小説NO.137 「 新たな幕開けに向けて 」其の8  | もうすぐって…いつ?

小説NO.137 「 新たな幕開けに向けて 」其の8 

「では、始めさせていただく。」

これまでに見たこともないほどの、真剣なまなざし。
(とはいっても今は猫の姿ではないが。)

現世の王は、背中の黒いマントを翻すと、両手を広げて4人に向け、呪文を唱えた。



「消・滅・去!記・参・界!!」
(3つの世界の記憶よ、消え去りたまえ!)





その呪文を唱えた瞬間、きっと何かすごいことが起こるのだろう・・・、と、
朱音も真也もひとみも、田辺も、そう思っていた。

地面を踏みしめる、4人。


しかし。


「あれ?」


音もなく、ことは終わった。そこにはもう、現世の王の姿は・・・ない。
まるで最初からいなかったかのように・・・。



「あれれ?」


顔を見合す4人。「あれれ?」の後に続いた言葉、それは・・・


「あれれ?何でおれたち、こんなとこで固まってんだ?
今から朱音は、退院するん、だよな( ̄_ ̄ i)?」


という真也の言葉だった。


「そうよ?病院で知り合って、でもって友達・・・あら、彼女?のひとみちゃんまで連れてきてくれて、わたしは幸せ者だわ(‐^▽^‐)」

朱音ものんきにそう言う。

「彼女じゃねぇよ!オークションで、こいつが桜坂かえでの舞台チケット出品者だったから・・・
・・・って、なんで俺、FANでもないのにそんなの買ったんだっけ?
しかも結局、舞台行ってねぇ(°д°;)!!金返せ!ひとみ!!」

「なによ!引き止めておいて!!
行かなかったのはあんたの勝手でしょうが(`ε´)!!」

真也とひとみのいつも通りの、しかし何か不思議な何かが欠けている、そんな言い合いも始まった。


「・・・まぁまぁ、ここは病院だからね(;^_^A」


ドクター田辺のこの一言で、みんなはとりあえず落ち着き、朱音は病院をあとにすることになった。



「どうもお世話になりましたo(^▽^)o!!」

周りの看護婦たちにそう言ってまわる朱音。
とてもすがすがしい顔をしている。



こうして、朱音は長かったはずの記憶を「無」にし、新しいスタートをきったのだった。