フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -77ページ目

何を削って、何にこだわるか

はてなの近藤社長のブログが面白かった

サービスの個性を作るのは、何をつけるかと同時に、何をつけないか、何を削ったのか、ということがとても重要だ。そして、付けたものに比べて削ったものについて論評されることは非常に少ないために、削る事の重要性はあまり注目されていないように思う。「考えうる限りの機能をくっつけたフルスペック製品」みたいなものを考えるのは案外誰でもできるものだが、不要なものをばっさり切り捨ててユニークなものを作り上げる事ができる人は少ない。

まさにこの通りだと思う。

世の中に、それまで全くなかったコンセプトを基にしたアイデアで大成功、という実例は少ない。
むしろ、それまであったコンセプトの下、うまく削ってうまくこだわったところが成功する。

例えば i pod にしたって、
パソコンにつなぐメモリ型の音楽プレーヤーというコンセプト自体は何年もの歴史があった。
ただ、i podだけが、ユーザーに響くよう、
その中でうまく削ったり、こだわるところはこだわりぬいたりして(使い勝手とか)、
だから大ヒットにつながった。

何を削って何にこだわるか、というのが企画者としてのセンスだと思う。

例えば、次のような記事を読んだとする。

僕もこの(不動産)業界長いけど、ええ加減にせえよって思うことがゴロゴロしてるし。今回、この覆面座談会に参加したのも、この業界の胡散臭いやり方をぶっちゃけて、少しでも業界の体質改善になればと思たんですよ
月刊チャージャー

これを読んで、「CtoCの不動産のオークションサイト」というアイデアは容易にうかぶ。

でも、そんなコンセプト、1995年からあるはず。
「マザーズオークション」 というのも一時期CMがはやったけれど、
ちょっとサイトを見てみたらだいぶ閑古鳥が鳴いている感じだった。

恐らく問題点はいくつかある。

・小額取引の履歴が蓄積されていくヤフオクと違い、高額かつ一生に何度も買わない不動産の場合、信用情報を過去の取引履歴で担保する、という方法がとれない
・写真と商品名である程度価値がわかるヤフオクと違い、不動産は色々な条件がからむので、客観的かつわかりやすい情報提供のフォーマットを、どう統一的に提供するのか
・「不動産を買いたい・売りたい」瞬間にいる人は、人口の1%もいないので、その1%にどうやって低コストでリーチするのか (または、その1%にリーチするためのマーケティングコストを、どうやって稼ぎ出すのか)

だから勝負は、このコンセプトではなく、何を削れて、何を付け加えればよいのかってことだと思う。

というように考えてみると、いいチームがいれば、1年くらいで立派なサービスを「不動産のCtoCオークション」という形で提供できるんじゃないかな? と思う。
エグジットは、ヤフオクでもいいし、DeNAでもいいし、既存オークションへのM&Aで。

とかいうように考えてみると、誰かこれをやってくれないかな、と思う。
特に戦略コンサルの皆さん、せっかく問題解決能力があるわけだし。

まぁ、僕はレアジョブの成功しか今は考えていないので、僕はやりません。
あと、この不動産のCtoCが本当にいけるビジネスなのかどうかも実際にやってみないと誰もわからない。
けれど、世の中にはこういうベンチャーのチャンスがいくらでも落ちているんだと思う。
世の中の不合理を解決でき、かつスケールが効くというビジネスチャンス。

そしてそのようなビジネスであれば、うまくいけばリターンは少なくとも十億円以上はいくはず。
だけど、それには優秀なチームさえ組めるかどうかが前提になる。

日本のいわゆる「優秀な人材」はそういうことにあまり興味がないので、だからチームを組むのが難しい。そこがネック。そこがシリコンバレーとかとの違いになっているんだろうとは思う。

ビジョンについての話合い その1

昨日から、パートナーと、うちの会社のビジョンについて議論をしている。
1日1時間程度、これからしばらく少しずつやっていきたい。

で、今日は、なぜこのレアジョブという事業をやりたいんだろうという話をした。

色々考え・話したが、僕の気持ちは、
「世界を変えられるからやりたいんだ」
ということだった。

日本人の英語力を底上げできれば、
日本の文化・ソフトウェアをもっと輸出でき、
日本が世界に影響を与えていける。

フィリピンの優秀な人たちにもっと機会を与えるというのは、
「どこの国にうまれたか」で運命が左右される時代から、
「どの位の才能を持ち、どれだけ努力しているか」 という時代へ
転換していくという意味を持つ。

そんなことを話した。

彼は、
「それは話として大きすぎないか?」
ということを言った。

どうも、ビジョンという言葉の定義が
僕達2人の間で定義できていないようだ。

なので、話は持ち越しになった。

そうそう、梅田さんのブログに面白い記事があったので
リンクを貼っておく。
http://www.bunshun.co.jp/umeda_web/umeda_lecture01.htm
ビジョンについてです

