「沈黙のパレード」('22)
東野圭吾さんのガリレオシリーズ第9弾(長編5作目)を映画化した作品です。主演は福山雅治さん、共演は柴咲コウさん、北村一輝さん、村上淳さん、吉田羊さん、檀れいさん、椎名桔平さん他。
原作は未読なので、偉そうなことは言えませんが、文字で読んだら印象が違うのかもという感じ。
とにかく、自分でも驚くほど、心が動かなかったのです。
もちろん、序盤で描かれる、被害者遺族の苦しみや悲しみ、そして事件を解決できなかった刑事の後悔や罪悪感は胸に迫るものがあり、これからどんな展開を見せるのだろうと大いに期待は高まったのです。ところが、その後は「あれっ? なんでこんなにあっさりさっぱりしてるの?」という違和感でいっぱいになり、急激に冷めていってしまったのです。最後に明らかになる事件の真相も、筋は通っているけれども釈然としないものがありましたし。確かに、誰もが予想する「復讐劇」にしないことで、絶望的に救いのない結末にならなかったのは良かったのかもしれませんが…。
ちょっと期待値が高過ぎたのかもしれません。
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「亡国のスパイ〜かくも親密な裏切り〜」('22)
冷戦時代に起きた史上最悪の二重スパイ事件を描いたサスペンスドラマ全6話です。主演はガイ・ピアース、ダミアン・ルイス、共演はアンナ・マックスウェル・マーティン、エイドリアン・エドモンドソン、カレル・ローデン他。
荒唐無稽なスパイアクション映画のノリではなく、リアルなスパイを描いた作品であることは当然わかっていましたが、それでも序盤は戸惑うばかりでした。
物語としての着地点が曖昧で、謎解き風な展開を見せながらも、そもそもの謎自体が何なのかも曖昧でよくわからなかったからです。
でも、終盤になってようやくわかりました。
これは実際にあった二重スパイ事件を題材にしていますが、ドラマとして描きたいのは事件そのものではなく、そこに関わった男たちの姿を通じて、階級社会における超エリート男性たちの傲慢さやそのコミュニティの異常な結びつきの強さ(≒悪事のかばいあい)を指摘し、批判すること。
だからこそ、主人公たちの対比となる架空の人物として、主人公を尋問する女性を登場させているわけです。この着眼点と脚色には大いに納得ですし、エピローグも![]()
とにかく、いわゆる「スパイもの」と思って観ると、かなり肩透かしを喰らっちゃうと思います。
「シン・仮面ライダー」('23)
「仮面ライダー」シリーズの庵野秀明監督によるリブート作品です。主演は池松壮亮さん、共演は浜辺美波さん、柄本佑さん、塚本晋也さん、斎藤工さん、竹野内豊さん、森山未來さん他。
好みの内容ではなかったけれど、最初から最後まで「興味深く」観ることができました。
池松壮亮さん、柄本佑さん、森山未來さんという「ヒーローアクションもの」とは無縁なイメージの役者を揃え、その個性をうまく活かしているとか、
21世紀の今の時代に初代の「仮面ライダー」をリブートする意味とか、
かつて「仮面ライダー」を愛した今の大人たち向けの味付けだとか、
とにかく、庵野秀明監督の描きたいことや見せたいことの全てを理解できたわけではありませんが、伝わるものは確かにありました。
ただ、あまりに好みから離れていたので「面白くはなかった」ですけどね (^^;;;
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「ドリーム・ホース」('20)
実話をもとに、イギリス・ウェールズの小さな村で暮らす平凡な主婦が村人たちに出資を募って馬主組合を結成し、そこで育てた競走馬が数々の奇跡を巻き起こしていくさまを描いたドラマ映画です。主演はトニ・コレット、共演はダミアン・ルイス、ジョアンナ・ペイジ、オーウェン・ティール、ニコラス・ファレル他。
「いい話」だとは思います。
でも、主人公たちが何かものすごく頑張ったわけでもなんでもなく、交配して生まれた馬が運良く競走馬として有能だったというだけで、頑張ったのは調教師や騎手だとしか思えないのに、そちらの功績について一切触れないのは、どうしても納得がいかず。
主人公とその夫の夫婦愛を描いた物語と思えば、嫌いじゃない話ですけど。
「L.A.コールドケース」('18)
1990年代に実際に起きた大物ラッパーたちの未解決殺害事件を追ったノンフィクションをもとに、事件の背後に潜む巨大な陰謀を追う2人組の運命を描いたクライムサスペンスです。主演はジョニー・デップ、共演はフォレスト・ウィテカー、ロックモンド・ダンバー、ニール・ブラウン・ジュニア、シェー・ウィガム他。
題材もいいし、キャストも充実しているのに、映画としてはどこにピントを合わせているのかわからず、散漫で中途半端。
おそらく、事件を追い続ける元刑事の「生き様」を描きたかったんだと思うのですが、それならば彼にもっとフォーカスした構成にすべきだし、もっと言えば、ドキュメンタリーにした方がよっぽど面白くなったんじゃないかなぁ。
とにかく「残念な出来」としか言いようのない映画でした。
