容+気になるお客様チェックを行います。

・代表的なところでは、神経質そうなお客様や、おばちゃんグループ(さっそくぶっちゃけました)、癖のありそうなお客様などですね。

・慣れてくると、そのお客様を見ていると、起こりうる事態が結構推察されます。そのイメージした状況になりそうな箇所(清掃、アメニティ、人員配置等)を事前に再点検します。


3.いよいよ食事時です。この場合主にレストラン形式の場合に交通整理が必要となります。

・食事開始前に、料飲マネージャーや仲居頭と、当日の席割を確認します。

・その段階で、様々な情報から、考えうる最適な席割を最終調整します。

・子供が騒ぐのはあらかじめ想定済みですので、ぬりえやおもちゃ、絵本など対策グッズは予め用意しておきます。

・ここからはその日々によって様々なドラマが生まれます。よって一概には言えませんが、責任者として大事なことは「お客様にご指摘を受ける前に、如何に未然に対応できるか?」と考えています。

・その為には、常日頃からサービススタッフに、少しでも気になったら情報を入れてくれるようにお願いしておきます。

・私も失敗したことがありますが、お願いした以上どんな小さなことでも聞いてあげ、対応することが大事になります。それがどんなに必要ない事であったとしても・・・

「いっても対応してくれない」とスタッフに烙印を押されると、情報はあがってこなくなります。

・スタッフ情報もそうですが、基本的には自分の目で、五感で、雰囲気をかぎ取ります。

・又交通整理の判断基準となる宿の考え方。これは事前に経営者とすり合わせが必要ですね。

・ファミリーを含め騒がしいお客様の場合は・・・・最初は周辺のお客様にご挨拶まわりをします。そこで騒がしいお客様に対する情報収集を。

・この時大事なことは、騒がしいお客様であっても悪く言わない事ですね。「ちょっとお元気過ぎて・・・」「お酒が美味しいようで・・・」とかやんわりとご説明を心がけます。

・又このご挨拶まわりで、周辺のお客さまのケアした方がよさそうな方の判断も同時に行います。

・もう一点大事なことがあります。それは、宿が自分達にとって迷惑なお客の存在を把握し、対処しようとしている姿勢を、知っていただくことです。少々あざとく感じられるかもしれませんが、ケアしなければいけないお客さんにこの姿勢を見せておくことは、とっても必要です。

・最終的に「モンス○ーなんとか」なお客様の場合、はっきりいってそのお客様よりは、その他大勢のお客様の方が大切ですから。きちんと対応姿勢を見せておく事によって、最悪の事態になった時も「しょうがないか?」という、最終判断を引き出すことができるのです。


4.チェックアウト時に主に起こりうるトラブルは

・混雑時の精算の順序間違え

・請求過多

・聞きたい事を聞く担当者がいない(皆精算でお客様と対応している為)

・団体客がロビーを占領し、個人客が座れない

・常連客に対する過度のスタッフの接客

・お見送りの偏り(団体には総出で手を振り、個人客はほったらかし)

・請求作業の遅延など・・・・です。


主にと書きましたが、自分でも書き出すまでは、こんなに多いとは思いませんでした(苦笑

チェックアウト時は大きい宿になればなるほど騒然とします。その場合は、マニュアルは殆ど通用しなくなります。


責任者として交通整理に大事なポイントは、

1.C/I時より顔色が悪くなっているお客様を探す

2.あきらかにC/O時に不機嫌になったお客様を探す

3.キーをお返しになった順番を出来るだけ覚える

4.お見送りを含めた接客のムラを俯瞰で見る

事が、大事なポイントでしょうか。

これを、ご挨拶しながら、背中の目で見る訳です。


今日は責任者目線で、交通整理のお話をさせていただきました。

お気づきの通り、交通整理には、事前情報と準備はかかせません。

勿論、経験値は必要ですが、事前準備をしておけば、担当者レベルでも徐々にスキルはあがっていきます。


では、何故現状交通整理スキルを有する、宿泊施設や飲食店が少ないのか?

尤も飲食店の場合は、瞬間判断スキルがさらに必要とされますが・・・


 話が長くなりしたので、最後は簡潔に纏めます。


サービス業に、交通整理能力スキルが不足しているその訳は・・・・・・

交通整理スキルが高まれば、お客様満足度は必ず向上するのに・・・・・・・


 m(_ _ )m

2~3日中に書きたいと思います。


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【再掲】お宿の七不思議「お部屋割の不思議」

 本日もロッキーさんからお宿の不思議ネタを頂きましたので、テキストにさせていただきます。


Q:ところで、部屋割り表の話がありましたが、部屋割りというのも、お宿の不思議の一つでした。

一般的にお部屋というのは、前日には決まっているものなのでしょうか?

