メトロ銀座線で一路、神田へ。
神田駅はほぼ改装を終えている。
以前より綺麗で広々と感じ、なにより明るくなっていた。
改札を出てまっすぐ居酒屋に向かうのかと思いきや。
これまであまり行かなかった東口方面へ進んでいく。
『HUB』という名の英国風パブ。
ハッピーアワーは16時から。
すでに始まっていて、店内は大盛況。
ドリンクもフードも先払い。
やんややんやとペースが上がる。
『あの・・・こっちご一緒させて貰っていいですか?一人だと寂しいんで。』
飲み物を倒してバタバタしていたところへそう希望する者が申し出た。
なんとなく、『どうぞ』となってしまった。。
広告業界で働く38歳のその男は、どこか草なぎ君のような雰囲気をもつ。
名前は・・・なんとかアキヒロ君だったが。
出身は兵庫県尼崎市だというから、驚いた。
聞けば奥さんが妊娠中で5月には父親になるのだという。
休日出勤で出てきて、4杯目を飲んでたところらしい。
なるほど、やや酩酊気味ではあった。
若者グループか、アダルトグループか。
どちらに混ぜてもらうか迷ったが、こちらにしたのだとも言った。
他愛のない世間話をしていたら、隣の若者グループの端にいたお姉さんもこちらの話に入ってきたりする。
そのお姉さんはアキヒロ君と同い年で、兵庫県姫路市の出身という。
こういうことは、よくよく考えればあっても不思議ではないが、ご縁とは面白いものだ。
しばらくして店を出た。
目的の居酒屋はすぐ近くにある。
場所を変えた・・・はずだったが、アキヒロ君も一緒に付いてきている。
席についてまもなく、アキヒロ君はいよいよ酩酊する。
しまいには眠り始めてしまったが、その場に放置することはしなかった。
少し経って目を覚ましたところで、『もう帰りな。』と退席を促す。
素直に立ち上がって店を出ていったアキヒロ君はその日、無事に帰れただろうか。
『梅酒ワイン、美味しいね〜♪』
ひときわ和やかな時が流れた。
どんな話をしたのかさっぱり記憶がない。
だが、ずっと笑っていたように思う。
つづく