もうすぐって…いつ? -15ページ目

◆ART&詩:コラボレーション作品◆ 「月明かりの海」

色鉛筆画・その他思いのままに・・・。の hide51さん と、今回コラボさせていただきました。

絵:hide51 詩:かおる

月明かりの海   (←CLICKで、大きくなります。)

その日ね。違ったんだ。
光のつぶ。
光の粒子が流れるように。シャワーみたく。
降っていた。海に。

生命(イノチ)のはじまりの、「ウミ」。
2年前の夏、コドモみたく、サルみたく。きゃっきゃ騒いだ、「うみ」。
いま、あそこでさ。ゾウが眺めている、この、海にもね。

シャワーシャワー。さんさんと。きらきらと。

まぶしいよ。切ないほどに。
涙をそそるよ。あたたかい、雫。
しょっぱい。  ああ。海とおんなじさ。


このナミダも。海にそそごうか。
服なんか脱ぎ捨てて。動物の視線、背中に感じながら。

何十年、何百年、何千年後も。


波に揺れるように。


ザブン。ザザザー…



月のひかりあびてさ、そして、共に。溶け合うように。





[SPECIAL THANKS FOR hide51]









小説NO.137 「 新たな幕開けに向けて 」其の8 

「では、始めさせていただく。」

これまでに見たこともないほどの、真剣なまなざし。
(とはいっても今は猫の姿ではないが。)

現世の王は、背中の黒いマントを翻すと、両手を広げて4人に向け、呪文を唱えた。



「消・滅・去!記・参・界!!」
(3つの世界の記憶よ、消え去りたまえ!)





その呪文を唱えた瞬間、きっと何かすごいことが起こるのだろう・・・、と、
朱音も真也もひとみも、田辺も、そう思っていた。

地面を踏みしめる、4人。


しかし。


「あれ?」


音もなく、ことは終わった。そこにはもう、現世の王の姿は・・・ない。
まるで最初からいなかったかのように・・・。



「あれれ?」


顔を見合す4人。「あれれ?」の後に続いた言葉、それは・・・


「あれれ?何でおれたち、こんなとこで固まってんだ?
今から朱音は、退院するん、だよな( ̄_ ̄ i)?」


という真也の言葉だった。


「そうよ?病院で知り合って、でもって友達・・・あら、彼女?のひとみちゃんまで連れてきてくれて、わたしは幸せ者だわ(‐^▽^‐)」

朱音ものんきにそう言う。

「彼女じゃねぇよ!オークションで、こいつが桜坂かえでの舞台チケット出品者だったから・・・
・・・って、なんで俺、FANでもないのにそんなの買ったんだっけ?
しかも結局、舞台行ってねぇ(°д°;)!!金返せ!ひとみ!!」

「なによ!引き止めておいて!!
行かなかったのはあんたの勝手でしょうが(`ε´)!!」

真也とひとみのいつも通りの、しかし何か不思議な何かが欠けている、そんな言い合いも始まった。


「・・・まぁまぁ、ここは病院だからね(;^_^A」


ドクター田辺のこの一言で、みんなはとりあえず落ち着き、朱音は病院をあとにすることになった。



「どうもお世話になりましたo(^▽^)o!!」

周りの看護婦たちにそう言ってまわる朱音。
とてもすがすがしい顔をしている。



こうして、朱音は長かったはずの記憶を「無」にし、新しいスタートをきったのだった。






小説NO.136 「 新たな幕開けに向けて 」其の7 

「・・・・・・まって。」

現世の王のこころに、ひとみの声が響いた。

(そうか、ひとみはサラと融合しているから、声を飛ばせるんだな?!
仕方あるまい・・・(・_・;)。)


すると現世の王は、ここにいる4人が心で会話できるように魔術をかけた。
簡単に言うと、心の金縛りを解いたのである。


(そんな理由があるのなら、私たちをこんな、がんじがらめにしなくたって、決して反対しないわよ。)

ひとみがそう言った。

(俺もだぜ、サラクロ。筋が通ってるじゃねぇか、しかも命を取られるわけじゃねぇ。大丈夫だよ。)