若かりし頃、夏の混雑の時期、遅い時間にホテルにチェックインしたところ、スイートルームを割り当てられたことがあります。おそらくこれはオーバーブッキングによるものだったと思うのですが、初めての経験だったので、遅くチェックインすれば、運がよければスイートに泊まれるんだ?と思ったものでした(笑)

またお部屋のリクエスト、あるいはアップグレードなどは、前日のうちに、お部屋は割り当てられているものなのでしょうか?以前、4部屋しかないプランで、そのうち富士山が見えるのは1部屋。富士山の見える部屋をリクエストしたところ、チェックインの順に割り当てますので・・・と言われ、間に受けて、チェックイン時間の少し前に行ったなんてことがあります。しかしあることをお願いしていたので、お部屋に入ったとき、なんだ、事前に部屋割りされてたんだ・・・・って思ったことがありました。この場合、2件の富士山の見える部屋の要望があった場合、リクエストが早い方が優先なのか、チェックインの早い方が希望が叶うのでしょうか?一般的な割付方を教えていただければと思います。


また、アップグレードについて、○○から予約するとされやすいとか、ホテル直に申し込むといいらしいとか、まことしやかに言われているようですが、予約の仕方によって違いがあるのでしょうか?海外のホテルなどは、身だしなみによってアップグレードすることもあると耳にするのですが、そうなると、お部屋はチェックインの段階で決まるということになると思うのですが・・・・また、アップグレードも、同じホテルで、無料で対応される時と、プラスいくらの場合があるようなのですが、どう使い分けているのでしょうか?

本題からはずれた質問になってしまい申し訳ありません。よろしくお願い致します。


まずはお断りを。のっぽの場合300室以上のシティホテル系にはかかわった事がありません。よって基本的には温泉旅館&リゾートホテルでの一般例としてお考えください。


:「お部屋割りの決まるタイミング」のご質問から。

 お宿のお部屋割りは基本的には常に存在し、残室確認をしています。細かい調整に入るのが、だいたい1週間前から3日前位。多少の違いはあるにせよ、基本的には前日の夕方から夜にかけて最終決定すると考えて宜しいと思います。そのあとは当日にかけての微調整と、イレギュラーな部屋移動となります。

 何故前日夜か。大きくは二つの要因があります。

その1:宿泊者数、料理プラン等を確定させ板場に伝える→板場が最終的に仕入れ確認、追加発注など。

その2:食事係などの最終人員調整。出勤・欠勤等の最終連絡。

 

「グレードアップ」についてですが

これも大きく二つに分かれます。

その1:ロッキーさんの経験した通りのオーバーブックのため。但し、シティホテル系さんは、予約に対しての考え    方も現在ではイールドマネージメント(簡単にお伝えしずらいのですが、最適のタイミングで、最適なお客様に、最適な価格で販売し販売ロスを最小に抑える考え方です)を取り入れた、非常にち密な管理をしています。その場合予めキャンセルを見越した予約提供をしているため、オーバーブックその物に対する考え方がお宿さんとは違います。お宿さんのオーバーブックは、予約処理のミスが一般的です。予約タイプの客室がご用意できない場合に、おっしゃる様にアップグレード対応するケースが多いですね。

 万が一、客室が不足しお部屋のご用意ができない場合は、自館以上のグレードのお宿さんの客室を手配するか、無理な場合は同等レベルのお宿さんの上級グレードの客室をご用意するのが良心的な対応だと考えます。その場合料金は、お宿さんの考え方にもよりますが、宿泊代金の差額分は自館で持つのが一般的です。

 ちなみに私は、当館のミスでせっかくのご希望に答えられなかったわけですので、全額当館負担でご了解頂いておりました。ご理解いただけた経営者の方には感謝です。

その2:これは経営者の考え方によりますが、慶事ごとでご宿泊の場合、空きがあればサプライズでご用意いたします。最近は前向きな経営のお宿さんが増え、このようなパターンが増えています。


「リクエスト」についてですが

お宿さんのスタンスによりこれも分かれます。

その1:あくまで「ご希望」として、備考欄に記入しておき、最終調整で可能ならば沿う形で部屋割をする。無理であれば当日その旨をご説明お詫びする。

その2:あくまで宿都合で割り振りする。必然的にリクエストは形だけ。

その3:予約時にリクエストに対するリザーブポリシー(考え方)を明記し、お客様に事前理解を求める。


「チェックインの順番」による割り振りは、基本的にお宿さんではしていない事が多いです。これはシティーホテル系と違い、「仲居」さんのように接待する係が決まっており、全てのセクションに手書きの部屋割がわたっているという、旅館固有のオペレーション形態と関係があります。チェックイン時に変更をすると各セクションに伝達し、変更を手書きで書きなおさなくてはならないという、業務を繁雑にするからです。但し、一部の顧客満足を第一に考えているお宿さんでは、大変ではありますが当然対応はしています。(例えば到着時おみ足が不自由である事が判明したり、高齢で階段のご利用がご不便そうだりといった際)

但しシティホテル系ではコンピューターシステムの導入などで、清掃が終了した部屋順に、ご到着順にアサインするのは珍しくない事ときいています。


「予約方法の違いによるアップグレード対応」

インターネット予約が普及する以前、殆どが旅行代理店からの予約に頼っていた当時は、「J○Bからのお客様には特別対応してアンケートの点数は良くしよう」という事はありました(幸い私の勤務経験ではありませんでしたが)。しかし現在ではそのような考え方は薄れています。しかしながら「口コミ」の威力が増加している昨今では、「じゃらん・楽天で予約のお客様は」といったお宿もあるそうです。


 お部屋割は、細かいお客様の確認事項や満足度向上のために切っても切れない重要な仕事です。スペース上ここに記する事のできない、沢山の要素が絡み合って作成しています。経営スタンスとも表裏一体といっても過言ではありません。ですので一概に言いきれない事も多く、今日の記述だけでは、消化不良化かもしれません。

