12 01日のカルデロン新大統領の就任式を控え (当日メキシコは祝日で金融

市場は休場)、メキシコ金融市場もお祝いムード。 702日の選挙から僅差の

得票数をめぐって多くの問題が発生したが、就任式にたどり着くことによってようやく

国内がひと段落しそうだ。

ただこの日を控えた 11 29日、大統領選に敗れたオブラドール候補の所属する

民主革命党 (PRD) 議員による演説妨害を恐れた国民行動党 (PAN) の議員が

就任式の下院演壇を占拠。 挙句の果てに両議員が殴り合うという乱闘騒ぎが起き、

議長が解散宣言をしたものの収拾がつかなかった経緯がある。 このため

カルデロン新大統領の就任式は、厳戒態勢が取られることになっているという。

なおこの大統領就任式には、ブッシュ大統領が出席予定。 日本からは中川秀直

自民党幹事長 (日本・メキシコ友好議員連盟会長) が特派大使として派遣される。

さて肝心のメキシコ金融市場動向であるが、経済指標が 3件発表になった。

 

メ キ シ コ

前年比

前年比

9

建 設 支 出

+ 23.3 %

8

+ 24.6 %

9

鉱業生産指数

- 6.2 %

8

+ 3.1 %

10

財 政 収 支

+ 17,658 Mil Peso

10

+ 3,290 Mil Peso

2005 10

09 建設支出は やや頭打ち傾向が見受けられるものの、今年 5月から5ヶ月

連続の 2ケタ台成長。メキシコの高水準 経済成長の原動力となっているのがこの

数字に如実に表されている。 

また10月財政収支は 176 5,800万ペソの黒字となっており、前年同月比で

実に 436 % の伸びを記録。 2006年通期では、1,568 2,600万ペソの黒字となり、

昨年比 + 49%の歳入増。 10月同国の歳出はわずか + 1.4 %、逆に歳入は引き

続き好調な所得・法人税の流入と原油輸出から + 8.8 % となり、大幅歳入超となった。 

また原油輸出から来る歳入は、+12.4 % 伸びている。

. - to be continued -


. 


さらにプライマリー・バランスを見てみると、同国の10月国内総債務は 1 3,300

ペソと + 2.0 % 増加したものの、対外総債務残高が 532億ドルと – 2.0 % 減少。 

引き続き対外債務の圧縮を図り、借り入れコストの引き下げを遂行している。

昨日のメキシコ金融市場は上記順調な国内経済成長と、財政黒字を高く評価。 

メキシコ株式市場は続伸に次ぐ続伸で再び史上最高値。 ボルサ株式指数は

24,962 + 185.92 と前日比 0.75 % 買われ高値引け。

同国株式指数は多少のディップを作ったものの、今年 7 14日につけた 18,244

下値に 4.5ヶ月間、右肩上昇トレンドでずっと上げ続けている。

債券市場も再び活況。 11月シカゴ製造業指数が 49.9 と、2003 4月以来の

低水準となったことを受け、米国債券市場が急騰。 10 T.Note 4.66 % 今年

1月以来の低レートとなったことを受け、メキシコ債券市場も同一歩調で急反発。 

2年債で約 2.0 bp 10年債は 8.0 bp 利回りを落とし、 7.75 % で引けている。

さらにメキシコ・ペソも順調な動き。 政治的緊張が高まった 11 28日にペソは

対ドルに対し一旦 11.120間で急落したが、その後反転。 3日間連続の買いを集め、

昨日は一時 10.950まで戻している。

新メキシコ大統領就任式を控えていたことも含め、昨日のメキシコ金融市場はトリプル

高で終了している。

米ドル/対 円  : 115.70円 - 0.75     2年債:  7.26 % - 1.9 bp

Mペソ/対 円  :  10.53円 - 0.04    10年債:   7.75 % - 8.0 bp

Mペソ/対米ドル:   10.971 - 0.034   原油価格:  $ 63.13 + 0.67

.                           金価格:  $652.90 +11.10


.

.

