







ここまでけっこう歩いている。
船の科学館駅から科学未来館を経てヴィーナスフォートを貫き、引き返すようにダイバーシティまで。
サイズ的にぴちぴちの靴は浮腫みだした足を締め付け始めた。
その頃になって、
(この靴、失敗やったなぁ)
遅すぎた。気づくのも、反省するのも。
ただ、素晴らしいお散歩日和だったことに少なからず救われた気がする。
正面から
バストショットw
風景
結構な大きさなので至近から縦撮りしたのもあるんですけど、アップロードすると横向いてしまうのが残念っす。
ちなみに、スマホからアップするのは大丈夫。
周囲を撮り廻って建物の中に入ると、そこはいきなりフードコート
見渡してみると、なかなかの有名店が並んでいる。
朝ごはんがゆっくりだったこともあって、ここで遅めのお昼ごはんとなった。
奥様は六厘舎の新ブランド『九臨』のラーメンだったが、おっさん二人は金子半之助の天丼を選択。
まさかここで半之助の天丼が食べられるとは思ってもみなかった。
食事を終え、外に出る。
ダイバーシティのすぐ裏(というか表なのか)にはフジテレビ社屋がある。
ゆりかもめは小型車両なので通勤ラッシュが始まる前にお台場を脱出したい。
まだ時間はあったので球体展望台へでも、と大階段側から7階へ上がっていく。
・・・またか。
そのエリアや近隣では、こういうのは同じ日に設定されていることが多い。
無休を謳っていなけば、安心できないということになる。
フジはワンピースがドル箱なのね。
仕方なく『フジさん』と名を変えたショップでお土産を漁り、次なる目的地・台場一丁目商店街へ向かうことにした。
フジテレビから台場一丁目商店街のあるデックス東京ビーチまでは、微妙に距離がある。
それぞれゆりかもめの駅で言えば、最寄りは台場とお台場海浜公園となるのだが、フジテレビは駅から海浜公園駅寄りにあるし、デックス東京ビーチはこれまた海浜公園駅から台場駅寄りにある。
なんでもなければ歩くところなのだが、最初に1日券を購入していた我々は、未だ1回しか乗車していない。
これを活用しなくてはならないだろう、と台場駅から海浜公園駅まで乗車することに決まった。
時刻は16:00頃。
青空はいつのまにかその色彩を薄めている。
デックス東京ビーチに来るのは何年ぶりだろうか。
今のクルマの前に乗っていたクルマを買ったばかりの頃、初めて遠征してきた時だから・・・20年くらい経っているはずだ。
商店街に向かう途中、扉の外にレインボーブリッジが見えた。
(あの時も確か、こんな時間帯にあの橋を撮った)
二人を待たせてササッと撮っておいた。
200万画素のIXY DIGITALと1,800万画素の60Dではどれくらい差があるのか。
探して比べてみたい。
たぶん、これくらいの画角だったように思う。
一応、少し寄ったものも。
お台場一丁目商店街。
昭和30年代をコンセプトにした店ばかりを集めているらしい。
中でも入り口付近のゲームコーナーと駄菓子屋は、まさに子供の頃に通いつめた世界だった。
商品ラインナップは現代のものだったが。
前夜、みんなで盛り上がりを見せたこういうものも、今もちゃんとあるのが嬉しい。
ただし、中身は昔のような紙巻チョコレートではなく、砂糖を固めたようなお菓子になってしまっている。
まもなく17時になる。
ゆりかもめが混む前に、新橋へ向かった。
お宿のある浅草へは新橋でメトロ銀座線に乗り換える。
そのまますんなりではなく、ちょっと新橋駅前の見物をしようということになった。
烏森口に出て、そこが普段の待ち合わせ場所なのだと紹介する。
SL広場に出て、テレビで新橋のサラリーマンにインタビューしてるのはここですよ、とも紹介する。
そうして、この後どうするかと思案するものの、食事はついさっきいただいたばかり。
ニュー新橋ビルの角にひときわ目立つから揚げ屋があるのだが、今は要らない。
その店の看板に、『浅草からあげ』の文字を見つけたお父さんは、いったん浅草に戻ってはどうかという。
『どっかでみた気がするし』
それなら浅草へ戻って、時間をおいてからにしようと決まった。
まだメトロも混雑してはいない。
浅草に着いて、お宿へ向かう途中で着信履歴とメールに気づいた。
読んでみると、幹事長まで連絡をくださいとのこと。
牛タンかお好み焼きでもどうか、というお誘いだったが、今はさすがに食べれそうにない。
浅草からあげのこともある。
この申し出には丁重にご遠慮させていただく次第となった。
時刻は18時。夜はまだこれからである。
つづく
科学未来館がお休みだということを現地に着いて知った3人でした。
が、持ち前のご陽気さのおかげで失速することもなく。
抜けるような青空。
風もなく、ぶらぶら歩きにはまあまあなコンディション。
科学未来館のすぐそばにはフジテレビ湾岸スタジオがあり、大型トラックの荷捌き場には様々な機器が積み上げられていました。
角を曲がって進むとMINIのディーラーがあって、
(こんなとこで商売になるのか?)
