フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -75ページ目

海外勤務にはTOEICで800点が必要?

海外勤務にはTOEICで800点が必要 」という
@ITさんの記事を読んだ。

気になったのは次の二点。

・多くの人が、「聞く」「読む」に比較して、「話す」「書く」が「難しい」と考えている点
・記事中に、なぜ800点なのかという論拠が明示されていないという点

TOEICや、日本の大学入試の英語のテストは、
日本人の英語力向上に役立っていると僕は考えている。

やはり、テストがあると、勉強を頑張る。
TOEICは、「聞く」「読む」を測るテストだから、
その部分が伸びるのもうなずける。

でも、「話す」「書く」はTOEICでは測れない。
正確に言うと、それを測るテストもあるが、あまりメジャーではない。
だから、「話す」「書く」が苦手なのもうなずける。

それだからこそ、5000円で毎日外国人のマンツーマンレッスンが受けられるレアジョブ を創った・・・
と言いたいのだが、
宣伝くさくなるのでやめておく。


また、「海外勤務にはTOEIC800点」とあるが、
根拠が示されていない。

というよりも、海外勤務も千差万別で、
・通訳の有無
・仕事内容の複雑性・専門性の有無
・商品・サービスを買う立場か、売る立場か、つくる立場か
などなど、一概には決められないからなのだろう。

ただ、「海外勤務にはTOEIC800点」というクリアな決め方は大好きで、
800点がいいかどうかは別にしても、
そこを目指そうというやる気を高める、というのは評価できる。

海外勤務に選ばれる → さらに英語が伸びる → 海外勤務・・・

という好循環に入るために、海外勤務に選ばれるという最初の入り口が必要で、
それが、

TOEIC800点 → 海外勤務に選ばれる

だとしたら、とてもクリアでわかりやすい。

もちろん、TOEIC800点か、海外勤務以外にも旅行とか英語の本とか色々好循環はあるよとか、
突っ込みどころは満載だが、
レアジョブとしては、そういう英語力が伸びる好循環に入る手助けができる存在になりたいと考えている。

(・・・また宣伝くさくなった。
 英語ニュースネタでたまにはブログを書いてみようと思ったが、どうも性にあわない。)

同記事の内容は、下記の通り。

- - - - - - - - - - - - - - -
海外勤務にはTOEICで800点が必要――研究グループが提言

2008/05/16

 TOEICテストを運営する国際ビジネスコミュ ニケーション協会は5月16日、明海大学外国語学部 小池生夫教授を研究代表者とする研究グループ「小池科研」と共同で実施した、英語教育に関する基礎研究の成果を発表した。海外勤務経験者を対象に行った 「企業が求める英語力」の調査結果を発表すると共に、そこから導き出される、日本の英語教育への提言を行った。

 「企業が求める英語力調査」は、海外勤務の経験者(短期の出張を含む)7354人を対象に行った。高千穂大学商学部 寺内一教授は、「実際に海外で仕事をした経験のあるビジネスパーソンを対象にした、これだけ大規模な調査は国内初」であると語った。英語コミュニケーショ ン能力の具体的な指標を設定し、最高到達目標を具体的に提示すること、またその目標に到達するために必要な教育のステージを設定することを目標としてい る。

 寺内氏は「調査結果は膨大」であるとし、その中から調査結果を抜粋して説明した。アンケートから、「最後に受けたTOEICのテスト結果」につい て聞いたところ、母数6651人のうちの90%が「550点以上」を取っていることが分かった。「850点以上」は全体の20%だった。しかし、「日本人 が国際交渉を第一線で行うのに必要な英語力」を得るために必要だと思うTOEICの得点を聞いたところ、母数7294人のうちの20%が「900点以上」 が必要と回答した。「750点以上」が必要だと考えている人は全体の90%。全体的に、自身が実際に取得している点数では、実践的に必要なレベルに到達し ていないと考えられていることが分かった。これを受けて寺内氏は、「日本人が国際交渉を第一線で行うには、最低でも、TOEIC換算で800点は必要であ る」と提言した。


 さらに、職務上で「どの程度、英語で内容を理解または発表できるか」について、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つのアクションごとに、「簡 単な内容の場合」と「複雑な内容の場合」に分けて調査した。その結果、「聞く」「読む」に比較して、「話す」「書く」が「難しい」と考えられていることが 分かった。例えば、複雑な内容について話す場合、90%以上の内容を話すことができると考えている人は、全体のわずか8.0%に過ぎなかった。「日本人が 苦手とされているスピーキングとライティングは、本調査でも苦手意識が如実に出た。これはTOEIC高得点者であっても同様だ。また、簡単な内容か複雑な 内容かで、理解または発表できるかどうか、大きな差が出ている」と寺内氏は解説した。