12月の新大統領就任式を控え、メキシコの政治に不安点が増加しつつある。 まず

数ヶ月前から続いているアオハカ州 オルティス州知事 (制度的革命党 PRI )に反対する

市民ストライキ、および教職員賃上げストが一緒になったアオハカ人民民衆集会

( APPO ) が再び治安警察隊と衝突。 同州の最高裁判所を放火したこと。

またラミネス氏 (前ハリスコ州知事)の内務大臣任命に際し、カルデロン新大統領が

所属する国民行動党(PAN) のみならず、連立政権を組む予定である制度的革命党

からも異論が噴出し、その他大臣就任閣僚メンバーの発表が本日へと延期されたこと。

さらにエクアドルの大統領選挙決選投票で、左派であるコレア元経済・財務相が当選

したこと。 同氏はかってブッシュ米大統領を「愚か者」と呼んでおり、また対米 FTA

締結に反対。 ベネズエラのチャベス大統領と友好関係にあると自ら認めている。

一方メキシコ経済面では、

1) 10 失業率 9月の + 3.98 % + 4.02 % 増加

2) 9 Retail Sales  8月の + 2.9 / + 10.6 % + 1.2 % / + 6.5 %

減少

3)  第 3四半期 経常収支 Q-2 + 10.億ドル → ▲ 11.3億ドルへの

赤字となったこと

4) 先週金曜日に開かれたメキシコ中央銀行定例理事会 (毎週金曜日開催) で、

改めて金融引き締め政策の継続が確認されたこと。

上記経済指標はすべて先週金曜日に発表になったのであるが、昨日も結果的に政治・

経済問題が尾を引いた形となり、メキシコ金融市場にとって悪材料。 ドルはほとんどの

通貨に対して弱含み推移となったが、米国経済に大きく依存するメキシコにとっては

同一方向の考え方が強く、ドルはペソに対して終日強含み推移で取引を終えている。

ただ昨日は、いいニュースも出ている。 メキシコ政府は 9月の同国経済活動率が、

建設・サービスおよび製造業部門が堅調だったことなどにより、前月比で + 0.76 %

年率で + 4.3 % となったと発表。

工場部門が前年比 + 5.0 %、建設 + 7.7 %、製造業 + 6.7 %、ガス・電力・水道

部門が + 6.7 %と、ほとんどの部門で高水準の経済活動を伴っている。

さらに政府は今年末までに財政収支が 230億ペソの財政黒字になると公表。 当初

政府はこの財政黒字見積もりを対 GDP比で + 0.3 % 程度と見積もっていたが、

この 230億ペソはその半分程度の数値になったようだ。 黒字化した主要因として

政府が緊縮財政を採った反面、一般税収増および世界第 9位の原油輸出国である

メキシコに、今年の原油価格高騰が同国歳入に大きく貢献した。

昨日のメキシコ債券市場はペソの下落とともに売りが目立ち、短期債で 5.5 bp強、

10年債は約 7.0 bp 利回りを押し上げて引けている。 ペソは対ドルで約 1.5ヶ月ぶりの

安値である 11.10を記録して引けている。

米ドル/対 円  : 116.00円 + 0.10       2年債: 7.31 % + 5.6 bp

Mペソ/対 円  :  10.47円  - 0.05     10年債: 7.89 % -13.1 bp

.   Mペソ/対米ドル:  11.095  - 0.085    原油価格: $ 60.32 + 1.08

.                                金価格: $647.10 +11.70




12月の大統領就任を前にし、カルデロン新大統領は主要閣僚の人事を決定した。 

主なポストとして、

* 財  務  相: アグスティン・カルステンス氏  ( Agustin Carstens )

* 経  済  相:  エドワルド・ソヨ氏        ( Eduardo Sojo )

* エネルギー相:  ジョージナ・ケッセル氏     ( Georgina Kessel  女性 )

