欧州格付け会社であるフィッチ (Fitch) 社は昨日、「大統領選挙後のメキシコの展望」という

特別レポート を発表した。 同報告書によると、今年 12月から新大統領に就任する

カルデロン氏は、オブラドール候補との選挙戦において僅差で勝利したため、今後政治的な

論争に巻き込まれる可能性があるものの、メキシコ全体としての景気展望などには明るい

兆しを見出している。

カルデロン新大統領は 3つの重要な課題を抱えているため、この解決にあたらなければ

ならない。

1) 僅差勝利で国内の政治的分極化が拡大する可能性がある

2) 主流から外れたオブラドール候補支持者の市民運動などの かく乱要因収める必要性

3) 野党である民主革命党 (PRD) との確執が続いているため長期にわたり保留されている

構造改革の着手。

新大統領が立法権を行使し、議会の混乱を収縮の方向に導くことができるかを論じるには

時期尚早であるが、カルデロン大統領にとって両院とも国民行動党が過半数をとっているのは

好都合である。 また大統領選挙時に第 3位の政党である制度的革命党が、同党支持の

大統領選を盛り上げることができなかったことは、今後国民行動党およびカルデロン大統領に

とって共同路線や政策運営、構造改革に着手していくことに優位に働くとしている。

また今後のメキシコ経済においては、2006年の GDP 4.0 % を超え、個人消費と

設備投資、輸出に盛り返し始め、財政収支は均衡状態にある。 一方今後 6年間において

恐らく下落すると思われる原油価格と産出量稼動減少に対処し、原油輸出からもたらされる

高水準の歳入と歳出拡大圧力を避けるために新政権は現経済成長の維持に努めなければ

ならない。

新大統領の公約である構造改革の推進は、中期的に医療支出の削減とエネルギー部門の

改善に繋がり、メキシコ経済の競争力を高める。 フォックス現政権が野党の強力な反発で、

政策決定の志は半ばでその交代の時期を迎えたが、現政策をそのまま維持するのであれば

絶好のタイミングである。

高水準の社会保障支出改革が新政権の当面の主要課題である。 これに税制改革が

伴ってくれば、メキシコの財政は急速な改善を示し、来るべき原油価格の下落に備える

ことができるであろう。 さらにエネルギー部門の改革が進めば、原油生産と輸出が伸び、

同国経済の成長に拍車がかかる、としている。

僅差勝利の大統領選ではあったが、カルデロン大統領の政治・経済の手腕に期待する

見通しのようだ。