 また、調査は業種・職種共に幅広く行われたが、中でも業種では「情報通信」、職種では「経営企画」や「販売」、「技術」などが、特に高い英語力を必要としている傾向にあると寺内氏は説明した。

 調査結果を受けて小池氏は、中国や韓国、台湾の状況と比較し、「到達目標を考えると、日本でも小学1年生から段階的に英語教育を行う必要がある」 と提唱。また、上記3カ国に比べて、英語の学習指導要領に記載されている「英語教育への姿勢」が日本は弱いと指摘し、国の政策レベルで考える必要があると 強調した。


- - - - - - - - - - - - - - -

* 本エントリでは、今後削除される可能性のあるインターネット上の記事を参照しており、本エントリの内容の保存を目的として、当該記事のほぼ全文を引用させていただいております。問題がありましたらご連絡下さい。削除等の対応を速やかにさせていただきます。

フィリピンから帰ってきて

フィリピンから帰ってきた。
前回と違い、今回は収穫が多かったのか少なかったのか
よくわからない。

向こうで採りたかった人を採れたこと、
Pendingになっていた作業が前に進んだこと、
色々な問題点が浮き彫りになったこと
などなどはとても良かったが、
何かイマイチ満足できない。

今回向こうに居て良く分かったのは、
正社員を雇って育てるってのがどういうことか、
向こうに行く前は全然わかっていなかったんだと気づいた。

端的に言えば、下記のことに気づいてきた。

・仕事には、任せる相手に応じた適切な任せ方がある
・ちょっとの指導ですぐ分かる人と、じっくり指導が必要な人がおり、それはその人の好みや才能によってどちらになるかが決まる
・フィリピン側では、僕の直下には、じっくり指導が必要な人をおくことができない
・高い給与はモチベーションを上げる要因にならないが、他人と比べて安い給与はモチベーションを下げる要因となる。従って、従業員が「給与は安いが、やりがいや人間関係がよいから頑張る」というシチュエーションをつくりだすのは相当困難な作業。むしろ、単純に高い給与を出せる環境づくり(=雇う人数は少なくて済むモデル、とか)の方がまだ簡単な可能性が大きい。
・つまり、信頼関係があって高い給与を払える、というのがベストであり、そこを目指すべき
・人を雇いすぎてはいけないが、募集が多く来たらどうしよう、なんて心配は必要なく、募集の手をガンガン複数同時にかけていくべき
・適切な人を雇うことが出来れば、事業は大きく前に進む

などなど。。。

そろそろ日本側でも人を採っていかないと、本格的にそこがボトルネックになり、影響がフィリピン側にも及んでくるなと気づき始めた今日この頃です。ビジネスをスケールさせるってのは難しいと思います。

任せる人と任せ方

こっちで新たに人をRecruitしたが、その人にこう言った。

「僕がフィリピンでできるのは2つしかなくて、
 僕が信頼できる人を探すってことと、
 探し出したら、その人に任せるってこと」

フィリピンの状況は、僕はまだわかっていない部分が大きいから、
どうしてもこうなるんだが、
任せる人と任せ方が適切だと、この方法はとてもうまくいく。

けれど、
任せるのにそれほど適任じゃない人に、自由に任せてしまうと、
痛い目を見るなってことに気づいた。

なので、仕事の一部を今自分に戻して作業中。
やり方をガチガチに固めてから、またその人に戻してみるつもり。

TaskをIssueから始めることの重要性

今日はフィリピン側スタッフ達とミーティング。

TaskをIssueから始めることの重要性を認識してもらおう、
というもので、

このように書くと非常に簡単に聞こえるが、
はー 疲れた。

まず議論をやってもらって、
その議論の方向性がずれていくたびに
「それってIssueに応えていないよね」
と突っ込んで、
議論の結果最終的に出てきたものを見て、
「Issueはこうだから、
 実はそのTaskをやるよりこっちの方が効果的だよね?」
とひっくり返す、という作業だった。