当初から噂と市場の期待が出ていたとおり、財務相にはカルステンス氏が任命された。 

同氏は 1017日にすでにメキシコ新経済チーム長に就任 (10 18日付の

コメントを参照してください) しており、今後のメキシコ経済を担う 2つの重要ポストに

就任することになる。

アグスティン・カルステンス氏は、 IMFの副専務理事として活躍、特に南米諸国の

経済立て直しに尽力経歴を持ち、ウォール・ストリートにおいても著名人物として

評価が高い。 同氏の政策運営は非常にオーソドックスで保守的なアプローチをとり、

かつてはシカゴ大学でエコノミストを経験。 メキシコ金融システムの幅広い知識を

有している。  さらにメキシコ中銀在職中は複数の部局を担当。 その中でも

経済調査局スタッフ長を担っていた。 その後現フォックス大統領政権では 3年間

財務次官として就任した経歴を持っている。

カルステンス氏は、「来年のメキシコ経済は米国経済に依存していることもあり、

同一歩調で鈍化することになろう。 またフォックス現政権が対外債務の削減と

負債償還年限の長期化を実行したように、カルデロン新政権もその政策運営を

継承しなければならない」とし、さらに「早急に増税なき税制改革の実施を考えて

いる」と述べており、現政権同様引き続き同国の対外債務削減に取り組むことを

表明している。

またケッセル新エネルギー相は、原油算出・生産に幅広い知識を持ち、女性として

初の主要閣僚ポストの 一翼を担うことになった。  ケッセル女史は国営

石油会社であるペメックス社 ( Pemex ) 勤務を経た後、 同国エネルギー省の

主席エコノミストに就任していた。

同女史はその後エネルギー規則委員会の委員長を歴任したあと、財務省で

ペメックス社と同国電力整備 委員会の公共投資計画も担当。 2002年からは

メキシコ中銀で景気対策通貨投資局で運営を担当していた。

ソヨ新経済相はペンシルバニア大学で経済学を専攻後、メキシコ内の大学で

教授として活躍。 その後フォックス現政権でメキシコ経済・商業関係問題

委員会で税務、エネルギー労働市場改革を担当した後同国経済統計局で

複数部署を経験している。


昨日はその他 3省担当大臣、合計 6ポストの就任の発表がなされたが、興味深い

こととしてカルデロン新大統領が所属する国民行動党 (PAN) からの選出人事はわずか

2名。 かつては大与党、現在は国民行動党の 206議席に対し、 121議席とメキシコ

3位の党にまで議席が落ち込んでしまった制度的革命党 (PRI) からの人事選出が

3名、その他 1名となっていることである。


これは今回の大統領選挙で僅差で敗れたオブラドール候補の所属する民主革命党(PRD)

160議席を占めていること。 一方下院の過半数が 251議席であるため、今後の

政治決定を円滑にするために、カルデロン候補としてはどうしても制度的革命党の協力が

必要となる。 よって今回の人事で制度的革命党へ最大の配慮をすることで、今後の協力を

示したことは明らかである。


さておとといの革命記念日祝日であった11 20 ()、大統領選挙に敗れたオブラドール

元候補も黙ってはいなかった。 メキシコ市内の広場に支持者を集め、「私が正の大統領である」と

高らかに宣言。 新しい共和政権を樹立すると述べ、今後議会内で与党である国民行動党と、

民主革命党の対立がより激しくなる可能性を示している。


一方のメキシコ金融市場は今回一連の政治的イベントでちょっとした混乱が生じたようだ。 

メキシコ株式市場は金融関係担当大臣の顔ぶれを素直に好感。 ボルサ株式指数はまたまた

有史来最高値を記録し、引けは 24,585.68 + 389.63 と大きく買い上げられ、前週末比

+ 1.6 % の上昇。 メキシコ債券市場も同様に新人事を好感し、短期債は横ばいだったものの、

長期債は約 2.0 bp 再び利回りを押し下げている。


問題が出たのが為替市場。 月曜日の革命記念日にオブラドール氏による集会や小規模デモが

発生したことにより、政治的混乱を連想。 あるヘッジ・ファンドが朝方からメキシコ・ペソの買い

持ちポジションの解消をまとまったロットで出したため、ペソはドルに対して 10.9750 から一気に 

11.02 まで急落した。 しかしながら 11.00 の大台を超えて暫く弱含み推移となった後、今度は

別のヘッジ・ファンドと思われる大口ペソの買いに急反転。 10.995 からあっという間に 10.960

割れまでその値を戻し、結局寄り付き以上の水準まで買われて終了。 一日の動きが、


10.975 11.02 10.955 と、めぐるましく変化する動きに、為替市場は終日翻弄された

ようだ。ただ対円では現在10.72円と前日比ほとんど変わらず横ばいのままである。



米 ド ル/対 円 :  117.85円 - 0.20     2年債: 7.23 % + 0.4 bp

M・ペソ /対 円 :   10.76円 - 0.01    10年債: 7.80 % - 1.9 bp

M・ペソ /対米ドル:   10.950 - 0.025   原油価格: $ 60.17 + 1.37

.                               金価格: $628.70 + 6.60

.