真也もまっすぐこちらを見つめて、訴える。

(ワタシも、一度真也くんに教えてもらって妻たちのことは納得した。これ以上、3つの世界にかじりつくつもりはない。
大丈夫だよ・・・。)


ドクター田辺も現世の王におびえることなくそう言うではないか。


(父さん・・・現世の王となってる、わたしの父さん?
わたしも、大丈夫よ。本当はね、悩んでたの。消してもらった方が楽になるんじゃないかって・・・(´・ω・`)
だから、もしそれが自然のサイクルだというのであれば、消してほしいわ。)

最後に朱音が発言したこの言葉は、現世の王の胸を打った。



「分かった。みんなを、信用する。」

そう一言呟き、現世の王は4人の金縛りを解いた。
ガクッとみんな地面に崩れる。力が抜けたのだ。

「こうして、みんなが口を聞ける状態でこの任務を遂行できることを、心から嬉しいと、おもっているんじゃよ。
皆に感謝している・・・本当に・・・(ノω・、)。」


現世の王は、流れそうな涙をじっとこらえていた。


「泣くなよ~?サラクロ。俺が現世の王だったら、こんなすげーこと絶対に出来ねぇ。
サラクロはすごいぜ?
こんな任務を背負っているお前を、尊敬してるくらいさ(・∀・)」

真也は現世の王にニコッと笑いかけた。

朱音は笑う余裕までは内容だったが、ずっと首を、縦に振っていた。
涙もろいのか、よほど何かを感じているのか、ぼろぼろと涙をこぼしている。

ひとみとドクター田辺は無言のまま、実行の時を待っていた。



「任務を・・・遂行する。いいな?」

サラクロは顔をあげると、真剣なまなざしで4人を見渡した。

「はい。」

四人の声が揃った。


一番ベストな状態。
皆が理解してくれて、任務が遂行できる・・・。
今一番泣きたいのは、現世の王、サラクロだったのかも、しれない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

*この作品も、ついに最終回が迫ってまいりました
 どうか最後まで、お付き合いください。それが、作者であるわたしの願いです。







◆ショートショート◆ 敵か味方か。

 背後に気配、感じた。

たったったったった・・・。

ニホンミツバチを撃退するオオスズメバチ

  足音。
追いかけてくる。
 
  反射。
僕は逃げた。だってここは、殺人鬼がいるって噂の森。狙われているんだ、僕は!

たったった・・・・たたったたた・・・・

ふっ、ふっ、ふっ・・・

荒い息。走りながら、背後の「奴」。息をもらしている。

  何者? I hate you!!!!


 逃げて逃げて。
見つけたんだ、馬小屋。
馬がいる。ひとりじゃない。

駆けこんだ。
     もう夢中さ。

ヒヒーン・・・

馬はびっくり。知ったこっちゃねぇ。こちとらは追われてんだ。

たったったたったたたた・・・

駆け足。聞こえる。耳を澄ます。

  ・・・ぴた。

とまった。どこかで。止まったんだ、足音が。
まさか、待ってんのか?!
ええい、どうせ待ってるなら、やりあってやろうじゃないか!

といいつも。こわごわ・・・覗いた。 小屋の板の隙間から。


いない。
だれも・・・いない。なにも・・・いない。


バキューーーーン・・・・・・


その時、
近くで、銃声が鳴り響いた。何かが、・・・誰かが、撃たれたのだ。

「・・・かわいそうに・・・・・」

僕はつぶやいてから、ハッとした。
まさか、まさか・・・・・?!

さっきの足音、の、ひと・・・・・


そうだよ。あんなあからさまに、殺人鬼が追っかけてくるだろうか。
しかも、銃持ってるなら撃っただろう?Maybe.いや、Must be...

ああああ、なんてことだ。
一緒に馬小屋に入ったら、背後の人、助かったのかもしれないな・・・


なにが「かわいそう」だよ、僕は、僕はなんてことを!


         ~完~


あなたのブログが映画化!?笠木監督の作品企画大募集!!

