前夜。
夜勤のクセはなかなか抜けない。
うっかりすると、すぐ夜更かしになるので早々に消灯する。
ところがやはり午前3時頃にふと目が覚めた。
またすぐ寝入ったのだが。
7:15 つぎの〜汽車が〜♫ 駅に〜着いたらぁ〜♫
フルボリュームで響くアラーム。
前日の出発時間設定のまま、止めるのを忘れていた。
(そういえば、今朝の時間を決めてなかったな)
(昨夜のあの調子でいけば、おそらくまだ夢の中のはず。
相当大騒ぎしたしなぁ。)
もう少し寝ようかとも思ったが、昼モードに切り替えるためにも起き出しておこうと考え、ひとまず身支度を始める。
整ったところで探信音(いいね)を放ってみたらすぐにおはようメッセージが返ってきた。
・・・お母さんの朝は早い。
・・・この日はお父さんも早かったようだ。
この日の目的地はお台場。
腹ごしらえは近くの松屋で済ませた。
ホテルの朝食(ビュッフェ)もあるのだが、たくさんは要らない。
おそらく3人ともそんな風だったのだと思う。
お台場へは新橋からゆりかもめに乗る。
都営浅草線なら新橋へ一本で行けるので、都営の浅草駅へ向かう。
こうしてみると、浅草という場所からはどこにでも出やすい。
この日もメトロ・都営線共通1日券を買った。
都営新橋駅に着く。
東京にちょいちょい来だした頃、西馬込のビジネスホテルを多用していた。
そのため、この都営新橋駅の改札前で待ち合わせることが多く、懐かしさすら覚えた。
改札を出てすぐ左手へ行けばゆりかもめの駅があるのだが、右へ折れて汐留タワーを観ていくことになった。
日テレショップを覗き、朝の番組でよくみる場所に立ち、大時計を見上げると何やら動いている。
近づいていくと、仕掛けがガチャガチャと作動中。
2時間に一度のタイミングだったが、カメラを出しているうちに終了してしまった。
ここ仕掛けは2分30秒間動くらしい。
ところが普通と違うのは、時報とともに作動するのではなく、時報に合わせて終わるという設定。
動きになんか意味があるんだろうけど、最初から見てみないとわからない。
回廊の先にゆりかもめ線が同じくらいの高さに見える。
地図で確かめると新橋駅よりも汐留駅に近いので、そのまま汐留駅からゆりかもめに乗ることになった。
ここでも1日券を選択するのだが、この1日券というのは観光の場合、運賃の他に様々な施設の入場料が割引になったりするメリットがある。
この日の目的に日本科学未来館があった。
船の科学館駅で降り、そこから歩いていくのだが、広々とした埋立地だけになかなか遠く感じる。
着いたー!
と思ったその時、一つの看板が目に飛び込んで来た。
『嘘でしょ・・・。』
『なんで?連休明けだから?』
『おいおい・・・。』
・・・普通に火曜日が休館日だった。
まったく無警戒だったといっていい。
信号を渡り、角を曲がるまで、三人とも1ミリの疑いも持ってなかった。
『地玉(おそらく地球?)見たかったのにな。(やりたいことは)それだけだったのにな。』
お父さんが呟く。
その微かな声は青空に吸い取られるように消えていく。
『もう来ることもない。』
そうも言ったお父さんの言葉が耳に残った。
(・・・いやいや、あるでしょ。)
私がそう思ったことを彼は気づいているかどうかはわからない。
お父さんが見たかった『地玉』が気になってHPを検索して見たら、トップページに出てるそれらしいものがあった。
https://www.miraikan.jst.go.jp
これは是非とも見てみたい。
やはり次は、ある。
来た道をそのまま駅へ戻るのも悔しいので、手前で見えていたガンダムのところへ歩いて行くことになった。
つづく