原油価格はアラスカの悪天候で積み出しに遅延が生じる可能性があることと、北海で製油

機器のガス漏れが生じ、一部操業停止になったことが大幅上昇の要因。


また金価格はファンドのプラチナ買いでチューリッヒで過去最高値をつけ、年初来 24 %

上昇したことによる連れ高と原油高が上昇要因となっており、11 9日以来最大の

上昇を記録した。


昨日のメキシコ金融市場は、「 Mexican Revolution Holiday の祝日で

休場となっている。


 次期大統領に就任するカルデロン氏が 12 1日に大統領氏名就任式を

迎えるが、これを前に 昨日メキシコ革命記念日であった昨日 11 20日、

7月の大統領選で敗れたオブラドール候補の大統領就任式が支持者によって

メキシコ市ソカロで行われた。

もちろん正式な就任式ではないが、カルデロン新大統領就任を前に今週から

警察隊などによって下院議会議事堂前周辺を厳重警戒措置がとられ、新大統領

就任予定の議会壇上には士官候補生のバリア防御も計画されつつある。

大統領就任式に向けて政治的な一波乱が起こるかもしれない。

米ドル/対 円 :  118.05円  + 0.300    2年債: 祝日で休場

Mペソ/対 円 :   10.75円  - 0.010   10年債: 祝日で休場

Mペソ/対米ドル:  10.9750  - 0.320   原油価格:  $ 58.80 - 0.17

.                            金価格:  $622.10 - 0.40



実に 10 10日以来この 1ヶ月強、メキシコ債券市場に際立った押し目がなく、続伸に次ぐ

続伸を演じている。 この期間 2年国債は 7.50 % 7.17 % へと 33 bp の金利低下。


10年国債利回り 8.42 % 7.77 %  なんと 65 bp もの金利低下となり、課題となるような

悪材料がほとんど見当たらない。

この債券メキシコ国債買いの一翼を担っているのが、メキシコ国内公的年金ファンドである。 

この公的年金ファンドは米ドル換算で 620億ドル ( 7 2,500億円) の資産総額で、メキシコ

国債発行総額660億ドル相当の 23 % を 保有している。

メキシコ中央銀行公表の資料によると、11 06日時点での公的年金ファンドの保有する

メキシコ国債残高は前月比 15億ドル増え、保有総額 151億ドルに達したとしている。

 

また市場関係者によると、この公的年金勘定は同国内インフレに対し非常に楽観的な

見通しを持っているようだ。 夏から秋にかけてハリケーン襲来による生鮮食料品への被害が

野菜価格の高騰をもたらし、同国 CPIを押し上げたが、この圧力はすでに消滅しているとし、

来年第 1四半期 中央銀行は現行7.0 % の政策金利を 25 bp 引き下げ、 6.75 % へと誘導

するとの見通しを立てているという。

昨日は経済指標の発表が一件。


  

 