労働条件における合意形成

向こうの正社員になる人と、現在労働条件を詰めている。

まだ議論は始まったばかりだが、色々考えているうちに、
向こうにとっても、僕にとっても、心から納得した条件であってほしいなと思うようになった。

かなりの期間を離れて働くわけだから、心から信頼し合えている関係が何よりも重要。
そしてその信頼のベースになるのは、お互いが納得しきった労働条件である。

だから、次のことを言ってみた。
( 自分の英語力が露呈する恥ずかしい機会ではある。。。)

I think you have a plenty of time to look for the other opportunity
than RareJob. Please compare RareJob to them. I might not be
able to offer you a maximum amount of monthly salary. But I strongly
hope I can offer you the comprehensively-best value including...
- Financial conditions
- Opportunity to satisfy your passion
- Respect from the other RareJob staffs
- Fun to make the advanced learning organization

どちらかが納得できないという状態は、お互いにとっての失敗だと思う。
だから、うちの会社以外の就職先も探してみてくれ。その上でお互い納得しよう。
最高の給与を出せないかもしれないけれど、
仕事のやりがい、面白さ、他の人間との関係など、

総合的な面で最高の環境を提供できると思っている。


そんなことをメールしてみた。

我ながらちょっとクサイとは思う。
でも、こういうクサさが、ちっぽけな企業を大きくすると信じている。

ビジョン・ビジョン・ビジョン

昨日セミナーに参加し、
他の社長や企業に興味のある大学生達と出会う機会があったが、
イマイチ、レアジョブの魅力を伝え切れていない自分を感じた。

こちらに興味がそれほどあるわけではない人たちと、
特に目的がなく話が始まった状態において、
いかに「へぇ~ 面白そう」 と言っていただけるか。

ビジョンを整理して、
そこに具体的で面白いストーリーをぶら下げて、
短い時間で相手に伝える。

レアジョブファンをオフラインで増やしていくには、
そういう訓練が必要だと感じた。

オフィス家具を入れた

IKEAの机が今日届いた。

机を配置すると、ビーチ材の明るい木目がオフィスに映え、
とても快適な環境になった。

あと、同じくIKEAで買ってきた写真パネルに講師の写真をいれて
オフィスに飾ったところ、余計素敵になった。

そうそう、講師たちとあったときの写真、まだUPしていなかったから、UPしておく。


Lunch5 lunch3 lunch2 Lunch1

とても楽しい会食でした。

プライシング

日本に住んで普通に働いていると、
プライシングというものを意識する機会が少ない。

会社から提示された給料で働いて、
お店に書いてる値段どおりに買って暮らす。

これだと、いくらが適切なのかを意識する機会が非常に少ない。

けれど、いったん起業すると、
プライシングが大事になる。
プライシングの決断の連続に迫られる。

この新しくつくったサービスの値段はいくらが適切なのか。
このスキルを持った講師・従業員にはいくら出すのが適切なのか。
この営業が言ってきた値段は、いくらまで値切れるものなのか。

この中で一つ分かったのが、プライシングに一番影響するのは、
代替手段の有無だってこと。

いちばん強い代替手段は
「そもそも取引しなくてもいいんですよ」 で、
その次に強い代替手段は、
「取引は必要ですが、あなたとやらなくてもいいんですよ」
だと言うこと。

ここ2ヶ月くらいで、急速にプライシングに対する関心が増した。
高すぎても、低すぎても、企業に害をもたらすと思うので、
適切なプライシングができるようになりたい。

フェアトレード

レアジョブの理念は、
・水道哲学 「良質の英会話レッスンを安価に大量に供給する」
これの他に、
・「Equal chance for everyone, everywhere」
というものがある。

ひらたく言えば、
どこの国に住んでいようと、
良い講師は良い講師。
日本で良い講師ならば、高い時給がもらえている。
だったら、良い講師であるならば、
どこの国の人であっても、
高い給料が支払われるべき。

こういう理念である。

当たり前といえば当たり前だが、
実際問題、全く同じ仕事をしていても、
日本でもらえる給料の10分の1、なんてことはざらにある。

だからこそ理念にした。

だが、、、問題がある。
うちは格安オンライン。
マンツーマンが25分129円~。

これだと、講師に支払える給与にも限りがある。

じゃぁ、レッスン料金そのものを値上げする?

・・・これだと、25分129円~でレッスンを提供できない。
水道哲学と反してしまう。

ふーむ、難しいところだ。

フェアトレード という言葉があるが、
人の善意に頼るのではなく、
経済ベースに則ってこれを実現させる方法はないものだろうか、と考えている。

オフィス家具を買った

もらいものだけではちょっと足りないので、オフィス家具(というか机)を買いにいった。
(友人のN君にクルマ出してもらいました。忙しい中、ありがとう!)

