「クリーン ある殺し屋の献身」('21)
「クリーン」と呼ばれる元殺し屋の清掃人が、隣人の少女とその祖母を守るためにギャングと戦う姿を描いたハードなアクション映画です。主演はエイドリアン・ブロディ、共演はグレン・フレシュラー、リッチー・メリット、チャンドラー・アリ・デュポン、ミケルティ・ウィリアムソン他。
今となってはB級アクション映画の定番中の定番と言える内容の映画に、お世辞にも強そうに見えない、線の細いイメージのあるオスカー俳優、エイドリアン・ブロディが主演し、しかも製作・脚本・音楽も担当するという意外性に惹かれて観てみました。
手垢の付きまくった題材に新しい何かを加えようという意図は確かに感じます。また、エイドリアン・ブロディの個性を活かした繊細さも悪くない。
が、
これっぽっちも面白くない。
とにかく、これに尽きます。
作り手の思い入れの強さはわかりますが、いずれも独りよがりの自己満足に過ぎず、終盤になってようやく物語が本格的に動き出す構成の悪さにしろ、アクションの見せ方のセンスの悪さにしろ、観客を完全に無視した作りには呆れるばかりでした。
「バトル・クルーズ」('22)
亡父から遺産として豪華なクルーズ船を相続したものの、船内で寝ている間に謎の武装集団に船を占拠されてしまった女性の脱出劇を描いたサスペンスアクションです。主演はルビー・ローズ、共演はフランク・グリロ、パトリック・シュワルツェネッガー、ルイス・ダ・シルバ・ジュニア、メジャー・ドッジ他。
この手の映画の主人公は、何か他人とは違った特技や知識を持っていて、それを活かして敵を倒したり、脱出したりするというパターンが一般的。一方、この映画の主人公にはそういったものがほとんどなく、むしろ知性を全く感じさせないキャラクターなので「こんなんで大丈夫?」と思いましたが、そう思わせるのもまた作り手の意図通りなんでしょう。
都合の良すぎる点は多々あって、気にならないと言えば嘘になりますが、それも含めて「B級娯楽映画」と割り切って楽しむべき映画でしょう。
ただ、フランク・グリロは出番も見せ場も少なくて、ちょっともったいなかったですね (^^)
「ノー・セインツ 報復の果て」('22)
犯罪稼業から足を洗うことを心に誓って出所した元殺し屋が否応なく血で血を洗う世界へ引き戻されるはめになるさまを描いたバイオレンスアクションです。主演はホセ・マリア・ヤスピク、共演はシャニン・ソサモン、パス・ベガ、ティム・ロス、ロン・パールマン、ニール・マクドノー他。
ポール・シュレイダーが脚本を担当し、2013年に撮影が終わっていたにもかかわらず、長く未完成のままだったとの曰く付きの本作。はっきり言って、そのままお蔵入りにしておけばよかったのにとしか思えず。
大まかなストーリーやキャラクター造形、世界観、映像のタッチは悪くないし、ハリウッド映画らしくない結末もいい。
また、脇にティム・ロス、ロン・パールマン、ニール・マクドノーを配する贅沢なキャスティングも![]()
が、あまりに雑。
特に悪役たちの言動がうかつすぎるし、どこを取っても、ストーリーを展開するためのご都合主義にしか見えないのです。
お蔵入りにしておけばよかったのに、何故この出来で公開することができたのか本当に謎。
「エージェント:アンヌ」('23)
2008年の米大統領選を背景に、スイスのサンモリッツの山小屋で別人として孤独に暮らしていたロシアの元スパイの女性が巻き込まれた諜報戦を描いたスパイサスペンスです。主演はアーシア・アルジェント、共演はジャンヌ・バリバール、ジョゼフ・レズウィン他。
超地味なスパイ映画。
確かにスパイの世界をリアルに描こうとしている意図はとてもよくわかるのですが、むしろリアルに描こうとしたために、逆に細かいところでの雑さが気になってしかたありませんでした。それは本当に残念。特に終盤の銃撃戦は中途半端に娯楽性を入れようとして大失敗したという感じ。
それでも、回想シーン以外はほとんど主人公の1人芝居で、最後の最後まで他の登場人物が姿を一切表さずに声だけというのは面白い見せ方だし、女スパイ同士のロマンスというのもちょっと新鮮。
こういった特筆すべき点もあるだけに、もうちょっと頑張って欲しかったなぁという映画でした。
「君だけが知らない」('21)
事故で記憶を失ったことをきっかけに未来が見えるようになった人妻が見舞われる恐怖体験を描いたミステリーサスペンスです。主演はソ・イェジさん、共演はキム・ガンウさん、パク・サンウクさん、ペ・ユラムさん、ヨム・ヘランさん他。
早い段階で真相が見えてしまい、そこから結末まで、ほぼ全てが予想通りだったのはちょっと残念。最終的に韓国らしいベタベタなメロドラマになっちゃったのもありきたりだし![]()
それでも、題材が好みだったので、それなりに楽しめましたけどね (^^)v
「最高の花婿 ファイナル」('21)
フランスの名門一家の4姉妹が、それぞれ国籍や文化、宗教の異なる男性を結婚相手に選んだことから生じる摩擦をユーモラスに描いてフランスで大ヒットした「最高の花婿」('14) とその続編「最高の花婿 アンコール」('19) に続くシリーズ最終第3弾となる群像コメディです。出演はクリスチャン・クラヴィエ、シャンタル・ロビー、フレデリック・ベル、メディ・サドゥン、アリス・ダヴィ、アリ・アビタン他。
