ひなビタ♪・バンめし♪のSC「虚空と光明のディスクール」「メモリーズ」「砂漠を泳ぐ」ほか | A Flood of Music

ひなビタ♪・バンめし♪のSC「虚空と光明のディスクール」「メモリーズ」「砂漠を泳ぐ」ほか

 

はじめに

 

 Self-Curationを略したSCを冠する本記事の役割は、目下更新中のₙC₅(自作のプレイリストからアーティストもしくは作品毎に5曲を選んでレビューする企画)に先駆ける補足的なものです。

 

 その第10弾に取り立てる予定の【ひなビタ♪・バンめし♪】に関して、これまで当ブログに同IPがメインの記事をアップしたことはないけれど、ブログテーマ「複合記事」内での言及なら複数回行ったことがあります。しかしその何れも記事タイトルからは同IPを話題にしていることが読み取れない或いは読み取り難いため、検索からの流入を意識して曲名と共に目立たせることにしました。

 

 そこで本記事に於いては、それら過去記事から関連のある部分のみを抜き出しまとめて再掲(=セルフキュレーション)します。わざわざ複数の記事を参照しなくて済むメリットもあるので、今後もこのタイプのアーティスト・作品の順番が回ってきた際には、主たるₙC₅の前にSCで下地を作る次第です。とはいえ元記事と全く同一では新鮮さに欠けるので、YouTubeの埋め込みを多彩にしておきました。一部新規文章もあります。

 

 短文でも一応レビューしたと言える楽曲を言及順に並べると、「虚空と光明のディスクール」「めうめうぺったんたん!!」「ちくわパフェだよ☆CKP」「地方創生☆チクワクティクス」「けもののおうじゃ★めうめう」「クラゲファンタジーソーダ」「マーメイドペレパスィ」「メモリーズ」「リバース」「温故知新でいこっ!」「至上のラトゥーリア」「アバンギャルド・バンドガールズ」「たたえよ!絶対覇権アリーシャ帝国」「砂漠を泳ぐ」の14曲が挙げられ、これがそのまま本記事のラインナップです。

 

【追記:2024.5.7】

 

 

 メイン記事である「ひなビタ♪・バンめし♪のₙC₅」を書き終えました。上掲リンクカードからご覧ください。本記事とレビュー楽曲が一部重複していますが、比べ物にならないくらい詳細に掘り下げたので読み応えは抜群です。「温故知新でいこっ!」「地方創生☆チクワクティクス」「ヒミツダイヤル」「アバンギャルド・バンドガールズ」「至上のラトゥーリア」の5曲にフォーカスしています。

 
【追記ここまで】
 
 
 

 

■ 【遅報】 今更『ひなビタ♪』にハマる

 

 まとめサイトみたいな小見出しの通り、KONAMIによるWeb連動型音楽配信企画(この表現は非公式かもですが広く使われているため倣います)『ひなビタ♪』に、全くの偶然に端を発して興味を持ちました。自身のアニメ視聴履歴記事の中でふれているように、2007年夏~2015年夏までの8年間は非アニヲタ期にあたるので、2012年から始動しておそらく2014年~2016年辺りにピークがあったのではと推察される(実のところは知らないので事実誤認だったらごめんなさい)同企画のことは、つい最近まで全く知らなかったと白状します。

 

 そして去年の秋ぐらいから僕のヲタ活観に変化があり、その過程は購入履歴の開示という形でこの記事に適宜追記しているのですが、アニメ関連のCDについては限界文字数の都合上具体的な品名を明かしていませんでした。今年に入ってから買った分だけでも点数をカウントしてみたところ100枚近くに上ることが判明し、そのうちの1枚に日向美ビタースイーツ♪によるアルバム『Bitter Sweet Girls!』(2014)のコナミスタイル盤があります。この購入は言わばジャケ買いによるものと言えるけれどダメ押しになったのは値段の安さ:なんと70円で、100円以下なら知らないIPにガンガン手を伸ばしてみようとのストライクゾーン拡張戦略に基づき注文したディスクです。

 

 