決まった手順で教え込んでいくというものではなく、
ライブで議論をさせて、
状況に応じて議論に適切な突込みを入れ、
こちらの実力で重要性をカラダで覚えてもらう、
ということを英語でやった。

(スマイリーに「根切り 」を行った感じ。)

今日はおかげさまでうまくいった感じ。
ここは、仕事の効率性を数倍も変えていくポイントだから
非常に大事。

実作業→話す

下に人がついてくると、
自分の実作業の時間がだいぶ減って、
その代わり下の人と話して説明して聞いて・・・の時間が増えてくる。

それは当然なのだけれど、でも変な感じ、
どことなくうわついたがする。

果報は寝て待つ

R25/Yahoo!や産経新聞に載せて頂いたのは、
こちらが何か努力をしたわけでは決してなく、
たまたま向こうからお話を頂いた。

そしてフィリピンで欲しい人に入ってもらったときも、
すごい口説き方をしたわけではなく、
前々から少しずつ布石を打っておいて、
結果的に向こうの状況が整ったときに、
OKを向こうからもらった。

両方のときとも、
「果報は寝て待つもんだなぁ」
ということを実感したが、
今日もおんなじことがあった :)

嬉しいなぁ

まだ確定したわけではないので、
まだ書けないが、
朗報。朗報。

やるべきことをやった後で、
天命を待つ。

成功の可能性は低いと思いながらも、
手を抜いてはいかんのですよ。

つまりが、果報は寝て待つ。
失敗してもじたばたしない。

こういうことが大事なんだと思う。
僕は、いい意味で、「果報は寝て待つ」主義です!

信頼

給与明細メールを講師に送ったところ、次のような返信がきた。

No problem with this. As you've said, this company is based on trust.
So, I have good faith in you. All papers are for formality and in
cases of breach of trust. But I believe the latter is unlikely to
happen as I know you have good work ethics and principles at work.

Always a pleasure working with you in the company.


明細をチェックするのは面倒だし、あなたを信頼してますよ、といったところだろう。
こういう信頼は、売上・利益以上に大事。

スケールするブロックを組み立てる

よく、
「友人と2人でベンチャーやっています」
という話を聞くが、
小さい会社 = ベンチャー では
もちろんない。

これまでにない事業をやっている会社 = ベンチャー
というのも違う。

ベンチャーがベンチャーたるゆえんは、次のところにある。
・その事業を100倍、1000倍に拡大できる可能性がある、またはその過程にある
 (決して10倍ではない)
・従って、事業がうまくいったときは大きな利益が期待できる
・従って、関係者(=創業者、従業員、エンジェル、VC、顧客など)が、将来見込める利益を配分してもらうために、事業拡大に向け一同そろって頑張る体制ができる
・従って、世の中の成長が見込める新規事業というのは不確実性が高いが、リスク・リターンを計算できるようになるので、事業拡大のために皆の力を結集しやすいプロジェクトになりえて、成功確率が上がる

なので、
小さければベンチャーでもなく、
これまでにない事業をやっているからベンチャーでもない。

例え今まであった事業をやっていても、
何らかの技術・仕組みなどによって
事業規模を100倍、1000倍にしていけるのであれば、
それは立派なベンチャーと呼べる。
(中古車販売業やブライダル業で上場した場合など)

で、うちは、ベンチャーでありたいと思っている。
中小企業であることを選ぶのも一つの道で、
もちろんそこからベンチャーに転回することもできるが、
うちは最初からベンチャーでありたい。

だから、事業を、100倍、1000倍にしたいと思っている。
(これを、事業をスケールさせる、と言う)

そうなると、解決すべきイシューが出てくる。

(1) 事業のスケール以前に、そもそも収益性のあるモデルか
(2) 事業をスケールさせる余地があるか
(3) スケールできたときに、スケールするまでは問題がなかった部分が問題にならないか

Youtubeを例にとると、それぞれ次のようになる。

(1) 無料でビデオを共有するプラットフォームをつくり、広告をそこに入れたりオプションで料金を取ったりして利益をあげようとするモデルだが、そこには収益性があるのかどうか
(2) そもそも世の中にニーズはあるのか、ニーズはあったとしてもニーズのある顧客に低コストでリーチできるのか
(3) 帯域の占有、データ量の増大によるサーバの圧迫、著作権違反など、事業が小さいうちは影響がなかったり、小さいから目をつぶってもらえたりする。だが、世界中で何千万人が利用するプラットフォームになると、それらは大きな問題になるが、果たしてクリアできるのか