小説NO.135 「 新たな幕開けに向けて 」其の6 

「記憶を消す前に・・・」

現世の王(サラクロ)は、神妙な面持ちで話し始めた。
周りの4人は強い金縛りで動くことができない。

「これを話しておこうと思う。
本当はそのまま、情に波打たされることなく、任務を遂行しなければならないのだが・・・。
ワシにはそれが出来ん(_ _。)。
話すと決めた・・・。」


(いったい・・・何を・・・)

4人全員がそう思っていた。言葉には出来ないままに。


「・・・3つ世界の記憶。確かに、持ち続けて生きられないことはない。
田辺さんの奥さんとお子さんは、そういうタイプだったんじゃ。
・・・・・・しかしあれは、完全なる現世の王のミス。気づいていなかったんじゃ。
2人が記憶をもつものだということに。
実際、気付かぬまま、現世を終えて行く者も、いる。残念なことに、気付けていないことも多いんじゃ。
田辺さんには、前任者のかわりに、わしから詫びたいと思う。」


現世の王は、深く、頭を下げた。


「で、じゃ。なぜ記憶を背負ったままではいけないか・・・ということを話そう
(`・ω・´)。
基本的に、その記憶があるというのは「自然のサイクル」どおりに行っていないから、というのが一番の理由じゃな。
現世で全うした記憶を死界できれいに浄化して、何もかも「無」の状態で新たな人生を送る。
それが本来の姿なんじゃ。・・・だし、そうせねばならないよう、ワシら各世界の王は気をつけている。
しかし、じゃ。まれに例外がある。
ワシも人のことが言えないが、昔の健司の力を消されぬままに、今の状態に至っておるからな。
そうすると、結果的に良くないんじゃ(´・ω・`)。
子孫に多少なりとも・・・いや、かなりの確率でその記憶や力は遺伝してしまう。
朱音もそうだし、田辺さんの娘さんも、まさにそういうケースじゃよ。
子孫たちは親を選んでいるわけではない。そこを拠点に新しくスタートしなければならない魂たちじゃ。
なのに、傷つく羽目になってしまう。朱音のように。本人は傷ついておらんというかもしれん。
しかしそれは間違いじゃ。あきらかに、一般の人々とは違う経験をしているわけじゃ。いくらその本人がいいといっても、後の子孫の面倒までみきれんじゃろ?そういう部分が問題なんじゃよ。
そして家族・・・、自分だけその力が持てなかった家族は、傷つくんじゃ。田辺さんのように、のぅ。


現世の王は、ふかく、ふかくため息をついた。
そして、話を続けた。


未来のため、・・・そこまで考えなければならない。うまくサイクルを回していかねばならないんじゃ(`・ω・´)。
記憶を失うというのは、確かにつらいと思う。ただ、後の世界のことも考えてのこと。
わかってくれ・・・。
これまで黙っていたのはな、2つの理由があるんじゃ。
ひとつは、ここに記憶を残している3人・・・まぁ、結果的には4人になったが、
その全員を集めたかったから、というのがある。まとめて記憶を抹消してしまった方が、魔術の力がそれぞれの「気」と反応して強まり、うまくいくんじゃ。
二つ目は、ルースと真也が「体内隔離状態」にあったのを、融合してから記憶の抹消をしたかったからじゃよ。
体内隔離状態にある場合、一つの体といえども二人の人物が存在するわけで、一番難しい方法を試さねば、ならないんじゃ。
そうじゃな。そうして、今に至ったということになる・・・(´・ω・`)」




沈黙が流れた。皆、金縛りにあっているので声が出せないのだから、当然である。
現世の王が言いたかったのは、それだけだった。
理由を教えても、消さねばならない・・・記憶。

辛かった。

しかし自分の決めたこと。皆の心の声を聞くことは、彼にはできるが、それさえ今は・・・怖かった。

自らの初仕事でここまでツライ思いをするとは思っていなかった現世の王。
しかし、あくまで彼は「王」である。


再び、彼はペンダントをかざし、魔術を唱える姿勢に入った・・・。






-詩- 燈

ブログネタ:豆電球消して寝る?付けて寝る? 参加中

       080220_0612~01.jpg




       けさないよ。

      どんなときも。 ちっちゃな 灯
                まあるい  灯


     消したら、わたしはわたしでない。
           あなたはあなたでない。




     消さないで。
     確かめてみて?
    迷ったら手をあててみて?ね。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

で、豆電球。
現実。物質的な豆電球は。寝るとき消してるかな。

悪いんだ、寝付き。nnnnnnn.