 そんな軽い気持ちで鑑賞した本作がとんでもない名盤で衝撃を受けました(注:厳密には『ひなビタ♪ ORIGINAL SOUNDTRACK』(2013)の再録曲も含まれていますがまとめて語ります)。初聴時に圧倒されたのは「虚空と光明のディスクール」で、音楽に力を入れている二次元IPで且つロックを扱った作品は数多くあり僕は人並み以上に多くのIPに沼ってきたと自認しているけれど、シューゲイザーというチョイスも含めてここまで音楽ファンを狙い撃ちにするような魅せ方があったのかと鳥肌です。泣きたくなるほどに切ないアルペジオと透明感のあるコーラスワークと瑞々しいシーケンスフレーズによる美麗なサウンドはまさに光彩陸離、それらの儚さが轟音ギターとの対比で尚の事鮮明に映り強く心を揺さぶられました。アウトロに1分以上割くガチさもアニソン界隈ではレアだと思います。

 

 

 次に惹かれたのは芽兎めうが絡むナンバーで、電波ソングの教科書に載せたいくらいにツボを押さえた要素のオンパレードで中毒性抜群の「めうめうぺったんたん!!」と、"ちくパちくパ ちくわのパフェなんだよ!"とパワーワードから幕を開けるのも道理と言いたいほどに予測不能な進行と音作りが印象的でジャンルが迷子な「ちくわパフェだよ☆CKP」の2曲は、ポジティブな意味合いでイヤーワームと化して脳内リピートが止まらず定期的に聴きたくなるループに陥りました。シリーズ全体としてもめうがメインを張る楽曲がとりわけ好みで、その第一位に据えたいのは軍艦マーチ風プログレッシブチップチューン(≒パチ屋のBGM)とカオスな形容をしたくなる広告宣伝歌「地方創生☆チクワクティクス」(2015)です。歌詞もメロもトラックも非常に細かく作り込まれていて、IOSYSのサウンドプロダクション能力に脱帽しました。「けもののおうじゃ★めうめう」(2017)も聴けば聴くほどに、野性のグルーヴで気持ち好くなってしまってヤバいです。

 

 

 はんこ屋の娘というキャラ設定も奇抜で面白く、作中舞台である日向美商店街の名物ちくわパフェも含めてそうそう何曲も発展させ難いモチーフだと思えるのに、手を替え品を替えではんことちくわ要素を楽曲に取り入れているところにも感心します。ところでめうの歌や台詞を聴いていて何か既聴感を覚えるなと調べてみるとCVが五十嵐裕美さんだとわかり、最初はまり花のCVが日高里菜さんだから半分クリティクリスタじゃん!と『SHOW BY ROCK!!』に根源を求めたのですが、デレマスの杏の声の人と知って「あんずのうた」(2012)のせいか!と腑に落ちました。ちなみにまり花の曲では「クラゲファンタジーソーダ」(2015)のチル具合が秀逸で、別けても"触手さん"から始まる台詞パートはサイバネティックな情景描写と併せて没入感が半端なくトリップ出来ます。

 

 

 

 

 日向美ビタースイーツ♪と双璧を成す作中ユニット・ここなつの音楽もまた素晴らしいです。ガールズバンドに対するライバルポジのサウンドがデジタル志向に傾くのは王道と言え、ここなつもご多分に洩れずテクノポップにエレクトロニカにEDMといったジャンル名で表せる作風を有しているけれども、音楽の持つ享楽性に反して読み解き甲斐のある歌詞世界と一部実験的なトラックの存在によってオリジナリティを得ています。中でも攻めまくっていると感じたのは『ホシノメモリー』(2021)収録の「マーメイドペレパスィ」で、間奏のグリッチなセクションは再生機器がイかれたのかと勘違いするレベルの挑戦的な音作りで驚きました。

 

 

 勿論ストレートに良い曲も多く、同盤からは「メモリーズ」と「リバース」がお気に入りのワンツーです。センチメンタルな言葉の紡ぎ方に胸がいっぱいになる前者は、DTMerの新星たるパソコン音楽クラブが手掛けているだけはあってスノードームの如きコンパクトな美しさを誇っており愛おしいですし、後者はミュートの使い方が巧くin the blue shirtの引き算で魅せるトラックメイキングが光ります。ここなつ2.0と名義がバージョンアップしていることにも納得です。