Youtubeの場合は、Youtubeを買収したGoogleが(1)で苦しんでいるのを除き、
上記をうまくやりおおせたから成功した。
(実際、YouTubeは何よりも、(3)のサーバの圧迫をクリアしたってのが、他のどの要素よりもすごいと思う)

で、レアジョブに戻ると、今着々と組織作りが進んでいる。
その大きな部分がフィリピンにあり、もうすぐ僕がフィリピンにまた出張に行く。
当然、その組織に手を入れてくるわけで、
じゃぁどうしたらいいかを考えた。

で、ひらめいたのが、次のようにやってくるというのがベストなのだと思った。
・僕達はスケールしなくてはいけないんだよ、ということを徹底して共有してくる
・スケールにまつわるイシューを分割して、各チーム(部署)に配分し、「君たちはこのイシューを解決するのが仕事なんだよ」 という点を共有してくる

一言で言えば、
ベンチャーの経営ってのは、スケールするためのブロックを組み立てるってことだと思う。

ブロックはチーム(部署)単位であり、
一つ一つのブロックがきちんとできていれば、全体としてもうまくいく。
逆に、ブロックの一つでもおろそかになっていると、ガタガタの全体像になり、
成功確率が下がってしまう。

経営者としての僕の役割は、
レアジョブのビジョンが実現できるよう、イシューをブロック単位にきれいに分割するということと、
一つ一つのブロックの様子を定期的に丹念に観察し、必要があれば手を入れていくということだと思う。

なので、手始めに、
スケールするためのブロックの設計と立ち上げをまずは頑張ってきたい。

産経新聞に掲載いただきました。

産経新聞に掲載いただきました。
本日の朝刊です。

- - - - - - - - - - - - - - -
【ねっと系】スクロール 激安在宅レッスンができるワケ
2008.4.23 08:21

 ■ブーズ・アレン・ハミルトン 土井康二郎

 読者の中には英会話を習う方もいるだろう。英会話大手ジオスを例にとると、個人レッスン料は25分換算で約5000円~、駅前の校舎で受講するのが通常だ。この英会話を、自宅で、かつ低価格で習うことが可能となった。「レアジョブ」というベンチャー企業が、海外の名門大学生を講師とした英会話個人レッスンを、25分で129円~という料金で提供している。校舎のない地域でも受講できる上、価格もジオスの数十分の一だ。レッスンはSkypeという通話ソフトを利用し、音声通話とチャット、時にはビデオ通話を介して行う。ソフトは無料でダウンロードでき、他にパソコン本体とマイク(1000円程度)があればよい。

 在宅での破格レッスンを可能にした要因は3つ。「国家間の賃金格差」、「低価格のブロードバンドインフラ」、それに「P2P(ピアツーピア)通信技術」だ。まず、講師はフィリピン大学(フィリピン最高位)に通う優秀な学生だが、賃金水準は日本の数分の一だ。次に、通信インフラが整って円滑な通話が可能となった。日本では2001年ごろ、フィリピンでも06年ごろからADSLなどのブロードバンド回線が低価格で提供されている。さらに、通常のIP電話はサーバーの保守費用がかかるが、P2P技術を利用すれば無料で通話可能だ。このサービスがどこまで普及するかは未知数だが、興味深い事例だ。今後、個人向けサービスの「海外調達」はどこまで進展するのだろうか。物理的な接触を伴うサービス(マッサージなど)は難しかろうが、英語ができればインド人からプログラミングを習ったり、中国人の語学・家庭教師を雇ったりすることが普通になる日がくるかもしれない。

                   ◇

【プロフィル】土井康二郎

 どい・こうじろう 東大卒、同大学院修了(社会心理学修士)。情報通信、消費財、流通、電機、金融などの企業に対し、新規事業・市場参入・マーケティング戦略などの立案、および組織体制・業務の改革支援などのコンサルティング経験を有する。

- - - - - - - - - - - - - - -

MSN産経新聞での掲載ページはこちら です

なぜレアジョブが可能になったのかという点が非常に分かりやすく書かれていて、僕自身、とても勉強になりました。
産経新聞の方々、ブーズアレンの土井さん、誠にありがとうございました。 m(_ _)m

ひとりごと

厳しすぎるのかな? これでもゆるゆるにしているつもりなんだけれど。。。 ひょっとしたら僕、向こうからみて怖く見えていたりするんだろうか。。。