1日をReSetする。

瞳孔に入る光はシャットダウン。



      は。 自分のなかに。


        これからも。
     自分が自分で、ある限り。






◆ショートショート◆ ダレガワルイノ?ダレモワルクナインダ。


ついてくるんだ。影が。

    やだな。

影の存在に気付いた幼年期から、少年は「影」というものに嫌悪感をいだいていた。



「ついてくんな!」

そんなことを叫んでも、もちろんついてくる影。

きみがわるい。

少年は振り返り、自分の影に唾をはいた。

更に気味が悪いのは、かげもまったくおなじ行動を、することであった。

学校。
みんな楽しそうにはしゃいでいる。

わからない。
やつらは自分のあとをつける影が、気持ち悪くないのだろうか。

ミンナオカシイ。

少年は全てに脅えた。本にも、黒板にも…チョークにも、更にはそのカスにさえも影は存在する。

こわい。コワイコワイコワイ…


あんたの行動はおかしい。

ある日母親に少年は告げられた。

(なにがおかしい?
おかしいのはあんた含め、影に何も感じない世の中の奴らだ。)

少年は母親にそう訴えたが、その言葉に母親は脅えた。


病院に連れて行かれた少年。を渡された。
カタカナのなまえ。覚えにくい名前。

やだ。

少年は飲もうとしなかった。すべてゴミ箱に捨てた。
しかし母親はそれを拾い、こっそり味噌汁に混ぜて少年にのませていた。


すると数日後、少年の様子が変わった。
明るくなり、社交的になった。
と、いうのも、少年には、影がみえなくなったのだ。すべてのひとがフワフワ浮いて見える。
実に愉快だった。

家でも笑顔を絶やさない息子。むしろいつも、にやにやしている。


母親は何も知らず、喜んで毎日薬をのませつづけた。



数日後、テレビのニュースである薬の成分が取り上げられていた。
問題が起こったのだ。覚醒作用が、尋常ではないという。
それはその少年に処方された、薬の名前と同じであった。


母親は混乱した。
明るくなった息子の目に見えている世界は・・・一体どんなものなのだろうか。と。
そして自分を責めた。なぜ、薬を無理やり飲ませたのかと。

しかし、どうなのだろうか。少年は飲まなくても怯えている。
飲むと覚醒してしまう。


だれも、わるくない。何も、間違っていない。しかし、起こってしまうことは、ある。


心配した。から、病院へ。・・・と思った母。

影が先天的に怖かった。・・・少年。

良かれと思って「薬」を出した。・・・医者。


母親は、医者を恨むのかもしれない。でもそれは、・・・ちがう。
少年を生んだことを後悔するかもしれない。 でもそれも、・・・ちがう。


何も悪くないんだ、間違ってなんかない。 でも、心は揺れるだろう。おそらく、いや、多くの確率で。

     

      あなたが、家族なら・・・どうしますか?


              

              ~完~







小説NO.134 「 新たな幕開けに向けて 」其の5

サラクロに背を向けた四人。


実行の時は・・・きたのだ。


電光石火。サラクロは唸り声と共に朱音の鞄に向かって駆け出した。

燃えている・・・サラクロの体、瞳、すべてが燃えている。例の色で。


朱音たちはサラクロとは思えない唸り声に驚愕し、振り返ろうとした。


・・・が、皆、動けない。しゃべることもできない。

まるで金縛り状態である。



サラクロは彼らに金縛りをかけたのだった。

スピードで対応する自信はあった。・・・しかし、万が一のことに備えである。



「ふぅぅぅ・・・・・」


燃えるサラクロは、猫の姿から黒覆面をした魔術師の姿に変化(ヘンゲ)した。

彼の手にはすでに、朱音のペンダントが持たれている。


(サラクロ・・・何をするつもり(ノ_・。)?!)

