閑話休題〜難聴と人工臓器② | 片耳日記 〜 Acoustic neuroma 〜

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2017年の11月に聴神経腫瘍が見つかり、2018年の5月に摘出手術を受けました。現在は年1回の経過観察通院中。手術により右耳の聴力を喪失。
そんな”片耳生活”のアレコレをブログにしたためています。
試しにgoogleで、「片耳日記」と検索してみてください(^^)

閑話休題。
「かんわきゅうだい」
『余談をやめて、話を本題に戻す時に、
接続詞的に用いる語』という意味です。
「あだしごと」はさておき → それはさておき
ってことです。
 
(この記事は自分の整理のために書いています。)
【はじめて読む方は、こちらからどうぞ】
 
それでは、前々回の続きです。
「人工内耳」のお話までしましたね。
人工内耳はもっとも普及している人工臓器の一つということでした。
補聴器の効果がほとんどない人にとって
聴覚を獲得する素晴らしい仕組みです。
 
しかし、恩恵を受けられる人には制限があって、身体障害者の認定を受けている両側難聴の人で、しかも片方の耳だけが保険の対象となるということでした。
まったく聴こえない状態から、最低限片耳が聴こえる状態にするというのが制度的な考え方かもしれません。
 
以上は保険制度上の制約があるというお話でしたが、
もっと深刻な医療上の制約がありました。
私の様に聴神経腫瘍など、内耳よりももっと中枢の障害である聴神経が原因の難聴については、この人工内耳も効果がないとされていました。(最近の研究では一部効果がある場合も有るそうですが...)
仮に「人工内耳」で音をキャッチできても、その音の信号を脳へ伝える経路が絶たれてしまっているからです(^^;
 
 
こうしたケースへの対応のために開発されたのが「聴性脳幹インプラント」です。
ABI(Auditory Brainstem implant)と呼ばれています。凄いですね。
人工内耳の場合は神経細胞を刺激する電極が「内耳」に埋め込まれますが、このABIの場合は、聴神経よりもさらに中枢、脳幹にある聴覚の入り口「蝸牛神経核」の表面に電極が設置されます。
 
・赤坂虎の門クリニックHP
・STナビ:聴性脳幹インプラントとは
 
「蝸牛神経核」でも、ある程度音の周波数に従って神経細胞が配列されているので、電気刺激される部位によって音としての弁別が可能になるそうです。それで人工内耳の仕組みと同じようにして音を伝えることができるということです。
私の貧弱なイメージでは(不正確ですが)、音の信号が電気刺激としてピアノの鍵盤の様に並んだ神経細胞を「鳴らす」という感じでしょうか?
 
ちなみに、このABIを使っても、耳が失聴する前と同じように自然な音として聴こえるわけではないそうです。ロボットの様にキカイ的な人工音として聞こえるわけです。
なぜか?
正常な聴神経は3万本以上あるのに比べ、ABIが伝えるのは僅かに12~22チャンネルしかないからです。
あらためて、人間(生物)の仕組みって凄いなと思います(^^)
 
【以下を参考にしました】
※自分なりの解釈で記述していますので、正確にお知りになりたい場合はこちらを参照してください。
・日本人工臓器学会誌
(聴性脳幹インプラント)「人工臓器第30巻別冊」

 

 

 

 

 

◇記事の参照 〜 以下からも過去記事を探せます 〜

 

 

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