 

 

 その他の好みを『ここなつBEST』(2021)からまとめて挙げますと、「ヒミツダイヤル」「ルミナスデイズ」「シノビシノノメ」にはそれぞれ特筆性を感じました。この調子で短文レビューを続けていこうと考えたものの、このままダラダラと書き続けるとひなビタ♪のほうが本記事のメイントピックになってしまいそうなので(注:元記事での話です)、いつか本当に特集を認める機会が来るのを見越してここでは割愛します。またも自作のプレイリストに照らすとひなビタ♪のセクションは今のところ全45曲編成のため、ここまでに曲名を出した12曲に「温故知新でいこっ!」(2015)と「完全無欠の無重力ダイブ」(2016)と「じもとっこスイーツ♪」(2017)の3曲を加えたものが上位15曲までのラインナップです。この中では「温故知新~」の歌詞が神懸かり的な完成度の高さで、「守りたい!この精神」と男だてらに自分の中にもあるであろう幼い少女性に深く刺さりました。

 

 

 ※ 公式に埋め込める動画やアートトラックがなかったため(「10分咲子」や「ひなビタ♪放送局」を使えば良かったことは後で気付きましたが)、月ノ美兎/リゼ・ヘルエスタによるカバーで代用します。ちなみに委員長には当ブログの前記事「ASA-CHANG&巡礼のₙC₅」で取り立てた同ユニットからの楽曲提供があり、「月の兎はヴァーチュアルの夢をみる」(2021)もレビュー候補でした。まり花メイン曲を多く書き下ろしているササキトモコさんが手掛けた「それゆけ!学級委員長」(2020)や、めうメイン曲を以下同文なIOSYSの手に成る「みとらじギャラクティカ」も収録されているので、サウンドクリエイター陣にも興味のある方におすすめします。

 

 

 

 

 

■ 【続・遅報】 『バンめし♪』にもハマる

 

 遅蒔きながら『ひなビタ♪』の音楽の虜になったことは前に熱く語ったので割愛するとして、その続編というか世界観を共有する『バンめし♪』の存在もまた後追いで知りました。企画者が同じなだけあってか音楽のクオリティは非常に高く、手を出して最初に心に電撃が奔ったナンバーはVanitas Lacrimosaの「至上のラトゥーリア」(2020)です。

 

 

 独語を象徴的に扱うゴシックロックは一種の様式美となっており、近しい雰囲気の楽曲なら他のいくつかの音楽系IPでも聴いてきているけれども、音作りないし音像への並々ならぬこだわりを感じさせる本曲によってそれら比較対象は一切の過去となりました。闇に轟く刺々しいバンドサウンドが空間を支配してヤワな音の付け入る隙を排し、そこから唯一浮かび上がる正道でのみ許された祈りの如き歌声とコーラスワークの美しさたるや、蓋し「♰シスター3人組による神も悪魔も宿る最強ゴスバンド♰」のスケープです。

 

 

 主人公バンド・Blanc Bunny Banditの持ち歌では、『漂白脱兎』(2019)収録の「アバンギャルド・バンドガールズ」がいちばん気に入っています。アホ毛と黒アリのぶっ飛んだ掛け合いが特徴的な同曲は、ご機嫌なロックンロールを基本としながらも個人にフォーカスするセクションではキャラクター由来のサウンドに寄ってジャンルを横断していくプログレッシブなつくりです。とはいえ歌詞の面白さも相俟って底抜けにノリが良く、音を奏でる楽しさの初期衝動に触れたかのような高揚感が湧いてきます。

 

 

 同盤からは作詞および作編曲のクレジットが同じ「たたえよ!絶対覇権アリーシャ帝国」も中毒性が高くおすすめで、「アバンギャルド~」では一部のみだったロシア要素が前面に押し出されたまさに亜理紗のためのカワイイ・ナロードナヤ・ペースニャです。あとこれは個人的に驚いたポイントなのですが、本作にやぎぬまかなさんの名前を見たのは望外の喜びでした。前の前の記事でたまたまカラスは真っ白を取り立てていたこともあって、楽曲提供という形ではあれ再びヤギヌマワールドに浸れて満足です。