(サラ・・クロ(((゜д゜;)))?!)

(こわい・・・。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。)

(なんだ!(´Д`;)この猫だか人間だか分からない奴は?!)


固まった四人は、たたずむ「現世の王」の圧力を感じながら、震えていた。



「記憶。・・・3つの世界の記憶。消させてもらう。」



サラクロ・・・いや、現世の王はペンダントを掲げると、魔術を唱えようとしはじめた。



「な・・・んで・・・・」


金縛りがかかったばずなのに、その隙間から、朱音が声を洩らした。

なんか音声になっている。


「・・・・・・。」


現世の王の動きはピタッと止まった。

金縛りの隙間から声を漏らしたこと自体に驚いていたのはたしかであるが、

なにより、何の説明もなしに記憶を抹消するのは・・・こころが痛むのであった。


(どうする・・・記憶を抹消してしまえば、今ワシがここに居たことだってわすれるのだが・・・。

説明せずには・・・こころが痛む。王たるもの、責務だけ実行すればよいというのに・・・・くそぅ。

ワシには、それができん。



現世の王は、金縛りをさらにきつく締め、口だけは訊けないようにし(大声を出されたらこまるので)

いったん呪文を唱えるのをやめた。

そして、4人に、記憶を消さねばならないことについて、そしてなぜこれまでそれを黙っていたのかについて、話し始めることにした




-詩- ネガティブコントロール。




にんげんだもん。こういうとき。あるよね。
ひまわりだって、日陰だとなえるしね。

大丈夫なんだ。
言い聞かせてる、そう。自分に。


   こころ。

刺さっているんだ。棘、とげ・・・がね。

イガイガぢゃ、なくって。
ほそくってさ。見えなくってさ。

でも、ささってる。もどっかしいんだ。


ヘルプ・ミー・・・


言えやしない。でも、叫んでる。こころが。


いいわけさ。  単にさみしいのさ。



やだね。こんな自分。笑っていたい。ニコニコ。
でもしってる。楽しくないニコニコ。逆効果。むなしい風が吹く。

信じてるのに。棘。刺さってる。
・・・たいせつなものにまで、自分が・・・刺してるんじゃないかって。

  「ジコ嫌悪。」の壺。

       ぼしゃん。・・・ぁあ。


どうしたら、ぬけるの?とげ。助けて。
え?オハライ?
むりだよ。そんなんでとげ、抜けない。

わたしは。痛む必要はない。言い聞かせよう。
でもって、あやまろう。こころから。
怒っていないのはわかってるけれど、すっきりしないんだよ。

こころのもやもや。
隠し事はないんだ。あなたには。まったく。
でもね、まだ、自分を抑えちゃうときがある。
我が強いんだ、本当は・・・呑みこむ言葉。
行っても無理、自分は無知。   あきらめちゃう。
しおれてるね。 あっは・・・


 しあわせになろうね。いっしょに・・・。

◆ショートショート◆ 家族の愛情。

少女は幼いころから、部屋から出たことがなかった。一度も。
特に出たいとも思わなかった。

なぜ?

「自分は変だ」と思っていたから。



特に両親が肉体的体罰を与えたわけでもなく、いじめにあったわけでもない。
保育園や学校にも行ったことがないのだから、当然と言えば当然である。

物心つき始めると、彼女は自分の部屋のカーテンを遮光と頼んだ。
言われた通りのものを与えられた。
「壁中の金属は顔が映りそうなのですべて取り払ってほしい。」という要望にも、
親は資金を出して、応えた。

親は、自分の娘が「変な子供」だとも特に思っていなかった。
なぜなら親は子供が今どういう状況に暮らしているのか把握していなかったのだ。
・・・親は大金持ち。海外を行ったり来たりの生活。