「向田理髪店」('22)
奥田英朗さんの同名小説を原作とし、過疎化が進む地方の町を舞台に、さまざまな問題に直面しながら懸命に生きる人々が織り成す人間模様を描いた群像劇です。主演は高橋克実さん、共演は白洲迅さん、板尾創路さん、近藤芳正さん、富田靖子さん、根岸季衣さん他。
ものすごくわかりやすい「いい話」。
でも、安易に「昔は良かった」として、その時代のいいところだけを描いて、悪いところや問題点を完全に無視した綺麗事の物語と同様、単なる現実逃避。
この映画は元々そういう意図で作られているので仕方ないことはわかっていますが、それでも、超高齢化した人口減少社会と地方の閉鎖性という、現実に目の前で起きている問題を矮小化してごましているだけなのは、やはりどうしても気になってしまい、全く物語に入り込めませんでした。
「別れる決心」('22)
夫殺しの容疑をかけられた人妻に惹かれていく刑事の禁断の恋の行方を描いた、パク・チャヌク監督によるサスペンスロマンスです。主演はタン・ウェイさん、パク・ヘイルさん、共演はイ・ジョンヒョンさん、パク・ヨンウさん、コ・ギョンピョさん他。
パク・チャヌク監督の作品と言うと、韓国映画らしい、激しい感情を、激しい演技と演出で力強く描くイメージがあるのですが、この映画はだいぶイメージが違います。
この映画は、同じように激しい感情、それも狂気に近い感情を、抑えた演技と静かだが凝った演出で表現しているのが特徴的。
そして、その表現の仕方の違いによって、一段と「狂気」が際立ち、観る者に恐怖を感じさせる効果を生んでいます。
また全体的にヘビーでシリアスであるにもかかわらず、唐突にオフビートなユーモアがちょこちょこと挟み込まれるあたりも印象的。
ただ、ヒロインの狂気、特に最後の行動があまりに恐ろしくて、ドン引きしちゃったのも事実。
とにかく、インパクトのある芸術作品ではありました。
「チケット・トゥ・パラダイス」('22)
バリでスピード婚をすると決めたひとり娘の結婚を阻止しようと現地に向かう元夫婦を描いたロマンティックコメディです。主演はジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツ、共演はケイトリン・デヴァー、マキシム・ブティエ、ビリー・ロード、リュカ・ブラヴォー他。
話自体は全て予想通りにしか展開しなくて本当につまらないし、くだらないのだけれど、主演の2大スターの魅力だけで映画1本を完全にもたせているのは流石としか言いようがありません。
主演2人に当て書きされた脚本で、しかも2人が製作総指揮にも加わっており、2人の魅力をあますところなく活かしています。
そして何より、長年にわたってトップスターであり続けている2人が、良い年の重ね方をして、その年齢に合った役を演じているのは![]()
とにかく、ストーリーには1mmたりとも期待してはいけません (^O^)
シス・カンパニー公演「帰ってきたマイ・ブラザー」
2023年4月から6月まで上演された舞台の東京・世田谷パブリックシアターでの4月15日の公演を収録し、WOWOWで放送したものを観ました。出演は水谷豊さん、段田安則さん、高橋克実さん、堤真一さん、池谷のぶえさん、峯村リエさん、寺脇康文さん。
水谷豊さんの23年ぶりの舞台出演で話題となった作品。
本格的な「お芝居」ではなく、大スターの水谷豊さんを中心に、実力派の役者を揃え、それぞれの役者の個性と魅力を活かした役柄と脚本で、観客を楽しませる「ショー」という感じ。
当然ながら生の舞台で楽しむことが前提の作品なので、映像ではどうしても物足りなさは否めませんが、もし再演することがあれば「生で観たい」と思わせるものはあるので、WOWOWでの放送が今後の良い宣伝になっているのかもしれません。
「BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」('22)
人里離れた屋敷に集まった若者たちの「殺人ゲーム」が惨劇に発展していくさまを描いたスリラー映画です。主演はアマンドラ・ステンバーグ、マリア・バカローヴァ、共演はリー・ペイス、ピート・デヴィッドソン、マイハラ・ヘロルド、レイチェル・セノット他。
→ Wikipedia「ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」
めっちゃよく出来てる (^^)v
チャラチャラしたイケ好かない若者たちがバカンスで訪れた人里離れた場所で次々と殺されていくというスラッシャー映画の定番中の定番の舞台設定を用意しながら、全く違う展開をしていき、最後の最後に明らかになる真相によって、この映画自体がキョーレツにブラックなコメディであることがわかるというオチ。
男たちが単純なわかりやすい類型的キャラクターとして意図的に描かれているのに対し、女性たちがそれぞれ個性的でその描き方がリアルなのは女性監督ならでは。この微妙な女同士の関係性を男性監督が演出すると、相当にわざとらしくなっちゃうんじゃないかと。
とにかく、スラッシャー映画が苦手でない方にはお勧め (^^)
