「札束と寝る女神たち」('21)
実際にあった高級売春事件をもとに、裸一貫でのし上がる美女たちの栄光と挫折を描いたポーランドの官能ドラマです。主演はパウリーナ・ガウォンスカ、共演はカタジナ・フィグラ、カタジナ・サウチュク、オルガ・カリッカ、ジュリオ・ベルーチ他。
予想外に社会派映画。
絢爛豪華で華やかな映像とセクシーな美女たちという娯楽性を前面に出す一方で、主人公がどんな方法で成り上がろうとも、結局は女性が搾取される側であることに変わりはないことを赤裸々に描いています。
若くして波乱万丈の人生を送る主人公の末路は自業自得であり、同情は全くできないけれど、それでも彼女を利用するだけ利用し、女性たちから搾取しまくっていた男たちは誰一人罰せられることのない「不公平さ」は観ている側に鋭く突き刺さってきます。
なかなかに観応えのある映画でした。
「デュアル」('22)
余命わずかを宣告され、残される恋人や母のためにクローンを作成したものの、奇跡的に病が完治したためにクローンと生存権を争うことになった女性を描いたSFサスペンスです。主演はカレン・ギラン、共演はアーロン・ポール、ビューラ・コアレ、テオ・ジェームズ、マイヤ・パウニオ他。
シリアスっぽく描いてはいるけれども、実際にはすっとぼけたオフビートなブラックコメディ。
ただ、クローン人間をすぐに作れちゃうほど技術が進歩しているのに舞台は現代のままだとか、どう考えても現実にはあり得ない法律だとか、どこを取っても現実離れしていて、完全に不条理劇の作りになっているのはともかくとして、この題材と世界観で90分を超える尺の映画にするにはかなり無理があります。
20分から30分程度の短編で不条理劇に徹していれば、もっと面白かったんじゃないかなぁと思えてなりません。
「異動辞令は音楽隊!」('22)
強引な捜査が災いして警察音楽隊に異動させられた鬼刑事と彼が追っていた連続アポ電強盗事件を描いた刑事ドラマです。主演は阿部寛さん、共演は清野菜名さん、磯村勇斗さん、高杉真宙さん、モトーラ世理奈さん、見上愛さん、倍賞美津子さん他。
予想以上に古臭い内容だったなぁ…。とても2020年代の映画とは思えない。
でも、ターゲット層が50代以上の中高年だとすると、この古臭さはむしろぴったりなのかもと思ったり。
全てが薄っぺらくて観終わった後に何にも残りませんが、この軽さは時間潰しにはちょうどいいので、ネット配信向きだと思います。少なくとも映画館に足を運んでまでして観る映画ではないです。
「アルゴンヌ戦の落としもの」('16)
第一次世界大戦に従軍し、過酷な戦場から何とか生還したものの、心に深い傷を負った兄と弟の戦後を描いた歴史ドラマ映画です。主演はロマン・デュリス、共演はセリーヌ・サレット、グレゴリー・ガドゥボワ、マリヴォンヌ・シルツ、ワビレ・ナビエ、ジュリー=マリー・パルマンティエ他。
題材はとてもとてもいいのに、それを最終的に陳腐なラブストーリーでまとめちゃって![]()
キリスト教的価値観だとか、フランスの国民性としてラブストーリーが好きとか、いろいろな理由はあるんでしょうけど、深刻な題材に対してあまりに軽いし、不謹慎にしか見えません。
愛する人さえいれば、それだけで全てが解決するかのような能天気なエンディングで本当にいいんでしょうか?