 ただこれだけは言い切れます。

「良心的なお宿さんは、良識的な判断でお部屋割りをします」


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【再掲】 お宿の七不思議「宿泊10万円分の割引券?」

今回もメールにて不思議ネタを頂戴いたしましたのでテキストに使わせていただきます。

ロッキーさんいつもありがとうございます。


今回のテーマは「還元サービスはどの位まで出来るのか」です。


>夏に泊まった宿から、1週間ほどしたころに、特別に選ばれたお客様に・・・と割引券が送られてきました。なんとその割引券、10万円分!と言っても1万円のチケットが10枚でしたが・・・ そして「5000円相当の逸品料理プラス券」「一部屋にフルボトルのワインorシャンパーニュプレゼント券」「エステ半額券」「特産品おみやげ券」

割引券利用は1回一枚ですが、他のチケットはすべていっしょに使えるとのこと。いい宿だったなぁ・・・・機会があったらまた行きたいなぁ・・・・ でも、高いからなぁ・・・  のっぽさんが言われるように、余韻冷めやらぬうちに・・・そんな絶妙のタイミングでした。これだけ、お得感があったら、行ってみようと思わされてしまいます。
確かに別の宿から、5000円相当のお食事プラスの案内が来たときは、感動も薄れてきた頃だったので、気持ちはそれほど動きませんでした。

~中略~

そして、このチケット利用には、条件があります。宿に直接予約をすること。1万円の割引はとんとんになりますが、それでもプラスの特典を考えると充分お得感があります。直販の囲い込み戦略なんだなぁ・・・そして、10万というインパクトで、メディア戦略なんだな・・・と思いつつも、しっかり乗せられて、次の宿泊を画策しいるところです。

そこで質問なのですが、利用者側からみてかなりの特典に思えるのですが、これだけのサービスをつけても、見合うものなのでしょうか?


 お宿さんの手数料については前回「リピーター創りのためにPARTⅠ」 である程度ご紹介させていただきました。まだご覧になってない方は、是非ご覧頂いてからお読みくださいませ。


 ロッキーさんに割引券を贈られてきたお宿さん(ホテル?)さんは、常日頃前向きな販促をされておられますよね。いつだったかダイナーズ会員様向けにDMをされておられましたし・・・セグメントして5万人に実施してもクラウンが買える位かかるのに・・これはお宿さんがご自分の商品(顧客満足CS)に自信があるから取れる戦術ですね。取り敢えず宿泊さえしてもらえればリピーターに変換できると。


 じゃらんネットの例で解説します

2名で¥80,000のプランを利用したとしますとその送客手数料(じゃらんに支払う金額)は合計8%で¥6,400

じゃらんはポイント割引が使えますのでその場合、ゲストが10%まで使用できます。よって¥8,000

単純に2名様¥14,400はじゃらんから申し込まれた瞬間に変動費に変わります。

これを販促費に変換する考えで取り組みますと、


直接申し込み限定で→じゃらん手数料¥14,400が浮く

¥10,000割引をしても→¥4,400使える

直接商品特典なら原価で済む→料理原価率30%、ドリンク原価率30%、お土産品65%

※この原価を基に特典を付ける考え方は、特典インクルーズプランといって、よくあるのが、「近隣テーマパーク無料券付」とか「いちご狩り付」等です。&上記原価率は通常の考え方でこのように期間限定なら更に落とす事も可能です。

これで見事¥14,400を使い切りました。


ですので、視点を変えて販促するだけでこれだけインパクトのあるダイレクトメリットを※顧客に還元できるのです。

※顧客=基本的に初回ご宿泊時のお客様は「モニターゲスト」と考えます。パン屋さんが開店した時集まるお客様ですね。そのお客様の中で、買って食べたパンが美味しく、コストパフォーマンスに優れていると思われた方が次回から来店され初めて“顧客”となる、考え方です。


 プラス、この戦術にはさらなるメリットが2つ・・・

>泊まった人、全員に送っているのだろうということは、想像されても、特別に選ばれたお客様と言われるとちょっと、気分もいいですし(笑)

>それにしても、10枚いただいてもそんなに行けるわけないわよね・・・・誰かにさしあげようかしらと思うのを見越してのことなのか、紹介した方にも、4つのサービス特典がつくのだとか。そうなると、いいところだから、行ってみて~。こんなに特典もつくのよ~って紹介したくなります。

>リピーターを確保しつつ、口コミの広がりも期待できるうまい方法を考えたものだなと思いました。


 ロッキーさんが答えを全て言ってくださいましたが、まさにその通りなのです。

顧客作り(囲い込み)の仕掛けであり、新規営業(ご紹介の期待)でもあるのです。今回のお宿さんは、確かに日頃からマーケティングを意識した戦略を取られています。バトラーサービスしかりですね(笑

 唯言える事が一つあります。それがこのテーマを七不思議に入れたポイントなのですが・・・

飲食店や他業態では、もっと多くの企業さんがマーケティングの勉強をされ頑張ってます。


“何故宿泊業の経営者の方はもっと勉強されないのですか?”