などと横目にしてましたら、交差点斜向かいにヴィーナスフォートが。
『なんだろうね』
『なんやろね』
実はワタクシも来たことないし。
寄ってみましょう、と入ってみれば、専門店街というかアウトレットモールのような商業施設でございました。なるほどなるほど。
・・・などと軽く言ってしまうのは簡単だが、実はそこでも色々やっている。
建物に入るといきなりエレベーターしかなく、上にあがって先ずお手洗いへ向かった。
出てくると2人はいない。
先へ進んでしまったようだ。
あとを追うと、やや薄暗いホールに出た。
おおお。
『イベント会場にもなりそうなとこやね』
あとでわかったことだが、実際に映画の製作発表会場などで使われている。
とうにお昼を過ぎていた(汐留で12:00)が、朝ごはんがゆっくりめだったこともあって、ここではお茶で一休みした。
ヴィーナスフォートを端から端へ突き抜け、外へ出る。
エスカレーターで地上へ降り、ダイバーシティへ歩き出すと道すがらの花壇には花が咲いている。
それをみたお父さん、のたまって曰く、
『この時期に花が咲いてるなんて、向こう(北海道)ではありえんわ。』
『そらそうやろなぁ。先ず真っ白やもんな。』
道は少し登り加減になっている。
(上がったり下がったり、忙しいというか・・・無駄。)
などと思いつつ振り返ると、右側にはいま突き抜けてきたヴィーナスフォートの建物とその向こう、雲ひとつない青空に観覧車が映える。
ちなみにAPS-C 270mmで撮るとこう見える。
道具とは、素晴らしいものだ。
ダイバーシティ方向に向くと、もうRX-0078の上半分は見えている。
原寸大というから面白い。
立木の向こうに見えるところまで来ると、ますます迫力が上がる。
戦場で味方として現れてくれれば、これほど心強いものはないだろう。
つづく(明日はお休みします)
前夜。
夜勤のクセはなかなか抜けない。
うっかりすると、すぐ夜更かしになるので早々に消灯する。
ところがやはり午前3時頃にふと目が覚めた。
またすぐ寝入ったのだが。
7:15 つぎの〜汽車が〜♫ 駅に〜着いたらぁ〜♫
フルボリュームで響くアラーム。
前日の出発時間設定のまま、止めるのを忘れていた。
(そういえば、今朝の時間を決めてなかったな)
(昨夜のあの調子でいけば、おそらくまだ夢の中のはず。
相当大騒ぎしたしなぁ。)
もう少し寝ようかとも思ったが、昼モードに切り替えるためにも起き出しておこうと考え、ひとまず身支度を始める。
整ったところで探信音(いいね)を放ってみたらすぐにおはようメッセージが返ってきた。
・・・お母さんの朝は早い。
・・・この日はお父さんも早かったようだ。
この日の目的地はお台場。
腹ごしらえは近くの松屋で済ませた。
ホテルの朝食(ビュッフェ)もあるのだが、たくさんは要らない。
おそらく3人ともそんな風だったのだと思う。
お台場へは新橋からゆりかもめに乗る。
都営浅草線なら新橋へ一本で行けるので、都営の浅草駅へ向かう。
こうしてみると、浅草という場所からはどこにでも出やすい。
この日もメトロ・都営線共通1日券を買った。
都営新橋駅に着く。
東京にちょいちょい来だした頃、西馬込のビジネスホテルを多用していた。
そのため、この都営新橋駅の改札前で待ち合わせることが多く、懐かしさすら覚えた。
改札を出てすぐ左手へ行けばゆりかもめの駅があるのだが、右へ折れて汐留タワーを観ていくことになった。
日テレショップを覗き、朝の番組でよくみる場所に立ち、大時計を見上げると何やら動いている。
近づいていくと、仕掛けがガチャガチャと作動中。
2時間に一度のタイミングだったが、カメラを出しているうちに終了してしまった。
