Marc のぷーたろー日記 -88ページ目

「封印された入り江」('20)

 

出産したばかりの息子など子ども3人を連れて失踪した妻の行方を追う夫が知ることになる悲劇の真相を描いたサスペンススリラーです。主演はオルガ・キュリレンコ、クレス・バング、共演はブライアン・コックス、キャロライン・グッドール他。

 

Wikipedia「封印された入り江」

 

この映画の作り手はそもそもリアリティなど全く考えておらず、一種の「ファンタジー」のように描こうとしているとしか思えないので、そんな映画に対して指摘しても何の意味もないのはわかっているけれど、それでも言いたい。

 

リアリティがないにもほどがある!!

 

どこを取っても、とにかく雑。

 

この映画の関係者は誰も何も指摘しなかったんでしょうか?

「スモールワールド」('21)

 

国際的な人身売買ネットワークを追って、児童ポルノや児童売春の世界で10年以上も捜査を続ける刑事の執念を描いたサスペンスアクションです。主演はピョートル・アダムチク、共演はエンリケ・アルセ、ユリア・ヴィーニャーヴァ、モンセラート・ロイグ・デ・プイグ、アンドリス・ケイス、アナスタシア・ミクルチナ他。

 

作り手の意図はわかります。

 

現実にある深刻な問題を1人でも多くの人に知ってもらうために、ドキュメンタリーではなく、敢えて「サスペンスアクション」という娯楽映画の体裁で作りつつも、テーマに対して真摯に取り組んでいるのは伝わってきます、

 

また、主人公を「ヒーロー」ではなく、おぞましい事件を追い続けているうちに自らも狂気に陥っていく生身の人間として描いているのも理解できます。

 

ただ、あまりに尺が足りない…。

 

これは単なる想像ですが、脚本や撮影の段階ではもっと長い尺だったのを興行面の理由から大幅にカットしたんだろうなと思えてならないのです。

 

そのため、物語の中心である人身売買の問題と主人公の苦悩という2本柱のどちらも充分に描ききれておらず、ストーリーテリングとしてはあまりにぎこちなく、展開に唐突感が否めず、ディテールの雑さも気になって仕方ないのです。

 

また、主人公が最後に取る行動も、理解はできますし、それまでの流れから言えば当然の帰結と言えなくもないのですが、あまりに極端すぎて、「サスペンスアクション」を期待している観客の溜飲を下げさせるための「作り物感」が強すぎるのです。

 

とにかく、2時間以内の尺に収める必要があるのであれば、いっそのこと主人公の物語を削って人身売買の物語に完全にフォーカスしてしまった方が良かったんじゃないかと思うのですが、作り手側はどうしてもそこは譲れなかったんでしょうね…。

 

題材もいいし、主演のピョートル・アダムチクは熱演しているだけに「惜しい…」という気持ちになってしまう映画でした。

「天使のたまご」('85)

 

ノアの方舟が陸地を見つけられなかった世界を舞台に「天使のたまご」を抱きかかえて温めながら孵るのを待っている少女と謎めいた少年を描いた、押井守監督によるファンタジーアニメです。声の出演は根津甚八さん、兵藤まこさん。

 

Wikipedia「天使のたまご」

 

押井監督作品の中では好きな方の作品で、これまでに何度も観ていますが、今回久しぶりに全編を観直してみて、改めてその素晴らしさに感激。

 

今では難解な作品の代名詞とも言われていますが、公開当時からそこまで難解だとは思えないんですよね。

 

この作品の前年の押井監督作品「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」('84) とコンセプトは基本的に同じで、彼が本当に描きたかったことだけを抽出して煮詰めたような感じ。聖書をはじめとするキリスト教からの引用も、フロイト的メタファーもストレートでわかりやすいし。

 

とにかく、もはや狂気レベルの緻密な作画、絵画のようにバッチリと決まっている画面構成、不気味だが美しく物悲しい音楽、それら全てが見事に融合し、素晴らしいアート作品として仕上がっています。

 

押井作品が好きな人なら一度は観ておくべき作品だと思います。

「VETERAN ヴェテラン リベンジ」('22)

 

娘のためギャングにたてついて殺された元軍人の無念を晴らすため、彼を慕った退役軍人の老兵たちが復讐に立ち上がるさまを描いたリベンジアクションです。主演はニック・モラン、共演はダニー・トレホ、リー・メジャース、イアン・オギルヴィ、ルイス・マンディロア、パッツィ・ケンジット、マイケル・パレ他。

 

超シリアスな感じで始まったかと思ったら、本格的に復讐に挑み始めてからは、いわゆるアクションコメディに。それもかなりゆる〜い感じ。

 

それはともかくとして、続編を作り気満々な終わり方でしたけど、おじいちゃん俳優たちが見た目以上に本当に老人なので、いつまで続けられるんでしょ (^^;;;

 

とにかく、何も考えずに気楽に観られるのはいいんだけど、もうちょっとおじいちゃんたちが工夫を凝らして敵を倒すのかと思いきや、大した工夫もなく、正攻法で普通に戦って勝っちゃうので、単に敵がしょぼいだけに見えちゃうダウン

 

敵のギャングのボスは、警察も怖がって手を出せないほど、冷酷非情なサイコパスという設定のはずなのに、ただの無能な間抜けにしか見えないダウン

 

おじいちゃんたちのキャラは魅力的なので、本当に続編を作るなら、もうちょっとマシな脚本でお願いします。

「コードネーム:バンシー」('22)

 

スパイ反逆罪の容疑をかけられた父と恩師の汚名をそそぐため、バンシー(死神)の異名を持つ美しき暗殺者が真相解明に挑むさまを描いたサスペンスアクションです。主演はジェイミー・キング、共演はアントニオ・バンデラス、トミー・フラナガン、キム・デロンギ、キャサリン・デイヴィス他。

 

映像のタッチは比較的好み。

 

セピアを基調としたくすんだ色調の画面は雰囲気があってグッド!