おまけ

ちなみに好い機会ですのでじゃらんの手数料問題を。

 当初インターネット予約にお宿さんが相次いで参画した最大のポイントはコストでした。

当時の主流であったJTBや近畿日本ツーリストなどの旅行代理店手数料と比べ、10%前後手数料コストが安くなるのです。これを、¥20,000/人の宿泊料のお宿さんに当て嵌めますと2名で¥4,000利益が変わってくるのです。

 ところが・・・・・ここ数年変化がでてきました。じゃらんが会員ポイント割引を始めたからです。じゃらん会員になっているとポイント割引が使えるプランに対して10%までポイントが使えます。このポイント分(1ポイント1円換算)はお宿負担になります。(ちなみに楽天トラベル等は、現段階では負担なしです)

 すると従来8%位だった手数料支払がが一気に18%に上がってしまうのです。確かにポイント割引は強制ではありません。お宿さんの任意選択にはなっています。しかしポイント割引の有無は予約コンバージョン(成約率)に大きな影響を与えるため、任意とはいえ選択の余地がないのが実情です。

 これはあくまでリクルートさんの戦略ですから、意見はありません。

但しお宿さんの戦略としては、「初回予約はじゃらん、2回目以降は直プランで」と変革しなければいけない時期であることは断言できます。


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【再掲+最新訪問】サービスマンを魔法使いにしてくれる料理人さん

2010年12月22日記

ブログを初めてはや一年の月日が去りました。


途中、起業し多忙になったり、右目を失明寸前まで放置したり


言い訳はキリがありませんが、ブログをさぼっていた間に


訪問していただく読者の方も新しい方が増え・・・・・


リクエストにお応えするのと、整理のためと言い訳をしつつ


過去記事を【再掲】させて頂いておる昨今ですが、


先週、本日過去記事に登場していただく。。。


わたしごときを


無二の親友かのようにもてなしてくださる


凄腕料理人さんが今年出されたお店に


漸くご挨拶&訪問することができました。


相変わらず、写真は忘れるのっぽでして


感動の一瞬はお知らせできませんが


お互いのこの一年を


宝物のように振り返りつつ


今年一番の体調不良にもかかわらず


その姿を微塵にも見せない


男気溢れるその姿は


一年前のあの日そのものでした。


その感激を込めて、今日の記事を再び掲載したいと思います。


本日の主役は・・・


この方  割烹高むら の親方です。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


本日のテーマを決めた


とっても凄い記事があります。

そのタイトルは

「水菜のさらだ一つでお客様のハートを引き込もうぜ!!」


 私のつたない表現力では、このテーマを皆さまにうまく伝えきる自信がありません。

卑怯な技ですが、是非  この「隠れ家料理人」さんのブログをお読みいただいてから、再訪願いたいと思う「のっぽ」です。


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 私は、常々宿泊業の飲食サービスは

「楽しい食事とは“時間”と“空間”を提供する」事が最大の目的である

と考え、実践してきました。


  ↓ ご参考までに、この件について触れてある、拙記事はです。

【サービスマンの接客問題PARTⅠ】

【サービスマンの接客問題PARTⅠ 解答】

【サービスマンの接客問題① 「続編 ロッキーさんの返信より】


又生意気にも、料理人さんについても書かせて頂きました。

            ↓

【今小さなお宿に求められる料理人像とは?】


そこでは、結論として

「料理の職人<料理のプロデューサー」

とまとめさせていただきました。


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 昨今、お客様の宿に求めるニーズが多様化しつつあるとは言っても、やはり“食事”にかかるウェイトには大きなものがあります。

 我々サービススタッフが、C/Iより、いやそれ以前の予約段階からパーソナル情報を収集しているのは

パーソナルサービスするために PART1「予約編」】

でもお伝えしました。

 その情報は、この“食事”の時、全力を傾けてアウトプットする為に必要なのです。


これらにより仕入れた個別のお客様情報

・年齢、性別、宿泊者の関係

・出身地、現住地域

・好き嫌い、嗜好品の有無

・性格の把握

etc・・・・を


本来サービス側が持っている

・宿の歴史、特徴、長所

・温泉地の歴史、特徴、泉質

・周辺観光知識

・地域の特産品

・今日の献立、使用食材

etc・・・

ブレンドして、

そこにサービスマンの技能を発揮し

はじめて

「楽しい食事の“時間”と“空間”」

を創リあげることが可能となります。


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 今日お読みいただいた料理人さんは、創る段階から

「料理の職人<料理のプロデューサー」として

いや「料理のプロデューサー+サービスマネージャー」

として料理をお創りいただいています。


料理をお出しする時には、前もって仕掛けてくれた“魔法”を、我々は披露するだけで良いのです。


ましてや、若い衆に視線を集めさせて・・・・・・


新人の女の子でも、お客様の前では魔法使いにしてくれる料理人“高村 豊”さん。


私が望むのはおこがましいですが、


是非ご一緒に働かせて頂きたいと想える料理人さんです


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 ↑↑ 今日は気持ち良い記事が書けたのでクリックなくてもいいかな?と思うのっぽです!(笑

【再掲】続 お宿の七不思議Ⅸ 「何故温かいものが温かく出されないの?」

 昨日は、サービスのシステム面から料理出しの一面をご覧いただきました。

今日は、スタッフ側&料理場サイドからレポートさせて頂きます(笑


 そうだビックリマーク

その前に、ひとつ大事なお断りを。

現段階で、日本全国には約53,000件の旅館があるといわれています。(減少傾向)

ホテルは約9,000件ほどございます(増加傾向)

そこで働くサービススタッフは何十万人いるのでしょうか?わかりませんが、このレポートは、少なくとも「温かい料理をお客様にお出ししたいと」思わないスタッフは誰一人いない!という生善説で書いております。


 昨日のレポートでは、サービスのシステム上、宿泊料金に比例して接客も質を向上できると書かせて頂きました。

 では高級旅館では、必ず温かいものは温かくでるのか?1年365日必ず出来ているのか?