ここ仕掛けは2分30秒間動くらしい。
ところが普通と違うのは、時報とともに作動するのではなく、時報に合わせて終わるという設定。
動きになんか意味があるんだろうけど、最初から見てみないとわからない。
回廊の先にゆりかもめ線が同じくらいの高さに見える。
地図で確かめると新橋駅よりも汐留駅に近いので、そのまま汐留駅からゆりかもめに乗ることになった。
ここでも1日券を選択するのだが、この1日券というのは観光の場合、運賃の他に様々な施設の入場料が割引になったりするメリットがある。
この日の目的に日本科学未来館があった。
船の科学館駅で降り、そこから歩いていくのだが、広々とした埋立地だけになかなか遠く感じる。
着いたー!
と思ったその時、一つの看板が目に飛び込んで来た。
『嘘でしょ・・・。』
『なんで?連休明けだから?』
『おいおい・・・。』
・・・普通に火曜日が休館日だった。
まったく無警戒だったといっていい。
信号を渡り、角を曲がるまで、三人とも1ミリの疑いも持ってなかった。
『地玉(おそらく地球?)見たかったのにな。(やりたいことは)それだけだったのにな。』
お父さんが呟く。
その微かな声は青空に吸い取られるように消えていく。
『もう来ることもない。』
そうも言ったお父さんの言葉が耳に残った。
(・・・いやいや、あるでしょ。)
私がそう思ったことを彼は気づいているかどうかはわからない。
お父さんが見たかった『地玉』が気になってHPを検索して見たら、トップページに出てるそれらしいものがあった。
https://www.miraikan.jst.go.jp
これは是非とも見てみたい。
やはり次は、ある。
来た道をそのまま駅へ戻るのも悔しいので、手前で見えていたガンダムのところへ歩いて行くことになった。
つづく
居酒屋さんで飲んで食べて。
手洗いに立ち、席へ戻ろうとしたとき、三本締めの拍子が店内に響いた。
(賑やかにやってるねぇ〜♪)
と感心してみたら、ウチの一行でございましたという・・・。
『ちょっとちょっと、なんだなんだ?』
『何がどうした?』
カラオケ行くんだ、と決まったという。
じつは歌いたい人ばかりの集いでもあったから、それはもう自然の流れでもあった。
そして、賑やかさはこの日最大の山場を迎えることになる。
歌いながら握手してまわる者。
その姿を撮ろうとするのだが、明るさが足りずに撮りきれない者。
各々が思い思いに楽しんでいた時間は、まもなく終わりを迎える。
やはり終電には抗えなかった。
宿に戻る頃には日付が変わる。
『遊び呆け』
この言葉が使えるのは、こういう一日だろう。
12,753歩。
この日の出来高である。
メトロ銀座線で一路、神田へ。
神田駅はほぼ改装を終えている。
以前より綺麗で広々と感じ、なにより明るくなっていた。
改札を出てまっすぐ居酒屋に向かうのかと思いきや。
これまであまり行かなかった東口方面へ進んでいく。
『HUB』という名の英国風パブ。
ハッピーアワーは16時から。
すでに始まっていて、店内は大盛況。
ドリンクもフードも先払い。
やんややんやとペースが上がる。
『あの・・・こっちご一緒させて貰っていいですか?一人だと寂しいんで。』
飲み物を倒してバタバタしていたところへそう希望する者が申し出た。
なんとなく、『どうぞ』となってしまった。。
広告業界で働く38歳のその男は、どこか草なぎ君のような雰囲気をもつ。
名前は・・・なんとかアキヒロ君だったが。
出身は兵庫県尼崎市だというから、驚いた。
聞けば奥さんが妊娠中で5月には父親になるのだという。
休日出勤で出てきて、4杯目を飲んでたところらしい。
なるほど、やや酩酊気味ではあった。