メ キ シ コ

前年比

前年比

9

鉱工業生産指数

+ 5.0 %

8

+ 5.6 %

9月鉱工業生産は年率 + 5.0 % となり、市場予測であった + 4.5 % を上回る高い伸びを

記録した。しかしながら今年 5月から続いた高水準の鉱工業生産の伸びもようやく頭打ち

傾向が見え始めたようで、

2006 9月     8月     7月    6月     5月     4

年率 + 5.0 %  + 5.6 %  + 6.1 %  + 6.9 %  + 5.8 %  - 1.0 %

2ヶ月連続の低下となった。 メキシコ政府はこの主要因として、「約一年前から続いていた

住宅投資がほぼ一巡したため」と述べている。 それでも 9月の建設産業部門の伸びは 

+ 7.7 % と依然高い成長を維持している。

本日メキシコでは第 3四半期の GDPが公表されるが、市場予測は + 4.5 %。 第 2


四半期は + 4.7 %であり、若干の低下となりそうであるが、引き続き高成長。 


10月の CPI年率が 4.29 %と野菜高騰のあおりを受けて高止まったものの、年末にかけて

この影響が解消され、 3.0 % 台へと低下する見通し。


来年の利下げ予測も散見され始めたメキシコ金融市場。 12月は新大統領就任ということも

あり、当面目の離せない市場展開となる可能性は高い。

昨日のメキシコ金利も堅調推移。短期債は横ばい小じっかり、長期債は 3.0 bp 利回りを

低下させ、4営業日連続の価格上昇。

メキシコ・ペソは対円で一時 10.90円をタッチしやや押されたものの、ほぼ高値で引けている。

灯油の需要期に入ってきたものの米国北東部で温暖な気候が続くとの予報を受け、原油

価格が 1ドル下落。 産油国であるメキシコにとっては悪材料。  一方米国先物取引

委員会が発表した 11 7日までの週における IMM通貨先物残高報告書で、ポンドと

豪ドルの買い越しポジション(long position)が過去最高水準に達し、ペソも 10 24日の

週の 67,083 ( X 500,000) から 11 07日には 82,181コントラクトまで急増していた

ことが判明。

10月中旬からヘッジ・ファンドを含む海外投資家のペソ買いが出ていた証明となり、原油が

続落していた中 メキシコ・ペソは IMMの報告書発表直後から急騰。 欧州時間原油価格の

下落とともにメキシコ・ペソは対ドルで一時 10.94 後半まで売り込まれていたが、午後急伸し

10.8725 の高値で引けている。

ペソ高を背景にメキシコ株式市場は終日新高値を更新。 通信および銀行株が主に買われ、

ボルサ株式指数は 24,188.59 + 236.96 と、 0.99 % の上昇を見せている。

同様にメキシコ債券市場も終日堅調。 先週末 10月の CPI が発表になったが、

+ 0.44 % / + 4.29 % と市場予測を下回りこれも市場に好感されている。 また 10月の

CPIは、 9月から続くハリケーン上陸に伴う生鮮食料品、特にトマトの小売価格が高止まり

しているのが影響しており、年間ベースに引き直すと年率 + 4.42 % となる。

しかしながら先週発行されたメキシコ中銀の金融・経済報告書は、「このところ CPIが上昇

しているのは生鮮食料品の価格が上昇しているためで、一時的な要因である。 今年末

までには 4.0 % を下回るよう、舵取りをしたい」と楽観的なコメントを発しており、当局の

見通しでは年率 + 3.97 % と、メキシコ中銀のインフレ・ターゲットである

+ 2.0 % + 4.0 % のバンド内に収まることとなる。

 