旅館形態でも約53,000軒あるのですから、私も正確な事は判りません。

 ただ、限りなく不可能に近い事である事は推察します(勿論365日正確にお出しできているお宿さんもあるとは思いますが・・)


 その理由は・・・


 お部屋食より比較的料理進行が把握し易い、レストラン形式でご説明します。


ここは全席20席のリゾートホテルのレストラン。

今日は18:00 18組、20:00 13組のお客様が予約されている、ごく普通の平日です。

私は年齢層の違う、それぞれカップルのゲストを前半(18:00)スタート3席受け持っています。

本日のメニューは


アミューズ(軽い前菜)→前菜→スープ→魚料理→グラニテ(氷菓子)→肉料理→サラダ→チーズ→デザート


宿泊料金が¥28,000ですから、比較的しっかりしたコースメニューです。


 今日のメニューでは魚・肉のメイン料理が温かいお料理です。スープは冷製スープとの事。

通常、オープン前に料理法や素材、調理にかかる時間などを確認します。

又20:00スタートのお客様が13組いらっしゃるので、前半の未使用テーブル2卓を使っても残り11組の卓を19:45までにお帰りいただかなくてはなりません。少し気合が必要です。

今日は魚料理が5分、肉料理が7分との事でした。


 1卓のゲストが時間通りお見えになりました。

ドリンクはワインのフルボトルのオーダーです。

ドリンクオーダーを受けた後まずはアミューズをお持ちします。

おっと、ワインも続けてお持ちします。

 入口に3卓のゲストが・・・

やばい!ワインはヘルプに頼もう!

アミューズはポーションが少量ですので、すぐ前菜をオーダーします。


前菜オーダー後3卓のゲストが着席されました。

 すぐご挨拶、ドリンクーメニューをお持ちします。

(1卓のお客様がアミューズ食べ終わりました)

ドリンクを決めていただいている間、1卓の前菜をお持ちします。

あっ、2卓にお客様が・・・


だいたい、こんな感じでサーブ(配膳)にはいりますね。

 サービスマンはデシャップ(調理をお願いする指示、またはその紙)を調理場に通して、次の料理を待つ訳ですが、形態により、自分で通す場合と浮いた存在で専門に通すデシャパーがいる場合に分かれます。勿論デシャッパーがいた方が、よりサーブに集中できるのは言うまでもありません。

 またヘルプと呼ばれる、卓持ち(サーバー)以外に浮いた存在で全体のフォローに回る人間も必要です。

概ねマネージャー、サブクラスが担当しますが、場所によりサーブをまかせれない新人クラスをあてがうところもあります。

 

 一番最後に席に着いた2卓のお客様にスープを出し、順番では一番最初に席に着いた1卓のゲストの魚料理のハズですが・・・・先程からスープに手をつけずお話に夢中です。

 1卓は今少し、様子を見ましょう。

この時点で18:30。1卓のゲストをはじめ今日は全体的にアルコールの出が良く、レストラン全体がスロー進行です。

 残り時間は75分。少し汗が・・・・


2卓のゲストがスープスプーンをとり、スープをお飲みになり始めました。

今日の魚料理は、焼き上がりに5分位かかるとの事。

よしオーダーしよう。デシャッパーを探しますがいません。

??

あっ、ドリンクをサポートしている・・

しょうがない、自分で頼むか。と調理場へ

んっ・・・

魚料理のデシャップがぞろぞろと・・・

渋滞です!料理進行が全テーブル見事にシンクロしているようです。

やば、5分じゃ出てこないな。


 このように、お客様の進行状況が目に見えても、調理場が1ヶ所の場合、料理が渋滞する事は良くあります。

例に挙げた魚料理はまだ中盤ですから、本来調理場もある程度オーダーが重なっても他のスタッフが集中している魚料理にヘルプができます。

 但し、後半のお肉料理で渋滞が起こった場合、進行が早い卓はサラダ、デザートに入っていますし、遅い卓はまだ魚料理という場合もありますので、調理場もお肉料理にあまり加勢できません。

 勿論サービススタッフは、調理場の状況を見て、ホールで間つなぎをしますが、得てしてこのようなときは料理が一遍にでてきます。

 勿論、殆どの場合、ヘルプの人間もフル稼働して、温かいままお出ししますが、ここでイレギュラーなオーダーやゲストの会話で時間を取られる、ワインのオーダーが重なるなどの自体が重なると・・・・

 たまにお肉が冷めてしまう事も・・・・・・・・・・・・ございます。


 特にここ数年は、宿泊ピークにスタッフ数を合わせるとコスト面が厳しいとの事から、60%~70%の客室稼働に通常の適正人員を設定するお宿さんが増え、このような事態が起きた場合には、サーバーのスキルだけでは対処できない場面も増えています。


 レストラン形式では、進行状況が判り易いと申しましたが、もう一点、お部屋食に対してアドバンテージがあります。

それは、殆どの場合ホールに隣接して調理場があります。

お部屋食は各階に水屋(パントリー)と呼ばれる、バックヤードはありますが、調理場とは距離があるのが普通です。

 先程レストランで起こった、全体進行のシンクロがお部屋食で起きた場合は、より悲惨な状況になる事は御想像いただけるかと思います。

 勿論我々スタッフ始め経営者も、このような場面を想定し、対策は練っております。

但し、コストと設備面での制約がある以上、この課題をクリアーすることは並大抵ではありません。

 極論すれば、スキルの高い一人のサービススタッフや仲居さんがいなくなるだけで、全体の接客バランスが崩れるほど、ぎりぎりのタイミングで日々接客にあたっております。


 如何でしょうか?

