「ザ・フォーリナー復讐者」★★★☆～ハードで哀愁あふれるジャッキーの雄姿

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2019』の掲載にあたって」

ハードで哀愁あふれるジャッキーの雄姿 ★★★☆

(C)2017 SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION STX FINANCING, LLC WANDA MEDIA CO., LTD.SPARKLE ROLL CULTURE & ENTERTAINMENT DEVELOPMENT LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED. （2017年／イギリス・中国・アメリカ／110分／The Foreigner）

【　監督　】

マーティン・キャンベル

【　出演　】ジャッキー・チェン
ピアース・ブロスナン
オーラ・ブラディ
レイ・フィアロン
チャーリー・マーフィ

【あらすじ】

　イギリス、ロンドン。

　レストランのオーナーとして慎ましい生活を送る中国移民のクワンは、無差別テロにより、たったひとりの愛娘を失ってしまう。復讐を誓ったクワンは、元特殊部隊のスキルを活かし、犯人捜索を開始する。

　一方、北アイルランド副首相リーアム・ヘネシーは、イギリス政府により無差別テロの犯人を特定するよう命令があったが、リーアムはかつてのテロリスト“UDI”のメンバーだった―

【コメント】

　さて、楽しかったGW１０連休も終わり、いつもの慌ただしい業務を１週間こなしての令和2本目の映画鑑賞。永遠のヒーロー、ジャッキー・チェン待望の新作です。

　とは言うものの本作、2017年の作品で、日本公開まで２年のインターバルがあり、ファンとしてはまだかまだかと待ち焦がれていた作品なのであります。

　満を持しての日本公開、本当は公開日直後に観たかったんですが、相変わらず公開館数が少なく帰省先の盛岡では公開されていなかったため、1週遅れで「MOVIX昭島」で鑑賞した次第です。

　いやはや、本作がなぜ公開まで2年も漬けられていたのか分かりませんな。ひたすらハードでシリアス、枯れ果てて哀愁漂うジャッキーの雄姿がカッコイイ！とても面白かったです！

　いつもの愛嬌があってユーモラス、いざ戦いとなればスピーディーでアクロバチック、命がけのスタントもこなす往年のジャッキーを期待すると肩透かしを食らうと思います。冒頭から白髪の疲れ果てたようなジャッキーが映し出されたかと思うと、愛する娘が無差別テロにより目の前でいきなり死んでしまうという不運な展開。愛するたったひとりの家族を失ってしまい、静かに復讐の鬼と化したジャッキーが、かつての特殊部隊のスキルを活かし、ただひたすら犯人を追い詰めていく。これまでのアクロバチックなバトルアクションは無く、あくまでリアルなバトルなので、カンフーに期待しちゃいけませんが、それでもジャッキーの無双ぶりは観てて興奮するし、クライマックスは熱い。

　これまでにも、いろんなリベンジアクション映画がありましたが、本作は一味違う。娘が殺されたコノヤローだけの単純明快なアクションではなく、イギリスとアイルランド間の政治的情勢の背景が大きくあり、ジャッキー演じる“チャイナマン”と蔑まれながら細々と暮らしている移民という社会的背景。面白いのは、ピアース・ブロスナン扮する副首相とジャッキー演じる一移民、この二人の行動理由が全然交わらないということ。テロをきっかけに、ピアース・ブロスナンはただただ政治に翻弄され、ジャッキーはそんな政治的背景など関係なく、ただひたすらに犯人を探し求める。

　もっとも、イギリスとアイルランドの関係を知らないと？な感じになると思います。正直、僕もあまりピンときませんでしたが。