「30日の不倫」('10)
それぞれに家庭を持ちながら情事におぼれていく男女を描いた不倫メロドラマ映画です。主演はアルバ・ロルヴァケル、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、共演はテレーザ・サポナンジェロ、ジュゼッペ・バッティストン、ファビオ・トロイアーノ他。
主人公2人が情事におぼれていく気持ちそのものは充分に理解できますし、理屈では割り切れない非合理的で不安定なところはとてもリアルだとは思います。
それでも、本当の意味で愛し合っているのではなく、単なる現実逃避でしかないことが明らかなので、そんな浅はかで身勝手な2人に裏切られたそれぞれの配偶者がただただ気の毒でなりませんでした。
「プロセッコ殺人事件」('17)
イタリアの有名スパークリングワイン「プロセッコ」の生産者である伯爵が遺体で発見されたことをきっかけに起きた連続殺人事件を描いたコメディミステリ映画です。主演はジュゼッペ・バッティストン、共演はラデ・シェルベッジア、リズ・ソラリ、テコ・セリオ、ロベルト・チトラン、シルヴィア・ダミーコ、ババク・カリミ、ミルコ・アルトゥーゾ他。
ハリウッドや日本などのコメディミステリを観慣れた目からすると、コメディとしてもミステリとしてもゆるゆるで、それがイタリアの美しい田園風景とは合っていますが、物語としては全く面白くないのです。
主人公の警部を演じたジュゼッペ・バッティストンは、トトロのような見た目で、そのゆるさにはぴったりでしたけどね。
「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」('22)
「機動戦士ガンダム」の第15話「ククルス・ドアンの島」のリメイクとなるSFロボットアニメ映画です。声の出演は古谷徹さん、武内駿輔さん、廣原ふうさん、内田雄馬さん、成田剣さん、新井里美さん、潘めぐみさん、古川登志夫さん、中西英樹さん、福圓美里さん、池添朋文さん他。
→ Wikipedia「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」
最初にこの映画の製作が発表された時は「えっ?」となりました。
確かに「ククルス・ドアンの島」は「機動戦士ガンダム」の世界観の広さを示しているという意味で、とても印象的で心に残る話ではありましたが、映画の尺に膨らませられるほどの話かなぁと。それに作画レベルが酷かった印象も強く残っていましたし。
で、実際に観てみると「なるほど」と感心。予想通り、水増し感、間延び感は否めませんでしたが、ドアンの過去の膨らませ方は悪くないです。ただ、子供の数が多過ぎて、そこはちょっと現実味がなかったかなぁ…。
細かいことを言い出せばキリがないですが、「機動戦士ガンダム」第1シリーズ(いわゆる「ファースト・ガンダム」)をリアルタイムで観ていたおじさんとしては充分過ぎるほど楽しめる映画ではありました (^^)v
「火の鳥 未来編」('04)
手塚治虫さんの代表作の1つ「火の鳥」シリーズのうち5作品を原作とした全13話のテレビアニメシリーズの第12話から第13話として放映された作品で、はるか未来の地球を舞台に、火の鳥によって不死にさせられ、人類を含めた全ての生命体が滅亡した後も1人で数十億年も生き続けなければならなくなった青年の運命を描いたSFファンタジーです。声の出演は浪川大輔さん、冬馬由美さん、桐本琢也さん、小村哲生さん、牛山茂さん、竹下景子さん、久米明さん他。
「火の鳥」という壮大な物語の実質的な結末を描いているわけですが、原作から大幅に削除・変更されているらしいので、原作の長めのPR動画と思って観るべきなんでしょう。
もちろん、それを言ってしまうと、このテレビシリーズ全13話の全てが、そもそもPR動画に過ぎないと言えば、それまでなんですけどね (^^;;;
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「火の鳥 太陽編」('04)
手塚治虫さんの代表作の1つ「火の鳥」シリーズのうち5作品を原作とした全13話のテレビアニメシリーズの第8話から第11話として放映された作品で、7世紀の日本を舞台に、狼の首の皮を顔に被せられた百済王朝の青年の運命を描いた歴史ファンタジーです。声の出演は松本保典さん、内川藍維さん、巴菁子さん、小村哲生さん、竹下景子さん、久米明さん他。
原作とは別物らしいですが、それでも壬申の乱の「手塚治虫流解釈」としては面白く観ることができました。
ただ、キャラクターデザインが趣味に合わなかったな…。特にマリモのデザインははっきり言ってしまうとかなり苦手。そのせいで物語への没入感が相当に妨げられてしまったのは残念。
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「火の鳥 復活編」('04)
手塚治虫さんの代表作の1つ「火の鳥」シリーズのうち5作品を原作とした全13話のテレビアニメシリーズの第5話から第6話として放映された作品で、25世紀の未来を舞台に、人工頭脳を埋め込まれて一命を取りとめたものの、生命体と人工物が逆に見えるようになってしまった青年の運命を描いたSFファンタジーです。声の出演は佐々木望さん、小林美佐さん、広瀬正志さん、小川真司さん、大坂史子さん、小村哲生さん、竹下景子さん、久米明さん他。
原作とは内容が大幅に変えられているので難ですが、それでも、「火の鳥2772 愛のコスモゾーン」('80) と同様に「手塚治虫の性癖」が溢れ出てる話だなぁと。
それ以外に感想はないです。
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