温かいお料理を、温かくご提供できない場合がある事を、多少ご理解いただけましたでしょうか?

そうであれば、真摯にサーブしているサービススタッフも少しは報われるかもしれません。


最後に一言だけ。

そうは言っても、我々サービススタッフは、いかなる理由があろうとも、常にピンポイントの最適なタイミングを狙ってサービスしています。

ですから、全部のお客様が笑顔でお帰りになられた時、

「やっぱりサービスって楽しいよね!」

という充実感に変わるのです。


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[【再掲】お宿の七不思議Ⅸ 「何故温かいものが温かく出されないの?」

 この前参加した「この方」 主宰の「とあるワークショップ」「あえて隠れ家で若手料理人を育てている」 方のお料理を食させていただき、本日のテーマに行きついたのっぽです。 

 常日頃サービスネタを書きたいと思ってはいるのですが、何故か、コンサルタントか旅館評論家みたいな内容で、書いてる本人も凹んでおります。

 今日は一番落ち着く土俵で、こうとなと書かせていただければと思っています。


 温泉地の旅館やホテルの場合、規模の大小はあれ、お食事を出す形態は以下の3つに分類されます。

【ブッフェスタイル】

所謂バイキング形式です。オープンキッチン形式では料理人さんが客前で料理してくれます。

【お部屋食】

仲居さんがお部屋でお給仕してくれる形式です。コスト面やお客様のニーズが減った関係で、10年ほど前から減少していましたが、お部屋食スタイルの宿が減り過ぎ、ここ2年位は逆に人気が出てきています。

【お食事処・レストランスタイル】

和風・洋風の違いこそあれ、予め決まった席でコース的に提供される点については大きな違いはありません。


 ブッフェスタイルを除くと、お部屋食とレストラン形式は、仲居さんやサービススタッフが部屋や卓を受け持ち、サーブ(配膳)します。その受持つ客数等は、宿泊金額やシステムによりやや違いがありますので、簡単にご説明します。

【価格帯】  (食事は和食も洋食もコース仕立ての想定です)

超高級宿・・お部屋食を含め、基本的には1組に1人マンツーマンで接客します。多くても2組です。レストラン形式ですとソムリエがいる前提で3組までは持てます。


高級宿・・現在は3万円位までがこう呼ばれるようになりましたね。上限は一応5・6万円位でしょうか?お部屋食は基本2組から3組。人数によっても変わりますが4名~最大8名様位ですね。レストランで部屋のご案内等持たなければ1回転(所謂2部制の時間制限がある場合の前後いずれかの時間帯)3・4卓程度、スキルによっては最大6卓(全て1卓2名様として)位は持つところもあります。最近の高級宿は、規模が比較的小じんまりしていますが、大きな施設さんではよりハードな卓数をこなさなければいけない所もあります。

食事処の場合、作務衣、二部式等の動き易い恰好ですと、レストランと同じ位のお席も受け持てますが、着物の場合は2席~多くて3席、個室形式ですと2席が標準です。


一般宿・・・1万円5千円前後のお宿さんですが、これは経営方針により様々です。ここでは標準的な範囲でご説明します。お部屋食は3~4室があたりまえ、ひどいところでは6・7室の宿も存在します。食事処も4室位は標準に持たされます。レストラン形式ですと4~6卓位が一般的ですね。多いところは信じられない位の組数を任されますので、上限は不明です(笑


【システム】

和食の場合、大きく分けると「先だし(殆ど一遍にお料理を出す)」と「後だし(温かいものだけ後からお出しする)」、「一品だし(一品ずつお出しする)」の3つに出し方が分かれます。


「先だし」・・・(全部出し、一気出し等呼び方は色々あります)の場合は、6部屋位持てますが、出し終わると殆どお部屋にはお邪魔せず、水屋(パントリー)でお食事の終わりを待ちます。ですので、お構いは殆どないと思っていただいて間違いはありません。食事開始時間を15分間隔にしても、6組持てば出し終わりまで1時間半かかります

「後だし」・・・は、それに比べるとややゆったり仕事はできますが、スタート時間が違っても料理進行のスピードはお客さんによって違いますし、より最適のタイミングでと考えると、進行具合の確認作業が必要になります。結果部屋数も多めに持たされるので、料理が上がれば大体のタイミングで出すしかなくなります。


「一品だし」・・・お客様の進行を把握するには一番です。但し、「下げて出す」が基本ですから、料理場とのピンポイントの連携が必要になります。現在は温蔵庫やレンジが普及していますが、宿のクオリティが高ければ高いほど使いませんから。


 実際はもっと細かい部分があるのですが、本当に大まかな説明です。

要約すると宿泊料金が高くなるほど、サービスマンががきめ細かく対応できるシステムになっているという事です。

私も、お部屋食ではどう頑張っても3部屋しか自信はありません。それもお子様がいないカップルさんで。

お部屋食はサービスする側にとって本当に大変なのです。


【お部屋食で難しい事】

・襖は毎回閉めるのが鉄則ですから、食事の進行状況がレストラン形式に比べ判りずらいです。ですので、普通は、先付、椀、お造り位までにそのお客様の進行スピードをある程度把握します。