耐え難い苦痛…。
1作目はとても面白かったのですが、2作目は1作目の焼き直しに過ぎず、「観て損した」とまでは言わないまでも、本当につまらなかったのです。
そんなわけで3作目は全く期待しないで観たのですが、その低い期待値をさらに下回るつまらなさで、観ていて苦痛でしかなく、まさに「観て損した」レベル。
本人としては家族を思いやってるつもりなんでしょうが、実際には自分のことしか考えていない登場人物たち、特に4姉妹の無神経さはこのシリーズで一貫して不快なのですが、この3作目ではその無神経さが強調されていて![]()
やはり、1作目で終わらせておけばよかったんですよ。
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「スザンヌ、16歳」('20)
ヴァンサン・ランドンとサンドリーヌ・キベルランの娘スザンヌ・ランドンが15歳で執筆した脚本を19歳で自らの監督・主演で映画化した青春初恋映画です。共演はアルノー・ヴァロワ、フレデリック・ピエロ、フロランス・ヴィアラ、レベッカ・マルデール他。
短編小説の世界。
80分に満たない短い尺だけれど、それでも間延び感。
20分程度の短編映画にした方が良かったんじゃないかなぁ…。
2人が共鳴し合う姿や2人の仲が深まっていく姿をモダンバレエ風に表現するのは、微妙に違和感はありますが、印象的で独創的。いっそのこと、もっとファンタジックな世界観でまとめた方が良かったようにも思います。
ただ、全体を通してもやもやするのは、16歳の少女が35歳の男性に恋をするのは理解できますが、35歳の男性が16歳と知っている少女に対して恋愛感情を抱くこと。単に遠くから見つめるだけの完全にプラトニックなものならともかく、熱いハグや首筋へのキスなど、性的なものを明確に感じさせるのは…。それ以上の深い関係になっている可能性があることも暗示していますし…。
10代の少女が描いた世界としてはわかるんですけどね…。
「グロリアス 世界を動かした女たち」('20)
女性解放運動のパイオニアとして長年活躍する伝説的フェミニスト、グロリア・スタイネムの波乱の半生を描いた伝記映画です。主演はジュリアン・ムーア、アリシア・ヴィカンダー、共演はティモシー・ハットン、ジャネール・モネイ、ベット・ミドラー他。
グロリア・スタイネムを全く知らなかったので、彼女の存在を知ることができただけでも観た価値はありました。
物語としては、伝記映画にありがちな過剰にドラマティックな脚色や演出が意図的に避けられているため、抑揚が全くなく、はっきり言ってしまうと「面白い」ものではありません。
しかし、その代わりに、心象風景をファンタジックに幻想的に描くことで、グロリア・スタイネムという人物を鮮やかに浮かび上がらせていたのは![]()
とにかく、普通の伝記映画とは一味違う演出が印象的でした。
「シング・ア・ソング!〜笑顔を咲かす歌声〜」('19)
戦地に赴く軍人の夫を持つ妻たちが、合唱団を結成して不安や孤独を支え合った実話をモチーフに描いたコメディ映画です。主演はクリスティン・スコット・トーマス、シャロン・ホーガン、共演はジェイソン・フレミング、グレッグ・ワイズ、エマ・ラウンズ、ギャビー・フレンチ他。
ストーリー自体ははっきり言って陳腐。
最初から最後まで予想通りにしか展開しないし、終盤のあざとすぎるエピソードにはさすがにシラけちゃいます。
が、それでも彼女たちが「軍人の妻」であり、いつ悲しい知らせが来るかわからない、そんな不安な気持ちを抱えながら懸命に生きている女性たちであるという、その1点だけで、やはり心は震わされてしまうのです。
また、主人公のキャラクター造形は「狙いすぎ」ではありますし、実際に身近にいたら相当に鬱陶しい人物ですが、軍人の妻として、そして軍人の母として覚悟を決め、どんな悲劇も耐え抜いて生きてきた姿は涙なしでは観られませんでした (ToT)
「彼女たちの革命前夜」('20)
実話をもとに、1970年の「ミス・ワールド」で起きた混乱と女性たちの葛藤・奮闘を描いた社会派ドラマです。主演はキーラ・ナイトレイ、共演はググ・ンバータ=ロー、ジェシー・バックリー、キーリー・ホーズ、レスリー・マンヴィル、グレッグ・キニア他。
ミスコンへの反対のみを声高に描くのではなく、ミスコンを通して救われる女性も存在することをきちんと描くなど、今の時代だからこそ描けるバランス感覚を感じました。
そういったメッセージ性から言えば、間違いなく価値のある映画ですが、物語としての面白さがほとんどなかったのはちょっと残念。説教臭いわけではないんですけどね…。
それはともかくとして、往年の大スター、ボブ・ホープを旧時代を代表するクソ男として描いていたのは痛快だし、それを演じているのがグレッグ・キニアなのにはビックリ (@o@)
特殊メイクもあるんでしょうが、グレッグ・キニアとは全くわかりませんでした (^^;;;

