筑前国の神功皇后めぐり①　～香椎宮～

福岡県の
福岡市東区にある
香椎宮（かしいぐう）です。

ここは第14代・
仲哀（ちゅうあい）天皇が
熊襲（くまそ）征伐のため、

神功（じんぐう）皇后とともに
遷り住んだ仮宮だといいます。

記紀によれば、

神功皇后に懸かった
神の怒りに触れ、

仲哀天皇はここで
崩御したといいます。

ですから古くは、
香椎廟（かしいびょう）とも
いわれていたようです。

祭神はもちろん、
仲哀天皇と
神功皇后です。

天皇より勅使がつかわされる
１６の勅祭社（ちょくさいしゃ）
のうちの１社であり、

貝原益軒（かいばらえっけん）の
『筑前国続風土記』によれば、

東に伊勢（いせ）、
西に香推、
南に石清水（いわしみず）、
北に氣飯（けひ）の

四所宗廟（ししょそうびょう）の
１社だといいます。

宗廟とは、
皇室の祖先を祀る
建物のことで、

宇佐（うさ）神宮も
宗廟だといわれています。

境内はいってすぐの

菖蒲池には
弁財天社がありました。

神社の入口にはよく
弁財天社がありますが、

池や川など水のうえを
通るだけでも
祓い清めの意味があります。

個人的には、
動物園の入口を飾る
フラミンゴ的な感覚もあり、

ここから
神域がはじまるのだと
わくわくします。

祭神である

市杵嶋姫（いちきしまひめ）の
ご神像でしょうか？

穏やかで美しい

お顔をされていました。

ところで
境内の看板には
香椎宮の古地図が、

描かれていました。

よくみれば、

参道の入口に
弁財天社がありました。

現在とは、

池の形も社の場所も

すこし違うようですね。

さて、

弁財天社に

ご挨拶を済ませると

つぎは

楼門が見えてきます。

1903年築といいますから、

神社界隈からすれば、
比較的新しい建物のようです。

もちろん、

古地図には載っていません。

この楼門には
面白いいわれがありました。

楼門をくぐったさきの、
参道の左右にならぶ
狛犬は、

右が口を開けた
阿（あ）であり、

左が口を閉じた
吽（うん）であり、

阿吽をあらわしている
のですが、

こちら小顔の
吽（うん）の狛犬に
触れたあと、

すこし戻って
楼門をふり返ると、

ちょうど楼門の
門のなかに
奥の鳥居がみえて、

『開』という字に
見えるといいます。

「吽（うん）」に触れて
「開」をみることで

『運が開ける』という
願掛けがあるのだそうです。