豊前国の宇佐めぐり⑩ ~鉾立神社と三つ巴紋~ | NAVI彦 ~つつがなき神さまめぐり~

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神社めぐりをしています。
その土地ならではのお話も、
さくっとまとめてます。

宇佐めぐりのラストは
鉾立(ほこたて)神社です。

大尾山(おおやま)
ふもとにあるのですが、

大尾神社の大鳥居から、
50メートルほど
南下したところにありました。

 



ここは、
神体山のふもとで神を祀る
古代祭祀の里宮であり、
鳥居も社もありません。



近くには他にも


八幡(はちまん)大神
御生れ(みあれ)したという
阿良礼宮(あられのみや)や

椎根津彦命(しいねづひこ)が
神武(じんむ)天皇をつれて
たどり着いた場所だという
椎宮(しいみや)という

 

古代祭祀場が
あるといいます。



鉾立神社は
初代宮司の
大神比義(おおがのひぎ)が、

八幡大神を祀るため
鉾を立てた場所だと
いわれているようです。



鉾といえば、
武具のイメージがありますが、

日本では
祭祀道具として
定着したといいます。

いまでは鉾ではなく

樹が立っていました。

 

 

ここもまた、存分に、

聖地を堪能できる場所です。

 

境内の樹々や

背後の森からは、

脈打つ鼓動まで

聞こえてきそうでした。

 



さてここまで
宇佐神宮をめぐってきて、

「3」という数字が
やたらと目につきました。

たとえば、
宇佐神宮には
3つの本殿があり、

八幡大神
比売(ひめ)神
神功(じんぐう)皇后
を祀っていました。



これは、
宇佐の地に根づいた
3つの氏族、

渡来系の
辛嶋(からしま)氏

土地の民の
宇佐(うさ)氏

大和からきた
大神(おおが)氏

の信仰によるといいます。



また、
八幡大神が
あらわれたという
菱形池(ひしがたいけ)のほとり

御霊水(ごれいすい)にも
3つの井戸がありました。



さらに、
この菱形池を囲むのが、
宇佐3山とうわれる

大尾山(おおやま)
亀山(かめやま)
宮山(みややま)です。



ついでにいえば、
宇佐氏が
祀っていたという

比売神も、
3人の女神だといいます。

 



そんな地を
象徴するように、


宇佐神宮の神紋は
三つ巴紋だといいます。



三つ巴をつかう神社や
家は多いそうですが、

なかでも宇佐神宮は、
その発祥地ともいえるようです。

八幡大神といえば、
もともと
八王子(はちおうじ)の信仰
だったといいますが、



宇佐の地では
そこへ

渡来系辛嶋氏による
新羅神の信仰と、

土地の宇佐氏による
比売神の信仰と、

大和の大神氏による
天照信仰が結びついて



八幡大神は
第15代・
応神(おうじん)天皇の
化身として
祀られるようになったといいます。

この宇佐神宮が
東大寺の造営に協力し

朝廷との
結びつきを強めたこと、

さらには
神宮寺(じんぐうじ)など
神仏習合に先駆け
仏教までも取り込んだことから

八幡大神を
応神天皇とする信仰は
全国的に
広まっていったようです。

 



くわえて、
ときは700年代のはじめ、

国家醸成のため
法令や貨幣を流布し
国史編纂をおこなった
時期でもあり、

 

地方の統制まで

手がけました。



そこで、

あらゆる宗教思想の

象徴的な神として

八幡大神が生まれ、

 

中央の朝廷の祖である

応神天皇と結びつけた

のだと思われます。




ところで、
三つ巴紋の
巴(ともえ)という言葉は、

弓を射るときに使う
鞆(とも)からきているといいます。

この鞆は、
古くは「ほむた」とも
読んだそうです。

弓矢の神としても
祀られる応神天皇は、

鞆(ほむた)をもって生まれた
という伝説もあり

誉田別尊(ほむたわけのみこと)
と名づけられました。

この名は、
大鞆和気命(おおともわけのみこと)
とも書くことができるようで、

「鞆」の字だけでなく
「和気」の字まで
出てくると、

宇佐八幡宮神託事件
活躍した
和気清麻呂(わけのきよまろ)にまで
繋がる気がします。



そんな応神天皇の
母親として

神功皇后が祀られたのは、
823年といいますから、

八幡大神や
比売神が祀られてから
百年以上あとのことになります。



面白いのは、
宇佐神宮の参道では

宇佐飴という
麦芽や玄米でつくられた
飴が名物なのですが、

この飴には、
神功皇后が応神天皇を育てるとき、
母乳の代わりにしたという
言い伝えがのこっており、

“お乳飴”との
いわれもあるといいます。



また
境内には絵馬でなく
瓢箪(ひょうたん)が

掛けられているのは、

神功皇后が応神天皇を育てるとき、
母乳を瓢箪にいれて飲ませた
という言い伝えから
来ているといいます。

 



神功皇后と乳のイメージが
こんなにも色濃く残っているのは
興味深いですね。


豊前国の宇佐めぐり ~終~

 

 

☆宇佐めぐり全記事リスト☆

豊前国の宇佐めぐり① ~宇佐神宮について~
豊前国の宇佐めぐり② ~黒男神社と武内宿禰~
豊前国の宇佐めぐり③ ~菱形池と八幡神~
豊前国の宇佐めぐり④ ~春宮と若宮~
豊前国の宇佐めぐり⑤ ~本殿~
豊前国の宇佐めぐり⑥ ~下宮~
豊前国の宇佐めぐり⑦ ~八坂神社と神宮寺~
豊前国の宇佐めぐり⑧ ~御霊水~
豊前国の宇佐めぐり⑨ ~大尾山と和気清麻呂~
豊前国の宇佐めぐり⑩ ~鉾立神社と三つ巴紋~

 

 

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