若者グループか、アダルトグループか。
どちらに混ぜてもらうか迷ったが、こちらにしたのだとも言った。
他愛のない世間話をしていたら、隣の若者グループの端にいたお姉さんもこちらの話に入ってきたりする。
そのお姉さんはアキヒロ君と同い年で、兵庫県姫路市の出身という。
こういうことは、よくよく考えればあっても不思議ではないが、ご縁とは面白いものだ。
しばらくして店を出た。
目的の居酒屋はすぐ近くにある。
場所を変えた・・・はずだったが、アキヒロ君も一緒に付いてきている。
席についてまもなく、アキヒロ君はいよいよ酩酊する。
しまいには眠り始めてしまったが、その場に放置することはしなかった。
少し経って目を覚ましたところで、『もう帰りな。』と退席を促す。
素直に立ち上がって店を出ていったアキヒロ君はその日、無事に帰れただろうか。
『梅酒ワイン、美味しいね〜♪』
ひときわ和やかな時が流れた。
どんな話をしたのかさっぱり記憶がない。
だが、ずっと笑っていたように思う。
つづく
休場日で閉鎖されているゲート。
そこから引き返しがてら、波除神社に吸い込まれていく。
拝殿前には茅の輪が設けられている。
メンバーはそれぞれ左回りに3周するのだが、その様子に違和感を覚えた。
(これ・・・8の字にくぐるんじゃなかったか?)
よく確かめると、やはり8の字様にくぐる、と但し書きされている。
だが、皆さほど気にしていないようだ。
築地場外市場をあとにする頃、入れ違いに来る人の波が大きくなっていた。
まだ小雨は落ちてくる。
傘は要りそうで要らない。
来た道を戻ることになった。
場所も店名も失念したが、銀座あたりの何やら上等なフレンチ風のカフェになだれ込む。
一休み終えて店の外へ出る。
・・・雨は上がったようだ。
『銀座だし、近くにクロムハーツのお店があるんじゃないか?』
調べてみると、すぐ近くにあることがわかった。
店先に看板はない。
ただ、銀色に輝く百合の紋章のみがかけられている。
店内にはごく少数の商品が展示されているだけで値札は見当たらない。
それはまさに高級宝飾品店のようだ。
実際、どれを取っても思い浮かぶ金額とは合致しないだろう。
ひとつ勉強になったのは、値段は米ドル建で決められるということだった。
だとすれば、ひと頃からすればこのところの円安傾向で最低でも3割から5割は価格上昇していることになる。
ビルの谷間に『もう手が届かねーー』という切ない叫びが響いた。
(銀細工なのに、たいしたもんだねぇ。)
それは何事においても同じではあるが、興味のない者にはこの程度の感想しか浮かんでこない。
もう少し、いろんなことに興味を持つべきであろう。
人生は短いのだから。
夜は、いつもの居酒屋へ行くことに決まった。
まだ時間があるというので、ひとまずハッピーアワー狙いの前哨戦へ向かうことになるのだが、それですらもまだ早い時刻である。
それが理由なのかどうかはさておき、ソニービルへ立ち寄ることになった。
8Fではサウンドプラネタリウムが上映されており、少々待って鑑賞する。
ハイレゾ音源でのコンテンツは、少々ゲインを上げても破綻しない。
それどころか音声の自然な響きと奥行きが鮮明さを伴って耳に押し寄せる。
目の前に設置されているアンプと1本のスピーカーは家庭用程度のものらしい。
それらはしばらく興味を失っている間にかなりの進化を遂げていた。
興味というものは持ち続けるべきものであることを知る。
人生は短いのだから。
プラネタリウムを観終えて退場するのに、係員は混雑を理由に階段へ誘う。
降りていくとそこはショールームになっていて、階を下るとともに古き良き時代の製品展示に変わっていく。