そう、彼女の世話をしていたのは、召使数人だけであった。
食糧や衣類の買い出し、欲したものをカードで買い、あたえるのみ。

それが彼女の生活であった。
召使はロボットのように言われるがまま。
なにも意見はしない。意見できなかったのかも・・・しれない。


ある日、少女は部屋の中にある「森の写真集」をみつけた。
昔から部屋にはあったのだが、特に見る気がしなかったのだ。ただ、それだけ。

そおっと開いた、ほこりをかぶった、その一冊。

少女のひとみは、生まれて初めて輝いた。

(みたい。この景色を。)

召使いはそれを聞いて目を丸くした。(・・・そとにでるのか?この子が??)

しかし、言われた通りにすることにした。

実はその森、少女が住む場所のすぐ裏にあるのだ。扉を開ければ見える世界。
当然召使たちは毎日のように目にしている場所。
珍しくもなんともない。

ただ、彼女には未知の世界なのだ。


外に出た彼女は、風が吹いていることにまず驚いた。
そして、そのまぶしさにも・・・。目が、痛い。
歩こうとすると、つまずいて、こけた。

初めて感じた痛みに、涙する少女。「いたいよ~。いたいよ~。」
召使は初めて少女を心配した。

この子も感情があるのだ。

不思議なもので、いつもむすーっとしていた人の「人間らしさ」を垣間見ると、
愛着がわくものである。

「だいじょうぶですか?お嬢様・・・」

そんなこんなでたどり着いた森の中。




「わあああああああ!!!すごいすごい!!」



笑ったこともない少女が笑っている。まぶしい太陽よりも、召使たちには、眩しく感じられた。
その時召使たちは初めて
(なぜ自分たちはこれまで外に遊びに出してやらなかったのだろう・・・)
と、後悔した。
(よし、今日は思う存分遊ばせてやろう!)
皆そう感じていたのだ。

「お嬢様?みてください。これは河です。生き物が沢山住んでいますよ♪」

ひとりの召使が言った。
興味身心で、少女は近づく。


「キャーーーーーー!」



悲鳴をあげる、少女。

一体、なぜ?


「河の中に・・・女の子がいる!
私よりずっときれいな女の子が見てるの・・・こわい!」


召使たちは驚いた。もちろん、それは本人。
自分が映っているのだ、ということを言って聞かせ、実際召使たちも水面に映って見せたりしているうちに、
少女もその「女の子」が自分であると理解したようだ。


「あれ・・・わたし・・・汚くないのね・・・・」


少女は涙をこぼしながらそう言った。


「あの、なぜお嬢様は、自分が汚いなどと思うのですか?」
思い切って召使の一人が尋ねた。


「パパもママも、来ないんだもん・・・。わたしに会いに。
わたしが汚いから。だから、みたくないにきまってる・・・。
だから汚いんだと、思っていたわ。

今でも、パパとママはきっと、そう思ってる。みたくないのよ。わたしを。



少女は悲しげな表情で呟いた。

召使たちは少女の正直な気持ちを知り、少女の親に対して怒りの気持ちがこみ上げた。


其の夜、召使たちは彼女の親と連絡を取り、今日通りのことを話した。
そして、これまでの生活のことも・・・。

「仕事が忙しいんだ!」

両親とも、取り合ってくれない。

「あなたは殺人者になりたいのですか?!」

召使はそう突っかかった。

さすがに困惑した両親は、彼女のもとへとやってきた。
・・・が、決まりが悪かったのか、結局。娘とも顔を合わせぬまま、引き返してしまったのだ。


召使たちは団結した。
お金ならあるのだ。彼女に足らないのは、愛情・・・。




・・・そして、十年後。
彼女は学校にも通い、家では召使い・・・ではなくすでに家族となった数人の仲間たちと温かく、
暮らしていた。
そして彼女なりの幸せをつかみ、昔では考えられなかったような笑顔を振りまいて暮らしていた。


彼女の親の居所は今でも分からない。


しかし、彼女は幸せだった。
家族に囲まれ、皆、それぞれを想いあって、生きているのだから・・・。



                 ~完~






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