机選びは、非常に悩んだ。
というのも、机をいったん買ってしまうと、後は同じ系統でそろえ続けないと、
オフィスの感じがおかしくなってしまうから。

世の中には、
・いつでもやり直しがきく決断
・後からやり直すのには大きなコストがかかってしまう決断
という二つの決断があり、
後者に際しては時間をかけて決断すべき。
で、机は後者だと思った次第。

それで、机選びに関しては、まず次のことを考えた。
・できるだけ安くすませる
・ただし、レアジョブに欲しい人材が、入るかどうかを決めるときに、オフィスの雰囲気は大事な要素
・通常のオフィスとはちょっと違うぞという感じを出したい
・今入居しているところがちょっと古くて無機質な感じなので、それをカバーしつつ個性が出せる家具がよい

以上の条件の下、どんな机がいいかを考えた。

・机の天板は、ガラスや白・黒は似合わない、プラスチックは安っぽい、明るい木目がベスト
・机の脚も重要。安っぽい感じにならないように。
・これから会社を拡大・机を買い増しすることを考えて、増設しやすさが大事。

で、ヤフオクやお店で中古の机を買うことも考えたが
最後の「増設しやすさ」 がネックになった。

中古では、ひとつひとつは良くて安いものがあるが、
同じものを半年後とかに買い増すのは非常に難しい。
机がばらばらだとオフィスの印象がわるくなるし。

同じものが容易に買えて、統一感あるまま増設しやすい・・・

この条件でいくと、IKEAだと思った

実際に行ってみて改めて感心したが、
IKEAの商品のコンセプトには、
増設しやすさ
が明確に存在する。

ひとつIKEAの商品を買うと、他の家具もIkeaにしたほうが、
基本的に統一感が出てしっくりくるようになっている。
部品の穴とかフックもぴったり合うようになっているし。

家具市場においても、アーキテクチャの統一性が大事なんだと認識した次第。

まぁ、理屈が長くなってしまいましたが、こんな机を二つ買いました。
Ikea_Desk
単なる作業台じゃないかって?
まぁオフィスに置いてみて、どう映えるかってことですな。

木曜日に届く。楽しみ。

吉野家 逆境の経営学

レアジョブは、吉野家をお手本としている。

オンライン英会話が吉野家をお手本とするってのがおかしく思えるが、
吉野家はすごいと思う。

大学3年のゼミに、外食産業の海外進出について調べたが、
そのとき同社IRの方にお会いして色々とお話をうかがった。

(今は品数を増やしたが、過去のほとんどにおいて)
牛丼一本に絞った経営で、
たくさんのファンをつくり、
大きく業績を伸ばしてきた経営。

うちも、留学のあっせんなどのような、
余計なことはせず、
オンライン英会話にきちんと的を絞りやっていきたいと思う。

会社だけではなくて、社長の安部さんもすごいと思う。
・人間味とアタマの両方を持っている
・牛肉輸入停止という危機を、逆にブランド力向上のチャンスに変えた

安部さんが出された「吉野家 安部修仁 逆境の経営学 」を読んだ


1時間で読める割には、内容が濃くて勉強になった一冊。

なかでも勉強になったのはビジョンのところ。

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グループの経営幹部50人ほどが集まって、3日間の合宿を行いました。・・・そのうち、理念の共有に1日半をかけましたね。

会社を経営するうえで、私がとても気にしているのは一体感です。まず、みんなが共感できる目標を立てる。そして、目標を実現するために自分の役割は何か、個人が自分の仕事に置き換えて取り組んでいく。社内の仕事すべて、どんなディテールまでも、一つの軸に収斂されているか。

私が社長になって心がけたのは、「みんながなるべく誤解しない、やろうとする内容を共有できる分かりやすい経営」です。既に社員1000人体制が見えていますから、全員を率いるには分かりやすくないといけない。例えば、2006年1月に米国産牛肉の輸入が再停止になった時は、社員に「アッタマ(頭)にきた」と表現しました。経営では、自分が伝えたいことを象徴するワンフレーズのメッセージが必要です。
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最近、日々の業務に追われて、正直、
メンバーの間でビジョンがきちんと共有できていないと思う。

ビジョンについて徹底的に話し合う機会をきちんと持ちたいと思う。
・水道哲学
・Equal opportunity to everywhere, everyone

Aチーム

梅田さんのブログにこうあった。

Aクラスの人は、Aクラスの人と一緒に仕事をしたがる。
Bクラスの人は、Cクラスの人を採用したがる

シリコンバレーの格言

A-level people want to work with A-level people.
B-level people tend to hire C-level people.
 (Silicon Valley proverb)

http://www.president.co.jp/pre/special/umeda/3956/


うちのフルタイムの社員は現在3人、もうすぐ4人になるわけだが、
すごいチームをつくりたい、今後も優秀な人しか入れたくないと心から願う。

うちはちっぽけで始まったばかりの会社だから、
優秀な人しか入れたくないってのはおこがましいんだけれども、
やはりお会いした瞬間、「うーん・・・」と思ってしまうケースはどうしてもある。

たとえ逡巡しても、負荷を減らし先行投資のために雇ってしまうという考え方は賢いのかもしれないが、
それは嫌なのである。
理屈ではなく、嫌なのである。

ちっぽけな会社であっても、優秀な人しか入れたくないし、
そうでないと、社会に大きな変化をもたらす会社にはなれないと思う。