またオルティス・メキシコ中銀総裁も、先週金曜日に出張先のインドで、「メキシコ経済は

力強い成長を今後も持続し、インフレは 4.0 % を下回ることになろう」とコメント。 さらに

各エコノミストの予測においても、来年上半期のメキシコのインフレは + 3.0 % に近づくと

見る向きが大勢を占めている。

12月の新大統領就任に対する期待感が徐々に増してきていることもあり、米国金融

市場が大きく崩れないようであれば、メキシコ金融市場は当面足の軽い動きとなる可能性が

高いようだ。

また 11 17日には第 3四半期の GDPが発表される予定。 第 2四半期の + 4.7 %

対し、市場予測は + 4.5 % が中心。

昨日のメキシコ債券市場、2年債は 1.3 bp10年債で約 50 bp買われて引けており、

10 25日に10年債はその利回り 8.0 % の大台を下回った後再び戻ることなく、

7.8 7.9 % 台推移が定着してきた感が強くなってきたようだ。


欧州格付け会社であるフィッチ (Fitch) 社は昨日、「大統領選挙後のメキシコの展望」という

特別レポート を発表した。 同報告書によると、今年 12月から新大統領に就任する

カルデロン氏は、オブラドール候補との選挙戦において僅差で勝利したため、今後政治的な

論争に巻き込まれる可能性があるものの、メキシコ全体としての景気展望などには明るい

兆しを見出している。

カルデロン新大統領は 3つの重要な課題を抱えているため、この解決にあたらなければ

ならない。

1) 僅差勝利で国内の政治的分極化が拡大する可能性がある

2) 主流から外れたオブラドール候補支持者の市民運動などの かく乱要因収める必要性

3) 野党である民主革命党 (PRD) との確執が続いているため長期にわたり保留されている

構造改革の着手。

新大統領が立法権を行使し、議会の混乱を収縮の方向に導くことができるかを論じるには

時期尚早であるが、カルデロン大統領にとって両院とも国民行動党が過半数をとっているのは

好都合である。 また大統領選挙時に第 3位の政党である制度的革命党が、同党支持の

大統領選を盛り上げることができなかったことは、今後国民行動党およびカルデロン大統領に

とって共同路線や政策運営、構造改革に着手していくことに優位に働くとしている。

また今後のメキシコ経済においては、2006年の GDP 4.0 % を超え、個人消費と

設備投資、輸出に盛り返し始め、財政収支は均衡状態にある。 一方今後 6年間において

恐らく下落すると思われる原油価格と産出量稼動減少に対処し、原油輸出からもたらされる

高水準の歳入と歳出拡大圧力を避けるために新政権は現経済成長の維持に努めなければ

ならない。

新大統領の公約である構造改革の推進は、中期的に医療支出の削減とエネルギー部門の

改善に繋がり、メキシコ経済の競争力を高める。 フォックス現政権が野党の強力な反発で、

政策決定の志は半ばでその交代の時期を迎えたが、現政策をそのまま維持するのであれば

絶好のタイミングである。

高水準の社会保障支出改革が新政権の当面の主要課題である。 これに税制改革が

伴ってくれば、メキシコの財政は急速な改善を示し、来るべき原油価格の下落に備える

ことができるであろう。 さらにエネルギー部門の改革が進めば、原油生産と輸出が伸び、

同国経済の成長に拍車がかかる、としている。

僅差勝利の大統領選ではあったが、カルデロン大統領の政治・経済の手腕に期待する

見通しのようだ。


週明け午前、メキシコ・シティで 5つの爆弾が仕掛けられ うち 3つが爆発。 小規模爆発と

早朝ということもあり死傷者は出なかったが、新政権に対するデモンストレーションの効果は

見えたようだ。 爆弾が仕掛けられたのは

1) カルデロン候補とオブラドール候補の正式大統領任命を下した選挙裁判所、

2) 制度的革命党 (PRI) 本部ビル、

3) カナダ・ノバスコシア銀行・メキシコ拠点ビル

で、いずれもこの 3ヶ所で爆発。 ウィンドー・ガラスなどが破壊された。

犯行グループは不明であるが、制度的革命党のビルが狙われたのには理由がありそうだ。

メキシコ合衆国 31の州のひとつであるアオハカ州 ( メキシコ南部の州 - ユカタン半島の

ほぼ先に位置する) で、今年 5月に同州の教職員組合が待遇改善と賃上げストに入った。 

ところがこの抗議ストが徐々にエスカレート。 市内にバリケードを組み暴徒化。 ルイス

州知事の辞任要求や連邦警察との衝突を繰り返し、5ヶ月目に突入。 この期間 15人の

死者を出し、未だに解決の目処が立っていない。 メキシコ議会はこの混乱の責任を

取るためにルイス州知事に辞職勧告決議を採択したが、同知事はこれを拒否。

10 29日にはついに連邦軍の出動となりデモを鎮圧しバリケードを撤去したが、今度は

ルイス知事支持者数千人が抗議デモをするというますますの混迷状況。 ルイス州知事が

制度的革命党党員であることを踏まえるのであれば、制度的革命党の本部が狙われた

理由のひとつに挙げられるとの観測も出ている。  またノバスコシア銀行は破壊がひどく、

終日営業を停止した。

この影響を受け、朝からペソは軟調に推移。 特に 12月からカルデロン新大統領の議会

舵取りが当初から困難をきたすのではとの憶測も流れ、最近堅調に推移していたペソ・

およびメキシコ債券市場も利益確定売りを含め、終日様子見、横ばいの展開となった。

さらに 5日に行われたニカラグア大統領決戦選挙で、左派 民族解放戦線のオルテガ

候補が圧勝である 38 % 以上のラインを獲得したこと。 また 12 3日に行われる

ベネズエラの大統領選挙を前に、反米で知られるチャベス現大統領の支持率が 51 % となり、

経済改革を提唱するロザレス候補の支持率 30 % から大きく水を開け優位に立っている

ことなど、中南米の社会主義化傾向もラテン・アメリカ金融市場の頭を抑えた要因に一部

働いているようだ。

メキシコ債券市場は米国中間選挙の影響も受け、警戒心が解けないまま小動きで引けている。