懐かしい機材を眺めながら、適当に、まったく適当に作った放送劇でコンクール参加し、各校発表中にもかかわらず顧問の眉毛太い先生とお地蔵さんのような部員に黙って他の二人と会場を抜け出し、姫路城を堪能したことを思い出す。
授賞式が始まるタイミングで会場に戻るとなぜが自校の名が呼ばれていて、訳も分からずに賞状を貰ったら佳作だった。
なにがウケたのか、未だにわからない。
話を戻さねばならない。
時刻はようやく午後3時。
まだハッピーアワーに届かない。
我々一行は信号を渡って東急プラザ銀座へ入っていく。
屋上からの眺めは・・・ひとつの発見があった。
エルメスの入るビルの屋上に、騎士(?)の像が掲げてある。
真下からはまず見えない場所なのだが、何かのこだわりなのだろう。
ひとつ階下に降りると、飲食店や雑貨店がある。
ガチャガチャをやろうとして商品が出てこない者や、どこかで見たような妙なキャラクターのトートバッグを買う者。
皆、好き好きに彷徨うのがいつものスタイル。
館内はどこも暖房が効いていて喉が乾く。
同じフロアのひと休みに入ったお店で小綺麗なお飲み物を頼んでみる。
炭酸系だったはずが、底の濃いシロップを混ぜてるうちにガスが全部抜けてしまうという物哀しい出来事を経験しながら、まあ兎にも角にも潤うことはできた。
そのうち、いい時間になってきた。
つづく
07:15 小雨のなか宿所を出発した我々は、新橋会メンバーが待つ銀座四丁目交差点を目指す(大げさ)
傘は要りそうで要らない。
途中、まだ静まりを保つ早朝の伝法院通りから仲見世通りへと抜け、あの雷門へ裏手からアクセスを試みる。
人の気がない雷門は、初めてだった。
あと2時間もすれば、この画面だけで数十人は写り込むんだろう。
メトロ銀座線・浅草駅へと階段を降り、発車を待つ車輌を見て驚いた。
(黄色の帯やったのに・・・真っ黄色になってるやん)
こうして時代は移っていく。
07:55 乗車時間にして18分。
我々は集合場所である銀座四丁目交差点に到着する。
指定時刻の5分前であったが、すでに他メンバーは集合を終えていた。
うち一人との『初めまして』のご挨拶もソコソコに、目的の築地場外市場へ向かって歩を進める。
傘は要りそうで要らない。
3人から6人となった我々は、中央通りを渡って晴海通りをまっすぐ進む。
さらに昭和通りを渡ったところで、突如として何やら歌舞伎的な建物が現れた。
・・・そのまんま、歌舞伎座である。
歌舞伎座の地下へ降りることになった。
売店はもう開いている。
ちょうどいい、本当にちょうどいいハムたまごロール(140円)に心が乱れる。
『ダメよ。今から築地行くんだからね!』
涙をのむしかない。
地上では幹事長が近くまで来ているという。
我々は売店を後にした。
地上に出てふと思い出したことがあった。
(そうやん、ここが歌舞伎座やったら裏手にはあの喫茶アメリカンが?)
単独行動でなかったことを残念に思ったのは、この時だけでしかない。
玉子焼き味くらべから始まった築地食べ歩きは、伊勢海老やら練り物やらと続く。
傘は要りそうで要らない。
そうこうするうち時間の経過とともに人が増え、狭い場内は歩くにも困るくらいになっている。
この日、月曜ではあるけれど祝日であった。
肝心の築地市場は休場日にあたり、一般観光客は入場できない。
いわゆる築地メシを出す店はゲートで閉ざされたその場内にある。
『あらま、ざんねーん!』
その時の、そのくらいの感覚でしかなかったことを反省せねばならない。
わずかに生じたズレであったが、このあとも我々を翻弄することになるということをまだ誰も気づかない。
その代償は足で償うことになる。
つづく