 

主演のジェイミー・キングも悪くないし、シリーズ化しそうなエンディングも嫌いじゃない。

 

が、ストーリーがテキトーなのは、そもそもそこに何も期待していないのでどうでもいいんですけど、肝心のアクションが単調すぎて面白くないし、アクション以外のシーンに作り手のこだわりは感じつつも、ただテンポを悪くしているだけダウン

 

素材が悪くないだけにもったいないなぁとしか思えませんでした。

「かがみの孤城」('22)

 

本屋大賞を受賞した辻村深月さんの同名ベストセラー小説を原作とし、鏡に吸い込まれるように不思議な孤城に集められた7人の中学生たちの成長を描いたアニメーション映画です。声の出演は當真あみさん、北村匠海さん、吉柳咲良さん、板垣李光人さん、横溝菜帆さん、高山みなみさん、梶裕貴さん、麻生久美子さん、芦田愛菜さん、宮崎あおいさん他。

 

Wikipedia「かがみの孤城」

 

とても繊細に丁寧にまとまっているのですが、綺麗に美しくまとまりすぎているので、人によっては綺麗事に見えてしまうかもしれませんし、現実の残酷さを矮小化しているように感じる人もいるかもしれません。

 

それでも、この作品に触れることで救われる子供は確実にいると思いますし、子育て中の親御さんはもちろん、1人でも多くの大人が触れるべき作品だと感じました。

「火祭り」('06)

 

イランの名匠アスガー・ファルハディの監督第3作で、家政婦の目を通して1組の夫婦の波乱の一日を描いたドラマ映画です。主演はハミッド・ファロクネジャード、ヘディエ・テヘラニ、タラネ・アリドゥスティ、共演はパンテア・バハラム、サハル・ドラチャヒ他。

 

「結婚って…」と考えさせる映画なのですが、それ以上に、激しすぎる夫婦喧嘩に巻き込まれた若い家政婦が気の毒で、彼女が巻き添えで不幸な目に遭うんじゃないかと心配でハラハラしちゃうという意味では確かにサスペンスフルな映画でした。

「美しい都市」('04)

 

イランの名匠アスガー・ファルハディの監督第2作で、死刑執行が迫った親友の命を救うべく、同じ少年院の仲間の少年が必死で奔走するさまを描いたドラマ映画です。主演はバーバック・アンサーリ、共演はタラネ・アリドゥスティ、ホセイン・ファージ・ザーデー、ファラマルズ・ガリビアン、アフー・ケラドマンド他。

 

イランの死刑制度の問題点を扱った映画はこれまでにもいくつか観てきましたが、それらとはちょっと違う点を中心に描かれていて興味深く観ることができました。

 

死刑を執行するにあたり、死刑を望む被害者遺族が死刑囚の遺される家族に対して金銭を支払う必要があるというのはビックリ (@o@)

 

確かにイスラム教も「赦し」を重視している宗教ではありますが、イスラム教国では比較的簡単に死刑が宣告されるイメージがあるのでかなり意外。

 

ただ、そういった制度のない世界で生まれ育った人間としては、罪の償いを含め、人命が金銭で左右されてしまうように見える世界の話はただただ不気味で、何か異世界ファンタジーを観ているような気分にさせられました。

「砂塵にさまよう」('03)

 

イランの名匠アスガー・ファルハディの映画監督デビュー作で、愛する妻との離婚を迫られて苦悩する青年の悪戦苦闘を切なくもコミカルに描いたドラマ映画です。主演はユーセフ・ゴダパラスト、共演はバラン・コーサリ、ファラマルズ・ガリビアン他。

 

アスガー・ファルハディ監督の最近の作品は全て観ていますが、初監督作品がこんなコミカルな作品だったのは意外。最終的には切ない話でしたけど。

 

ただ、主人公をとことん「幼稚な愚者」として描き、そのわかりやすい「言動の可笑しさ」だけで笑わせようとするスタイルが、当時のイランでは良かったのかもしれませんが、少なくとも今の自分の感覚からすると不快でしかなく、しかも主演俳優の演技が下手すぎて、視聴自体がただただ苦痛…。

 

もう1人の主人公とも言える、毒蛇を捕まえる仕事をしている寡黙な初老男性のキャラクターが実に魅力的で、こっちを主人公にした方が(コメディにはなりませんが)物語としては遥かに面白くなったはずなのに、何故そうしなかったのか、本当に残念でなりません。

「CHASE/チェイス 猛追」('22)

 

実家に帰る途中で失踪した妻を必死に捜そうとする夫の暴走を描いたアクションサスペンスです。主演はジェラルド・バトラー、共演はジェイミー・アレクサンダー、ラッセル・ホーンズビー、イーサン・エンブリー他。

 

Wikipedia「CHASE/チェイス 猛追」

 

ジェラルド・バトラーは出ずっぱりなので、彼のファンならそれなりに楽しめるかもしれませんが、多くの人が「ジェラルド・バトラー主演のアクションサスペンス」に期待するものとはかけ離れた駄作ダウン

 

最初から主人公を「わけあり」に描き、警察も妻の両親も主人公を怪しみ、実際に主人公の言動も常軌を逸しているので、「どんな秘密が主人公にあるんだろう?」と思わせ続けておきながら、この結末ダウン

 

観る者をバカにするにもほどがあるというもの。