スケールするブロックを組み立てる | フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記

スケールするブロックを組み立てる

よく、
「友人と2人でベンチャーやっています」
という話を聞くが、
小さい会社 = ベンチャー では
もちろんない。

これまでにない事業をやっている会社 = ベンチャー
というのも違う。

ベンチャーがベンチャーたるゆえんは、次のところにある。
・その事業を100倍、1000倍に拡大できる可能性がある、またはその過程にある
 (決して10倍ではない)
・従って、事業がうまくいったときは大きな利益が期待できる
・従って、関係者(=創業者、従業員、エンジェル、VC、顧客など)が、将来見込める利益を配分してもらうために、事業拡大に向け一同そろって頑張る体制ができる
・従って、世の中の成長が見込める新規事業というのは不確実性が高いが、リスク・リターンを計算できるようになるので、事業拡大のために皆の力を結集しやすいプロジェクトになりえて、成功確率が上がる

なので、
小さければベンチャーでもなく、
これまでにない事業をやっているからベンチャーでもない。

例え今まであった事業をやっていても、
何らかの技術・仕組みなどによって
事業規模を100倍、1000倍にしていけるのであれば、
それは立派なベンチャーと呼べる。
(中古車販売業やブライダル業で上場した場合など)

で、うちは、ベンチャーでありたいと思っている。
中小企業であることを選ぶのも一つの道で、
もちろんそこからベンチャーに転回することもできるが、
うちは最初からベンチャーでありたい。

だから、事業を、100倍、1000倍にしたいと思っている。
(これを、事業をスケールさせる、と言う)

そうなると、解決すべきイシューが出てくる。

(1) 事業のスケール以前に、そもそも収益性のあるモデルか
(2) 事業をスケールさせる余地があるか
(3) スケールできたときに、スケールするまでは問題がなかった部分が問題にならないか

Youtubeを例にとると、それぞれ次のようになる。

(1) 無料でビデオを共有するプラットフォームをつくり、広告をそこに入れたりオプションで料金を取ったりして利益をあげようとするモデルだが、そこには収益性があるのかどうか
(2) そもそも世の中にニーズはあるのか、ニーズはあったとしてもニーズのある顧客に低コストでリーチできるのか
(3) 帯域の占有、データ量の増大によるサーバの圧迫、著作権違反など、事業が小さいうちは影響がなかったり、小さいから目をつぶってもらえたりする。だが、世界中で何千万人が利用するプラットフォームになると、それらは大きな問題になるが、果たしてクリアできるのか

Youtubeの場合は、Youtubeを買収したGoogleが(1)で苦しんでいるのを除き、
上記をうまくやりおおせたから成功した。
(実際、YouTubeは何よりも、(3)のサーバの圧迫をクリアしたってのが、他のどの要素よりもすごいと思う)

で、レアジョブに戻ると、今着々と組織作りが進んでいる。
その大きな部分がフィリピンにあり、もうすぐ僕がフィリピンにまた出張に行く。
当然、その組織に手を入れてくるわけで、
じゃぁどうしたらいいかを考えた。

で、ひらめいたのが、次のようにやってくるというのがベストなのだと思った。
・僕達はスケールしなくてはいけないんだよ、ということを徹底して共有してくる
・スケールにまつわるイシューを分割して、各チーム(部署)に配分し、「君たちはこのイシューを解決するのが仕事なんだよ」 という点を共有してくる

一言で言えば、
ベンチャーの経営ってのは、スケールするためのブロックを組み立てるってことだと思う。

ブロックはチーム(部署)単位であり、
一つ一つのブロックがきちんとできていれば、全体としてもうまくいく。
逆に、ブロックの一つでもおろそかになっていると、ガタガタの全体像になり、
成功確率が下がってしまう。

経営者としての僕の役割は、
レアジョブのビジョンが実現できるよう、イシューをブロック単位にきれいに分割するということと、
一つ一つのブロックの様子を定期的に丹念に観察し、必要があれば手を入れていくということだと思う。

なので、手始めに、
スケールするためのブロックの設計と立ち上げをまずは頑張ってきたい。