・料理を出した時に次の大体のお部屋を掛け持ちの場合、他のお料理を出しながら、だいたいの感で、デシャップ(料理人さんに料理を作ってもらう指示)を通さねばなりません。もし2組なら何とか捌けますが、3組持ちですとお客様とのお話は簡潔にしなければ、料理が出来てもだせません。お話したくても長話できない理由です。何かしながらでも狂わない、体内時計が必要です。


・基本的には男衆が料理運びをサポートしますが、基本1フロアーに一人つけばいい方です。レストランのようにドリンク専門の人間はおりませんので、料理を取りに行ってしまうと、サポートがおらず、混雑時にビール以外のドリンクオーダーが入るとかなり大変です。


・お客様は通常フロントに電話するか、仲居さんが次に来るまでオーダーがあっても出来ません。フロントが忙しかったり、電話付近に人がいなかったりして、オーダー忘れが結構おきます。


 この様に、お部屋食は、レストランと違い料理がタイミングよく上がってきても、タイミング良く出せない事が多くなるシステムです。勿論1人1部屋持ちでしたら、そのような事は殆ど解消されますが、コスト面から現実はあり得ません。

 これは食事処でも個室タイプの場合はあてはまります。唯食事処の場合はパントリーが分散せず結構人がいますので、お部屋食ほど混乱はしません。お部屋食は頼れる人間がいない分、個人スキルと精神的強さが要求されます。


 ここまでのお話で、受け持ちの数でかなり左右される事が、温かいものを温かいまま出す難しさに繋がっている事がご理解いただけたかもしれません。

 ただ今日の理由は、お客様であるみなさんも少しは推察できておられる事だと思います。


 明日、本当の意味の核心部分にせまります。

御期待下さい!

 

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【再掲】最終話 サービスに迷わない方程式

初回「サービスに迷わない方程式」 では

【必ず繁盛する宿経営の基本戦略とは】

日々の接客で、お泊まりいただいたお客様の要望以上の感動を与え続ける。これが、本業であり、宿のあるべき営業戦略でなければならない。

この考えを経営戦略の軸に据え置き、ここに全ての経営資源を集約すればおのずと繁盛すると考えています
と生意気にのたまい

「        =当館のお客様の満足に繋がるのか?」

「この要望に対する線引きはどこに引けばいいのか?」

方程式?と詐欺の様な言葉を残しました。


一昨日続 サービスに迷わない方程式 では

「        =当館のお客様の満足に繋がるのか?」

「当館のお客様の満足」には、その判断基準となるべき、明確な「宿のコンセプト、経営方針」を当て嵌めます。

常日頃スタッフに言い続けているはずの、接客に対する考え方も。

「当館のお客様の満足」=宿の進むべきゴール!

と使い方を掘り下げてみました。


そして昨日続々 サービスに迷わない方程式 では

「この要望に対する線引きはどこに引けばいいのか?」

①の方程式「当館のお客様満足」

          ⇅

「宿の進むべきゴール」であり
          

②の方程式<>「サービスの線引き」基準でもあるのです。

と結びつけました。



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


最初話になる本日は

「この要望に対する線引きはどこに引けばいいのか?」

現場での使い方を考えてみます。


▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


昨日のまとめで

日々様々な判断が求められるサービス現場。

その際全スタッフが判断基準として

「宿の進むべきゴール」を

明確に理解していれば

おのずとサービスに統一感が生まれます。

お宿の方向性・存在価値もお客様に伝わり易くなります。

と書かせていただきました。


ところが、実際にはこの線引きが

「経営者の線引き」

「マネージメント側の線引き」

「サービスマンの線引き」

という3種類存在するお宿さんが多く見受けられます。


▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

あるお宿にて・・・

「ちょっと・・!自販機の煙草が売り切れてるんだけど・・・」

フロントのA子さんに、ご宿泊のお客様から指摘がありました。

A子「申し訳ございません、お求めの銘柄を教えていただいてもよろしいですか?」

お客様「セブンスターだけど・・」

A子「少々お待ちいただいて宜しいでしょうか?」

A子の線引き(やっぱり品切れは宿の責任だし、買って来た方がいいよね!)と考えました。


ちょうどそこに支配人が通りかかり

支配人「どうしたの?」

A子さんは事のあらましを話しました。

支配人の線引き(煙草か~、今A子しかフロントがいないし、自分も用事がある。手がすいているスタッフがいれば買いに行けるが、当分無理か~。煙草は嗜好品だからいいか)

支配人「そうか・・・でも、今は人もいないし、良くお詫びして違う銘柄で我慢していただきなさい!」

A子「えっ・・・?」

支配人の指示ですし、本来は従うしかありません。


A子の線引き(でもやっぱり納得がいかない。宿のミスでお客様に迷惑をかける訳にはいかない。お待ちいただけるなら買ってこよう!!)