 

 

 別けても『共鳴性白染自由主義』(2020)収録の「砂漠を泳ぐ」はそのあまりのエモさに初聴時から甚く感動しきりで、作詞作曲編曲の全てのフェーズで表現力が増し名トラックメイカーとして花開いたやぎぬまさんの高みを見た気がしました。夜風のソロ曲として物語性も申し分なく、「脱出」を本願に据えた少女の歌う"見たことのない青だけを求めて 砂漠を泳ぐ"には希望に満ちた絶望が滲んでいます。言葉にならない感情を表現するのはやはりギターで、もう一人のボーカルと表現してもいいほどには雄弁です。

 

 

 ストーリーの経過はアメブロ上で展開されていた時期もあったようで親近感を覚えて埋め込んでみましたが、振り返るとコロナ禍が本格的に訪れてからは現実と連動しているがゆえの哀しい投稿が続いていて切ない気持ちになりました。現在進行中!となっているSEASON3のふるさとグランプリ全国大会編もROUND4がペンディング状態のまま一年半以上経過していますし、パラダイムシフトの煽りをモロに受けて可能性のある良質な音楽が埋もれている現状はただただ遣る瀬無いですね。

 

 

■ サブスク解禁!…には無頓着なアイマス特集

 

※ ここまでの文脈は元記事を参照してください。

 

 本当はもう数曲紹介するつもりだったのですが、写真や埋め込みが多いせいで字数制限がキツいため泣く泣く切り上げます。「キラッ!満開スマイル」(2017)と「リトルリドル」(2018)の特筆性もカットするには惜しいのに…またの機会ですね。ちなみに前者を手掛けたササキトモコさんもまたどストライクの作家で、「キラッ!~」に加えて「アタシポンコツアンドロイド」(2013)と「秘密のトワレ」(2015)の3曲を上位25曲までにリストしています。彼女は『ひなビタ♪』に於いても素晴らしい楽曲を提供していて、以前に絶賛した「温故知新でいこっ!」と「クラゲファンタジーソーダ」(共に2015)にも依然夢中です。

 

 

 

 

■ 「タッ・ピ~ロペ・サパンナ!」(2021)

 

※ 前後の文脈は元記事を参照してください。

 

 さて、僕はそも動物がモチーフでトライバルなビートが象徴的なアニソンには惹かれ易いです。有名どころでは「ようこそジャパリパークへ」(2017)を筆頭にした『けものフレンズ』の関連楽曲や、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の「ジャングル☆パーティー」(2016)は好例と言えます。サンバのリズムだけれど『アイカツスターズ!』の「アニマルカーニバル」(2017)にもプリミティブな良さがありますし、言葉は悪いですがアホっぽい要素があると尚良く『ひなビタ♪』の「けもののおうじゃ★めうめう」(2017)は理想形のひとつです。しかしその実野性味が薄いアレンジも許容範囲で、『オンゲキ』の「どうぶつ☆パラダイス」(2019)のようにテイム済っぽい世界観もそれはそれでウェルカムします。

 

 

 

おわりに

 

 以上、ひなビタ♪・バンめし♪のSCでした。肝心のₙC₅は未だ一文字も書いていないため、本記事で興味をお持ちになった方は気長にお待ちください。

 

【追記:2024.5.7 「はじめに」に載せたものの再掲です】

 

 

 メイン記事である「ひなビタ♪・バンめし♪のₙC₅」を書き終えました。上掲リンクカードからご覧ください。本記事とレビュー楽曲が一部重複していますが、比べ物にならないくらい詳細に掘り下げたので読み応えは抜群です。「温故知新でいこっ!」「地方創生☆チクワクティクス」「ヒミツダイヤル」「アバンギャルド・バンドガールズ」「至上のラトゥーリア」の5曲にフォーカスしています。