A子「お客様申し訳ございません。すぐには手配つきかねますが、後ほどお部屋にお届けでもよろしければご用意させていただきますが・・」

お客様「そう、ありがとう。では●●号室だから、宜しく!」


客様が納得して帰った後、A子は当然支配人に怒られます。

A子が怒られていると、ちょうどそこに経営者である女将さんが通りかかりました。


女将「どうしたの?」

支配人「かくかくしかじか・・。」

女将の線引き(A子ちゃんの言う通りだけど・・・・。支配人の立場もあるし。指示系統は守らせないと・・・。)

女将「あら~A子ちゃん、支配人の言うこと聞かなきゃだめじゃない。でも、支配人ももう少しお客様の身になって考えてあげてくださいね。じゃあ、私が買ってくるわ、A子ちゃん。お客様は何号室?」

A子「ありがとうございます」

支配人「ありがとうございます}

▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼

なんとなく、丸く収まりましたね。

賢明な読者の皆さんはどう感じますか?


勿論上司の指示を守らなかったA子に問題は残りますが、3者三様とりあえずは線引き基準として何かを考えています。

A子は「ホテルの過失とお客様満足」を

支配人は「オペレーションとホテルの過失とお客様満足」を

女将は「ホテルの過失とお客様満足、スタッフ管理と支配人の立場」


立場が違いますので、それぞれの線引き基準が異なっています。

普通は止むを得ないと考えるかもしれません。

でもここで、支配人がA子に対し「何故自分がその答えを選んだのか?」と、自分の線引き基準を伝えておくと、答えの正誤にかかわらず、次回のA子は「オペレーション」を線引き基準に追加できるかもしれません。

 日々こうして「線引き基準」を擦り合わせてゆくと、昨日のまとめでお話した

おのずとサービスに統一感が生まれます。

お宿の方向性・存在価値もお客様に伝わり易くなります。

ようなお宿に、日々成長してゆくものと考えます。


 今日の例題には、もうひとつ課題が含まれております。

それは・・・

A子の立場で考えるとよく分かります。


 A子は今日の一件で、次回からは「オペレーション」を追加して線引きを考えるようになります。

イコール支配人と同じ線引き基準を持ちます。

その時に、女将が今日と同じ線引き基準でなかったら・・・・

どうなるでしょう?


女将「この前は私が買いに行けたからいいけど、今日はちょっと無理ね。悪いけど支配人によくお詫びしてもらってね!」

A子「????」


こうなるとA子には女将さんに対する不信感しか残りません。

真面目に取り組んでいる子ほどその傾向は強くなります。


忙しい時に、ややもすると経営者の方は、そんなに深く考えずに判断を下すことがあります。

これは管理職にも言えます。

実際私も苦い経験が多々あります。


全スタッフが判断基準として

「宿の進むべきゴール」

明確に理解する


そうならないためにも、何事にもこの2つの方程式を使いわけ

明確な「宿の進むべきゴール」

磨き上げる必要があると考えています。



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続々 サービスに迷わない方程式

初回「サービスに迷わない方程式」 では


【必ず繁盛する宿経営の基本戦略とは】

日々の接客で、お泊まりいただいたお客様の要望以上の感動を与え続ける。これが、本業であり、宿のあるべき営業戦略でなければならない。

この考えを経営戦略の軸に据え置き、ここに全ての経営資源を集約すればおのずと繁盛すると考えています
と生意気にのたまい

「        =当館のお客様の満足に繋がるのか?」

「この要望に対する線引きはどこに引けばいいのか?」

方程式?と詐欺の様な言葉を残しました。


前回続 サービスに迷わない方程式 では

「        =当館のお客様の満足に繋がるのか?」


「当館のお客様の満足」には、その判断基準となるべき、明確な「宿のコンセプト、経営方針」を当て嵌めます。

常日頃スタッフに言い続けているはずの、接客に対する考え方も。

「当館のお客様の満足」=宿の進むべきゴール!


と使い方を掘り下げてみました。

▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


よって今回は

「この要望に対する線引きはどこに引けばいいのか?」

の使い方を!


▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△


私なりには

「線引き」という言葉は

「お客様の要望・期待に対するホスピタリティ⇔ビジネスの最適なラインを決める作業」

と定義している事は既にお話させていただきました。


 理想は「お宿に係わる全ての人間が同じ線引き基準を持つ事」ですね。

賢明な読者の方は既にお気づきかもしれませんが

所謂「サービススタンダード・ブランドスタンダード」なのです。


ですので、前回お話した方程式その①

「    =お客様満足に繋がるか?」を使い

「日々軸を磨き上げている」お宿さんはこのブレが少ないのです。

当然と言えば当然ですね!


では

「この要望に対する線引きはどこに引けばいいのか?」

この方程式の使い方ですが

何かお気づきになりませんか?


・・・・・・

・・・・・・


実は意味合い的に

「線引き=お客様満足に繋がるか?」が既に成立しているのです。

これに昨日書かせて頂いた

「当館のお客様の満足」=宿の進むべきゴール!

を当て嵌めます。

???

若干ややこしくなってきた方もおられるかもしれませんね。

整理しましょう。


①の方程式「当館のお客様満足」

          ⇅

「宿の進むべきゴール」であり
          

②の方程式「サービスの線引き」基準でもあるのです。



日々様々な判断が求められるサービス現場。

その際全スタッフが判断基準として

「宿の進むべきゴール」を

明確に理解していれば


おのずとサービスに統一感が生まれます。

お宿の方向性・存在価値もお客様に伝わり易くなります。


あれっ?

使い方をご案内するつもりだったのに・・・(笑

という事で、

次回本当のラストにしたいと予定するのっぽです。



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